「うぉん……」
「大丈夫だ、インテレオン」
緑髪の超絶イケメン美青年……Nくんの登場にインテレオンは警戒している。警戒するのは当然として、ほんとに顔が良いなちくしょう。月明りで照らされてて余計に絵になるな!
ふう……そんなことは置いておこう。とりあえず、困った。非常に困った。まさかこんなところでNに遭遇するなんて想像もしてなかったからな。同じイケメンでもダイゴさんとは訳が違う。こいつはあの人みたいにギャグで済まされる存在じゃない。
といっても、数年前にイッシュのポケモンリーグがぶっ壊されたってニュースをやってたから……大丈夫な頃のNさんなんだろうけど。
とにかく、会話をしないと始まらないな。
「一杯いかがです?」
俺はホットミルクが入ったポットを持ち上げて言う。つまり、飲みにケーション。でもなぁ~、Nだもんなぁ~。意味深なことだけ言ってさっさと立ち去るような気も……。
「いただくよ」
意外や意外。Nは柔らかく笑って俺の隣に座った。隣に並ぶと……思ったより背が高いなこの人。俺は内心驚きつつもマグカップにホットミルクを注ぎ、Nの前に置く。ダイゴさんといいNといい、俺は他の地方のイケメンと縁があるな。どうせなら可愛い女の子トレーナーに来てほしかったわ。
「……美味しい」
「よかった。ウチの牧場で採れたモーモーミルクなんですよ」
「へえ、そうなんだね」
とりあえず大丈夫そうだな。いきなり「人間の都合でポケモンを利用しているのは許さない」とか言い出す精神状態じゃないらしい。やっぱ、イッシュの英雄との戦いを終えて色々落ち着いた後のN……というかレシラムと一緒に旅をしている頃のNか。まさかガラルに来ているとはな。
「隣にいる君のポケモン……君のことをすごく信頼、というより絶対的な忠誠心を抱いているね。長い付き合いなのかい?」
「そんなに長くないですよ。数ヶ月にも満たない付き合いです」
「なるほど、なるほど……やっぱり、そうか。君
ちょっと電波っぽい発言だけどあんたが言うと重いんだよ。
「それにしても、君は見ず知らずの他人をいきなり懐に迎え入れるなんて……少し、警戒心が足りないんじゃないのかい?」
「知らない土地で知らない人と出会って交流を深めるのも旅の醍醐味ですよ。旅人さん」
「……わかるんだね」
「ガラル特有の訛りがありません。他の地方からやってきたんでしょう?」
「そうだよ。僕はイッシュ地方からやってきたんだ」
人違いの可能性もあると思ってたけど、インテレオンの気持ちをあっさり理解したりイッシュからやってきたり……間違いなくNだな。
「観光ですか?」
「観光、ではないかな。僕は、いままで閉ざされた狭い狭い世界しか知らなかったから……もっと広い世界を見たくなった。それだけだよ」
重いよぉ……。そりゃあ、あんたの境遇を考えたら世界を見て回るのはすごく良いことだと思いますよ? でもね。もう一人の英雄に何も告げずに目の前から去っていったのは良くないと思うの。
「あとは、そうだね。自分が
いやまあ別にそれは気にならないよ。だって、あなた……ゲームでも初対面の主人公に一方的にやべーことを捲し立ててたじゃないですか。こうやって自分の非を認めて謝れるようなっただけでも成長してるんですね。……って、誰目線だよ俺は。
それに、あんたの考えそのものには俺も理解できるところがあるし。
「俺も、生まれてからずっとガラルで育って……ガラル以外の世界を知りません。だからいずれは、同じように世界を旅してみたいと思ってますよ」
何年先になるかはわかんないけどな。
「今は俺も、こうしてガラルの地を自分の足で歩いて旅をしてて……かつて失ってしまったものを、忘れてしまったものを思い出そうとしています。だからある意味、俺も自分探しの旅をしていることになりますね」
自然と、俺はそんなことを口走っていた。
おかしいな。こんなことを言うつもりなんて全くなかったのに。ただ、当たり障りのない世間話で終わらせるつもりだったのに。
ああ、そうか……。
俺は、気付いた。
俺は彼に、Nに共感してしまっているんだ。
「なるほど……初めて会ったはずなのに抱いていたシンパシーは、僕の気のせいじゃなかったみたいだね」
「それが俺に声をかけてくれた理由ですか?」
「それ
そう言ってNはインテレオンに視線を向ける。
「彼の声に……
