【完結】すごいよ!! マサルくん   作:わへい

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【前回のあらすじ】
・顔面600族石マニアハガネスキー大誤算



No.0024 わからせ!! ビートくん

 ガラル鉱山の出口付近にもじゃもじゃ頭のわからせ適性の高そうな少年がいた。多分、ジムチャレンジの参加者だよな。開会式でチラッと見た気がする。

 

「……あなた、チャンピオンに推薦されたジムチャレンジャーでしたよね?」

「うん、そうだよ。君は?」

「僕はローズ委員長に推薦されたトレーナーです。チャンピオンよりもリーグ委員長の方が偉い……つまり委員長に選ばれた僕の方がすごいのですよ!」

 

 うーん、この人を見下したような目、発言、捻くれた性格。おいおいおい、こんなこてこてのテンプレライバルキャラが居ていいのか? 今時珍しいし、ちょっと拝んどこう。ありがたやありがたや……

 

「マサル、なんで手を合わせてるの?」

「漫画やゲームに出てくるような典型的な嫌味キャラに感動したんだ」

「た、確かにっ! 初対面でいきなりこんなことを言うなんて逸材に違いないね! ありがたやありがたや~」

「喧嘩売ってるんですか!?」

 

 ユウリと二人で少年に手を合わせていると怒られてしまった。しまった、煽るつもりはなかったのについいらんことを口走っちゃったな。まあでも、喧嘩売ってきたのは向こうだし……こんくらいいいだろ。

 

「余程痛い目に遭いたいと見えます……いいでしょう。僕の強さを教えてあげますよ!」

「あ、もじゃもじゃの少年。質問いい?」

「誰がもじゃもじゃの少年ですか!! ビートです!! 僕の名前はビート!!」

「ビート少年、質問いい?」

「……どうぞ」

 

 お? 意外とあっさり質問するのを許してくれたな。問答無用でポケモンをけしかけてこないあたり、案外常識があるのかもしれない。

 

「さっき『ねがいぼしを持つトレーナーは僕が痛めつける』って言ってたけど……向こうにいるイケメン炭鉱夫もねがいぼし持ってたよ」

「石を眺めながら高笑いしている不審者に声をかけるわけないでしょ!?」

 

 正論ですね。

 

 あんなんでも一応ホウエンの元チャンピオンなんだけどなぁ。

 

「はい、ビートくん。私も言いたいことがあります!」

「なんなんですかあなた達さっきから!!」

 

 ユウリがビシッと手を上げてビート少年になんか言いたいことがあるらしい。おいおい、頼むよユウリ。変なこと言ってこれ以上彼をキレさせるんじゃねえぞ?

 

「鉱山の中でバトルをするのは危ないから外に出るべきだと思います!」

「……ああ、確かに言われてみればそうですね」

 

 至極真っ当な指摘だった。やるやないかユウリ。そう思ってユウリの頭を撫でてやると腕を組んで「むふー」と得意げな顔になった。なんかその顔がムカついたからほっぺた引っ張ってやろう。

 

「何を遊んでいるんですか!! 早く外に行きますよ!!」

「「はーい」」

 

 というわけで、もじゃもじゃわからせ少年ビートくんの後に付いて行くことにします。

 

 

 

 

 

 

「じゃあユウリ、がんばれ」

「え? 私に丸投げなの?」

「ビート少年はチャンピオンの推薦者をご所望なんだからお前がバトルすべきだろ」

「マサルだってサイトウさんの推薦でしょ? ジムリーダーより委員長の方が偉いからマサルも対象。ハイ論破!」

「……じゃんけんで決めるかぁ」

「そうだね~。あ、でも負けた方じゃなくて勝った方にしようね。負けた方だと罰ゲームみたいになってせっかく誘ってくれたビートくんが可哀想だから」

「全部聞こえてますよ!!」

 

 どっちがバトルするか話し合っていたら痺れを切らしたらしいビートくんにツッコまれてしまった。ちなみにじゃんけんは俺が勝った。しょーがねえ、一丁揉んでやるか。

 

