【完結】すごいよ!! マサルくん   作:わへい

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No.0015 ぽけもん!! ゲットだぜ

「たのもーっ! マグノリア博士、ポケモン図鑑くーださいっ!」

「おばあ様なら家にいるわよ」

 

 まどろみの森から無事に生還し、俺達四人はそのままの足でブラッシータウンにあるマグノリア博士の研究所にやってくるも、中にいたのはソニアちゃんと相棒のワンパチだけだった。なんだ、博士は留守だったのか……

 

「そーにーあーちゃーんっ!」

 

 ユウリは研究所に入るなりソニアちゃんに「たいあたり」もとい思いっきり抱き着いて胸に顔を埋めている。羨ましいな、おいユウリそこ代われ。

 

「はぁ~~~っ♪ ソニアちゃん良い匂いして柔らかくて好きっ!」

「相変わらず犬みたいねユウリは。……ポケモン図鑑って言ってたけど、三人とも欲しいの?」

「そうだぞ! 俺達はこれから兄貴に推薦してもらってジムチャレンジに参加するんだ!」

「ジムチャレンジ……懐かしいな。ま、せいぜい頑張りなさい。あと、ポケモン図鑑のアプリを入れてあげるから三人ともスマホを出してくれる?」

 

 ソニアちゃんはユウリの頭を撫でながら俺達三人のスマホロトムに器用にポケモン図鑑アプリを入れてくれた。なんというか、図鑑がアプリになってるあたり、時代の変化を感じるよな。初代とかはアプリじゃなくて電子手帳みたいな図鑑だったのに。スマホと一体化してるのは便利だけど、あの初代の赤い図鑑……格好良かったよな。

 

「ってユウリ、あんたよく見たら汚れてるじゃない。どうしたの? また牧場を転げまわってたの?」

「違うよ、まどろみの森に入ってたの」

「まどろっ……!? あんた一体何やってんの!?」

「俺も一緒に入ったぞ。ウールーが柵を壊して森に入ったから追いかけたんだ」

「ウールーは無事に見つかったんだけど……マサルとダンデさんに怒られちゃった……」

「当たり前でしょう!? 私が昔酷い目に遭ったのを忘れたの!?」

「あの時のソニアちゃん、泣きべそかいてお漏らししてたもんな」

「漏らしてはないわよ! 過去を捏造すんな!」

 

 ソニアちゃんにローキックされてしまった。でも実際、七歳の子供が真っ暗な森の中で高レベルなマタドガスに至近距離まで近づかれたら漏らすわ。ふつーにこえーもん。

 

「ソニア、マグノリア博士はご自宅にいらっしゃるんだったな。来客でもあるのか?」

「ううん、そういうわけじゃないよ。今日は研究所での仕事はお休みなの。だから私がこっちを一人で任されてるわけ」

「おぉ~、ソニアちゃん出世したね~。これは博士になる日も近いんじゃない?」

「私なんてまだまだよ。勉強しなくちゃいけないことが山の様にあるんだから」

 

 七年前のジムチャレンジを終えて以来、ソニアちゃんはポケモントレーナーとしてではなく研究者として生きる道を選んでいた。セミファイナルトーナメントの準優勝者だから、次世代のジムリーダー候補の一人ではあったんだけど辞退したんだよな。実際、当時は何人かのジムリーダーに「弟子にならないか」って声をかけられたらしい。

 

 でもソニアちゃんはあのダンデくんとのバトルでトレーナーとしての全てを出し切った。何一つ後悔も未練もなくジムチャレンジを終えることができたんだ。だから今はマグノリア博士の助手としてがんばっている。

 

 ちなみにダンデくんやソニアちゃんの同期であるキバナさんやルリナさんはジムリーダーになり、今なおダンデくんに挑んでいた。

 

「ダンデくんどうする? 今から博士の家にお邪魔する?」

「そうだな、俺から博士に連絡しておくからその間に三人は……そうだ。図鑑を貰ってちょうどいいタイミングだから二番道路でポケモンを捕まえてくるといい。ボールは俺がプレゼントしよう」

 

