やはり俺が四宮家の使用人なのは、間違っている。   作:ろーすけ

6 / 12
どうもです


第四話:早坂愛は2人きりになりたい

早坂愛の朝は、誰よりも早い。

午前四時。まだ外は深い藍色の闇に包まれ、鳥の囀りすら聞こえない静寂の中で、彼女はベッドから静かに身を起こした。

 

愛「ふぁ~、眠い……」

 

欠伸をしながらカーテンを開けると、微かに空が明るくなり始めている。東の空に一筋の光が差し込む様子を眺めつつ、早坂は心の中で今日という特別な日に向けて決意を固めた。

 

愛「よし、今日で決着つける」

 

その呟きは、普段の彼女らしくもない高揚感に満ちていた。

洗面所に向かい、冷たい水で顔を洗うと、すぐにメイク道具を広げた。いつもの日常ならば十五分で済ませるシンプルな化粧。しかし、今日は違う。

鏡の中の自分を見つめながら、ファンデーションを丁寧に塗り、アイシャドウの色味にも時間をかけて微調整する。

 

愛「うーん、このピンク、ちょっと薄すぎるかな?」

 

迷うたびに手を止め、別の色を試す。眉間に少し皺を寄せながらも、どこか楽しそうである。

さらにヘアセットに取り掛かると、ドライヤーの音が響く部屋に、朝日が徐々に差し込み始める。髪の毛先をカールアイロンで整え、いつもより柔らかい印象を与える仕上がりになった。

 

愛「……よし、完璧!」

 

時計を見ると、すでに六時を回っていた。

そんな中、部屋のドアが軽くノックされた。

 

小町「愛さーん、小町ですよ~!」

 

小町の元気な声と共にドアが開き、彼女が顔を覗かせる。

 

小町「愛さん! 今日は監督私が代わりますから! 出発までゆっくりしておいて、お兄ちゃんとのデート、楽しんできてくださいね!」

愛「えっ……いやいや、大丈夫だよ。私が監督の仕事を――」

小町「いいんですってば! ほらほら!」

 

小町の手が早坂の肩をぐいぐいと押し、早坂は部屋の中へ戻されてしまう。小町はそうして早坂を部屋に閉じ込めるようにドアを閉めた。

 

─────────────────────

 

小町side

 

一方小町は廊下を軽やかに駆け抜けると、早朝の廊下で朝日を眺め佇む八幡を発見した。

 

小町「お兄ちゃーん!」

 

彼女は全速力で走りながら八幡の背中に飛びついた。

 

八幡「……うわ、何だよ、小町! ビビるだろ!」

小町「今日は映画の日だよね? だから、お兄ちゃんは部屋でのんびりしてていいんだよ!」

八幡「いや、でも……仕事サボったら早坂に怒られるだろ」

小町「大丈夫! 愛さんにはもう許可もらったから! お兄ちゃんは休んで、小町に任せて!」

 

八幡は若干の不安を残しながらも、小町の言葉に従ってその場を去った。

 

──────────────────

 

小町が初めて全て監督を行い掃除した四ノ宮邸の廊下をチェックの意味も含めて2人で歩き、家を後にする。

 

愛「比企谷くん、今日私、楽しみにしてたんですよ」

八幡「俺なんかと行くのが、そんなに楽しみなのか?」

 

八幡は少し照れくさそうに視線を逸らす。

 

愛「もちろんです。だって、比企谷くんと一緒にいると退屈しませんから」

 

早坂の柔らかな笑顔に、八幡は言葉を失ったようだった。

 

──────────────────

 

映画館にて

映画館のロビーには、休日を楽しむ人々が行き交い、賑やかな声が響いている。その中に、偶然を装って合流する早坂と生徒会メンバーの姿があった。

 

愛「あれ〜書記ちゃんに生徒会のみんなじゃん! やっほー、偶然だね~!」

かぐや「早坂さん? こんなところで何を……」

愛「私も映画観に来たんだよ~。それで、比企谷くん、何の映画観るの?」

八幡「え? 俺は『とっとりとりの助』だけど……」

愛「偶然! 私も同じ映画見ようとしてたんだ〜」

八幡「まじか……」

 

八幡は少し困惑しつつも、早坂の自然な振る舞いに抗えず、そのまま一緒にシアター内へ。

 

──────────────────

 

愛「こうやって男女二人で映画観に来ると、カップルに見られちゃうんですよね~」

八幡「なっ……!」

 

映画が始まる直前、早坂の小声に反応する八幡。すでに暗くなったシアターの中で、顔を真っ赤にしているのが見える。

 

八幡「……お前、なんでそんなこと言うんだよ……」

愛「ただの事実です♪ それじゃ、映画、楽しみましょうね」

 

早坂の声はどこまでも楽しげで、隣にいる八幡の緊張を余計に煽るのだった。

 

──────────────────

 

映画が終わり、軽いランチを挟んだ後、家に戻った早坂はベッドに倒れ込む。

 

愛「はぁ〜〜楽しかったぁ~!」

 

枕に顔を埋め、足をばたつかせる。けれど、そんな彼女の喜びも長くは続かなかった。

 

メイド「早坂、かぐや様がお呼びです」

 

部屋をノックする声に、早坂はすぐに身を起こす。

 

愛「……何だか嫌な予感しかしない」

 

──────────────────

 

かぐやの部屋に入ると、正座させられた八幡と、笑顔のかぐやが待ち構えていた。

 

かぐや「早坂。今日のは一体、どういうつもりだったの?」

愛「すみません……」

かぐや「全く、あなたと八幡のせいで、私は何もできなかったじゃない……!」

愛「本当に……ごめんなさい」

 

結局、早坂は心の中でこう呟くしかなかった。

 

――でも、楽しかったから、まあいいかな。

 

【本日の勝敗】

四宮の負け

(映画中以外早坂がいて何も出来なかったため)




でわ次回までまたね
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。