Nが手にしているのは、ニュース通りなら伝説のドラゴンポケモンであるレシラム。イッシュの伝説によると確か……「
そして、レシラムと対となる「理想」を司る伝説のポケモン、ゼクロム。そのゼクロムは、もう一人の英雄と共にある。
それにしても、「真実」を司る伝説のポケモンに認められたNが「理想」を追い求めて旅に出る、か。「理想」を語っていたNこそゼクロムに認められそうなのに、それが逆になるあたり……Nはきっと、
「僕はずっと、ポケモン達の『理想』を叶えるために、トレーナーの『真実』を世界に突きつけ……ポケモンと人間を区分し、白黒はっきりわける。そうしてこそ、ポケモンは完全な存在になる。それこそが、僕の追い求める『理想』であり『夢』だった」
「今では違うんですか?」
「……
「その彼女とは……それから会ったり?」
「していないね。互いの信念を懸けた戦いを終えた後……僕はそのまま旅に出てしまったから」
「ちゃんと最後に彼女の言い分は聞きました?」
「……聞く前に旅立っちゃった」
「彼女、めっちゃ怒ってるんじゃないです?」
「……多分」
シリアスな雰囲気だったのに微妙にコミカルな空気になってしまう。でもなぁ、俺もプレイしてたからわかるけど……あんなエンディングだったら誰だって「言いたいことだけ言って勝手に行くんじゃねえ待ちやがれN!!」ってなると思うんだよ。
大丈夫? イッシュの英雄さん、Nくんを追って世界中飛び回ってたりしない? あなた一応イッシュのチャンピオンなんだから、そんな自由にほいほい動き回ってたら……そういや元チャンピオンのアデクさんも放浪してたなぁ。
「ごめんね。つい長々と話してしまった。こんな話をされても困るだろうに」
「いや、俺も共感できるところはありましたからね。ポケモンと人間を完全に区分するって……まあ、極端っちゃ極端ですけど、残念ながらポケモンを自分達の都合の良いように利用する人間はいます。それが『真実』ですから。今はもう存在していませんが……ロケット団なんてその最たるものだったでしょう?」
「君の言う通り、それが真実だ。だけど……それ
「だったら、その彼女も一度ガラルに来るべきですね」
「どうしてそう思うんだい?」
「このガラルはきっと───彼女が追い求める理想に最も近い」
ガラルはポケモンバトルを興行化させており、ジムチャレンジはその最たるものだ。そしてそれは「ポケモンを金儲けの手段として利用している」と言い換えることができるだろう。まさに、Nがもっとも忌み嫌うべき行為である。だが、ジムチャレンジに参加しているトレーナーやジムリーダー、チャンピオンのポケモン達は無理矢理従わされ、戦わされているのか?
答えは、否。
ポケモンとトレーナーは、絶対の信頼関係で結ばれ、ポケモン達は自ら傷つくことを厭わず戦いに赴いている。確かに、それを心苦しいと思う人がいるかもしれないし、俺もそれを否定しない。
どれだけ綺麗ごとを並べようと、いつだって傷つくのはポケモン達なんだから。
だから俺は、そんなポケモン達に最大限の愛情を注ぎ、最大限の敬意をもって接している。
だって俺には、それくらいしかできないから。
……少し話がそれてしまったけれど、ガラルは他の地方と比べてポケモンバトルが興行として成立している影響で、人とポケモンがより深く、より密接に関わっている。にもかかわらず、ガラルにはロケット団のような悪事を働く組織は存在しない。もちろん、俺の見えないところで、知らないところで何かがあるのかもしれないが……そんなことがあればダンデくんが、ローズ委員長が、マクロコスモスが黙っていないだろう。
つまりガラルは、これだけ人とポケモンが深く関わり合いながらも共存できている。もちろん、トレーナーとしてだけでなく、家族として、または同じ職場で働く同僚としてなど、様々な形で強い信頼関係を築いているんだ。
だからこそ、ここはきっと彼女が追い求めている理想に近い。
ということを、俺はNに語り、彼は目を閉じて静かに俺の話を聞いていた。
「あなたも、
俺が尋ねると、Nは目を開けて柔らかく微笑んだ。幼少期から洗脳染みた教育を受けていたとはいえ、あれだけ人とポケモンの関係にこだわり続けていたNが、ガラルの在り方を知らないはずがないからな。
「君ともっと早く出会えていたら、君が二年前のイッシュにいたら───君は英雄になっていたかもしれないね」
俺が、英雄に?
