【完結】すごいよ!! マサルくん   作:わへい

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No.0041 がんばる!! ヨーギラスくん

「マサルー! 起っきろー! 可愛いユウリちゃんのモーニングコールだぞー?」

 

 トウコさんとカフェで楽しいお茶会をした後、彼女はそのままNを探して他の街へ行き、俺とユウリはナックルシティのホテルで一泊。別々の部屋にしようと思ったのに、ユウリが頑なに「同じ部屋がいい」と主張するので仕方なく同じ部屋を取ることにした。

 

 まあ、いつも一緒のテントで寝てるし大差ないな。

 

 で、珍しくユウリが俺より早く起きたので、俺の腹の上に馬乗りになって俺を起こしている。こいつはたまに……本当にごくたまーにこうやって早起きして朝からテンション全開になることがある。そういうときは決まって俺の寝起きが悪いんだけどな。

 

「あれれ~? マサルくんはまだおねむなのかな~? ふふ~ん♪ お姫様の眠りを覚ますのはいつだって王子様のキス……ということはユウリちゃんのドレインキッス───」

 

 何やら変なことを言い始めたユウリだったけど、俺はまだ眠気が完全に覚めていないのでユウリの腕を引いてそのまま腕の中に抱き寄せる。

 

 ユウリの体温と柔らかさと甘い匂いが心地よく、そのまま二度寝を───

 

「やぁ……んぅ……」

 

 と、思ったけどユウリが耳元で妙に色っぽい、というか変な声を発していたので目が覚めた。お前もそういう声を出せるんだな。俺から抱きしめるといつも「フヒフヒ」言ってんのに。

 

 そう思いつつ俺はユウリを抱く力を少しだけ強める。ユウリも嫌がっているわけじゃないらしく、俺を抱きしめ返してきた。

 

 もうちょっとこのままこうしていたかったけど、今日は買い物してラテラルタウンに向けて出発しないといけないからな。名残惜しいけど起きよう。

 

「おはよう、ユウリ」

「お、おふぁ……おひゃようごじゃいましゅ……」

「俺、シャワー浴びてくっから。朝飯食って買い出し行って六番道路に行くぞ」

「ふぁい……」

 

 顔を赤くしてだらしなく笑っているユウリの頭を撫でた後、俺は浴室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 買い出しを済ませ、六番道路へ向かう途中で建物の物陰にいたポーラちゃんという少女(なぜかランプラーがやたらと反応を示していた)に「アラベスクタウンにいるフランクくんにお手紙を渡してほしい」と依頼されたので快諾したり、見知らぬおっさんに「ほのおのちかい」と「みずのちかい」を教えてもらったりしつつ、六番道路へとやってくる。

 

「マサル、あれエール団じゃない?」

「ほんとだな。何やってんだあいつら?」

 

 ナックルシティの出口付近でエール団と思しき、いやあんなフェイスペイントとパンクな衣装はエール団確定だな。相変わらず腹が出てるし。

 

 で、エール団のおっさん二人が眠っているスナヘビを見守っていた。ほんとに何やってんだあいつら?

 

「おーい! エール団のおじさん達ー! 何やってるのー?」

「んげっ!? お、お前らはでんTマンとカレーキチ!?」

「お嬢より先にお前達と遭遇するとはついてない!」

 

 人の顔を見るなり露骨に嫌そうな表情を浮かべやがって。俺達が一体何を……と思ったけどそういや何回かバトルで蹴散らしたな。でもあれはあんたらが余所様に迷惑をかけてたからだからな。

 

「お前達! 静かにするのです! スナヘビが起きちゃうでしょう!」

「何という愛らしい寝顔。この子の眠りを妨げるようならぶっ飛ばすですよ?」

「おじさん達の声の方が大きいよ……。でも可愛い寝顔だね。写真撮ってマリィに送ってあげよ~♪」

 

 ユウリがそう言うとおっさん二人は寝ているスナヘビの両サイドで笑顔でポーズを取り、その写真をマリィに送っていた。なんでこんなノリがいいんだよこのおっさん達。

 

