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マサルVSレッド決着……しませんでした!!
タイトルでどんな内容か想像できると思います。はい。
「へえ、あのお嬢ちゃん……なかなかにピンクじゃないか。マサルの坊やも面白い縁を繋いだもんだ」
アラベスクタウンのとある民家で、アラベスクスタジアム終身名誉顧問のポプラが呟いた。彼女にはテレビの画面に映っている一人の青年と、その青年の背後に佇んでいる少女の
「あたしの若い頃を思い出すよ。出会う順番が違っていれば、ビートじゃなくあの子が後継者になっていたかもしれないねぇ」
ポプラは自身の弟子であり、アラベスクスタジアム現ジムリーダーである青年の顔を思い浮かべながら小さく笑っていた。
No.0102 マサルくんと七人の鋼使い
レッドはエーフィの状態異常に心当たりがあった。あったのだが、自分の知る
(……僕の知る「メロメロ」とは全くの別物。マサルのニンフィアがホウエンのコンテストで優勝したのは
レッドにとって、そしてエーフィにとっての最大の不幸は、エーフィの性別が
(……ただ、疑問が残る。どうしてマサルはこんなに強力な「メロメロ」を最初から使わなかった? わざわざ接触を狙わなくても、遠隔でどうにでもできたはず)
レッドが考える通り、マサルは
(……それだけのリスクがある? だとすると、誰にとってのリスク? ニンフィア? いいや違う。
高速で思考を巡らせるレッドは気付く。なぜここまでマサルのニンフィアが「メロメロ」に特化することができたのか。それはマサルが加減を間違えれば正気を失ってしまうほどにフェアリータイプとの
大きすぎるデメリットを内包するその体質こそが、ニンフィアのポテンシャルを最大限に引き出す一番の要因。もしもマサルが何の問題もなくフェアリータイプを使役できる程度の相性であったならば、ニンフィアがこのような特異個体になることもなかっただろう。
(……これまでフェアリータイプのポケモンとは、フェアリータイプの使い手とは何度も戦ってきた。でも、ここまでの特異個体は初めてだ。もしもこの力を完全にコントロール……いや違う。コントロールしようとすればするほどこの力は弱まっていくだろう。これは
そもそもがマサルの特異体質という前提であるため、たとえレッドであっても同じことはできない。スキルや経験でどうにかなるものではなく、だがそれを才能と呼ぶにはあまりにも尖り過ぎているのも事実である。
そして、ニンフィアのポテンシャルを最大限に引き出すのがマサルの特異体質であるならば、マサルの特異体質
それは───
(……それよりもマサル、その女の子……誰?)
そう。マサルの背後に佇む少女の幻影。
ブルーベリー学園四天王。
フェアリータイプの使い手、タロ。
この少女こそが、マサルの特異体質を完全覚醒させた元凶なのである!!
(……あの子は多分マサルが旅の途中で出会った女の子のはずマサルがカントーに来てくれた時にたくさん話をしてマサルとどんな話をしたか
記憶を辿り、レッドはその少女の名を思い出す。
(……うん、間違いない。あの子はタロ。写真を見せてもらった。確かあの子とマサルとユウリが三人でグランブルのお腹を枕にしてお昼寝してる写真だった。僕も対抗してカビゴンのお腹を枕にしてマサルとお昼寝してたらリーフとユウリが突撃してきたからよく覚えてる)
カントーでのことを思い出し、レッドはわずかに口元を綻ばせる。
そもそも、なぜタロが幻影としてマサルの背後に佇んでいるのか? それは当然、当然過ぎる疑問であったのが。
(……この世界は不思議で溢れているから何が起こってもおかしくない)
レッドはさして気にしない。幻影の
と、レッドは思っていたのが、
(……さて、マサルがこの「メロメロ」を切ってきた以上、短期で決着をつけたいと思っているはず。それは僕も同じ。どう見ても、マサルよりエーフィの消耗の方が激しい。ここで確実にニンフィアを落としておかないと、後がどうなるか
