ありふれた職業と死を運ぶ暗殺者   作:雪とk

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シア

 

 

「どぉりゃぁです〜!」

 

白髪の兎人族の少女シアがユエが生み出した氷を粉砕しながら突撃し手に持った巨大なハンマーを振り下ろす。

 

「風壁」

 

しかし、それは吹き荒れる風の壁で軌道をそらされてしまう。

シアはすぐさま回避に入る。

 

「炎城」

 

 さっきまで立っていた場所で炎が噴き出す。回避先にも炎が出現したがそれもギリギリで回避する。

 

「うわ、アッツ、やりましたね〜どりゃあです〜」

 

シアも負けずと反撃に出る。近くにあった木に向かってハンマーを振り抜いた。すると木は破壊され簡易的な散弾となりユエに襲いかかる。

 

「ふっ、甘い」

 

しかし、またしても風の壁によってすべて防がれてしまう。

 

「わかってますよ!」

「!?」

 

 ユエは驚かされた。折れて倒れてきていた木の本体をシアはユエに向かって打ち出したのだ。ユエはすぐさま燃やし尽くすが木を目隠しにしている間に飛び上がったシアが炎を切り裂くように飛び出してきてハンマーをユエに振り下ろす。

 

「うわぁぁぁ!」

 

 シアはユエが咄嗟に張った氷の壁を砕きながら迫る。しかし、氷の壁でできた僅かな時間で回避したユエは容赦無くシアを氷結させる。

 

「驚いた。いくら身体強化が得意だからといって木1本を丸々打ち出してそのまま大ジャンプだなんてホント化け物。でも今回も私の━━」

「あー!ユエさん頬、ほっぺた傷、傷です!私の勝ちです!」

「なっ!」

 

 ユエ頬を触ると恐らく砕けた氷の破片によって付いたであろう小さな傷があった。

 

「何を言ってるの?私は傷なんて負ってない」

 

 そういってユエが頬から手をどけるとそこには傷はなかった。ユエの自己再生によって傷が治ったのだ。

 

「あー!そんな〜ずるですよ、ずる。ルール違反ですよ。ユエさんに1回でも傷をつけたらあなた達について行ってもいい。少なくともハジメさんを説得するとき協力するって言ってたじゃないですか〜ランサーさんにもいろいろ教わってようやく勝てたのにこんなのあんまりです〜」

 

イライラしながらもユエはシアの実力や真っ直ぐさを気に入ってもいた。

 

「おーい、ユエー」

 

そこにハジメがやってきた。

 

「ハジメ、特訓終わった?」

「あぁ、大方な。流石現代まで名前が残ってる英雄様たちだ。あの腰抜けの兎人族が見違えるようだ」

 

 木々の向こうからハウリア族、シアの父親が族長の兎人族の一族の雄叫びが聞こえてきた。

 殺すことなんてできないと小動物さえ狩ることを躊躇し、狩った後ウサギの周りで泣きながら土下座していた兎人族もイスカンダルやクー・フーリンそしてハジメによるブートキャンプにより彼らは一流の戦士に変わった。

 ちなみに兎人族は身体能力があまり高くないため英霊2人が教えた戦い方よりも、気配を消すことがうまいことに目をつけたハジメが教えたアサシン的な戦いの方が兎人族には合っていたようで英霊2人は不服そうな表情をしていた。

 

 なんでこんな事をしているのかというと奈落から帰還した後直ぐに待ち構えていたシアと言う兎人族のゴリ押しによって森の道案内を条件にシアの家族であるハウリア族を助けることになったからだ。

 その後ハジメたちはハウリア族達の亜人族の国から追放されたからには力を身につける必要があるといい鍛えてくれと頼まれたからである。

 その後亜人族達の国で少しだけトラブルにあったりしたがシア達の道案内によって大迷宮を発見したがここの大迷宮は他の大迷宮の攻略の証4つと再生の力おそらく再生に関する神代魔法がなければ挑戦できないようなので他の大迷宮に向かうに辺り最後の仕上げが今行われているのである。