「へっへっへ。ユウリ様のお手を煩わせるまでもありやせんぜ。おい少年、ユウリ様とバトルしたければ俺に勝ってからにしな!」

「なんですかその突然の三下ムーブ!?」

「うむ。マサルよ、よきにはからえ!」

「あなたもノリノリですね!! くっ……あんなのがチャンピオンとサイトウさんの推薦? 人選を間違えたんじゃないですか?」

 

 どうやらビートくんもツッコミ属性の模様。口は悪いみたいだけどマリィと仲良くなれそうだな。ホップとは色々衝突し合った末に軽口を叩き合う友情が芽生えそう。

 

 ふー……よし。

 

 さーて、ふざけるのはここまでにして真剣になるか。

 

 ローズ委員長が推薦している以上、この少年も相当なセンスの持ち主に違いない。孤児院出身だけど委員長がスクールに通わせていたって話だし……幼い頃から色々と厳しい現実も目の当たりにしてきたんだろう。

 

 口が悪い上に性格も捻くれてそうだから友達はいないっぽいけど。

 

 で、そういう性格のトレーナーが使うタイプは……毒、エスパー、悪のどれかだな。真っ向からねじ伏せるって言うよりもじわじわといやらしい戦法を使ってきそうだ。

 

 となると、こっちが出すポケモンは……ヒトモシかコイル。エスパーを出してくれればヒトモシで一気に押し切れるけど悪タイプだったら悲惨なことになる。かえんほうしゃでゴリ押しできるかもだけど、どう考えてもデメリットの方がでかいな。

 

(マサルくん……マサルくん……コイルにしなさい)

 

 脳内でダイゴさんが俺に囁く。やめろやめろ!! 人の思考に乱入してくるとかサイキッカーみたいなことしてんじゃねえ!!

 

 ……ダイゴさんに流されたわけじゃないけど、ここはやっぱりコイルを先発にすべきだな。毒、エスパー、悪以外のタイプが出てきても鋼ならある程度対応できる。地面を出して来たら? その時はダメージ覚悟で潔くジメレオンに交代するよ。

 

 うっし! やるか!

 

「コイル!」

「ユニラン」

 

 俺の華麗なる岩隈◯志の投球フォームとは違い、ビートくんのボールの投げ方からはふてぶてしさが溢れかえっていた。ここまで芸術的なまでのイキリ具合……なんかもう逆に尊敬するわ。

 

 一体目はユニラン……ふーん? エスパータイプか。図らずも特攻対決になったな。正直、先発がコイルだから先制されることを想定していたけど───

 

「コイル、10万ボルト」

 

 まさかコイルより遅いポケモンを出してくるとはな。言っておくがビート少年、どれだけ特攻が高くとも……技を出せなかったら意味がないんだよ?

 

「……は?」

 

 一撃。

 

 本当に10万ボルトもの電圧が出ているのかは知らんけど、とにかく滅茶苦茶な威力を誇る電撃がユニランに襲い掛かり、あっさりと戦闘不能となる。ちなみに一般家庭の電圧は100ボルトらしい。その千倍の威力だから……うん、想像できねえな。

 

「じゅ、10万ボルト!? コイルが……しかも、ターフタウンにすらたどり着いていない時点でこんな強力な技を……?」

「ワイルドエリアの賜物だ」

「……なるほど。ワイルドエリアでリーグスタッフと物々交換しまくっている『わらしべでんT野郎』とはあなたのことだったんですね」

 

 また変な噂が立ってる……でも事実なんだよなぁ。かえんほうしゃとか10万ボルトとかシャドーボールとかの「わざレコード」って普通に買うと高いからワイルドエリアや巣穴で手に入れたアイテムや素材なんかとトレードしてたんだよ。

 

 決して!! 決してワイルドエリアで遊んでいたわけではない!! 