その言葉の意味を理解できてしまっている。
だけど、N。残念ながら、それは絶対に
だって───
「ヨギィ……」
ふと、テントの方から弱弱しい声が聞こえてきたので振り返ると、目を覚ましてしまったらしいヨーギラスがよたよたと俺に向かって歩いてきた、かと思うとNを見て固まってしまった。そうだよな、知らない人がいてびっくりしたよな。
「大丈夫だヨーギラス、この人は俺の……
「こんばんは」
「よ、ヨギィ……」
ヨーギラスはNに小さく頭を下げてそそくさと俺の足元へ隠れる。俺はそんな様子に苦笑しながら、小皿にホットミルクを入れてヨーギラスに与えた。
「色違いのヨーギラスだね。初めて見たよ」
「実はこの子……色が違うという理由だけで群れから追い出されて独りぼっちでいたところを俺が保護したポケモンなんです」
「群れから……追い出された、か。なるほど、それで僕に怯えていたんだね。この子が君に対してどう思っているかは……言うまでもない、か」
「同じポケモン同士でさえ、このような迫害が起こるんです。それが、種族の違う人間とポケモンならばもっと顕著になりかねません。全て人間とポケモンが互いに信頼し合い、尊重し合い、支え合い、共存する。言葉にすれば簡単ですが……それを実現するには、途方もない労力が必要だ。いえ『そんなことは不可能だろう』と多くの人が思っているでしょう。厳しいですが、それが真実であり、
Nは俺の言葉を黙って聞いていた。
「だけど、それが諦めていい理由にはならない───だからこそ、そんな理想を追い求めて努力している人を、俺は、心の底から尊敬します」
俺は、知っている。
理想を、夢を追いかけて努力を続けることの楽しさを、尊さを、苦しさを。
俺は、知っている。
現実を突きつけられ、膝を折ることになってしまった己の無力さを。
「そうか。君は───
Nは俺の目を見て気付き、そう言った。
「昔の話です。夢を追い求め、理想を追い求め、自分を信じ、努力を続けた。だけど、どうにもならない現実に打ちのめされ、心が折れ……全てを諦めた俺は、現実を受け入れることしかできなかった。そんな俺が、英雄になるなんてことはありえないんですよ。
それまで穏やかな笑顔を絶やさなかったNの表情が初めて、崩れる。
「気付いて、いたのか?」
目を見開き、驚いた表情で尋ねた。
「あれだけ大きな事件です。完璧な情報統制なんてできない。それに、このご時世……情報を得る手段は無数にあります。加えて、イッシュの神話やポケモンの伝承に詳しい人ならば、あの事件についてしっかり調べれば気付くでしょう」
「気付いていながら君は、僕のことを───」
Nはそこで何かを言いよどむ。だけど俺には、彼が何を言いたいのか予想ができていた。
「
「君を油断させる演技かもしれないよ?」
「する必要がないでしょう。伝説のポケモンを連れているあなたなら」
正直、本気になったNに勝てる気なんてしない。相手は神話級の生物なんだ。タイプ相性とか、読み合いとか、戦術とか……そういう次元の話じゃないんだ。
「それに、こうして同じテーブルに着いて、同じものを飲んで、こんなに深い話ができた。この関係を『友達』と呼ばずに何と呼ぶんです?」
「僕達は出会ったばかりだよ?」
「……あなた、自分で言っていましたよね? 『ポケモンとの絆に、愛に時間は関係ない』って。友情だって、同じですよ」
俺がそう言うと、Nは帽子を深く被り直し、目元を隠して体を震わせる。どうやら、色々と思うところがあるらしい。
