『カイリキーが倒れたーーーっ!! 勝ったのはマサル!! チャレンジャーマサル!! スタジアムは割れんばかりの大歓声に包まれています!!』
カイリキーが倒れ、俺はサイトウちゃんの顔を見る。彼女は悔しそうに、だけどどこか楽しそうに、満足げに笑っていた。
そうか。楽しい時間は、もう終わりなのか。
「お疲れ様、シャンデラ。最高に熱い一撃だったな」
「しゃら~ん♪」
ランプラーから一回りも二回りも大きくなったシャンデラを撫でてやると、シャンデラは目を細めて嬉しそうに俺の周囲をくるくると飛び回る。ははっ、成長しても中身は可愛いまんまだな。
「さあ、一緒にあいさつに行こう」
勝利の余韻に浸りつつ、シャンデラと共にバトルコートの中心へと向かうと、すでにサイトウちゃんが待っていた。ってか、今気付いたけどサイトウちゃんってずっと裸足だよな。足の裏の皮膚ガッチガチになってそう。
「ありがとうございました。本当に……本当に心躍る戦いでした。これほど胸が熱くなったのは、いつ以来でしょうか……。とはいっても、バトルは完敗でしたけどね」
「完敗? いいや、紙一重だよ。今回は俺の手持ちが知られていないっていう大きなアドバンテージがあった。にもかかわらず、ニンフィアとインテレオンがあそこまで追い詰められたんだ。
「ですが、そのような不利な状況下でも結果を出さなければならないのがジムリーダーです。そして……マサル、あなたは結果を出した。見事私に、私達に勝利した。お受け取りください。格闘バッジです」
サイトウちゃんと固い握手を交わし、バッジを受け取る。これで、四つ目。
まだ四つ目と考えるか、もう四つ目と考えるか……人によるだろうが、俺にとってみれば「もう四つ目」だ。八人のジムリーダーの内、半分を倒したってことなんだからな。
「サイトウちゃん」
「はい」
「ありがとう、俺をジムチャレンジに推薦してくれて」
彼女の目を真っ直ぐに見て、言う。
「サイトウちゃんが推薦してくれなかったら、俺はきっと……一生燻ぶったままだった。忘れていたものを、思い出すことができなかった。サイトウちゃんがいなければ……あの日、サイトウちゃんと出会っていなければ────今の俺はここにいない」
もしかすると、他の誰かに推薦されてこうやってジムチャレンジに参加することになっていたかもしれない。だけど、俺がこの世界に生まれて、初めて「ポケモントレーナーとしての自分」を思い浮かべるきっかけをくれたのは、君なんだ。
だから、ありがとう。
「君に会えて、よかった」
俺の言葉に、サイトウちゃんは唇をぎゅっと噛み締め、目を潤ませる。
そして、俺を力強く───抱き締めた。
「私も……私も同じです。あの日、あなたに……マサルに出会わなければ、今の私はここにいなかったでしょう。あなたは私に……ポケモントレーナーとしての在り方を教えてくれた。お礼を言うのは、私の方です。あなたに会えて、よかった」
俺もサイトウちゃんを抱き締め返す。あの時の俺は、その場のノリと勢いで言っただけだったのに……まさかそれがこんなことになるなんてな。人生って、本当に何があるかわかんねえや。
「チャンピオンカップで会いましょう。次に戦う時、私はもっともっと強くなっていますから」
「……期待してる」
そして俺達は抱擁を解き、最後にもう一度握手を交わした。互いに笑い合い、背を向ける。これでサイトウちゃんとの一つ目の約束を果たすことはできた。
だけど、二つ目の約束。
チャンピオンカップで会おうという約束。
こればっかりは、どうにも確約できないな。カブさんに勝つ……よりももっともっと困難で強大な壁が立ちはだかってるんだから。
俺は本当に、悪い男だ。「期待してる」なんて言葉で濁して。
誰よりも、自分に期待していないのは俺自身だって言うのによ。
……ふー。うっし! 切り替え切り替え! とりあえず控え室に戻るか。今後の予定をユウリと話し合わなきゃいけないからな。
そう思って、控室に戻ると……。
なぜかユウリが泡吹いて倒れてた。
何やってんだお前?