「ふん。気が済んだら先に行くのでーす」

「あれ? 今回はバトルふっかけてこねーの?」

 

 尋ねると、おっさん達は渋々といった様子で俺の顔をじっと見てくる。なんだよその顔。なんか理由がありそうだけど全然納得してない感じじゃん。こっちとしてはヨーギラスを進化させるための経験値になるからバトルは大歓迎なんだけどな。

 

「……取材、見た」

「俺達の言いたいことを、ネズさんの言いたいことを代弁してくれた。だからもう、お前達の邪魔も、他のチャレンジャーの邪魔もしない。これからは純粋にお嬢の応援だけをする」

 

 ほーん。俺がエンジンシティで受けたあの取材を見てたのか。どうやらエール団に向けてのメッセージもちゃんと伝わったらしいな。元の世界でもフーリガンが問題視されてたけど、こっちのエール団はずいぶん素直な───

 

「俺達がやってたことがネズさんにバレてめっちゃ怒られたし」

「怖かった。ネズさんがあんなにキレたのはお嬢が近所の悪ガキ共に泣かされて以来」

 

 子供かあんたら。というか、やっぱあの活動はネズさんに黙ってやってたんだな。当然っちゃ当然か。他のチャレンジャーの妨害をしているのがスパイクタウンの人間なんて広まったら、ジムの運営そのものにも影響があるからな。よくもまあこのSNS全盛期で炎上しなかったもんだ。

 

 まあ、ジムチャレンジが始まって盛り上がるとエール団以外にも色んなところで細々としたトラブルが起こるからそれに紛れたって感じなんだろう。

 

「邪魔はしないが勝ち残るのはお嬢! お前達なんてネズさんが蹴散らしてくれるのです!」

「俺達じゃ勝てーるわけないから!」

 

 すげー情けないことを胸張って言ってんのな。ネズさんと戦うには、あと三人のジムリーダーを倒さないといけないし、まだかなり先だけど……戦い方はもう決めている。今から楽しみだ。

 

「ところで、お嬢はどこ? 一緒じゃないのですか?」

「マリィはホップと二人でワイルドエリアにいるよ~」

「Oh……ダンデの弟と二人きり……。これはネズさんに言えーる?」

「言えない! 聞かなかったことにする!」

「……もうキバナさんがネズさんに教えてると思う」

「キバナぁ!! ゆ、許さん!! キバナのSNSを炎上させーる!!」

「スパイクタウンの仲間から『ネズさんが荒れてる』って報告があったのはこれが理由かー!!」

 

 なんか一周回って面白くなってきたなこいつら。まあいいや。ここでこれ以上ぐだぐだ喋っててもしょうがないし、俺達は先に行こう。

 

 そして俺とユウリは頭を抱えているエール団のおっさん二人を横目に六番道路を進んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

「リオル! はっけい!」

「あおーん!」

「……って!? 全然効いてない!?」

「カバーしろヨーギラス! じだんだ!」

「ヨギィ!」

 

 六番道路は日差しが強く、カラッと乾いた気候だったため、気候に応じたポケモン……とくに地面タイプのポケモンが多かった。岩タイプのヨーギラスとは相性が悪いけど、これも修行だ。トレーナーやジムリーダーとのバトルなら不利なタイプとのバトルは避けるけど、野生のポケモン相手なら別だ。苦手なタイプ相手に対する立ち回りもしっかり学んでおかないとな。

 

 んで、今相手にしているのはスコルピ。毒と虫の複合タイプで格闘とはすこぶる相性が悪いのでリオルのカバーにヨーギラスが入る。この六番道路でユウリはリオルをルカリオへ、俺はヨーギラスをサナギラスへ進化させることを目標としていた。

 

「ありがとうヨーギラス~! いい子いい子~♪」

 