 そう言ってダンデくんは俺達三人にモンスターボールを十個ずつプレゼントしてくれた。おお、さすがチャンピオン。気前が良いな。そういや、今思ったけど……モンスターボールってすげえ技術だよな。生物を生きたまま長期間保管できて、しかもパソコンに預けることができるという理解不能な原理。パソコンを通してポケモンを電子データ化させてるんじゃないかみたいな説もあるんだけど、その辺のことはよくわからん。

 

 なんでこんな小さいボールにポケモンが入るのか、しかもポケモン本来の重さを一切感じさせずに、だ。どうも、ポケモンは窮地に追い詰められると体を小さくして逃げる習性があるらしく、それを利用してるとかなんとか……ほんとぉ? だとしても小さいまま重さを感じずに保管できる技術ってとんでもないよな。質量保存の法則はどこいった?

 

 んで、そんなやべー技術の結晶がそこらの店で数百円で売られているというね。

 

 かがくのちからって すげー!

 

 さらにさらに、モンスターボールのこういった空間や質量に干渉する技術は他の分野にも応用されている。例えば運送業。トラックには積載制限ってものがあるんだけど、この技術を応用すれば小さなトラックでもたくさんの物が運べるようになる。だからこの世界の運送業は全然ブラックじゃないんだ! 今すぐこの技術を日本に持ち帰りたいね。トラックドライバーさん、いつもありがとうございます。

 

 話はそれたけど、身近な例でいうとリュックとか鞄とかの収納用品。ゲームだと無限にアイテムが入る鞄はお約束だけど……どうやらこの世界はモンスターボールの原理を応用してリュックや鞄に物がたくさん入るよう設計されているとのこと。さすがに、ドラえもんの四次元ポケットとまではいかないけどな。ただ、旅をする上でキャンプセットとかの大荷物を抱えて歩く必要がないのはありがたい。

 

 しかもしかも! モンスターボールはポケモンを生きたまま長期間保存することができる……つまりこの技術を応用すれば食材の鮮度も長く保つことができるということ! 旅をする上での食事が保存食ばかりにならないのはめちゃくちゃ嬉しい。

 

 ポケモン世界で十歳の子供が気軽に旅をできるのには、こんな理由があったんだ!

 

 ……改めて考えてみると、とんでもねー技術だなおい。

 

「モンスターボール……マサル! 私、ワンパチ捕まえたい!」

「ワンパチなら二番道路にいるな……よし、行くかユウリ」

「うんっ!」

「俺は飛行タイプが欲しいからココガラを狙うぞ! マサルはどうするんだ?」

「俺は炎タイプのポケモンが欲しいんだけど……この辺にはいないから一旦保留だな」

 

 ワイルドエリアに乞うご期待! ってことにしておこう。

 

 そして俺達はダンデくんからボールを貰って二番道路へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

「あー! いたっ! 見て見て! ワンパチいたよ!」

 

 二番道路に入るなり、野生のワンパチが呑気にお散歩をしているところを発見した。この辺のポケモンはやたら人馴れしてて警戒心が薄いんだよな。かといって、不用意に近づいたりすると怪我はするから注意をしないといけない。

 

「ココガラは……あっちの草むらにいるぞ! よしユウリ! どっちが早く捕まえられるか競争だ!」

「負けないよ!」

 

 そしてホップは俺達から離れた草むらの中へと飛び込んで行った。猪突猛進過ぎるだろ。ついさっきまどろみの森で意識を失ってたのにタフなヤツだな。

 

 さてと……俺はユウリが無事にワンパチを捕まえられるかどうか見守っておきましょうかね。

 

「ヒバニー、ひのこ!」

「ふぁーっ!」

 

 早速ユウリはヒバニーをワンパチと戦わせている。捕まえる際にポケモンを弱らせるのは定石だな。元気いっぱいで動き回ってるとそもそもボールを当てられねえし。

 

 ヒバニーのひのこでワンパチがひるんだところに、ユウリは間髪入れずにたいあたりを命じる。そのままヒバニーのたいあたりをまともに受けたワンパチは目を回して倒れてしまった。よし、第一段階は突破だな。

 

「これで、ダンデさんから貰ったモンスターボールを……えいっ!」

 