 

 ……ダイゴさんの言い訳みたいだな。ちくしょう、ダイゴさんが俺に与えた影響が大きすぎる。

 

「ふっ、まあいいでしょう。あなたのポケモンにも見せ場くらい作ってあげないといけませんからね」

 

 そんな台詞が出てくるあたり、まじで本物だなビートくん。負けた後に「まあ、僕は本気じゃありませんでしたから」とか言いそう。

 

 ただ、俺は一切容赦しない。おそらくエスパータイプの使い手だろうから、悪いけどこのまま一気に押し切らせてもらう。

 

「ゴチム」

「ヒトモシ」

 

 やっぱりエスパーか。でも、今度のゴチムはヒトモシよりも素早いポケモンだから悠長におにびからのたたりめコンボをやってる暇はなさそうだ。ゴーストってエスパーにはこうかばつぐんだけど、エスパーはゴーストに等倍だからな。

 

「サイケこうせん」

 

 技の発動はやっぱりゴチムの方が早い。キュートなおめめと唇からは想像もできない禍々しい毒紫色の閃光がヒトモシに襲い掛かる。回避については諦めよう。動きが素早いポケモンならともかく、ヒトモシはあれで意外と耐久力があるからサイケこうせんの一発くらいなら耐えられる。

 

「ヒトモシ、シャドーボール」

 

 今度はこっちの番だ。

 

 ヒトモシの可愛いおめめがキリッと鋭くなり、先ほどのシャドーボールよりも毒々しい漆黒の球体が放たれた。ゴチムも決して素早いポケモンではないが、耐久力は進化前ポケモンにしては優秀なため耐えられる可能性もある。

 

 が、さすがにタイプ一致こうかばつぐんシャドーボールは耐えられなかったようで、ゴチムは目を回しながらその場に倒れた。可愛い対決はヒトモシちゃん(♂)の勝利!

 

「おやおや……僕としたことが。まあ、さっさと終わらせましょうか」

 

 二体目が倒れてもビート少年は余裕の表情を崩さない。俺のポケモンがバトルを終わらせちゃうけどいいのか? それとも、余程自信のあるエースポケモンを出すつもりで?

 

 それならこっちも相棒兼エースを出すまでよ。

 

「ミブリム」

「上出来だヒトモシ。決めてこいジメレオン」

 

 ヒトモシでも押し切れそうだったけど、ダメージを受けているしここは万全を期して頼れる相棒ジメレオンに任せよう。相手はミブリム……完全にエスパーパーティだな。大丈夫? ネズさんのジム、攻略できる?

 

「ミブリム、サイケ───」

「ジメレオン、ふいうち」

 

 ミブリムが技を出すよりも早く、ジメレオンのふいうちが炸裂する。ホップのココガラと戦った時にふいうちからのみずのはどうのコンボを使ったけど、今回は実験も兼ねて違う技を使うことにする。

 

「アクアジェット」

 

 ジメレオンが大量の水を全身に纏い、ふいうちで体勢を崩したミブリムにそのままたいあたりした。なるほど、ジメレオンは特殊アタッカーだけど、物理もいけなくもない……か。ただ、みずのはどうよりも技の発動が早いから牽制や()()に使えるな。

 

 今回は崩しどころかこれで終わったけど。

 

「さて、次はどうするビート少年」

「へえ……驚いた。少しはやるようですね。ですが、あなたの戦い方はきちんと記憶しましたから本戦では僕が勝ちますよ」

「本戦……の前にスパイクタウンのジム、がんばれよ」

「ミブリムは最終進化でフェアリーの複合タイプになるんです。悪対策も万全ですよ」

 

 ほーん、なるほどな。まあ、ローズ委員長が推薦するくらいだしその辺はしっかり考えてるよな。

 

「ではこれで失礼しますよ。ここで集められるねがいぼしは全て手に入れましたからね」

「あっちのイケメンがまだ持ってるぞ」

「不審者が持っている物以外はすべて手に入れましたからね!」

 

 ビート少年はそう言って足早に俺達の前から去っていった。ふっ、おもしれー男。完璧すぎる嫌味なライバルキャラだったな。よし、ビート少年をガラルの重要文化財にしよう。

 

 でもこれ絶対、定期的に絡んでくるヤツだよなぁ~。まあいいか、次はユウリに押し付ければ。

 

 そんなことを考えつつユウリを見ると……

 

「うーん……三下のマサルに負けたビートくん……あ! つまり四下だね! 四下!」

 

