【完結】すごいよ!! マサルくん   作:わへい

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No.0003 やくそく!! サイトウちゃん

「は、はじめまして。サイトウと申します! 本日はお招きいただき誠にありがとうございます!」

 

 今日は我が牧場に礼儀正しい褐色美少女がやってきた。

 

 サイトウと名乗った少女は現ラテラルジムのジムリーダーの娘さんで、ジムリーダーさんは俺のじいちゃんの弟子だからあいさつに来たとのこと。お弟子さんは今シーズンも無事に勝ち越して来年もメジャーに残留だそうだ。

 

「師匠のお孫さんですか。なるほど……なかなか良い闘気を纏っている」

 

 お弟子さんが俺を見てバトル漫画みたいなことを言い出した。闘気ってなんだよ。目に見えるもんなのかよ。言っておくけど、俺は格闘技なんてからっきしで毎日キテルグマとどつき合いしてるだけだからな。

 

「マサル、せっかくだからサイトウちゃんに牧場を案内してあげなさい」

「うん、わかった。サイトウちゃん、俺はマサル。よろしくな!」

「はい、よろしくお願いします!」

 

 サイトウちゃんは礼儀正しく深々と頭を下げる。きちんとした教育を受けているようですね。野生児のユウリとは大違いだ。

 

 ちなみに彼女は敬語を使っていたけど、実は俺よりも二歳年上のお姉さんらしい。大人になってからならともかく、小学生くらいの年齢で二歳離れてるからってわざわざ敬語に直す必要もないよな。本当なら俺の方が二十歳年上のおっさんだし。

 

「ではサイトウちゃんを我が牧場の体験ツアーにご招待! 行くぞー、おーっ!」

「お、おーっ!」

 

 俺が拳を握って手を高く上げると、サイトウちゃんも戸惑いながら俺と同じように手を高く上げてくれた。真面目そうな雰囲気だけど意外とノリが良いなこの子。よーし、まずはウールー達がいるエリアにご案内しますか。

 

 

 

 

 

 

 広大な牧場ではウールー達がのんびり散歩していたり、昼寝をしていたり、牧草を食べたり、転がりながら遊んでいたりと自由気ままに過ごしていた。サイトウちゃんは目をキラキラさせながらきょろきょろと牧場を見回している。俺はもう慣れちゃったけど、でっかい牧場ってテンション上がるよな。

 

「すごいです! ラテラルタウンにはこんなに大きな牧場はないのですごく新鮮です!」

「せっかくだからふれあい体験をしてみようか」

「だ、大丈夫なのですか?」

「大丈夫大丈夫。ウールーって人懐っこいポケモンだし、ウチの牧場のは相当人馴れしてるから」

 

 俺がぴゅーっと指笛を鳴らすと、愛犬兼牧羊犬のわたぱちが遠くから走ってくる。しゃがみこんで頭を撫でてやるとわたぱちは気持ち良さそうに目を細めた。

 

「サイトウちゃん、ウチの自慢の牧羊犬わたぱち。この子も一緒に回るから」

「は、はいっ」

「……撫でてみる?」

「いいんですか?」

「うん。ちゃんと躾けてるし、わたぱちもすごく人懐こいポケモンだから」

 

 俺がそう言うとサイトウちゃんはさっきの俺を真似て恐る恐るわたぱちの頭を撫でる。するとわたぱちは嬉しそうに尻尾を振りながらサイトウちゃんの足に擦り寄っていた。あざといなこいつ。相手が可愛い女の子だからって媚を売りやがって。

 

 サイトウちゃんはサイトウちゃんで頬を赤く染めて目を輝かせながら一心不乱にわたぱちを撫でていた。この子もこの子であざといな。

 

 何にせよ、可愛い幼女と可愛い動物の触れ合いには心温まるものがある。きっとそのうち癌にも効くようになるだろう。

 

「じゃあこの調子でウールーの毛刈り体験……いってみようか」

「お、おーっ! って、毛刈り体験ですかぁ!?」

「ウチの人気体験プログラムの一つだよ。大丈夫、俺もずっと手伝わされててやり方はばっちりだから」

「け、毛刈りってはさみを使って……ですか?」

「そうそう。専用の大きなはさみとバリカンを使ってやるんだ。ウールーって毛が伸びるのがすごく早くて三か月に一回毛刈りをしなくちゃいけないんだよ」

「へ、へー……そうなのですね」

 