 ユウリは気合を入れてワンパチに向かって思い切りモンスターボールを投げる。

 

 さてみなさん、ゲームならばボールを投げてはいおしまい……となるところですが、現実はそれほど甘くありません。野球やドッジボールなどの球技を少しでも経験してきた人ならおわかりでしょう。

 

 ()()()()()()()()()()ことの難しさを。

 

「あ、当たらない……えいっ! えいっ!」

 

 ユウリの投げたボールはワンパチに当たらず、道路をころころと虚しく転がっていく。それでもユウリはめげずに続けざまに三個のボールを投げた……が! 全部はずれ! しょうがねえよ。ユウリは俺達と一緒に野山や牧場を駆け回ってたけど、こういう玉遊びはあんまりやらなかったからな。

 

「マサルぅ~……」

「よしよし、泣くな泣くな」

 

 俺に泣きついてきたユウリの頭を優しく撫でてやる。俺はこれでも元甲子園球児でしかもピッチャーだったからな。このくらいの距離で狙ったところに当てるのはわけないけど……俺が捕まえても意味がない。こういうのはユウリが自分の手で捕まえないとな。

 

 というわけで、ユウリに投げ方をレクチャーします。

 

「ユウリ、今から俺の真似をして俺の言う通りに投げろ。そうすればちゃんと捕まえられるからな」

「……うん」

「うしっ。じゃあまず、左足をワンパチに向けて大きくかつ真っ直ぐ踏み出すんだ」

「こう?」

「そうそう。で、次に左手はこんな風に壁を作るイメージで……」

「壁を、作る……」

「お、上手い上手い。で、投げる右腕は……ユウリは肩回りが柔らかいからなるべく上から真っ直ぐワンパチに向けて振り抜くイメージだな。……こうやっ、てっ!」

 

 そして俺は手本としてユウリに腕を振り抜いて見せる。教えているのは野球のピッチングフォーム……今ではほとんど見られない化石と化した古風の純正オーバースローだ。肩が柔らかくないといけないけど、振り下ろす腕の()()が少ないから一般的なスリークォーターと比較してコントロールをつけやすい投法なんだ。

 

 かつて阪神タイガースの守護神だった藤川○児のフォーム。ユウリには火の玉ストレートを伝授してやろう。

 

「んじゃ、最後にこの動きを止めずにやると……こうだっ!」

「お、おぉ~……な、なんかそれっぽいフォーム!」

「じゃあ、次はユウリがやってみ?」

「うんっ! がんばるっ! えーっと、左足を踏み出して左手で壁を作って……腕は高く上げてワンパチに向かって───真っ直ぐ振り抜く!」

 

 シュッという心地よい風切り音と共にモンスターボールが真っ直ぐに飛んでいき、見事ワンパチへと命中した瞬間、ワンパチはボールに吸い込まれた。地面に転がったボールは二、三度ブルブルと振動し……そして───

 

 カチリ、という音と共に制止する。

 

「止ま、った……?」

 

 恐る恐る、ユウリが俺の方を見る。

 

「おめでとうユウリ───ワンパチ、ゲットだぜ」

 

 笑顔でそう言うとユウリが思い切り抱き着いてきた。ほんとに人に抱き着くのが好きなヤツだなお前は。

 

「やった……やったっ……! やったよマサルっ! 私っ、私……初めて自分の手でポケモン捕まえたっ!」

「そうだな。初めてにしては上出来だ」

 

 ユウリの頭を撫でてやると気持ち良さそうに目を細めて笑っていた。きっと俺に娘ができたらこんな感じなんだろうなと、俺はユウリを見ながら漠然とそんなことを考えてしまう。娘、ねえ……俺みたいな変人と結婚してくれるような奇特な人間がいるとも思えないけどな。

 

「えへへ~、ありがとうマサル! 私、今日のこと()()()()()()よっ!」

 

 そうだよな。自分の手で初めてポケモンを()()()()んだもんな。ユウリにとって、これはポケモントレーナーとしてものすごく大きな一歩に違いない。

 

「お、ユウリも無事にワンパチを捕まえられたんだな。俺もココガラを捕まえてきたぞ」

 