マサルよりも遥かに多くの経験を積んできたレッドであっても、フェアリータイプの不思議な力は予測しきれないところがあった。もっとも、それこそがポケモンの魅力の一つであるとレッドは考えているのだが。
「……こうそくいどう、
レッドの選択は攻撃ではなく補助技。もっと正確に言うならば、エーフィの集中力を高め、戦意を回復させるための技。
(……「めいそう」を使っても集中し切れていない。火力と守りを高める技なのに、「メロメロ」が効きすぎている。さっきよりはマシになったけど、本来の実力には程遠い。でも、マサルだってニンフィアのポテンシャルを最大限に引き出した代償として
レッドの想定通り、今のマサルは至ってシンプルな戦法しか使えない。だが、「メロメロ」で相手ポケモンの集中力と戦闘力を半減させ、火力で押し切るというシンプルながらも強力であるが故に、レッドの対抗策もシンプルにならざるをえなかった。
(……さっきのバンギラス戦といい、マサルは相手を自分の得意な戦場に引きずり込む術に長けている。だからここで、
通常であれば、マサルはレッドの保険に気付けたかもしれない。だが、今だからこそ。マサルが今この状態であるからこそ、レッドの保険は最大の効果を発揮することになる。
「サイコキネシス!!」
「ムーンフォース!!」
エスパー系最上級技とフェアリー系最上級技のぶつかり合い。
本来であれば、エーフィの戦闘能力が本来のままであれば、押し切っていたのは間違いなくエーフィだっただろう。
だが。
いくらレッドのポケモンとはいえ、その実力が半減したままでは。
最大限のポテンシャルを発揮したマサルのニンフィアに軍配が上がる。
『き、決まった!! サイコキネシスごと月光がエーフィを飲み込み───』
『いや、まだです!! これは!?』
実況がニンフィアの勝利を宣言しようとした瞬間、キョウヘイが何かに気付き。
「みらいよち」
禍々しい紫紺の光がニンフィアを包み込んだ。
『あ、相打ち!! 相打ちです!! これで四度目の相打ち!! ニンフィアの「ムーンフォース」で勝負あったかに見えましたが「みらいよち」が炸裂!! ……一体いつ「みらいよち」を仕込んでいたのでしょうか?』
『おそらく「サイコキネシス」を使う直前。エーフィの状態とニンフィアの耐久を考えれば、「サイコキネシス」だけで落ちないと判断したのでしょう。……というか普通に複数の技を同時に使わせてるレッドさんは何なんだ』
これがレッドの「保険」だった。本来のマサルであれば「みらいよち」の前兆に気付き、回避できたかもしれないが、「メロメロ」による代償でそれを察知できず、その隙をレッドに突かれる形となってしまった。
そして、ニンフィアを倒したことでタロの幻影にも変化が起こる。
『ふふふ。やりますねレッドさん。しかーし! ここで私を倒したところですぐに第二、第三のタロが───』
最後まで言い切ることができず、タロの幻影は消えていった。と同時にマサルの目が正気に戻る。
「……なんかすごいね、色々」
「タロ、マサルのニンフィア倒れちゃったじゃない」
「ニンフィアもエーフィもその可愛さを最大限発揮していました。つまり、可愛いが最強を提唱した私の実質的勝利ということですね! 大満足です!」
「……無敵ねあんた」
いずれにせよ、これでレッドとマサルのポケモンは共に四体ずつ戦闘不能。残りは二体になり、選出における読み合いの効果が薄れゆく中で互いに選択を迫られていた。
(……マサルはあの子を出してくる。
(レッドさんは最後に
そして、互いにボールを構える。
二人の
「フリーザー!!」
「ジバコイル!!」
レッドの選択は氷と飛行の複合タイプフリーザー。対するマサルは電気と鋼の複合タイプジバコイル。タイプ相性だけならば、フリーザーにとってジバコイルはマサルのパーティーにおける最大の「天敵」である。