 ユウリに撫でられてヨーギラスは嬉しそうにしていた。スコルピはまだ見た目でタイプを判断できるけど、ドラピオンに進化したら毒と悪になるからな。なんで虫が消えるんだよ。炎技使って等倍だったから「あれー?」ってなった記憶しかねえわ。

 

「苦手なタイプを相手にする時用の技も必要だね」

「ルカリオは覚える技のタイプ範囲がめちゃくちゃ広い。優秀なサブウエポンを習得させればマルチに対応できる上、物理と特殊のどっちもいける優秀なアタッカーになる」

「おぉ~。じゃあ、がんばらないとだねリオル!」

「あおんっ!」

 

 リオルは拳を握ってやる気満々だ。ただ、攻撃に全振りしてる分耐久力は低いけどな。スピードはまあまあだから、やられる前にやるしかない。だけど、その欠点を補ってあまりある攻撃力がルカリオ最大の魅力だ。

 

「ヨギッ! ヨギッ!」

「ヨーギラスもやる気いっぱいだな。でもちょっと疲れてるみたいだから休憩しよう。おやつタイムだ」

 

 そして俺達は開けた場所にテーブルや調理器具など簡単なキャンプを設置する。まだ日は高いし、この後も歩くからテントじゃなくてワンタッチ式のタープも用意した。日差しが強いからじっとしてるだけでも体力を奪われるから日除けは大事。

 

「今日のおやつはホットケーキだよー! みんなで生地を混ぜ混ぜしようね~♪」

 

 買い出しに行くとおつとめ品のホットケーキミックスが安売りされていたので大量に買い込んでおいた。混ぜて焼くだけだから簡単だしな。蜂蜜やバターはたくさんあるし、ホイップクリームときのみをトッピングするのもよし。まだあらびきヴルストがあったからアメリカンドッグもできる。ホットケーキミックスは万能。

 

 そして、ポケモン達と一緒に生地を混ぜ混ぜしたり、フライパンで生地をひっくり返したりしながらみんなで楽しくおやつを作る。ちなみにポケモン達の中で一番フライパンの扱いが上手いのはレアコイル。磁力で器用に持ち上げてのフライ返しは見事としか言いようがない。

 

「ぷら~ぷら~」

 

 そして、おやつを食べて片付けをしてタープの日陰で休憩しつつポケモン達が遊んでいるのを見守っていると、ランプラーがリュックからやみのいしを取り出して俺の方へ持ってきた。

 

「どうしたランプラー? もしかして、進化したいのか?」

「ぷ、ぷら~……」

 

 尋ねると、少しだけ悲しそうにランプラーが返事をする。進化を嫌がってる……って感じじゃないな。多分、エンジンシティでのカブさんとのバトルに出られなかったことが悔しかったんだろう。だから一刻も早く俺の力になりたい。強くなりたいってところか。

 

「ありがとな、ランプラー。お前の気持ちはすっごく嬉しいよ。でも、進化はもうちょっと先だ。レアコイルにも言ったように、今のお前の姿をしっかりと目に焼き付けておきたいし、()()()()()との思い出をちゃんと作っておきたいんだ」

「ぷら~」

 

 俺はランプラーを優しく撫でてやりながら言う。

 

「実はもう、お前を進化させるタイミングは決めてるんだ。せっかくの最終進化……しかるべき時に格好良くお披露目したいからな」

「ぷら~♪」

 

 俺の言葉にランプラーは喜んでくれた。親馬鹿みたいな発言だけど、そうなっても仕方ないだろ。自分のポケモン達が可愛すぎるんだから。

 

「ほら、みんなと遊んでおいで」

 

 そう言うとランプラーはご機嫌な様子で仲間達の輪へと戻っていく。ランプラーとレアコイルは任意のタイミングで石を使って進化させればいいから問題はない。

 

 あとはヨーギラスだけど、サナギラスまでは順調に進化できるだろう。ただ、最終進化……バンギラスへの進化は、ただ鍛えるだけではだめだと思っている。ヨーギラスが抱えている()()()()をどうにかしない限り、バンギラスへは進化できないだろう。