 嬉しそうな表情で「私、上手いこと言ったでしょ? 褒めて褒めて!」と柴犬のような表情をしているユウリの頭を雑に撫でてやると気持ち良さそうな笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

「のどかなところだね~。ハロンタウンを思い出す雰囲気だなぁ~」

 

 ガラル鉱山を出てしばらく歩くと、背の高い黄金色の牧草地帯が広がる原っぱに出た。俺やユウリにとっては懐かしい景色……といっても、ハロンタウンを出てからまだ一週間くらいだけどな。このまま道なりに真っ直ぐ進んで行けばターフタウンか。

 

 やっと一つ目のジムだよ。自分で選んだとはいえここまでくるのにえらい時間がかかったな。なんもかんもワイルドエリアが悪い。

 

「ま、マサルマサル!! あれ見てあれ!!」

「あん?」

 

 ユウリが俺の手をぐいぐい引っ張って牧草が生い茂る原っぱを指差す。別に見慣れた景色……じゃない!! ま、まさか……あそこにいるポケモンは……!! あの、「ポケモンあざとさ選手権」十年連続第一位に輝く茶色くてモコモコしてて首周りの白いふわふわした柔らかい毛が特徴のポケモン……!!

 

「イーブイだーっ!!」

 

 い、イーブイちゃんらぁ~♡

 

 初代では必ず旅パに入れてたイーブイちゃん♡ 毎回シャワーズに進化させてたイーブイちゃん♡ ワタルのカイリューをれいとうビームで一発沈めてたシャワーズちゃん♡ 

 

 金銀だと石の入手がめちゃくちゃ難しくて泣く泣く旅パから外してたイーブイちゃん……ルビサファ、ダイパはそもそも野生で手に入らないイーブイちゃん……

 

 そんな!! 思い出深いイーブイちゃんが!!

 

 最初のジムに挑む前に手に入っていいのか!!

 

 いいんです!!

 

「マサル……」

「ユウリ……」

 

 俺とユウリは互いにボールを取り出した。ボールといっても普通のモンスターボールじゃない。俺達が取り出したのは……ボールの上半分がピンク色でハートが描かれた───ラブラブボール。

 

 なんでそんなもんを持っているかというと、ワイルドエリアでリーグスタッフと物々交換したからだ。最初は交換する気なんてなかったんだけど、なぜかユウリが駄々をこねまくって交換する羽目になったんだよな。

 

 確かに可愛いデザインで、ボール使用者と異なる性別のポケモンを捕まえやすくなるという原理が全く意味わからん性能を持っている。ただ、これを交換した時にユウリが「ラブラブ……ラブラブ……ウェヒヒ」とか言いながら怪しく笑ってたからな。まさかとは思うけど、捕まえたポケモンとラブラブになれるわけじゃないからな? ポケモンを変な目で見るんじゃねーぞ?

 

 入手の経緯はこんな感じだ。まあ、そんなことは今は重要じゃない。

 

 俺達にとって一番大事なのは……

 

「私はあっちのイーブイ(♂)を捕まえる!!」

「俺はこっちのイーブイ(♀)を捕まえる!!」

 

 全身全霊で!! イーブイを捕まえることだっっ!!!

 

 

 

 

 

 

「諸君!! 本日新たにマサル組に加わった仲間を紹介しよう! イーブイくん(♂)、イーブイちゃん(♀)、ダンバルくんちゃんだ!! みんな拍手!!」

 

 ターフタウンまであと少しというところで俺達は恒例の新人歓迎会を実施していた。開けた牧草地に良い感じの場所があったので、昼食も兼ねて新入り達とカレーを食べることにする。

 

「じゃあまずはモーモーミルク(兄弟の盃)を……あら~♪ いい飲みっぷりですね~♪」

 

 イーブイコンビとダンバルにモーモーミルクを与えると三体とも嬉しそうに飲み始めた。はぁ~~~~~~~っ!! か、可愛すぎる!! イーブイちゃんがちょっと可愛すぎてガラルがヤバい!! 俺のハートがまじブラックナイト!!