 ウールーの毛皮はガラルの名産品の一つで、すごく丈夫な布が作れるからカーペットや衣類に利用されている。ウールー自体も防御力が高いポケモンで崖から落ちても平気らしい。まあ、スーパーガラル人だって崖から落ちても平気だけどな。

 

「こ、こんな大きなはさみとバリカンを使うんですか!? む、無理無理無理無理っ! 無理ですぅ!」

「大丈夫大丈夫。俺がちゃんとお手本見せてあげるよ」

 

 倉庫に行って毛刈り用の道具を用意していると、はさみの大きさにびっくりしたサイトウちゃんが涙目になってしまった。俺はもう慣れちゃったけど確かに専用のはさみは初めての人には凶器に見えるかもしれない。

 

「は、はさみがウールーに刺さっちゃったらどうするんですかぁっ!?」

「刺さらないように俺がいるんだよ。それに、ウチのウールーはおとなしいから安心して」

「で、でもぉ……」

 

 サイトウちゃんは大きなはさみを持ってぷるぷると震えている。ヤンデレかな? 反応が新鮮で面白いけどさすがに可哀想になってきた。そういや、ユウリも最初はサイトウちゃんと同じような反応をしてたよな~。

 

「……こっちの小さいはさみにする?」

「するっ!」

 

 最初からこっちのはさみを用意すればよかったんだけど、サイトウちゃんの可愛い反応が見れたからよしとしよう。

 

 

 

 

 

 

「えへへ~。ふかふかだぁ~」

 

 はさみに怯えていたサイトウちゃんが恍惚とした表情でウールの毛の山に思いきりダイブしていた。服に毛がついちゃうからあとからコロコロで取ってあげるか。それにしても、サイトウちゃんって真面目な雰囲気を出してたけどこういうところは普通の女の子というかあざといところがあるな。

 

「ラテラルジム」はかくとうタイプのジムでお父さんがガラル空手の師範だっていう話だから、サイトウちゃんも自然とそういう雰囲気が身についてしまったのだろう。あいさつもすごく礼儀正しかったし。

 

「───はっ!? し、失礼しましたっ! あ、あまりにもモフモフで気持ち良かったのでつい……」

 

 正気に戻ったサイトウちゃんが顔を真っ赤にして勢いよく立ち上がる。漫画の主人公とかならここで「君の可愛い姿を見れてよかったよ」とか言ってラブコメ展開に発展するんだろうけど、残念ながら俺はそんな台詞を吐くとゲロも一緒に吐いてしまうから絶対に言わない。ホップなら平気で言うだろうけどな。俺にそんな紳士な対応なんて期待するな。

 

「これ、サイトウちゃんが毛に埋もれてる写真」

「ぎゃーっ!? け、けしっ、消してくださいっ!?」

「サイトウちゃんパパにも見せてあげないとな」

「だ、だめっ! それだけはだめですっ! お父様にそんな写真を見せるわけにはいきませんっ!」

 

 スマホロトムでこっそり撮っていた写真を見せるとサイトウちゃんは顔を赤くしたまま取り乱す。娘のこういう年相応な写真を見たら絶対サイトウちゃんパパも喜ぶと思うんだけどな。

 

「消さなきゃだめ?」

「だめですっ!」

「どうしても?」

「どうしてもっ!」

 

 ねだってみるも、サイトウちゃんはほっぺたを膨らませてジト目で俺を見てくる。ほんとにいちいち仕草があざといなこの子。真面目そうな雰囲気からのギャップもすごい。この子が将来ジムリーダーになったら絶対めっちゃ人気になって男ファンが激増してナニがダイマックスするに違いない。よっしゃ、それなら俺はサイトウちゃんの最古参ファンとして他のにわかファン共にマウントを取ってやることにしよう。「君、いつからサイトウちゃんのファンなの? ふーん? ジムリーダー見習いの頃から? 俺? 俺はサイトウちゃんが九歳の頃から知ってるけど?」って感じで。

 

「はい、消したよ。これでいい?」

「そ、それでいいんです、それで。まったく、マサルは油断も隙もないですね」

 

 サイトウちゃんはほっと安心した表情になるけど、実は消す前にじいちゃんに写真を送っておいたからじいちゃん経由でサイトウちゃんパパに伝わることは黙っておこう。

 

 サイトウちゃんの言う通り、俺は油断も隙もない男だからな。

 