 離れた草むらに突撃していたホップが戻ってきて、誇らしげに笑いながら俺達にモンスターボールを見せてくる。飛行タイプ……パーティに一匹いれば移動手段としては便利なんだけど、飛行単体だと正直扱いにくいところがある。捕まえるなら複合タイプの飛行ポケモンだな。

 

「それにしても、ユウリのボールの投げ方……すごく格好良かったぞ!」

「でしょでしょー? マサルがね、教えてくれたんだよ!」

「そうなのか? じゃあマサルもユウリと同じ投げ方をするのか?」

「いや、俺の場合はちょっと違うな」

 

 せっかくだから見せてやるか。俺が前世で……最も美しいと思ったプロ野球選手の投球フォームを。

 

 そう考えて俺は少しだけ二人から距離を取り、左足を上げて左腕で壁を作る。ここまではユウリと同じだけど……違うのは、右腕を投げる直前まで体で隠すようにだらりと下げ、上げた左足をもう一段階さらに上げる。そして、左足を大きく踏み込み、筋肉の連動を意識して下げていた右腕を思い切り振り抜く。

 

 そう、このフォームは……かつて東北楽天ゴールデンイーグルスのエースピッチャーだった岩隈〇志の二段モーション。俺が前世で一番憧れていた選手の投球フォームだ。

 

 まさか二度目の人生では野球ボールじゃなくてモンスターボールを投げることになるなんて思いもしなかったけどな。

 

「な、なんだその洗練されたビシバシなフォーム……すごく格好良いぞ! よーし、俺も二人に負けないくらい格好良い投げ方を研究するぞ!」

「ずるいマサル! 絶対こっそり練習してたでしょ!」

 

 感激したように褒めてくれるホップと違い、ユウリは何やらほっぺたを膨らませてご不満な様子。こっそり練習……か。前世も含めたらボールを投げることに相当な年月を費やしてきたからな。ふっ、にわかは相手にならんよ。

 

 というかそもそも、俺が教えて一発でボールを当てたユウリのセンスも大概だからな。

 

 そういや、よく考えたらポケモンの主人公はどんな状況でもモンスターボールを百発百中……君達みんな野球しない?

 

「三人とも、ちゃんとポケモンは捕まえられたか?」

 

 俺達三人がボールの投げ方についてあーでもないこーでもないと白熱した話し合いをしていると、マグノリア博士にアポを取っていたダンデくんがやってくる。

 

「俺とユウリは無事に捕まえられたぞ! マサルは欲しいタイプのポケモンがいないみたいだからここでは捕まえないらしい」

「なるほど。マサルはすでに自分のパーティをどんなタイプのポケモンで構成するか考えているんだな。先を見据えて慎重になるのも大事だが、時には大胆に行くことも必要だぜ」

「わかってる。欲しいポケモンが出てきたら大胆なんて言葉じゃ済まないくらい本気でやるよ」

「ああ、その意気だ」

 

 もしもワイルドエリアでミュウツーが出てきたら、俺自身が戦う覚悟で捕まえてやるからな。

 

「よし、じゃあみんなでマグノリア博士の家に行こう。ホップ、先導してくれ。俺が前を歩くと迷うかもしれないからな!」

「おう、任せとけ!」

 

 そして俺達四人はマグノリア博士の家に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

「博士、わざわざお休みのところすみません。お茶まで淹れていただいて……」

「いいのよ。今日は天気が良かったから外でお茶をしようと思っていたのですから」

「博士ー! このマドレーヌすっごく美味しいですっ!」

「ふふっ、ありがとうユウリ。作った甲斐があったわ。たくさん食べてくださいね」

「はーい!」

 

 マグノリア博士の家に着くと、博士は外のテラスで俺達を迎えるためにお茶の用意をしてくれていた。博士にとってみたら俺達も孫みたいなものだから、博士はいつも俺達にすごく優しくしてくれる。

 

 こんな優しい博士のためにもポケモン図鑑を完成させてあげたいよな……やっぱ将来は旅に出るしかねえな!