 

「イーブイ、こっちおいで~♡」

「いぶーいっ♪」

 

 ユウリはうっとりした表情でイーブイを抱き締めて全力でモフモフしている。お、俺も……俺もモフモフしたい、がっ!! あんまりイーブイばっかり贔屓すると他の三体がどう思うかわからないので……そのフワフワの身体を撫でるだけにしておこう。それはそれとして今度抱き枕にして一緒に寝よう。絶対。

 

「ぶいっ♪ ぶいっ♪」

 

 撫でてやるとイーブイは気持ち良さそうな笑顔で可愛らしい鳴き声を上げる。いやいやいやいや反則だろこの可愛さなにこれハイ決めましたもう決めました絶対ウチのイーブイは嫁にやらんからなこの子が欲しければ俺を倒してからにしろ!!

 

 ふぅ……だいぶ気持ち悪いな俺。ちょっと落ち着こう。

 

 そういや、意図してなかったけど俺のパーティだとイーブイが初めての雌なんだよな。ジメレオンとヒトモシは雄でコイルはトランスジェンダー。逆にユウリはイーブイが初めての雄でラビフットとワンパチとリオルが雌でダンバルがトランスジェンダー。

 

 うーん……完全にウチのイーブイはパーティの姫になりそうですね。大丈夫? 可愛すぎてパーティクラッシャーにならない? いや、そこはトレーナーである俺の腕の見せ所だな。クラッシュどころかイーブイ親衛隊にすればいいだけのこと。余裕だな。

 

「よし、じゃあ俺はカレーを作るけど……ユウリ───」

「イーブイくんおきゃわわわわわわわわわっ♡ ふわっふわでもっこもこ♡ ウェヒヒヒヒヒ!! フヒッ、フヒヒッ……!!」

 

 恍惚とした表情でイーブイを抱き締めたままごろごろ転がっている。キモッ!! 動きも顔も笑い方も何もかもキモッ!!

 

 年頃の女の子がしていい顔じゃねえぞそれ……

 

「俺がカレー作るからみんなは一緒に仲良く遊んでなさい」

 

 俺がリュックからおもちゃを取り出してそう言うと、俺の手持ちだけじゃなくイーブイをのぞくユウリの手持ち達も笑顔で頷いて、みんな仲良くおもちゃで遊び始めた。うんうん、ユウリんところの子達も素直に俺の言うことを聞いてくれるな。

 

「あ、ジメレオン。遊ぶ前にユウリの顔面に一発みずでっぽうかましてこい。俺が許す。ラビフット、いいよな?」

「ふぁーっ!」

「きゅわわんっ!」

 

 ラビフットは腕を組んでうんうん頷いている。さすがにユウリの相棒とはいえ、ご主人様の醜態には目も当てられないらしい。

 

 さて、俺はとびっきり美味しいカレーを作るとするか。今日は何のカレーに───

 

「うばばばばばっ!? ぐえほぉっ!! ごぼぉっ!! じ、ジメレオン!? にゃ、にゃんで私にみずでっぽう───ごっふぁっ!!」

 

 怒り狂ったユウリが俺にとっしんしてくるだろうから、機嫌を直すためにあいつの好きな甘口半熟揚げ卵カレーにしてやるか。

 

 それと、リコちゃんに「四番道路はイーブイ天国」ってメールしてあげよう。

 

 

 

 

 

 

「ぶいぶーい♪」

 

 米の炊き具合ヨシ! 揚げ卵ヨシ! サラダヨシ! カレーもほぼヨシ! と、昼食がほとんど完成間近に近づいた頃、馬鹿でかい鍋をかき混ぜていた俺にイーブイ(♀)が擦り寄ってきた。

 

 お? どうしたどうした? カレーの良い匂いに釣られてきたんか?