(ぐわああああああああああああっ!! その場の雰囲気に当てられたとはいえ!! 公衆の面前でマサルと抱き合ってしまいましたああああああああああっっっっ!!!! な、なななななんあにゃんという破廉恥なことを!!!! あ゙ーっ!! あ゙ーっ!! あ゙ーっ!! あ゙ーっ!! 私は一体何をぉぉぉぉぉ!!! なんてことをおおおおお!!! 忘れろ忘れろ忘れろ忘れろ!! 無理無理無理無理むぅーりぃー!! 忘れられないですよぉ!! 次にマサルに会う時どんな顔すればいいんですかぁーっ!! って!? またキバナさんから煽るようなメッセージがぁ!! うわーん!! 意地悪~!!)
「いいバトルでしたねぇ」
「ええ。マサルはサイトウとのバトルでまた一つ、殻を破りました。だけど、マサルの力はこんなもんじゃない。彼にはまだまだ強くなる余地が残っている」
「ずいぶんと期待しているんですねぇ」
「俺がマサルを推薦したかったと思っているくらいには」
ラテラルスタジアムのVIPルームで俺はローズ委員長、オリーブさんと一緒に今日のマサルとユウリの試合を観戦していた。俺もそれなりに忙しい身だが、俺よりももっと多忙な委員長が直接スタジアムに足を運ぶのは珍しい。
「そんなことを言うと、ホップくんが嫉妬してしまいますよ」
「それはないでしょう。おそらくホップは俺と同じくらい……いいや、俺以上にマサルを高く評価しているはずですから」
ナックルシティでたまたまホップと会った時、ホップは「兄貴に勝ってチャンピオンになる!」と言っていた。それまで俺の背中ばかりを追いかけて、俺に囚われていたのに……随分良い顔をするようになったなと思ったもんだ。あいつもどうやら殻を破ったようだし、俺が思っている以上に良いトレーナーになるだろう。
ただ、なんであいつはネズの妹と一緒に旅をしているんだ? 仲良くなるのは良いことだが……よし、ここは兄としてネズに連絡をしておいてやろう。「弟がいつもマリィくんのお世話になっている」と。普段は忙しくて兄らしいことをあまりしてやれないからな。こういうところでしっかりフォローをしてやらないと。
「やれやれ、大人気ですねえマサルくんは。さすが私の一推しなだけはある」
なるほど。わざわざ委員長がエンジンシティやラテラルタウンにまでやってきたのは、マサルの試合を観るためだったのか。委員長の人を見る目は確かだが……先にマサルに目を付けたのは俺ですからね?