「そうか……そうか……。今まで、僕のトモダチはポケモンだけだったけど……そうか。君は僕の、初めての人間の友達になってくれるんだね」
「いや、俺が初めてじゃないでしょう。あなたがイッシュで、互いの信念を懸けて戦った彼女がいるじゃないですか」
「……彼女は、僕のことをトモダチなんて思ってないかもしれないよ」
「それ言ったら彼女にぶっ飛ばされますよ」
あれだけ行く先々でバトルして、互いの考えや信念をぶつけ合って、イッシュの命運をかけて戦って、最後の最後でようやくわかり合えた……と思ったら勝手にどっか行きやがって。……経緯を考えたら友情以上のもっと重い何かを抱いていてもおかしくないな、うん。
きっとNがもっと早く彼らと出会っていれば、それこそ、洗脳染みた教育を受ける前に彼らと友達になっていれば……あんな悲劇は起きなかったんだろうな。
「いずれにしても……真実を追い求めるあまりポケモンリーグをぶっ壊したのはやり過ぎですけどね」
「あれは……うん。反省しているよ」
しかも、ブランクがあったとはいえ普通に当時のチャンピオンであるアデクさんをぶっ倒してたからな。伝説のポケモンにも認められるし、とんでもないトレーナーだよ、本当に。
「そういえば君は、『かつて失ってしまったものを、忘れてしまったものを思い出そうとしている』と言っていたが、それは……『夢を追い求め、理想を追い求めていた頃の自分』なのかい?」
なかなか、痛いところを突いてくる。
「そう、かもしれませんね。今の俺は……あらゆる事柄を現実として受け入れることができている
自分の思いを、気持ちを言葉にするのは難しいと改めて思ってしまう。
「昔の自分も今の自分も、どちらも間違いなく俺自身なんだってことを理解した上で、確固たる自分を築きたい。そんな感じですかね」
「なるほど……つまり君は、
Nがそう言って立ち上がり、俺から離れたところで一つのモンスターボールを取り出した。
「君の名前を、まだ聞いていなかったね」
「マサル、です」
「僕は、N。名もなき、N。マサル、君は……こんな僕を、トモダチと言ってくれた。僕の考えを否定せず、理解しようとしてくれた。そして、どうしようもない現実を受け入れながらも、それでもなお自分の中にある真実を追い求めている」
Nは、俺の方へ振り返り、言う。
「そんな君に、僕の一番のトモダチを紹介しよう。おいで───レシラム」
言葉と共にモンスターボールが輝き、中から一匹のポケモンが現れた。
純白の体毛、尾は松明のように広がり、首と尾には白銀の金輪のような装飾。威風堂々たるドラゴン……ではなく、優美さと気品さを兼ね備えた女性のような印象を受ける。
そして、透き通る青色の瞳が、俺を真っ直ぐに捉えた。
畏怖、荘厳、神秘的。
だけど、それ以上に───
「綺麗だ……」
無意識の内に、そう呟いていた。
「怖くないのかい?」
「……怖いですよ。でも、そんなのが全部吹き飛んでしまうくらいに、美しい」
目を奪われる、というのはまさにこのことなんだろう。これが、伝説のポケモン。人間を容易に魅了し、神と崇められる理由がよくわかった。少しでも気を抜けば、膝をつき、
「こっちへおいで。大丈夫、この子は僕のトモダチだから」
誘われるように、フラフラと俺はレシラムに近づき、正面に立った。高さは三メートル程だろうか……だけど、いざ目の前にするともっともっと、大きな存在に見えてしまう。