 

「それで、()()()()()()()()ジムチャレンジに推薦するというお話でしたね」

「ええ。トレーナーとしてはまだまだ未熟ですが、二人とも光るものを見せてくれました。そこで、博士のご意見を伺いたく思いまして」

「いいんじゃないですか? ダンデ、あなたの夢は『ガラルのトレーナーみんなで強くなること』なのでしょう?」

「はい、もちろん」

 

 どうやら二人は無事に推薦を貰えそうな感じだな。ダンデくんの中ではもう答えは決まってたっぽいけど、わざわざここに来たのはマグノリア博士に最後の一押しをしてもらうためだったのか。

 

「ん? 待てよ兄貴。俺とユウリだけ? マサルもだろ?」

 

 と、ユウリがマドレーヌを嬉しそうに頬張っている横でホップが気付いてしまった。

 

「俺はいいんだよ。もう別の人に推薦されてるから」

「ふーん、そうだったのか……って!! 初耳だぞ!!」

「私も聞いてないよ!!」

「だって言ってなかったからな」

 

 俺がサラッと打ち明けると、二人は思った通り俺に詰め寄ってくる。こういうのは変に深刻な雰囲気にしないで、学食で「お前の席取っておいたぞ」「さんきゅー」くらいの軽い感じで流すのが一番良いと思ったんだけどしゃーない。俺が二人の立場でもそうする。

 

「マサル! 誰に推薦されたの!? あ、マサルのおじいちゃんでしょ!? 確か昔、ジムリーダーをやってたんだよね!?」

「惜しい。正確には、じいちゃんがジムリーダーをやってたジムの───現リーダーだ」

「マサルのおじいさんは確かラテラルタウンの元ジムリーダーで……今のリーダーは……サイトウさんか!? なんでマサルがサイトウさんに推薦されるんだ!?」

「そ、そうだよ! いつの間にあんな可愛い人と知り合いになったの!? どうやって騙したの!?」

「人を詐欺師みたいに言うな。七年前にウチの牧場に遊びに来た時に仲良くなったんだよ」

 

 追求してきた二人に対して俺は一通りの経緯を説明する。シュートシティで再会して連絡先を交換して時々電話したり近況報告をし合っていたこともだ。

 

「さすがだぞ! もうジムリーダーと仲良くなっていたんだな!」

「小さい頃に交わした約束を果たすためにジムチャレンジに参加する……完全に少女漫画のヒロインじゃん!」

 

 確かに、冷静に考えてみたら割と王道な展開だよな。でも少女漫画っていうよりバトル系の少年漫画のライバルっぽい感じじゃね?

 

「でも、それならそうと早く言ってほしかったぞ。もしも俺達が推薦を貰えなかったらどうするつもりだったんだ?」

「俺だけ参加できるってことで二人にマウントを取りまくってたな」

「性格悪いぞお前」

 

 まあ実際にはダンデくんがダメだったらマグノリア博士に頼んで推薦状を書いてもらうつもりだったんだけどな。俺の土下座外交が炸裂しなくてよかった。

 

「まあとにかく、三人でジムチャレンジに参加できるから一件落着ってことで。はっはっは」

「『はっはっは』じゃないよっ! マサル、そーゆー大事なことはね! もっと早く言わなきゃダメなの! 特に私には隠し事とか禁止だからっ!」

「じゃあユウリも俺に隠し事禁止な?」

「うえっ!? ほ、ほら……女は秘密を着飾って美しくなるから……」

「……美しく?」

「ふしゃーっ!!」

 

 俺が首をかしげるとユウリは猫みたいな雄叫びを上げながら俺に襲い掛かってこようとするも、腕を伸ばしてユウリの頭を押さえてやればユウリの攻撃は俺には届かない。残念でした。

 

「よーし、じゃあこれから俺達三人は共にチャンピオンを目指すライバルだな! 絶対に二人には負けないぞ! ガラルの歴史に名を刻んで伝説になるのは俺だ!」

「私も負けないよ~! チャンピオンになってガラル中の美味しいカレーを集めるんだ……!」

 

 ホップはともかくユウリはなんつー野望を抱えてんだよ。

 

 どうツッコミを入れようか考えて不意に空を見上げると、流れ星だろうか……二筋の明るい光がこちらに、正確には隣の湖に向かって落ちてきているのに気が付いた。

 

 なんだあれ、隕石か? 