「マサルくんだけではありません。ようやく、
委員長は人の心を見透かしたような目で俺を見た。
「言っておきますが、俺は一度たりとも、バトルで負けようと思ったことも、容赦したことも、手を抜いたこともありません。これまでも、これからも、ずっとです」
「ええ。もちろんわかっていますよ。だから君はずっと待っていた……期待していたんだ。自分を超えるトレーナーが現れることを」
「……マサルと同じことを言うんですね」
「ほう? いいですねぇ。実に、実にウチに欲しい人材だ」
「生憎ですが、マサルはいつかガラルを飛び出して世界を旅する男です。あいつを飼い慣らそうなんて思わない方がいいですよ」
「素晴らしい! うんうん! 若者はそうでなくちゃいけないからね!」
まったく、委員長の人材発掘癖も困ったものだ。そういった大人の事情に子供を巻き込むのはいただけないな。
だが、マサルのあのメンタリティ……というよりも、容易に飼い慣らせないくらいのメンタルでないとチャンピオンは務まらない。
そういった意味なら、メンタルだけならマサルはチャンピオンに向いている。あいつは周囲の期待やプレッシャー、重圧を、ただの現実として受け入れられるだけの人間だ。それにあいつは、エンタメが何たるかを理解しているしな。
純粋なトレーナーとしての才能、実力だけならば彼女が圧倒的に飛び抜けているが……彼女のメンタルは良くも悪くも普通の女の子。
だから、彼女が本当に大変なのは、俺に勝つことよりも───俺に勝った後だろう。
もっとも、負けてやるつもりなんて毛頭ないがな。
「今年のチャンピオンカップ
「今年のチャンピオンカップ
いずれにせよ、誰が相手だろうと関係ない。たとえ彼女が俺を超える才能の持ち主だろうと、俺を超える実力の持ち主だろうと。
勝つのは俺だ。
「ユウリ、歩きにくいから離れろ」
「ふしゃーっ!! がるるるるるるるっ!!」
「人間性だけじゃなく……言葉まで失くしたか」
控え室でなぜかユウリが泡を吹いて倒れていたので介抱し、着替え終わってスタジアムのロビーに戻ると警戒態勢のユウリが俺の腕にしがみついて周囲を威嚇している。何をしとんねんこいつは。
しゃーない。ユウリが満足するまでこうさせてやるか。そう思ってスタジアム内を見回すと、何人かのチャレンジャーの他にユウリファンの女の子が苦笑しながら俺達を見ている。お? サッチムシがレドームシに進化してんじゃん。
それに、マスコミ関係者もちらほら来てるっぽいけど、俺達に突撃してくる気配はないな。前にエンジンスタジアムで大手の独占インタビューを受けたから、何かしら圧力がかかってんのか? どこも大手を敵には回したくないもんな。俺達は楽だからいいけど。
そして、気になる人物がもう一人。
ロビーの柱の影から俺達をじーっと観察している……
そう思ってそのままスタジアムから出ようとすると、先ほどの少年が慌てたようにぱたぱたとこちらに走り寄ってきた。
「あ、あ……あのっ……!」
俺より頭一つ分以上小さい、十歳ほどの少年。まさか、こんなところで会うことになるなんてな。
「何か用かな? ジムリーダーオニオンくん」
内気で人見知りな少年を怖がらせないように、俺はかがんで彼と視線を合わせる。
「あ、え……ぼ、僕のこと……知って?」
「ガラルポケモンリーグ最年少ジムリーダーオニオン。知らない人間の方が少ないんじゃないかな?」
俺が笑顔でそう言うと、オニオンくんは恥ずかしそうに手をもじもじとさせている。うーん、これはいけません。ショタコン女どもが黙ってないですよ。
「それで、俺達に何か用があったの?」
「あ、そ、その……用ってほどではないのですが……えっと、その……そちらの人は大丈夫ですか?」
「ああ、ユウリのことなら心配ないよ。こいつ、時々こんな風におかしくなるから」
「そ、そうなんですね。あ、何かに取り憑かれているわけじゃないので……あ、安心してください」
「ふしゃーっ!!」
「……いや、取り憑かれてなくて普通の状態でこれだから安心できないだろ」
「はっ……!? た、確かにそうかもしれません……」
オニオンくんは仮面をつけていたから表情はわからなかったけど、きっとユウリに対して残念なものを見るような目を向けていたに違いない。
「あの……それで、ですね。マサル選手に、お聞きしたいことが……あって……」
「俺に?」
「は、はい……」
意外だな。てっきりユウリに用があると思ってたのに。俺に聞きたいことって何だろ?