(……そんなことは百も承知。だけど僕のフリーザーは、鋼や炎だって凍てつかせるよ)
だがその瞬間、レッドは明確な
フィールドが、否、正確にはマサルの周囲だけが異様な雰囲気に包まれている。一瞬、先程のニンフィアによる後遺症かとレッドは考えるが、即座にその考えを一蹴。
今のマサルが纏う
そう。マサルの周囲に現れたのは───
『マサルお兄ちゃん! ポピーがいますの!』
会員No.00007「幼鋼の乙女」ポピー
『マサル隊長!! この俺がド・力を貸してやるぜ!!』
会員No.00006「鋼の大将」ピオニー
『マサルくん! 君ならきっと大丈夫!』
会員No.00005「鋼奇心の権化」マーレイン
『マサル! 共に行こうではないか!』
会員No.00004「鋼腕の聖騎士」ガンピ
『マサルくん! 私が背中を押してやろうぞ!』
会員No.00003「鋼鉄ボディの男」トウガン
『マサルくん! 私がついてるからね!』
会員No.00002「鋼血の戦姫」ミカン
そして。
『マサルくん』
「はがねポケモンだいすきクラブ」通称「アイアンズクラブ」の終身名誉会長にして。
『君は決して一人じゃない。たとえレッドくんが相手であろうとも、僕らの絆は砕けない。君の魂は砕けない』
世界最強の
『さあ、鋼タイプが一番強くて格好良いことを証明しよう!』
会員No.00001「始まりの鋼使い」
ツワブキ・ダイゴ
マサルを取り巻く七人の男女。その幻影。当然、当然ながらその姿は、極一部の人間と対峙しているレッドにしか見えていない。先程のタロと違い、その七人はレッドも見知った人物達であり、レッドは七人の共通点を即座に見抜くことができた。
できたのだが、理解ができなかった。
レッドはこれまで世界を旅し、数多のトレーナー達と出会い、数多のポケモン達と出会ってきた。数え切れない程のポケモンバトルを繰り広げてきた。
百戦錬磨という言葉では足りないくらいの研鑽を積んできた。
そんなレッドが。
おそらく、現時点で世界最強の座に最も近い男が。
初めて。
ポケモンバトルの最中に、
「……ふ、増えた」
「なんだ? レッドのヤツ、なんであんな動揺を……? バトルの最中にあいつを動揺させるなんざ、
「マサルがぁーっ!! マサルがなんかしたーーーっ! 絶対そうだ!! おのれマサル……やはり貴様は、貴様は私の天敵!! ん? 待てよ? 動揺したレッドを私がいっぱい慰めてあげればその後に……」
「マサルくーん! ジバコイルー! がんばってー! アカリちゃんも応援してるよー!」
「マサルお兄ちゃんがんばえー! ですのー! ポピーがいますのー!」
「ダッハッハッハ! 待ちわびたぜこの時をよぉー! 行けー隊長! フリーザーなんざぶっ飛ばせー! ……あん? よく見りゃ探検で見つけたフリーザーとは全くの別物じゃねえか!?」
「いやぁ、本当に素晴らしい大会だ。僕も参加したかったですねー」
「我も同じ気持ちだ。しかし、我がアイアンズクラブの同志二人が我らの無念を晴らしてくれようぞ」
「私も実に誇らしいよ。さてマサルくん、君の真の力……見せてもらおうか」
「……あかん。ポピーのお守りでついてきたんはええけど座る席間違えたわ。誰か助けてくれ」
「ねえチリ氏!! なんで僕をここに呼んだぁ!?」
「自分マサルと仲ええやん」
「おのれマサル氏ぃ!!!」
「マサルくん、君は何があろうとも決して砕きえぬ心を手にした。その在り方に敬意を表して君に『鋼心の挑戦者』という二つ名を与えた。さあ、今こそ力を解放する時。そう……鋼使いは覚醒と共鳴を繰り返す!!」
「なあハルカ。ダイゴさんがまーた意味わかんねえこと言ってるんだけど」
「うーん、いつものことじゃないかな?」
レッドは動揺していたが、即座に心を落ち着かせる。この世界で生きていれば、この世界を旅していれば、不思議なことに出会うのも、知らないものに出会うのも、理解のできないものに出会うのも日常茶飯事だ。だが、それはそれとしてバトルの最中に七人もの幻影を見たのはさすがのレッドにとっても初めての経験だった。