 

 ぼーっと見ていると、隕石らしき小さな光が大きな水音と共に湖へと落下する。わぁお……かなり小さそうな粒だったのに結構な衝撃で。

 

「え!? 何何何!? 湖がいきなり爆発しちゃった!?」

「いや、何か降ってきてたな」

「だからそーゆーのは早く言ってよ! びっくりしちゃったじゃん!」

 

 水音にびっくりして俺に抱き着いていたユウリがぽすぽす叩いてくる。悪い悪い。「りゅうせいぐん」よりは弱そうだから大丈夫だなって思ってたんだよ。

 

「メッソン」

「きゅわわんっ!」

 

 俺はユウリを適当に宥めつつ、メッソンをボールから出す。

 

「湖に落ちてきた物を拾ってきてくれるか?」

「きゅわーっ!」

 

 俺が指示を出すとメッソンはビシッと敬礼をして湖に飛び込んだ。さてさて、何が落っこちてきたのやら。まさかポケモンじゃないだろうな? 新種のいんせきポケモンとかだったらどうしよう。……博士に丸投げだな。

 

 そんなことを考えていると、数分でメッソンが戻って来た。メッソンの手には……綺麗な石が()()握られている。

 

「よしよし、よくやったメッソン。ほれ、飴ちゃんをあげよう」

「きゅわわ~♪」

 

 メッソンを撫でてご褒美に蜂蜜キャンディーをあげることにする。んで、この綺麗な石は一体何なんだ? 教えてくれダイゴさん。

 

「それ『ねがいぼし』だろ! しかも二つも! 落ちてきたところなんて初めて見たぞ!」

「すごいじゃないか! ねがいぼしは()()()()()()()()()()()()()落ちてくるんだろう? それに、俺達が持っているダイマックスバンドにも使われているんだ」

「ほーん……だったらこれはホップとユウリのだな。ほいよ」

 

 そう言って俺がぽいぽいっとホップとユウリに渡すと何やら二人は戸惑っている様子だった。

 

「ほいよ、って……マサルはどうするんだよ?」

「ああ、俺はもうダイマックスバンドを持ってるから大丈夫だ。推薦状と一緒に送られてきたからな」

「そう、なのか……?」

「実際、俺がねがいぼしを持ってても使い道がないんだよ。それならホップとユウリのダイマックスバンドに組み込んでもらった方がいい」

 

 そう言うとホップは納得した感じだったけど、ユウリが何やら真剣な表情で俺をじーっと見つめてくる。

 

 なんぞ? なんか言いたいことであるんか?

 

「ねえ、マサル」

「あん?」

 

 さーて、何を言い出すつもりやら……

 

「ここで『私がマサルのねがいぼしになってあげるね』って言ったら少女漫画っぽいよね!」

「お前をダイマックスバンドにしてやろうか?」

 

 その後、帰ってきたソニアちゃんがカレーを振舞ってくれるとのことだったので、俺もユウリの好きなヴルスト乗せ甘口カレーを作るためにソニアちゃんと並んでキッチンに立つことになり、ダンデくんとの関係に進展があったのか聞いてみるも全く進展はないらしく、カレーを作りながらソニアちゃんの恋愛相談を受けることになるのだった。




 予定通りワイルドエリアまでいけませんでしたね。

 途中のモンスターボールに関することや空間拡張の技術については完全に独自解釈です。でも、モンスターボールなんて代物が数百円で出回っている以上、あの世界は空間を拡張する技術や質量を圧縮したり元に戻したりする技術がものすごく発展しているのではと考えました。

 ツッコミどころしかないとは思いますが、本作はこういう解釈でお話を進めていきますのでご了承ください。

 まあ、要は「かがくのちからってすげー!」ってことですね。

 そして、ユウリの手持ちが二匹、ホップの手持ちは三匹になりましたが、マサルはまだメッソンのみです。テンポよくいけば次回でマサルが二匹目を仲間にするところまでいけるかな。多分いけないけど。

 ではでは、ここまでお読みいただきありがとうございました!

 次回もよろしくお願いいたします!

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