 

 それに関しても色々考えてはいるが───

 

「まーたマサルが難しい顔してるー」

 

 遊んでいるポケモン達を眺めながら考え事をしていると、ユウリが脳天気な笑顔で抱きついてきたのでほっぺたをぐにぐにしてやることにする。こいつはほんとにいつもいつも絶妙なタイミングで絡んでくるというか何というか……。

 

 でも確かに、こいつの言う通りあれこれ難しく考えすぎるのは俺の悪い癖だよな。多少はユウリの脳天気さを見習ってもいいかもしれない。多少は。

 

「ねえマサル~」

「なんだよ?」

「えへへ。膝枕して~」

「……あれって絵面は尊いけど、実際男の足なんて固くて寝られたもんじゃねえぞ?」

「わかってないな~。それがいいんだよ」

 

 そう言うなりユウリは俺の太ももに頭を乗せてきた。仕方ないなと思いつつ、ユウリの指通りの良い髪の毛を撫でてやると、ユウリはいつものふにゃふにゃした笑顔を浮かべた。

 

 お前ほんとにさあ……他の男にこんな接し方してたら大変なことになるからな。

 

 そんな風に呆れつつ、でもユウリのそんな笑顔を見て俺は自分の頬が緩んでいることを自覚していた。

 

「ねえマサル~」

「なんだよ」

 

 さっきと同じように、ユウリが甘えた声で俺を呼ぶ。

 

「……寝心地悪い」

 

 だから言ったじゃねえかと思いつつ、俺はユウリにデコピンをお見舞いしてやるのだった。

 

 

 

 

 

 

「よし。ヨーギラスもリオルも良い感じだな」

 

 休憩を終えて再びラテラルタウンを目指す。道中のトレーナーや野生のポケモンと戦いつつ、ヨーギラスとリオルの動きを確認していく。この六番道路には意外にもゴーストタイプのポケモンも生息しており、格闘技が無効化されるリオルは多少なりとも苦戦していた。

 

「ヨギィ……」

「どうしたヨーギラス? リオルみたいに軽快に動けないから不満なのか?」

 

 ヨーギラスがコータスを倒したところで声をかけるも、ヨーギラスは何やら羨ましそうにリオルを見ていた。俺も各ポケモンの細かい種族値なんて覚えてねえけど、ヨーギラスは進化しても素早いタイプのポケモンじゃなかったよな。ただ、それを補って余りあるだけの強力な武器があることは確かだ。

 

「いいか、ヨーギラス。確かにリオルはお前より素早くて、相手を翻弄する戦い方ができる。でも、お前にだってリオルにないすっげー強い武器があるんだ」

「ヨギィ?」

「お前の武器は何と言ってもそのパワーと頑強さだ。相手の攻撃を真正面から受け止めて、粉砕する。お前はそれができる男だ。それに、いつも言ってるだろ? このまま焦らず自分を鍛え続けていれば、いつか必ず最高に強くて格好良いポケモンになれるって。……俺の言うこと、信じられないか?」

 

 ヨーギラスは俺の言葉にふるふると首を横に振る。心配すんなよ。確かに、周りがみんな最終進化を控えてて、自分だけが遅れていると思ってるかもしんないけど、お前は典型的な大器晩成型なんだ。絶対に、お前が存分に活躍できる機会はやって来る。

 

 だから、俺を信じてついて来い。

 

「よし、じゃあ気を取り直して次は───」

「マサル! 後ろ!」

 

 振り返るよりも先に、俺の横をリオルが高速で走り抜けて背後から奇襲を仕掛けてきたポケモンを迎撃する。

 

 しかし、リオルの攻撃をかわしたポケモンは空高く舞い上がった後、急降下して俺達の前に立ちはだかった。

 

「……ルチャブル。格闘と飛行の混合タイプだね。どうするマサル? リオルもヨーギラスも相性が悪いよ」

「聞くまでもねえだろ。どっちもやる気満々だ」

「だよねっ!」

 