「その……ぼ、僕もシャンデラを持ってて……シャンデラだけじゃなくて、ゴーストタイプのポケモンと仲が良くて……だから、その……えっと……」
オニオンくんは言葉に詰まりながらも、何かを俺に伝えようとしてくれている。やっぱ、人と会話をするのが苦手なんだな。こういう時は、先を促すんじゃなくてちゃんと言葉を待っててあげた方がいい。
「あ、あなたは……ゴーストタイプのポケモンが、怖くないんですか?」
オニオンくんは、俺が予想していなかったことを尋ねてきた。ゴーストタイプが怖い、か。感覚が麻痺しているところがあるかもしれないけど、ゴーストタイプって昔から図鑑の説明がおっかなかったよな。ヒトモシだってあんなに可愛いのに生き物の生命力を吸って燃えているとかなんとか……。
俺の寿命大丈夫?
「ん~……確かに、ゴーストタイプって怖い性質を持っていることが多いけど……でもさ、よく考えてみなよ。そもそも、ゴーストタイプに限らず、ポケモンって人間を遥かに凌駕する力の持ち主なんだ。だからさ、正直なところ……ポケモンに対する怖さはある。だけど、その怖さって、絶対忘れちゃいけないものだと思うんだよな」
ポケモンに対する恐怖を知らずに、何の知識も持たずに野生のポケモンに接すると、最悪の場合命を落とすことになりかねない。これは俺の勝手な想像だけど、トレーナーとして確かな実力を有している人ほど、ポケモンに対する恐怖をより強く感じているんじゃないかと思っている。
「でも、恐れるだけじゃない。ポケモン達と心を通わせることができると、たくさんのトレーナー達が証明している。だから俺は、畏怖しながらも、最大限の敬意と愛情を持ってポケモン達に接しているつもりだ。……まあ、あれだ。長々話したけどオニオンくんの質問に対する答えは『イエス』だよ」
オニオンくんは俺の言葉を聞いて、しばらくの間黙って俯いていたけど、もう一度顔を上げて俺の目を見る。
「な、なるほど……あなたは、ゴーストタイプに限らず……全てのポケモンに対して、
「そういうこと。これからもずっとポケモンと深く関わっていく以上、その気持ちだけは絶対に忘れちゃいけない……って、君はジムリーダーだから俺に言われなくても十分すぎるほどわかってるか」
「そ、そんなこと……ない、です。僕も、もっともっと……ポケモン達と心を通わせて、強く……なりたいので……。あ、で、でも……ポケモンと心を通わせる前に……人ともっとお話しできるようにならない、と……」
「俺とは普通に喋れてるじゃん」
「ま、マサル選手は……ゴーストタイプのポケモンを使っていて……さ、さっきのバトルでも、シャンデラがものすごくあなたを信頼していたから……それで、その……」
自分と同じゴーストタイプの使い手だから話しかけることができたってことか。なるほどね~。でも、この性格だとガラルのジムチャレンジシステムはしんどいだろうなぁ……それでもなんとか人見知りな自分を克服しようとしているところは好感が持てる。
うん、せっかくオニオンくんが勇気を出して俺に話しかけてくれたんだし、ここは一つ……。
「オニオンくん」
「は、はいっ……!」
「リーグカード、交換しよう」
「は、はいっ……?」
「あと、連絡先も」
「あ、え……? え……?」
「ほら、ユウリもリーグカード出せ」
「ごろにゃ~ん♪」
「ホップん
状況に付いて行けず、戸惑っているオニオンくんに半ば押し付けるような形で俺とユウリのリーグカードを渡し、スマホロトムで連絡先も交換した。
「オニオンくん、今日から俺達は───友達だ」
「と、ともだ……え? え?」
「これ、お近づきの印にウチの牧場のモーモーミルクと飴ちゃん。手持ちの子達と一緒にどうぞ」
「あ、あの……ってゲンガー……!? ヨノワールにシャンデラまで……なんで勝手に出てきて……」
どうやらオニオンくんのポケモン達が美味しそうな気配につられてボールから出てきてしまったらしい。なんでかウチのシャンデラも出てきて……オニオンくんのシャンデラとじーっとお互い見つめ合っていた。かと思うと、二体とも嬉しそうに俺達の周囲をくるくると回り始める。
「これがハロン流だよ、オニオンくん」
ゲンガー達が嬉しそうにモーモーミルクを飲んでいる傍らで、オニオンくんは状況に付いて行けずおどおどとしていた。
「あ、あの……いいんですか?」
「何が?」
「ぼ、僕……僕なんかが……友達で……」
「え? 当たり前だろ?」
俺が迷いなく答えると、オニオンくんは膝を抱えてその場にぺたりと座り込んでしまった。ちょいちょい!? いきなりどうした!? もしかして距離を詰め過ぎてうざいって思われちゃった!? だとしたらショック!! 年下にうざいって思われるのは普通にショック!!