「よーし、毛刈り体験は終わったし……次はミルタンクの乳搾り体験だ! 行くぞ。サイトウちゃん、わたぱち!」

「おーっ!」

「イヌヌワン!」

 

 

 

 

 

「まずは人差し指と親指で乳首の根元を挟んで……」

「こ、こうですか?」

「そうそう」

 

 中身二十五歳越えのおっさんが九歳の少女と乳首を挟む方法について話している。字面が酷すぎる。ここが牛舎で乳搾り体験の最中じゃなかったら普通に通報案件だな。

 

 牛舎にやってきて俺はサイトウちゃんにミルタンクの乳搾りのやり方を教えていた。基本的には普通の牛と変わらない。でも、サイトウちゃんは初体験だったようでおっかなびっくりといった様子でミルタンクに触れている。ウチのポケモンは人馴れしてるからミルタンクは落ち着いたもんだけど。

 

「で、下へ絞り出すように……人差し指、中指、薬指、小指の順番で握っていくんだ」

「下へ、絞り出すように……」

 

 サイトウちゃんは緊張しながらも俺の指示通りに乳首を握っていく。俺の乳首をじゃねえーよ。ミルタンクの乳首をだよ。中身二十五歳越えのおっさんの乳首を九歳の少女に握らせるとかそいつはもう死んだ方がいい。

 

「ま、マサルっ! 出ました! 白い液体がびゅーって!」

「うん、そうだな。でもその言い方は誤解を生みそうだから他の人の前ではやめておこうか」

 

 九歳の少女の口からなんてことを言わせてんだ俺は。いやでもこれに関しては俺は悪くねーだろ。上手に乳搾りができたサイトウちゃんが純粋に喜んでるだけなんだから。純粋……純粋かぁ……俺の心はとっくの昔に汚れてしまったようですね。

 

「どうしたんですかマサル? 元気がないようですが……」

「大丈夫だよ、サイトウちゃん。次はどうしようかな……あ、そうだ。サイトウちゃん、ちょっとだけ悪いことしてみる?」

「わ、悪いこと……ですか?」

「うん。ミルタンクの搾りたての生乳……飲んでみたくない?」

「飲みたいですっ! あれ? でもそれって悪いことなんですか?」

 

 搾りたての生乳は殺菌がされてないから商業目的で流通させちゃだめなんだよな。飲んだらお腹を壊すかもしれないし。ただ、酪農家が自己責任で飲む分には罰則があるわけじゃない。実際、俺も父さんもじいちゃんもよく飲んでるし。

 

「ただね、搾りたてってめっっっっっっちゃ美味しいんだよ」

「そ、それは興味ありますね……」

 

 サイトウちゃんはすごく真面目な性格だ。そんな真面目な子にちょっと悪い遊びを教えるのって背徳感があって胸が熱くなるな!! サイトウちゃんも興味津々で揺らいでるみたいだし。

 

 ……よし、あと一押し。

 

「大丈夫、内緒にしてれば絶対バレないから。二人だけの秘密にしておこう」

「二人だけの秘密……の、飲みますっ!」

 

 サイトウちゃんは元気よくそう返事してくれた。やっぱりこれくらいの年齢の子供にとって、大人に内緒でこっそり何かをやるってすごく魅力なんだよな。ユウリだったら深く考えずに「飲むーっ!」って返事をするんだろうけど。ま、まああの子はちょっと頭が弱い野生児ワイルドユウリちゃんだから。

 

 その後サイトウちゃんに搾りたて生乳をごちそうしたらめちゃくちゃ美味しそうに飲んでくれました。お土産にモーモーミルクをいっぱい渡してあげよう。よっしゃ! 次はおやつタイムだな。もっと美味しいもの食べさせてやるからな~?