 俺達が指示を出すより前に、ヨーギラスとリオルは前に出てルチャブルを見据えていた。せっかくやる気になってんだ。不利とはいえ、ここはあいつらに任せよう。

 

「ヨーギラス、いわなだれ!」

「リオル、かみなりパンチ!」

 

 ヨーギラスが周囲の岩を崩して吹き飛ばし、リオルが雷を纏った拳をルチャブルへ叩き込もうとする。

 

 しかし───

 

「速ぇ!!」

 

 飛矢の如きスピードでルチャブルは二体の攻撃をあっさりと回避する。こいつ、こんなに素早いポケモンだったのか。いや、というよりも……。

 

「マサル。あのルチャブル……多分だけど、ワイルドエリアにいるような個体だよ」

「だろうな。明らかに、これまで戦ってきたポケモンとはレベルが違う」

 

 いつぞやのカビゴンやイワークと同類。そうだよな。必ずしも、ワイルドエリアにだけ強い個体がいるわけねえよな。

 

 だけど、好都合。お前にはヨーギラスとリオルが進化する糧になってもらおうか。

 

「来るよ!」

 

 一度距離を取ったルチャブルは高速で二体へ突っ込んでくる。狙いはどっちだ? リオルか、ヨーギラスか。

 

 ルチャブルは低空で真っ直ぐこちらへ突き進み、翼で薙ぐような構えを取った。

 

 狙いは、リオル。

 

「かばえヨーギラス!」

 

 リオルの前に飛び出したヨーギラスはルチャブルの翼を真正面から受け止めた。ヨーギラスが苦悶の表情を浮かべるも、歯を食いしばり、こらえる。

 

 これでルチャブルご自慢のスピードは殺した。あとは───

 

 いちいち目配せや合図を送る必要なんてない。俺がユウリのやりたいことを理解できているように、ユウリも俺のやりたいことを理解してくれている。

 

 リオルが飛び出し、ルチャブルへ向かって拳を振りかぶった。それに気付いたルチャブルが先程と同じように上空へと回避しようと試みる。

 

 だが。

 

「逃がすなヨーギラス」

 

 ルチャブルの攻撃を受け止めたヨーギラスが、飛び上がろうとするルチャブルの足を掴んでいた。ヨーギラスの重さは七十キロ以上、それに加えてこいつ元来のパワー。飛べるもんなら飛んでみやがれ。

 

「ヨーギラス」

「リオル」

 

 だから言ったろ?

 

 お前は「相手の攻撃を真正面から受け止めて、粉砕する。それができる男だ」って。

 

「ストーンエッジ」

「かみなりパンチ」

 

 リオルの雷を纏った拳を、ヨーギラスが隆起させた強大で鋭利な岩の直撃を受けたルチャブルは。

 

 弱弱しい呻き声と共に、地に落ちる。

 

 よってルチャブル───戦闘不能。

 

「ヨーギラス。少しは()()()、信じられたか?」

 

 尋ねると、ヨーギラスは先ほどまでの凛々しい釣り目ではなく緩やかな垂れ目になり、笑顔を浮かべて頷いた。

 

 それでいい。俺を信じるのも大事だけど、何よりも自分のことを信じてやれ。それが今のお前に一番必要なことだ。

 

「あおんっ!」

 

 そして、一緒に戦ったリオルがヨーギラスへと手を差し出し、ヨーギラスがその手をしっかりと握り返した。

 

 瞬間───

 

「わぁっ!?」

 

 二体が目を覆いたくなるような眩い光を発し、驚いたユウリが転びそうになっていたので支えてやる。

 

 ……きたか。

 

 俺は表情を綻ばせつつも、安堵した。これでようやく、最終進化への足掛かりを掴むことができたんだな。

 

 光が収まると、リオルからおよそ倍ほども背が高くなり、凛々しい表情を浮かべたルカリオが。

 

