それから私たちは様々な訓練に参加し魔法や武器の扱い方などを学んだ。
トータスにおける魔法は、体内の魔力を詠唱により魔法陣に注ぎ込み、魔法陣に組み込まれた式通りの魔法が発動するというプロセスを経る。魔力を直接操作することはできず、どのような効果の魔法を使うかによって正しく魔法陣を構築しなければならない。
そして、詠唱の長さに比例して流し込める魔力は多くなり、魔力量に比例して威力や効果も上がっていく。また、効果の複雑さや規模に比例して魔法陣に書き込む式も多くなる。それは必然的に魔法陣自体も大きくなるということに繋がる。
例えば、RPG等で定番の〝火球〟を直進で放つだけでも、一般に直径十センチほどの魔法陣が必要になる。基本は、属性・威力・射程・範囲・魔力吸収(体内から魔力を吸い取る)の式が必要で、後は誘導性や持続時間等付加要素が付く度に式を加えていき魔法陣が大きくなるということだ。
しかし、この原則にも例外がある。それが適性だ。
適性とは、言ってみれば体質によりどれくらい式を省略できるかという問題である。例えば、火属性の適性があれば、式に属性を書き込む必要はなく、その分式を小さくできると言った具合だ。
この省略はイメージによって補完される。式を書き込む必要がない代わりに、詠唱時に火をイメージすることで魔法に火属性が付加されるのである。
まあ私にこの世界の魔法の適正はほとんどなかったが…
逆に恵里は高い適性があったらしい。
もしかしたら私と出会ってなかったら魔法職になってたのかもしれない。
それはそうと私と恵里のステータスはこんな感じになっている。
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宵崎灯火 17歳 女 レベル10
天職:山の翁
筋力:160
体力:230
耐性:75
俊敏:290
魔力:120
魔耐:160(+600)
技能:
・投擲・縮地・調薬・剣術・無冠の武芸
・暗殺術[+毒属性付与][+肉体改造]・戦闘続行
[+自動再生]・対魔力・信仰の加護
・天性の肉体[+千里眼][+限界突破]・幽玄
・偽装[+変装]・言語理解・気配察知・魔力感知
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中村恵里 17歳 女 レベル8
天職:暗殺者
筋力:92
体力:130
耐性:72
俊敏:160
魔力:400
魔耐:100
技能:気配遮断・投擲・縮地・調薬・剣術
・暗殺術[+毒属性付与]・戦闘続行・言語理解
・気配察知・魔力感知・全属性魔法適性[+降霊術]
・魔力回復
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私と恵里はずっと鬼ごっこをしていた。
私たちを指導した騎士曰く私たちは武器の扱い方はできているので【気配察知】と【気配遮断】の練習として森の中で鬼ごっこをしている。
と言っても普通の鬼ごっことは違いますタッチのかわりに模擬戦用の刃のない武器の攻撃を命中されなければならないというものだ。
ちなみに私たちの他にも私の弟である遠藤浩介も暗殺者の天職持ちだが私たちと違い武器など初めて持つ彼は騎士の方と模擬戦をしたりして武器に慣らしている。
しかし、さすが我が弟常に気配遮断ができるとは…
【気配察知】や【魔力感知】は使えば使うほどより正確になるのが実感できる。
この鬼ごっこと言うのは暗殺者の基本を学べる良い方法だ私が暗殺教団にいた頃もやらされた、と言っても本職の連中にただひたすら追いかけ回されるという文字通り命がけの訓練だったがこの体が特別製でなければ何度死んでいたことか…
ヒュッ
恵里の方から先の潰れた棒手裏剣のような物が飛んでくる。
どうやらルートを予測して待ち伏せしていたらしい
(恵里もまだまだだな、攻撃の前に気配が強くなっている、これじゃ奇襲の意味が無い)
私はそれを軽々と避け木々の間を縫ったり、枝に飛び乗ったりしながら逃げていく。
後ろから悔しそうな気配を感じるが無視して突き進み私は制限時間を全て逃げ切った。
「むー、初代様といい灯火といいなんなのさその気配遮断、しかも全力じゃないそれで惨敗とはね…自信無くなっちゃうよ」
「まあまあ、私だって長年かけて磨いてきたんだ、簡単に超えられたら私達の立つ瀬がないよ」
「それはそうだけどさーん?」
恵里が気づくと同時に私も浩介の接近に気がついた。
「よう、遠藤そっちの訓練はどうだ?」
「やあ、遠藤君そっちも自衛ぐらいはできるようになったかい?」
「!!」