「……ポケモンは不思議な生き物。でも、一番不思議な生き物はマサルなんだね」
それに気付き、レッドはこう思う。もっともっと、マサルのことを知りたいと。抑えきれない好奇心、探求心、そして、闘争心。先程見せた一瞬の動揺は完全に消え去り、レッドは力強くマサルを見据え。
「そらをとぶ!!」
「10まんボルト!!」
完璧なタイミングで指示を出し、フリーザーはジバコイルの「10まんボルト」を回避してみせた。インテレオンとピカチュウの戦いでもあったように、一部の例外を除いて電気技は回避不可能の必中技。
だが、インテレオンがピカチュウの「10まんボルト」を回避してみせたように、レッドのポケモンもそれと同じことができる。
「……マサルにできて、僕にできない道理はない」
故に、世界最強。
「ま、当然だわな」
そしてそれはマサルにとっても想定内。もとより、何の策もなく攻撃を当てられるとは思っていない。相手はカントー伝説の三鳥が一角フリーザー。そんな伝説を使役する男もまた伝説。タイプ相性によるアドバンテージなどないものと考えるくらいで丁度いい。
「れいとうビーム」
「ラスターカノン!!」
上空を舞うフリーザーから放たれる凍てつく白銀の閃光。対して、フィールド中央に鎮座するジバコイルから放たれる鈍色の閃光。二つの光線が衝突するも、その拮抗はわずか数秒。
数秒後には
「ゆきげしき」
フリーザーは周囲の空気中にある水分を凍らせて雪を降らすことができるポケモンである。自身の冷気で作りだしたとされる長い尾羽、氷のように透き通った美しい翼。観客達は白い息を吐きながらも、気温が下がるのも忘れたように、雪空を舞う美しい伝説の姿に目を奪われていた。
「ロックオン」
だが、マサルの言葉と同時に氷像が砕け散った。
凍らされていたことなど全く意に介さないように、ジバコイルはフリーザーに真っ直ぐに狙いを定める。
「
ジバコイルの元に莫大な電気エネルギーが集まってくる。それに呼応するかのように、フィールドに降り注ぐ雪が激しさを増していた。天候と場の状況だけならば、フリーザーが圧倒的に有利である。
だがレッドは知っている。自身にとって有利な状況を悉く覆してきたのが、目の前に立ちはだかるマサルという男であると。
故に。
「ふぶき」
ジバコイルが技を発動させる前に、一切の容赦なく氷系最上級技を放った。
雪ではない。
雄大な
『さ、さすがにこれは決まったか!? 氷の伝説の名に恥じない凄まじい一撃!! カントーの生きた伝説は鋼鉄すらをも凍てつかせた!!』
『いやほんと……タイプ相性って何なんだって話ですよね』
『う~ん、マサルおに……マサルさんのポケモンがこのままおとなしくやられるとは思いませんが……』
メイの言う通り、レッドは巨大な氷山を前にしながら、その中心で凍り付いたジバコイルを目にしながらも、微塵も警戒を怠ることはなかった。
たとえ身動きが取れなくともジバコイルは、マサルのポケモンはこの状況を打開してくる。
レッドはそう確信していた。
「……ちょっとくらい油断してくれりゃあいいものを」
瞬間、氷山に巨大な亀裂が走る。
その亀裂は、瞬く間に全体へと広がっていき。
「でんじほう!!」
起死回生の一撃と共に、粉々に砕け散った。
『うえええええええええ!? おとなしくやられるとは思えないって言いましたけど想像の十倍くらいド派手にぶっ壊したああああああ!? あ、でもダイヤモンドダストがすっごく綺麗ですよ!』
『ジバコイルに鋼技ではなく電気技を使わせた理由……そうか!』
『
オーキドの言葉通り、ジバコイルが巨大な氷山を破壊するために利用した物は「電熱」そのものだった。電熱とは、文字通り電気を使って熱を発生させる現象であり、さらにジバコイルはその
この原理は何も特別なものではなく、我々が日常生活に利用する多くの家電製品に使われている。
また、理論上温度には上限がないと言われており、この原理を突き詰めていけば、2000℃を超える電熱を発生させることも可能である。