「ご、ごめんなさい……ぼ、僕……ポケモン以外に友達がいなくて……う、嬉しくて……その……えへへ……」
あー、だめだめ! だめだめそんなの! ショタコン警報発令中! 俺が男でよかったな! もしもショタコンお姉様がこの場にいたら有無を言わさず拉致されてたよ!? 大丈夫? ジムトレーナーさん達に襲われたりしない?
って思ったけど、オニオンくんのジムトレーナーさんはおじいちゃんおばあちゃんばっかりだったな。きっとあれだ。孫みたいに可愛がられているんだろう。
「またいつか───機会があったらバトルしよう」
「は、はい……ぜひ。ぼ、僕は……強いトレーナーさんが……だ、大好きなので……」
その台詞、年上のお姉さんの前では言わない方がいいよ。
「じゃ、じゃあ……僕はそろそろ……帰ります。ほら、み、みんなもマサル
オニオンくんがそう言うと、ゲンガー達は俺に向かって頭を下げた。礼儀正しいなこの子達。
うむ。実に良き出会いであったな。
内気で心優しい少年との交流にほっこりと心が温かくなる俺だったが……。
「あ、マサルさん……ポーラちゃんの手紙───
最後の最後で、オニオンくんはとんでもない爆弾を投下して去っていくのだった。
え? なんで君がこの手紙のこと知ってんの? 俺、一言も手紙のことなんて喋ってないんですけど?
……なるほど、なるほど。
そういうことか。
ポケモンよりも怖いのは───人間だったってオチか。
「だとよ、ユウリ」
「くぅ~ん……え? ほんとに怖いんだけど」
急に正気に戻んなよ。そっちの方がこえーわ。
「やあ! 若人達よ。素晴らしいバトルだったね!」
「あ、ソニアちゃんだ~♪」
スタジアムを出たところで、出待ちしていたらしいソニアちゃんが笑顔で俺達に手を振りながら近づいてきた。なんでラテラルタウンに……って思ったけど、遺跡の調査か。でも、俺達が来て見たのってくそでかいディグダの像と前衛的過ぎて理解不能な壁画だけなんだよな。
「近くの遺跡はガラルの歴史を伝えてるって話なんだよ。といっても、レプリカなんだけどね」
「ほーん」
「……興味なさそうね」
「いや、別にそんなことないよ。ただ、今ふと思ったんだけどさ……ガラルの英雄が使っていた剣と盾がポケモンかもしれないって仮説を立ててるじゃん?」
「それがどうかしたの?」
「剣と盾のポケモン……つまり、ギルガルドのことでは?」
「はっ!? ということは、ギルガルドが手持ちにいるダンデさんが英雄の末裔!? それならあれだけバトルが強いのも納得できるね!」
「なんてこった……すべての辻褄が合ってしまった」
「全然合ってないよ! あんな方向音痴が英雄なわけないでしょ!?」
「英雄の伝承はガラルのあちこちに点在している……つまり、英雄も方向音痴でガラルの至る所で目撃されていたということでは?」
「はっ!? ということは極度の方向音痴なダンデさんはやっぱり英雄の末裔!?」
「なんてこった……またもやすべての辻褄が合ってしまった」
「天丼はやめなさい!」
えー? 割と良い線いってると思ったんだけどな。ギルガルドが伝説のポケモンかどうかは冗談としても、まどろみの森の奥にいるポケモンをひっそりと守り続けているのが実はダンデくんの一族だったのだ! みたいな展開になったりしない?