 

「そっ、こっちも終わったところ」

「で、どうよ?こいつは」

「魔法への適性はまるで無いけど身体強化が異常。パワーだけなら多分強化して無いハジメの6割ぐらい」

「まじで?」

「本当、しかもまだまだ伸びる、あと飲み込みも早いクー・フーリンから習った足さばきやらもハンマーを使う自分に合ったものにアレンジしてた」

 

 そんな話をしていると氷から脱出したシアが駆け寄ってきた。

 

「ハジメさん!私も連れてってください!」

「だめだ」

「ちょっ、即答しないでください!なんでですか!私もう戦力的にも足枷にはなりませんよ!」

「だとしてもだめ」

「なんでですか!」

 

 ブンブンと擬音が聞こえてきそうな様子で抗議するシアに向かってハジメは面倒くさそうに答えた。

 

「なんでと言われてもな、大体お前の父ちゃん達どうすんだよ?まさか、全員連れて行くってんじゃないだろうな?」

「ち、違いますよ! 今のは私だけの話です! 父様達には修行が始まる前に話をしました。一族の迷惑になるからってだけじゃ認めないけど・・・その・・・・・」

「その? なんだ?」

 

 何やら急にモジモジし始めるシア。指先をツンツンしながら上目遣いというあざとい仕草をし始める。ハジメが不審者を見る目でシアを見る。傍らのユエがイラッとした表情で横目にシアを睨んでいる。

 

「その・・・・私自身が、付いて行きたいと本気で思っているなら構わないって・・・・・」

「はぁ? 何で付いて来たいんだ? 今なら一族の迷惑にもならないだろ?それだけの実力があれば大抵の敵はどうとでもなるだろうし」

「で、ですからぁ、それは、そのぉ・・・・・」

「・・・・・」

 

 モジモジしたまま中々答えないシアにいい加減我慢の限界だと、ハジメは愛銃(ドンナー)を抜きかける。それを察したのかどうかは分からないが、シアが女は度胸! と言わんばかりに声を張り上げた。思いの丈を乗せて。

 

「ハジメさんの傍に居たいからですぅ! しゅきなのでぇ!」

「・・・・は?」

 

 噛んだことと、告白したことを恥ずかしがり頬を赤く染めたシアシアに対してハジメは全くの予想外の言葉に思考が止まっていた。

 

「いやいやいや、おかしいだろ? 一体、どこでフラグなんて立ったんだよ? 自分で言うのも何だが、お前に対してはかなり雑な扱いだったと思うんだが・・・・・まさか、そういうのに興奮する口か?」

 

 自分の推測(ドM疑惑)にまさかと思いつつ、シアを見てドン引きしたように一歩後退るハジメ。シアが猛然と抗議する。

 

「誰が変態ですか! そんな趣味ありません! っていうか雑だと自覚があったのならもう少し優しくしてくれてもいいじゃないですか……」

「いや、何でお前に優しくする必要があるんだよ……そもそも本当に好きなのか? 状況に釣られてやしないか?」

 

 ハジメは、未だシアの好意が信じられないのか、いわゆる吊り橋効果を疑った。今までのハジメのシアに対する態度は誰がどう見ても雑だったので無理もないかもしれない。だが、自分の気持ちを疑われてシアはすこぶる不機嫌だ。

 

「状況が全く関係ないとは言いません。窮地を何度も救われて、同じ体質で……長老方に啖呵切って私との約束を守ってくれたときは本当に嬉しかったですし……ただ、状況が関係あろうとなかろうと、もうそういう気持ちを持ってしまったんだから仕方ないじゃないですか。私だって時々思いますよ。どうしてこの人なんだろうって。ハジメさん、未だに私のこと名前で呼んでくれないし、何かあると直ぐ撃ってくるし、鬼だし、返事はおざなりだし、魔物の群れに放り投げるし、容赦ないし、鬼だし、優しくしてくれないし、ユエさんばかり贔屓するし、鬼だし……あれ? ホントに何で好きなんだろ? あれぇ~?」