「こうそくいどう」
「ふぶき」を突破され、高速でフリーザーに迫る雷の球体を視界に捉えながらもレッドはいたって冷静だった。フリーザーに移動技を命じ、先程の「10まんボルト」よりも遥かに
だが。
「次は外さねえって言ったっすよ」
回避したはずの「でんじほう」が、常識では考えられない挙動でフリーザーを追尾しにかかる。それに気付いたフリーザーは引き離そうと不規則に飛び回るが、雷の球体は
(……「ロックオン」に「でんじほう」自体に誘導性能があることは知ってる。でもこれは、誘導なんて生易しいものじゃない。目標に命中しない限り追い続ける、他の電気技とは違うタイプの
「でんじほう」は他の電気技程の速度は出ないものの、「こうそくいどう」を使ったフリーザーの最高速度よりも速い。
「ふぶき」
天候を利用し、今度はジバコイル本体ではなく「でんじほう」を無効化するため雷の球体に巨大な氷塊が降り注ぐも、超高温の電熱により次々と氷塊が溶かされていく。
このまま逃げ続けても現状を打開できず、フリーザーよりも「でんじほう」の速度が上である以上、追いつかれるのも時間の問題。
だからこそ。
「フリーザー」
フリーザーはその
「ぜったいれいど」
「でんじほう」の迎撃にかかる。
だが。
だがそれこそが。
フリーザーに迎撃させること自体が。
「『でんじほう』が
マサルの最大の、目的。
「ひかりの───」
「でんじほう・飛燕」
フリーザーが動きを止め、氷系最強技で「でんじほう」を完全に無力化した瞬間、防御技を発動させる前に
致命的な一撃。
回避行動や防御行動を一切取れなかったフリーザーが、カントー伝説の三鳥、その一角が。
鋼と電撃を操る要塞の一撃を受け。
地に、落ちる。
この瞬間。
このバトルにおいて初めて、初めて、初めて。
マサルが。
世界最強の男に対し。
明確に。
数的優位に立った。
「は・が・ね!! は・が・ね!!」
「は・が・ね!! ですの!! は・が・ね!! ですの!!」
「は・が・ね!! は・が・ね!!」
「は・が・ね!! は・が・ね!!」
「は・が・ね!! は・が・ね!!」
「は・が・ね!! は・が・ね!!」
「でんじほう!! でんじほう!!」
「あかん。ナンジャモまで頭おかしなってしもた。マサルのどアホ……後でお仕置きしたる」
「うおおおおおおおおおおっっっ!! でんじほう!! でんじほう!! カントーの伝説がなんぼのもんじゃい!! でんじほうは当たらないから使えない? そんなのは!! 当てられないヤツの言い訳っすよ!! 一発で当てられないなら!! 当たるまで撃ち続ければいい!! ジバコイルーーーーーっっっ!! 僕だーーーーっっっ!! 結婚してくれーーーーーっっっ!! DG4!! DG4!!」
「そこは『マサル結婚してくれ』じゃねーんだな」
「マサルと結婚なんて吐き気がするっす」
「マサルさんがユウリさん以外と結婚するなんてこの私が許さない!! マサユウしか勝たん!!」
「テンション爆上げのカナリィ可愛い。好き」
「なんで誰もあの変態軌道でんじほうにツッコまないんだし」
「シロー様はあの氷山、壊せまして?」
「
『ま、まさかの二発目の「でんじほう」でカントー伝説の一角フリーザーを撃墜!! け、結果論になって申し訳ないのですが、あそこは「ぜったいれいど」以外の選択の方がよかったのではないでしょうか?』
『……難しいところですね。フリーザーは一発目の「でんじほう」から逃げながら「ふぶき」で迎撃をしていました。しかし、「でんじほう」の電熱で迎撃の効果は薄く、「ふぶき」以上の技で対抗するしかなかった』
『超高温の電熱をも上回る「ぜったいれいど」の威力は流石の一言じゃった。じゃが、「ぜったいれいど」はそもそも命中に難のある大技。故にフリーザーは移動をやめ、完全な体勢で迎撃するしかなかったんじゃよ』
『う~ん……』
『どうしたのメイ。何か気になることがあった?』