そう声をかけると浩介は拳を握りしめ始めた。
その様子はまるで喜んでいるようだった。
「まさか、うう、こっちが喋りかけるよりはやく気づいてくれて声をかけられる日が来るとは…」
((めちゃくちゃ喜んでる…))
恵里と心がシンクロした気がした。
と言うかここまでくると一体どんな生き方をしてきたのかとても気になるな…
すると恵里が口を開く
「喜んでるところ悪いけど武器の扱いにはもう慣れたのかい?」
「えっ、ああうんまあ防戦に持ち込めるぐらいにはなったよ」
「なるほどじゃあ問題ないな、遠藤も次から私達と特訓な?」
私がそう口にすると浩介は慌てた様子で私に言った。
「えっ?いや、でもまだ僕防戦一方で…」
「ん?それでいいじゃん、そもそも私たちは暗殺者なんだから意識外からの奇襲や情報収集こそ花道なんだよ?でもそれのためには相手に見つからずに相手を見つけて攻撃する必要がある、いくら遠藤が気配遮断が得意とはいえ耳のいい魔物なら多分足音で気づかれるし…よし足音出さない歩き方、走り方とか諸々教えるから次から私たちも指導するから」
「わっ、わかったよ〜」
その後私は王立図書館へ向かい情報収集を続きを始めた。
座学の講義の内容と合わせて今わかっている情報をまとめると
・このトータスにおいて人間族のほとんどが神のエヒトを信仰していること
・エヒトを含めた昔の神々が使っていた物を人が使えるようにしたのが今の魔法だとされており魔法は神からのギフトであるとされていること
・魔人族は、全員が高い魔法適性を持っており、人間族より遥かに短い詠唱と小さな魔法陣で強力な魔法を繰り出すらしい。数は少ないが、南大陸中央にある魔人の王国ガーランドでは、子供まで相当強力な攻撃魔法を放てるようで、ある意味、国民総戦士の国と言えるかもしれない。
・人間族と魔人族以外にも亜人族がおり亜人族は被差別種族であること
・亜人族は大陸東側に広がる【ハルツェナ樹海】の深部に引き篭っている。
・差別されているのは彼等が一切魔力を持っていないから。
・大陸北部を人間族、大陸南部を魔人族が支配している。
・その他調べた魔物の情報など
・この世界には七大迷宮なる危険地帯があるということ。
といったところだ。
「………しかし、魔人族の情報がほとんどないな…」
そうなのだ魔人族側の領土の詳しい地形や魔人族の技術レベルなどに関する情報がほとんどないのである。
地図が無いのは軍事機密扱いになっているだろうからわかる。
だが技術レベルがわからない上に容姿に関する描写も誇張されているような印象を受けるのでいまいち信用ならない、さらにに戦術などに関しても卑怯だなんだと言うことしか書かれていない。
(王立図書館でこれか…いや、教会のほうが力を持っているなら仕方がないのか?どちらにせよ騎士団の資料には期待したいが…)
本を棚に戻し図書館の中央に戻ると並べられた机に本を積み上げながら熱心に本を読んでいる南雲を見つけた。
彼はここ数日ステータスの伸びが悪いという話を聞いた。
どうやら知識方面で貢献しようとしているようだ。
ちょうどいいと私は聞きたいことがあったので話しかけることにした。
「よう、南雲」
「へっ?あっ宵崎さん!?」
「何だ人をお化けみたいに言いやがって」
「あっいや、ごめん、誰もいないと思ってたのに急に話しかけられたからつい…」
「?…あーなるほど」
どうやら私はいつものクセで足音をたてないような歩き方をしてたから彼は私の接近に気が付かなかったようだ。
「すまんついクセで足音を消しながら近づいたせいで驚かさせてしまったようだ」
「い、いやいいよ気づけなかった僕も悪いし」
「そうか…ならよかった…なぁ南雲」
「何?」
「お前さ何で錬成師ていう戦いに向いてない天職なのに戦場に立とうと思ったんだ?」
正直私は彼が戦う力が無いにも関わらず戦場立つことを決めた理由がわからなかった。
彼に英雄願望のようなものがあるようには見えないので余計気になっていた。
「知ってるとは思うけど参加するかどうかは選べるんだぞ?空気感のせいとかならやめとけよ?理解してないやつ多いけど戦場に立つってことは文字通りの命がけだ、悪いけど流されてるんならやめといたほうがいいぞ?」
しばらく考えたあと彼の口から出てきた言葉は私の想像していなかったものだった。
「あ…うん、う〜ん言葉にすると難しいんだけど…僕もできる範囲でみんなの役に立ちたいと思うんだ」
正直これを聞いたとき彼が正気か疑った。
彼へのクラスメイトの態度は正直いいとは言えないなんてレベルじゃない。
そんな態度のクラスメイト達の役に立ちたい?