 

 話している間に、自分で自分の気持ちを疑いだしたシア。首を傾げるシアに、青筋を浮かべつつも言っていることは間違いがないので思わずドンナーを抜きかけるも辛うじて堪えるハジメ。

 

「と、とにかくだ。お前がどう思っていようと連れて行くつもりはない」

「そんな! さっきのは冗談ですよ? ちゃんと好きですから連れて行って下さい!」

 

 ユエがいるのによく告白出来たな。と遠回しに拒否されたシアは突然、「まあ、ハジメさんとユエさんを見てれば一筋縄では行かないとわかっていましたよ!」と言ったあとフフフと怪しげに笑い出すシアに胡乱な眼差しを向けるハジメ。

 

「こんなこともあろうかと! 命懸けで外堀を埋めておいたのです! ささっ、ユエ先生! お願いします!」

「は? ユエ?」

 

 完全に予想外の名前が呼ばれたことに目を瞬かせるハジメ。してやったり! というシアの表情にイラッとしつつ、傍らのユエに視線を転じる。

 ユエは、やはり苦虫を百匹くらい噛み潰したような表情で、心底不本意そうにハジメに告げた。

 

「・・・・・・・・・・・・ハジメ、連れて行こう」

「いやいやいや、なにその間。明らかに嫌そう・・・・・もしかして勝負の賭けって・・・・・・」

「・・・・・・・無念」

 

 そうシアは先程の勝負にユエがシアの同行を認めることを賭けていたのだ。

 

その後も気持に応える事は出来ない。そんな未来はお互い良くないなどと遠回しに断るハジメだが未来視のスキルを持つが故に未来は覚悟と努力で変える事が出来るシアはそれでもと食い下がった。

 

 そして・・・・・

 

「・・・・・・・・はぁ~、勝手にしろ。物好きめ」

 

 その瞳に何かを見たのか、やがてハジメは溜息をつきながら事実上の敗北宣言をした。

 

 樹海の中に一つの歓声と、不機嫌そうな鼻を鳴らす音が響く。その様子に、ハジメは、いろんな意味でこの先も大変そうだと苦笑いするのだった。

 

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「ということでこいつも俺のパーティーメンバー入ってことだ」

「シアです!改めてよろしくお願いしますぅ」

 

 他の面々と合流したあとシアが旅の仲間に加わることを説明した。

 

「そうですか・・・よかった、でいいのでしょうか先輩?思いっきりフラれたとも言えなくもないですが」

「う、う〜ん、まあ、本人たちがいいんならいいんじゃないかな?」

 

 説明を聞いたマシュと藤丸はなんとも言えない顔で見合わせる。それを聞いたシアはウサ耳をピンと立て自信満々に宣言する。

 

「お二人とも心配ありがとうございます。ですが私は恋する乙女一度フラれた程度で諦めたりしません!」

 

その瞬間イライラが限界値を振り切り不機嫌オーラを纏ったユエの魔法がシアを襲った。

      

「おっと、危ないですよぅ。しかし、数日前の手も足も出なかったころの私では」

「凍柩、凍てつけウザウサギ」

「あ、ちょまっ」

 

一度目は避けたものの無駄に煽ったせいでさらにイラッとしたユエの魔法によりウサギの氷の彫刻が出来上がった。

 

「はっ、はっ、はっ、元気なこった。まだまだ危機察知がなってないなシア嬢ちゃん」

「然り、だが己が恋の為、命がけで挑む姿まさに勇者のそれよな、がはっは。それに比べて、おい坊主お前には何か無いのかお前は」

「何故そこで私に振る?残念だが私はエルメロイ教室の仕事で忙しくてね。私の生徒は問題児が多いのでな」

 

そんな光景を前に笑う英霊2人と疲れ切った様子のロードがそこにはあった。

 






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