「それにしても、ユウリはやけにマサルにくっついてるのね」
「こいつ、俺とサイトウちゃんが仲良くしているのに嫉妬してたみたいで───」
「あおーん! あおーん!」
「こんな風に言語能力が急に低下するんだよなぁ」
「……マサルが色んな女の子にちょっかい出してるからじゃないの?」
「ついさっき可愛いショタっ子とも仲良くなったけどな!」
「ジュンサーさんこっちです」
通報すんのやめーや。内気で人見知りな少年と心温まる交流をしてきたばっかやぞ? 最後はホラーで終わったけど。
「まあいいわ。二人のジム突破祝いにソニアおねーさんがご飯奢ってあげるわよ!」
「さすがソニアちゃん! 大好き!」
「さすがソニアちゃん! 文字通り太っ腹!」
「マサルだけ自腹ね」
「でもソニアちゃん……へそ出しニットから見えるお肉がパンツのウエスト部分に乗ってるような……」
「え!? ほんと!? やばい!! ナックルシティで甘いもの食べ過ぎた!?」
「嘘だけど」
「……ギャラドス、はかいこうせん」
ガチパでダイレクトアタックしてくるのやめーや。ただ、今回ばかりは完全に俺が悪いので素直にソニアちゃんに謝ることにする。ってか、ソニアちゃんのガチパメンバー久しぶりに見たな。さすがにワンパチだけで旅をするのは無謀だったか。
「どうする? 露店に美味しそうなものがたくさん売ってたから食べ歩きしちゃう?」
ソニアちゃんが笑顔でそう提案してきた時のことだった。突如、地震を思わせるような激しい揺れとともにすさまじい轟音が響き渡った。
「な、何……今の?」
「上の方……遺跡から聞こえなかった?」
とっさにユウリとソニアちゃんが俺に思いきりしがみつき、不安そうに辺りをきょろきょろと見まわしている。周囲にいる人も驚いているだけで、怪我人がいる気配はないな。
「上に行ってみよう。古い遺跡だし、もしかしたら何かの拍子で崩落して怪我をした人がいるかもしれない」
「そうだね、行くよワンパチ!」
「イヌヌワン!」
そして、俺達三人が階段を駆け上がり、目に飛び込んできた光景は……。
「もっと! もっと破壊しなさい! ねがいぼしを掘り出すのです!」
ダイオウドウをけしかけ、壁画を破壊しようとするビート少年の姿だった。
はい。というわけでローズやダンデの反応を描写したり、オニオンくんと仲良くなっていたら話が進みませんでした。
オニオンくんもシャンデラ使いだから、マサルに懐いているシャンデラを見て興味を持つだろうなと思い、あんな感じで交流させました。内気で気弱で人見知りでおばけに好かれる体質なぼっちくん……前作ヒロインかな?
オニオンくんが女の子だったら確実にifルートのヒロインでしたね。きっとジムチャレンジが終わった後に、マサルがオニオンちゃんと一緒に世界を旅して、オニオンちゃんに知らないことをたくさん教えてあげるんやろうなぁ……。オニオンくんは女の子になっても一人称が「僕」であってほしい。
次回、マサルVS遺跡クラッシャービート
こ、これはもしや……オリ主が原作キャラにSEKKYOUする展開なのでは!? まあ、オリ主に限らず遺跡クラッシュは普通に説教案件ですけどね。ただ、過剰なキャラヘイトはしないとお約束しましょう。マサルらしく、現実的な手段で冷静に対処すると思います。
ではでは、次回もよろしくお願いします!
内気で気弱な人見知りおばけしゅきしゅき僕っ子ぼっち系ヒロインのオニオンちゃんifルートを見たい人はここをぽちぽちしてください!