 

 

 

 

 

「ま、マサル……こ、これは何ですか……?」

「ウチの蜂蜜をたっぷり使った『殺人的ハニートースト~自家製バニラアイス乗せ~』だよ。ウチの大人気商品だ」

「さ、殺人的……」

「サイトウちゃん、甘い物は平気?」

「はいっ! 大好きですっ!」

 

 サイトウちゃんは目を輝かせながら答える。なんか、今日一番の年相応な反応を見た気がする。いや、ウールーの毛に埋もれてた時もこんな感じだったな。やっぱりこういう反応を見ると普通の女の子なんだなって安心するわ。

 

「よかった。飲み物はどうする? コーヒーと紅茶、どっちがいい?」

「えっと、じゃあ……コーヒーで」

「おっけー」

 

 どうやらサイトウちゃんもコーヒー派らしい。嬉しいね。ガラルじゃコーヒー派は少数派だから。前世で言うきのこたけのこ戦争と同じだ。当然俺はきのこ陣営だけど、価値観を押し付けたりしない穏健派だよ。血みどろの争いを繰り広げる過激派と一緒にされちゃ困る。

 

 そういや、ガラルにはきのこたけのこ戦争を起こしそうなお菓子ってないんだよな。あったら絶対売れると思うのに。

 

 そう考えた俺は将来、ガラル経済を一手に担っているローズ委員長と知り合うことになり、委員長にこのことを提案すると見事に俺の案が採用されてガラルにきのこたけのこブームが巻き起こることになるんだけど……それはまた別のお話。

 

 ふー……平和なガラルで俺が戦争の引き金になるなんて───俺、なにかやっちゃいました?

 

「マサルっ! すっごく、すっごく美味しいですっ! 表面はカリカリ中はふわふわなトーストに上品な甘さの蜂蜜と溶けかけたバニラアイスが奏でるハーモニーが絶品で……」

 

 サイトウちゃんが目をキラッキラさせながらグルメリポーターみたいなことを言い出した。よっぽど気に入ってくれたみたいですねえ。よかったよかった。

 

 あとさ、酪農家になってから思ったんだけど……自分が作ったものを本当に美味しそうに食べてくれるのって、ものすごく幸せなことなんだな。毎日ご飯を作ってくれるばあちゃんや母さんにもっと感謝しよう。

 

 とても可愛らしい笑顔でハニートーストを頬張るサイトウちゃんを見て俺はそう思うのだった。

 

 ……このサイトウちゃんの写真もじいちゃんに送っておくか。

 

 

 

 

 

 

「くらえキテルグマ! 俺のきあいパン───ぐへええええええっ!?」

「ま、マサルーーーーっ!!??」

 

 乳搾り体験とおやつを済ませて牧場内を散歩していると、父さんのキテルグマに遭遇したので俺はいつものように「とっしん」して新技の「きあいパンチ」を繰り出したけど、カウンターをもろに受けてしまい思い切り吹っ飛ばされてしまった。

 

 サイトウちゃんが大きな声で叫んで慌てて俺に近寄って来てくれる。心配かけてごめんな、でもこれ日常茶飯事だから。怪我一つないから安心して。

 

「なんでいきなりポケモンに突撃したのですか!? 人間とポケモンには身体能力に差があり過ぎるのですよ! 中には命を落とすトレーナーだっているんです!」

 

 普通に怒られてしまった。ごめんなさい。確かに俺はスーパーガラル人だから耐えられたけどノーマルガラル人なら耐えられなかった。ただ、俺はそれでも、サイトウちゃんに怒られてでも伝えたいことがある!

 

「サイトウちゃん」

「はい」

「これはじいちゃんの教えなんだけど……『ポケモントレーナーたるものポケモンの技に耐えられなければならない』」

「ポケモンの……技に……?」

「うん。トレーナーってさ、バトルでは誰よりも近くでポケモンの技を見ることになるだろ? 場合によっては巻き込まれる可能性だってあるし、天候操作系の技にだって耐えなくちゃいけない。いちいちポケモンの技の影響をまともに受けて耐えられないようなトレーナーがバトルで的確な指示を出せると思う?」

「お、思いません……」

「だから俺はこうやって毎日ポケモンとどつき合いをして体を鍛えているんだ」

「な、なるほど……?」

 

 半分ギャグみたいな話だけど半分は本当の話だ。実際、ポケモンの技ってマジで人の命を奪いかねないからな。各街にあるバトルスタジアムだって、観客に極力影響がないように設計されているはずだし。……いやでも確か時々ポケモンの技の残滓が客席に届いていたとかなんとか。

 

 命に別状がないならヨシ!

 

「とにかく……俺は立派なポケモントレーナーになるために日々修行と鍛錬を重ねているのだっ!!」

「す、すごい……!」

 

 俺が腕を組んでドヤ顔でそう言うと俺の言葉に合わせてわたぱちがワンと吠える。サイトウちゃんはキラキラした瞳で俺を見つめ、感銘を受けたような表情になっていた。ふっ、どうやら俺はまたもやガラル女子を虜にしてしまったらしい。かーっ! モテる男はつらいなーっ!