 

 他のポケモン達は……ラビフットとリオルはボールでリフティングし合ってて、っていうかめっちゃ上手いなあいつら! えーっと、コイルとダンバルは……なんだあれ? 力勝負でもやってんのか? コイルの磁力にダンバルがどこまで引っ張られずに耐えられるか競ってるっぽい。んで、ジメレオンはポケじゃらしでイーブイ(♂)とワンパチを手懐けている。

 

 そしてユウリはみずでっぽうが冷たかったらしくヒトモシを抱っこして暖を取っていた。

 

 うーん、実に平和な光景。 

 

 ほっこりとした気持ちになりながらイーブイの首元をこしょこしょと撫でてやると気持ち良さそうに目を細めた。まったくしょうがないにゃぁ~。ちょっと早いけど味見するか?

 

 俺は小皿にルーを少量入れてイーブイに差し出すと、可愛らしい舌でペロペロとルーを舐めた。

 

「ぶいっ♡ ぶいっ♡」

 

 途端にイーブイはご機嫌な笑顔になって俺の足に体をすりすりと擦り付けてくる。かーっ!! あざといっ!! あざとすぎるなイーブイちゃん!! でもなーっ! それがなーっ! かぁいいんだよなーっ!

 

 俺がイーブイの頭を優しく撫でていると、今度は反対の足をくいくいと引っ張られる。視線を落とすと、ユウリのカイロ代わりになっていたヒトモシがじーっと俺を見上げていた。片目しか見えないけど、その目は何やら不満気な様子。

 

「もしかして、俺がイーブイばっかり可愛がるから嫉妬したのか?」

「も、もし~……」

 

 俺が尋ねるとヒトモシは恥ずかしそうにもじもじし始めた。まったく愛いヤツめ。このこの~♪ ヒトモシを撫でてやるとにぱーっと嬉しそうな笑顔になった。はー、ウチの子達が可愛すぎる!! これで雄なんですよこの子!! いや、男の子だからいいんだな!!

 

 俺は表情がだらしなく緩むのを自覚しながら、ヒトモシにも小皿を差し出してカレーの味見をさせることにする。美味いかヒトモシ? そっかそっか~。美味しいか~。がんばって作った甲斐があったなぁ~。

 

 よーしじゃあ最後に隠し味の蜂蜜を入れて……

 

 そう考えてリュックから蜂蜜の入った瓶を取り出そうとしたところで、背中に結構な衝撃を受けると同時に誰かにぎゅーっと抱き締められる。

 

「ユウリ、料理中は危ないから抱き着いてくんな」

「……ずるい」

「あん?」

 

 ユウリは背中に抱き着いているから顔は見えなかったけど、わざとらしく「私、不機嫌ですよ?」とでも言いたげな声だった。

 

「イーブイとヒトモシばっかり甘やかしてずーるーいーっ!! 私ももっと甘やかしてーっ!!」

「普段から我儘聞いてやってんだろ……」

 

 そう言うもユウリは俺から離れずむしろ抱き締める腕の力を強めて背中に顔をぐりぐりと押し付けていた。しょうがないから俺はユウリにされるがままの体勢でカレーに隠し味の蜂蜜を入れ、ついでに余った蜂蜜をイーブイとヒトモシとユウリにスプーンで一口ずつ食べさせてやり、ユウリのご機嫌を取りつつカレーを完成させる。

 

 さーて、あとは皿に盛り付けるだけだな。そう思ってリュックから皿を出そうとすると、すでにジメレオンが皿を準備してくれていた。さすが相棒! ユウリよりも断然役に立つな!

 

「お安い御用だ」とでも言いたげな表情をしているジメレオンを褒めてやり、遊んでいる他のポケモン達を呼ぼうとしたところで気付いた。

 

 少し離れたところから二人の少年少女……イーブイの着ぐるみを着た可愛いロリっ子とピカチュウの着ぐるみを着た可愛いショタっ子が俺達をじーっと観察していることに。

 

「ヒマリちゃん! あれ、でんせつTシャツマンだよ!」

「ほんとだねハルトくん! でんせつTシャツマンがカレー作ってるよ!」

 

 なんであんなちびっ子達まででんせつTシャツマンのこと知ってんだよ!? どんだけ噂が広まってんだ!?