レシラムは、値踏みするよう俺の目をにジッと見つめた後、ゆっくりと俺に顔を近づけてきた。
「触れてごらん」
言われる前に、俺はレシラムに手を伸ばし、その頬を優しく撫でていた。
温かく、柔らかな体温。上質な絹のような体毛。
レシラムは俺を───拒絶しなかった。
「レシラムは真実を求め、善の世界を築く者に力を貸す。君は、自分のことを『英雄になるなんてことはありえない』と言っていたね。だけど、僕はそうは思わない。君が君の中にある真実を見つけられた時───君はきっと英雄になれる」
Nがそう言ってレシラムの翼をそっと撫でると、レシラムはゆっくりと身体を倒し、Nがその背に乗った。
もう、行くのか。
だけど俺は、まだあんたに言いたいことがある。
「N、あなたはさっき自分を『名もなきN』だと言った。『自分が何者なのかを探している』のだと『自分自身の理想を追い求めている』と言った。それならあなたはこの旅で自分の名前を見つけるべきだ」
「自分の、名前を?」
「名前とは、願いだ。『こうありたい』と『こうあってほしい』という願いが、祈りが込められている。だからあなたは自分自身が思い描く理想の自分を見つけ、自分の名前を見つけるべきなんだ」
「自分自身が思い描く、理想の自分……」
「美しい景色でも、花の名前でも、尊敬する人でも……何か一つ、あなた自身が『こうありたい』と願うものが見つかるはずです。その時に初めて……あなたは『自分が何者なのか』という問いの答えを、得ることができる」
Nは目を閉じて俺の言葉を静かに聞いていた。なんで俺は、こんなにも……会ったばかりの人間にこんなことを言っているのか。
その理由がはっきりわかる。
俺も、Nと同じだから。
俺も、『こうありたい』という理想の自分自身を追い求めている最中だから。
「見つけられないかも、しれないよ?」
Nが、問う。
「もしも
答えは単純。一人でどうにもできないのなら、誰かに頼ればいい。
単純で、難しい。でも彼にとって、必要な、答え。
「友達だから」
俺の言葉に、Nは優しく笑い、俺に向かって手を伸ばす。
「ありがとう、マサル。今日、君に会えてよかった」
差し出された手を、俺はゆっくりと握り返した。俺も同じだ。あんたと今日、ここで会えて、話ができてよかった。あんたのおかげで、自分自身を見つめ直すことができたんだ。
こちらこそ、ありがとう。
「でも、そうか……もしも君が、僕の名前を付けてくれることになるのだったら」
俺がお礼を言う前に、Nが言葉を続ける。
おや? 気のせいですかね? 何やら風向きが怪しくなってきたような……。
「───君は僕の、父親になるのかな?」
ぱーどぅん?
なんっ!? あんた今なんて言った!?
「そうか。これが……最近巷で噂になっている『ぱぱかつ』というヤツなんだね。僕はまた一つ、真実を得たようだ」
「今すぐその真実は投げ捨ててください」
レシラムさん、あなたのお友達が思いっきり真実を誤解してますよ? それでいいんですか? 俺が目で訴えると、レシラムはあざ笑うように鼻を鳴らした。
おい、なんやそのリアクション。ええんか? このままやと真実を司る伝説のポケモンに「パパ活の真実」を突きつけるっていう、焼き殺されてもおかしくない不敬な行いをすることになるぞ?
俺の胸中を知ってか知らずか、レシラムはもう一度鼻をフンと鳴らした後、羽ばたいて数メートルほど飛び上がる。おい待て、このまま行く気か? さっきまでの真面目でシリアスな俺を返せ!