正直正気か?!て感じだ。
でもそれは彼の人間性を示していた。
「お前…ずいぶんいや、だいぶお人好しだな…」
「へっ、?」
彼はすっとんきょうな声を上げた。
そんな彼を横目に私はある決心をした。
「よし決めた、お前が戦えるように私も手伝おう」
「!?いや、いいよ申し訳ないし…」
南雲は遠慮するが私は逃さない。
迷っている人間がいるのなら道案内をせずにほっぽり出すなんて私はしない。
私は逃さないように一方的に彼と肩を組み話しを続けた。
「いーや、悪いがこれは決定事項だ明日までに色々考えておくから明日私のところへ来い」
「いや、だからそれはありがたいんだけど…」
「ちなみに来なかった場合引きずってでも連れて行くからそのつもりで」
「いや、だから僕の話を…」
「返事は?」
「へっ?」
「返事は?」
「いや、だかr…」
私は彼があまりに頑固なので武器を取り出し笑顔で粘り強くそして優しく
「返事は?」
「は、はいっ!!」
「よろしい!では明日より私がお前に戦うすべを教えよう」
彼から離れたあと私は自分の胸を叩いてそう宣言した。
「じゃあな、早速色々集めてくるから」
私はそう言って各所を回り必要なものを用意した。
翌日彼は約束通り私のところへ来た。
「そ、それで僕はどうしたらいいの?」
「まず、南雲お前はどの程度の速度と精度で錬成できる?この金属の塊で試してくれ、形は…そうだな、棒手裏剣ちょうどこんな形に加工してくれ」
そう言って私は彼に棒手裏剣を見せる。
「う、うんわかった」
そう言うと彼は手をかざし錬成と唱え金属の形を変え始めた。
十秒ほど立つと金属の塊は同じような形になった。
「うーん、確かにこのままじゃ戦闘では使えないな、だが安心しろ私が昨日この国の鍛冶師や錬金術師、錬成師、魔法使いを訪ねて作り上げた魔術礼装
これは初代様のもとで修行していた際に彼や謎の白髪の魔術師の記憶から知った魔術礼装だ。
こちらの魔法に合わせて調節してあるのでオリジナルとはだいぶ異なるが使い道は同じだ。
操って攻撃や防御に使うことができる。
索敵は組み込めなかったことが心残りだが良いものが作れたと思っている。
使い方を彼に教え実践してもらった。
私が月霊髄液を展開した彼に刃のない暗器を投げてみたすると
彼は使いこなし全ての暗器を弾いた。
魔力が少ないせいで持続時間が短いのが弱点だがそれでも彼の役に立つものになった。
「これすごいですね、これをまさか半日で作るなんて…」
「ああ、だけどまだ調節が必要なところがあるな…済まないが私たちの方で最終調節をしたい、悪いが少しこちらで預からせてくれ」
「あっ、いやいやむしろありがたいよ、ありがとう」
「どういたしまして」
その後も攻撃の回避の仕方や、足さばきなどについて簡単ではあるが指導したり。
日も暮れてきた頃彼と話をしていると不意にとんでもない気配を感じた。
背筋が凍った、しかし片方はわからなかったがもう片方の気配には覚えがある恵里だ。
おそらく私が今日一日南雲につきっきりだったからだろう。
これはまずいと思います私はその場から急いで離れることにした。
「じゃ。じゃあね、完成したらまた渡すから」
私は彼の返事も聞かず走り出したのだった。
そしてその後私は部屋に帰るとへそを曲げた恵里の相手をするのだった。
今回出てきた月霊髄液は本家と違い錬成によってコントロールされています。
なので実質錬成師専用装備です。
それにしても白髪の魔術師いったい誰なんだろな〜(すっとぼけ)