 

「マサルがでんせつTシャツを着てエンジンシティでジムチャレンジにエントリーしてる画像がSNSに投稿されてて、その投稿をキバナさんがリポストしてバズったみたい」

「何やってんのキバナさん!?」

 

 慌ててスマホを取り出して自分のSNSアカウントを確認すると……めちゃくちゃフォロワーが増えてた。完全に俺ってバレてんじゃん。アイコンをでんせつTシャツにしてジムチャレンジのことを色々呟いてたからか。

 

 ってか、キバナさんにフォローされて……え? ナンジャモ? ナンジャモにもフォローされてる!? 偽物じゃねえ!! まじで本物のナンジャモだ!! しかもでんせつTシャツを作ったブランドの公式アカウントにもフォローされてて……おいおいどーなってんだよ。ばあちゃんがでんせつTシャツを買ってきたおかげでとんでもないことになってんな!!

 

 ……まあいっか。害がなければ別にな。ただ、しばらくSNSで呟くのはやめておこう。こんだけフォロワーが増えた状態で下手なこと呟くとすーぐ炎上するからな。

 

 とりあえず、今俺がやるべきことは一つ!

 

「おーい、そこのちびっ子達ー! でんせつTシャツマンの手作りカレー食べるかー?」

「「食べるーっ!!」」

 

 俺がちびっ子達に呼びかけると、二人は顔を見合わせた直後に笑顔で俺達の方へ走ってきた。

 

 うんうん、大勢で食べた方が楽しいからな。

 

「あー、ユウリちゃん。お野菜残しちゃ……めっ、だよ!」

「ハルトくん。これは残してるんじゃないの。どうやって攻略するか考えている内に、結果的にこうなっただけなの」

「ねえねえでんせつTシャツマン! ヒマリと写真撮って~!」

「ヒマリちゃんだけずるいっ! 僕も写真撮りたーい! あとサインも欲しい!」

「ヒマリも~!」

 

 そして、ちびっ子二人を交えてポケモン達と一緒にわいわいしながらカレーを食べるのだった。

 

 それにしても───

 

 でんせつTシャツマン……子供に大人気だな!!

 

 

 

 

 

 

「ねえホップ」

「どうしたんだ?」

「なんであの二人はターフタウンのすぐ手前で近所の子達とカレー食べよると?」

「あれがマサルとユウリの日常だぞ」




 わからせビート、イーブイゲット、可愛いロリショタポケモンごっこ回と盛りだくさんでした。

 マサルが割とあっさりビートに勝ちましたが、ワイルドエリアでレベリングしていたおかげということでご容赦ください。私自身、「オリ主すげー」「オリ主つえー」の無双系はあんまり得意じゃないのですがね。今後は苦戦する描写も増えてくると思います。

 そしてイーブイゲット。マサルのパーティ四体目です。何に進化させるかは……多分バレバレだと思います。はい。

 ちなみに私はソードを購入したので四番道路でイーブイが出るまで一時間以上粘りました!!(半ギレ)

 性別にこだわる人とかだったら地獄でしょうね。それなら孵化させた方が早いです。ちなみに私は性別にはこだわりません。イーブイ(♂)についても「こんなに可愛くて男の子ってお得じゃん!」って思うくらいです。変態ですね。

 あと、しれっとラブラブボールの性能がゲームと違っていますが、わざとです。この方がわかりやすいと思ったのであしからず。

 そして、野良トレーナーであるポケモンごっこのロリショタ……これは個人的に剣盾をプレイしていた中でトップ5に入るくらいの衝撃でした。

 いやいやいやこれはいかんでしょ。ロリコンショタコンホイホイで純粋にこのゲームをプレイしている子供達の性癖が歪んでしまう。

 絶対この子達メインのエロ同人が出るじゃんと初プレイ時に思っていました。

 次回はホップと可愛い可愛いマリィちゃんと再開後、やっと一つ目のジムに挑戦します。その前にソニアとのイベントをやるかも……

 うん! ヤローさんとはまだ戦えないな!

 ではでは、ここまでお読みいただきありがとうございました!

 次回もよろしくお願いします!

 ポケモンごっこのロリショタにいやらしい感情を抱いて「かたくなる」からの「どくどく」を発動させたことがある人は懺悔してここをぽちぽちしてください!

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