 くすんだ紫色の分厚い殻に包まれ、顔の部分は左右に四本の大きな棘が飛び出ている仮面のようになっており、頭の部分にも三本の大きな棘が生えている。

 

 これが、サナギラス。

 

 だけど、蛹っていうにはめちゃくちゃ硬い殻だな。身体の中で作ったガスを噴出して飛ぶらしいし、暴れると山が崩れるだの鋼鉄に衝突しても平気だのなんだの。とんでもねえな本当に。

 

「ぎゅぅん」

「ははっ、ちょっと声が低くなったか? 目もキリッとして格好良くなったじゃねえか」

「ぷら~ぷら~♪」

 

 いつの間にかボールから出ていたランプラーがサナギラスの周りを楽しそうにふよふよと飛んでいて、それを見てサナギラスも笑顔になった。心配すんなって。その殻の中では着実に、()へ向けた準備が行われてるんだからな。

 

「見て見てマサルー! 私のルカリオすっごいよ! も~、こんなに格好良くなっちゃって~!」

「くわんぬっ!」

 

 ユウリがデレデレした表情でルカリオに抱き着いていた。おっきくなったなルカリオ……それよりもその鳴き声何? いや、ワンパチの「イヌヌワン」も大概だけどさ。

 

「美人さんになっちゃってまぁ……」

「あお~ん♪」

 

 ルカリオを撫でてやると嬉しそうに尻尾をパタパタ振っている。その辺はリオルの頃から変わんねえな。

 

「これはもう!! 進化のお祝いカレー決定だね!!」

「今日の昼にカレー食っただろ。夜は別の料理でお祝いだ」

「なんでぇー!? ポケモンが進化したらその日の夜はカレーでお祝いするのがガラルの伝統だよ!」

「ガラルのカレーの歴史ってめっちゃ浅いからな」

「ぐぬぬっ……それならルカリオとサナギラスに決めてもらおうよ! 主役はこの二人なんだからさ!」

「いいぞ。サナギラス、ルカリオ。今日の晩飯、カレーがいいならユウリの方に、別の料理がいいなら俺の方に来るんだ」

 

 そう言うと二体ともあっさり俺の隣へとやって来た。残念でもなく、当然の反応である。

 

 その後、五歳児のように地団太を踏むユウリを適当に宥めつつ先へ進むと、ラテラルタウンの入り口付近で遺跡とクソデカいディグダの像を発見し、ユウリの機嫌があっさりと元に戻るのだった。

 

「なんでディグダなんだろうね?」

「形がシンプルで作りやすかったとか?」

 

 二人でしばらくぼーっと巨大ディグダ像を眺めていると、ラテラルタウンへ続く階段を誰かが駆け降りてくる足音が聞こえてくる。

 

 ユウリもその足音に気付いたらしく、二人で階段の方へ視線を向けると……不審者が俺達の方へ全力疾走してきていた。

 

「待ちくたびれたボルよ!! 大親友!!」

「人違いです」




 ラテラルタウンに到着しました。道中のトレーナー戦とかはばっさりカットです。化石もカット。いちいち細かく描写していたら話が全然進まないので、リオルとヨーギラスが進化するバトルだけ描写しています。

 六番道路のルチャブルは地味に苦戦した記憶がありますね。種族値が500で素早さが高く、意外と優秀なので。

 ラテラルタウンはあの雰囲気とBGMがめっちゃ好き。ディズニーのアラジンっぽさがとても好き。剣盾の街のBGMで一番好きかも。

 次回はボールガイと感動の再会を果たしたところからスタートです。がんばってジムミッションまで終わればいいな。あとそろそろ妖怪フェアリー婆に絡まれる頃ですね。

 ではでは、ここまでお読みいただきありがとうございました!

 次回もよろしくお願いします!

 私は執筆の合間に本作のマサルパーティで剣盾をプレイしていますが、マサル(でんせつのすがた)のリーグカード画像をそのうち載せようと思うので見たい人はここをぽちぽちしてください!

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