『上手く言えないんだけど……ほんっとーにあたしの直感なんだけど』
『遠慮しないで言ってごらんよ。メイの直感は
『あのね、さっきの「でんじほう」……一発目よりも
(……今のは完全に僕のミスだ。二発目の「でんじほう」は
メイの直感は正しかったが、
人でありながら人ならざる能力を有する者。
それが、ポケモントレーナー。
「……マサル、答え合わせをしよう。君は二発目の『でんじほう』のパラメータを……正確には
「さすがですね。一発で見抜きますか。レッドさんもご存知の通り『でんじほう』には
つまりマサルは、「でんじほう」の誘導分のパラメータを全て弾速に割り振っていたのだ。
「でんじほう」に限らず、技には一定のパラメータ配分が存在する。そのバランスをあえて崩すことで相手の意表を突くこともできるが、崩しすぎれば技そのものが失敗に終わり致命的な反撃を受けるという大きなリスクがある。
繊細なバランスの上に成り立っている技のパラメータ、そのギリギリを見極め、行使する。
言うは易く行うは難し。
「……フリーザーは迎撃のために静止していた。いや、
「こうでもしないと、あなたの裏をかけないと思った。弾速の上がった「でんじほう」を使う可能性を、あなたに微塵も考えさせないために」
「……だけど、もしも僕がその可能性に思い至って『ひかりのかべ』じゃなく『こうそくいどう』を命じて回避していたとしても」
「外れた『でんじほう』はフリーザーが作った
「……
そう。ここまでが、マサルの策だった。カントーの生きた伝説を確実に葬り去るための。
「……完敗だよ、マサル。今の攻防だけは、完全に僕が
レッドは、今まで見せたことがないような穏やかで晴れやかな笑みを浮かべて、マサルに告げる。
「君が僕と同じ世界を見てくれていることが───どうしようもなく嬉しいんだ」
『さあ! これは本当に目が離せない展開になってきました! 下馬評ではレッド選手が圧倒的に優勢でしたが……そんな優勝候補を追い詰めたのはガラルの英雄マサル!! ガラルランキングこそ第三位でありますが、今年度のガラルスタートーナメントで「レジェンド」マスタード、「バトルマスター」ダンデ、「チャンピオン」ユウリを下し、優勝を勝ち取っています!! まさに
「
隣でリーフがぎゃあぎゃあ騒いでいるのを気にも留めず、グリーンは感慨深げな表情でモニターに映るマサルの姿を見つめていた。
「俺はな、マサル」
グリーンの脳裏に、あの日の記憶が鮮明に、あの日の少年の姿が鮮明に蘇る。
「あの日から……お前が
真っ白なユニフォームに身を包み、真なる願いと消えることのない灼熱の闘志を宿した少年の姿が。
「俺の方が───格上だなんて思ったことは一度だってないんだぜ」
世界最強のポケモントレーナー、その最大最高のライバルである男が静かに、静かに呟いた。
はい。というわけでマサルVSレッドの完全決着は次回に持ち越しです。
うーむ、マサルが世界を旅して紡いだ絆で世界最強を追い詰めるという実に少年漫画らしい王道展開でしたね!
ちなみにタロちゃんや鋼使い達が勝手にスタンド化したことをマサルは微塵も知らないし映像にも残りませんしポケモンにバフがかかったりもしません。ただの賑やかしです。スタンド本人達にも自覚はないでしょう。また、レッドさんはタロちゃんだけがスタンド化するくらいなら「……そういうこともあるよね」で流しましたが、さすがに七人同時のスタンド化には動揺を隠し切れなかったようです。
レッドさんがバトルで初めて動揺した瞬間です。ヒビキに負けた時もこうはなりませんでした。レッドさんの初めてはマサルがもらったというわけです。さすがメインヒロイン。
ではでは、ここまでお読みいただきありがとうございました!
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激重感情持ちヒロインレッドさんカワイイヤッターと思う人は評価をお願いします!