「マサル、今日は本当にありがとう。もしも君が
今まさに困ってるんですけどね。
そんな俺の胸中なんぞ露知らず、Nは笑顔で俺に手を振り、レシラムに乗って飛び去って行った。
めちゃくちゃ真面目な話をしていたはずなのに最後の最後でとんでもない爆弾をぶっこんでいったなぁ……まさか俺がNのパパになるかもしれないとか……どこの夢女子だよ。さすがN。
「インテレオン、ヨーギラス。もう遅いからそろそろ寝ような」
「うぉん」
「ヨギィ……」
俺がそう言うと二体は素直に従って、各々が使っていたマグカップと小皿を片付けてテントに入っていく。俺はそれを見届けた途端、ドッと疲れが押し寄せてきたのでそのまま椅子に座った。
Nとの会話もそうだけど……それ以上に、レシラムと対峙したことによる疲労が大きかった。あれが伝説のポケモンか。ゲームの主人公達はあんなのと遭遇しても平気でほいほい捕まえて連れ歩くんだよなぁ……。どんなメンタルしてんだよ。
「ん~……ましゃる~?」
俺が大きく息を吐いていると、ユウリが寝ぼけ眼を擦りながらテントから出てきた。
「起こしちゃったか。悪いな」
「んぅ~……誰かいたの~?」
「誰もいねえよ。ほら、ちゃんと寝な。また明日起きれなくなるぞ」
「ぎゅ~」
ユウリに近づくと思い切り抱き着いて甘えるようにほっぺたをすりすり擦り寄せてくる。完全に寝ぼけてやがんなこいつ。
俺はそのままユウリを抱えて椅子に座り、ユウリを膝の上に座らせた。
「私もホットミルク飲む~」
「……ちょっと待ってろ。今新しいの入れてや───」
言い終わる前に、ユウリは俺の飲みかけのホットミルクを嬉しそうに飲んでいた、かと思うと顔をしかめて振り返り、一度俺に抱き着いてくる。
「……ぬるい」
「だから新しいの入れてやるっつったろ」
Nと長いこと話してて冷めちゃったからな。俺はユウリの頭を撫でながらポットに入っているホットミルクをマグカップに注いでユウリの前に置いてやると、ユウリはふにゃふにゃとだらしなく笑って飲み始めた。
「なあ、ユウリ」
「んにゃ~?」
半分寝ながらユウリは答えた。
「俺、パパになるかもしれん」
「マサルがぱぱ~? じゃあ、ままはわたし~?」
「ママはホップ。お前はペットだ」
「ふにゃ~ふにゃ~♪ わんわん♪」
「犬か猫かどっちだよ」
その後、ホットミルクを飲み終えて寝落ちしたユウリをテントまで運ぼうとするも、ユウリが俺の寝間着を掴んで離さなかったので仕方なく俺のテントで一緒に寝ることになるのだった。
そして翌朝、寝坊してしまったのでマリィに二人揃って叩き起こされたのは言うまでもない。
Nとの対談でした。
Nがゼクロムかレシラムかは解釈が別れるところですが、どちらにも解釈ができるシナリオになっているBWは素晴らしい作品だと思います。発売当初は色々言われていましたが、私はBWのシナリオはSVと並んで歴代で一、二を争うくらい好きです。
ただ、私はBWの初プレイは大学生の頃でしたが……小学生一年生でプレイしていたら多分ほとんど理解できなかったと思います。
Nの考えについてはほとんど独自解釈なので悪しからず。「こんなのNじゃない!」って思った人はごめんなさい。
で、最後の最後でパパ活オチ。真面目な話で終わらせようと思ったんですが「Nの名前を考えるのに協力するってことは実質Nのパパだよな」という私の余計な考えが炸裂してああなりました。ほんとどうしてこうなった?
ちなみにNの本名は初期設定では「ナチュラル・ハルモニア・グロピウス」となっています。あくまで初期設定であり、これが決定稿であるかは不明っぽいので、名前関係の話題も入れました。もしも公式がNの本名を発表していたらごめんなさい。
そして、このお話を執筆している最中、BWをもう一度最初からプレイしたくなりましたね。リメイクはよ。
ちなみにBWで一番好きなジムリーダーはヤーコン隊長です。ヤーコン隊長の娘さんも好きです。タロちゃんに「えっちなのはいけないと思います!」って言わせたい。
次回はようやくナックルシティに到着します。おそらく顔面600族のキバナが出ます。イケメン回が続きますね。ラブコメ要素はどこいった?
ではでは、ここまでお読みいただきありがとうございました!
次回もよろしくお願いします!
BWのリメイクで着せ替え充実させてほしいしトウトウでいちゃいちゃさせてほしいしフウロやカミツレさんとの観覧車イベント増やしてほしいしなんならメイともいちゃいちゃさせてほしいと思う人はここをぽちぽちしてください!