 

「つまりマサルは……このガラルで誰よりも強いトレーナーになりたいということですねっ!」

「えっ……? いや、別に俺はチャンピオンになりたいとかじゃなくて、いつかカントー地方やジョウト地方をのんびり旅するのが夢で……」

 

 俺がゲームでプレイした世界をこの肌で感じたいっていうのが俺の将来の夢なんだけど……あとついでにウチの牧場をガラル一の牧場にすることも。

 

「感動しました!!」

 

 だけど、俺のそんな思いは露知らず、サイトウちゃんは強く拳を握り俺にグイっと顔を近づけてきた。

 

「私、これでもガラル空手を多少は齧っているのですが……それだけでは真のトレーナーとしての強さを手に入れられないのですね。人と戦うだけでなく、ポケモンを相手に戦うことも必要。確かに、ポケモンを理解するには言葉では足りない。拳を交え、技を交え、魂をぶつけあってこそ……本当の信頼関係を築ける! マサルはそう言いたいのですね!」

「え? あっはい……」

 

 どうしよう。俺はもしかしたらサイトウちゃんの中にあるとんでもないモノを目覚めさせてしまったのかもしれない。ごめんサイトウパパ……きっとサイトウちゃん、家に帰ったら「ポケモンと戦いたい!」って言い出すかもしんないです。

 

「……決めました!!」

 

 何を? なんかあんまり良い予感はしないんだけど。

 

「マサル! 私はあなたに胸を張れるような立派なポケモントレーナーに───ラテラルジムのジムリーダーになります!」

 

 うん。高い目標があるのはいいことだと思うよ。うん。

 

 応援してる! 応援してるからさ! もうそれ以上何か言うのはやめておかない? ね? そうしよう! そうしましょう。そうしてください……

 

「そして───私がマサルのジムチャレンジを推薦します!!」

 

 まじか……まじかぁ……まじですかぁ……

 

 いや、あのね。ジムチャレンジは好きですよ。大好きですよ。でもそれってあくまで()()()()側としてだからさ。プロ野球観戦好きなおっさんのみんながみんな野球経験者で「よっしゃ! 今からプロ野球選手になるぞ!」なんて普通思わんでしょ?

 

 それに、ジムチャレンジに参加するのってエリート教育を受けた将来有望なトレーナーや確かな実力を持つ上澄みトレーナーばっかって話じゃん。俺なんて酪農家の息子だぞ? DASH村開拓して来いって言われる方が気が楽だわ。そりゃあキテルグマにぶん殴られても平気だからポケモントレーナーとして最低限の資質……というか身体を持ってるかもしれないけどさ。

 

 ゲーム上で操作するのと、実際に瞬間瞬間で並列思考を駆使しながら的確に状況を判断してポケモンに命令しつつ相手のトレーナーと駆け引きするのとは全然違うんだ。というかそもそもゲームと違ってガチのポケモンバトルってターン制じゃないしな。次に何の技を出すか悠長に考えてたらそのまま相手に技を連打されて押し切られるんだよ。だから、ゲーム感覚で「チャンピオンになる!」なんてそんなこと気軽にできないわけでしてね。

 

 とまあ、つらつらとネガティブなことを考えてはみたけど……

 

「マサル───いつか必ず、私と戦ってくれますか?」

 

 真剣な表情で真っ直ぐ見つめてくる少女の期待を裏切れるほど、俺は薄情な人間ではないつもりだ。

 

「うん。いつか───必ず」

 

 俺とサイトウちゃんは熱い握手を交わし、誓い合う。その時が来れば───互いに全力で戦うことを。

 

 そして七年後、俺は彼女との約束通りジムチャレンジに参加することになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 なんかすっげー少年漫画みたいな展開になってるとこ悪いけどさぁ……

 

 ラテラルジムってカブさんがいるエンジンシティの次のジムだよね? 

 

 俺、カブさんに勝てる気がしないんですけどぉ!!




 マサルがキテルグマと殴り合いをしている光景を見たサイトウは後々自分のポケモン達と組み手をするようになる……そう、「薄明の翼」のサイトウエピソードに繋がるのです。

 ではでは、ここまでお付き合いいただきありがとうございました!

 次回もよろしくお願いいたします!

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