とりあえず書けたものから投稿していこ
「~~♪」
人気のなくなったオフィスを横切り、いつもの場所からユグドラシルへログインする。
従兄弟に頼まれた件の後処理が終わってなくて社員たちは現場で走り回ってるが…仕事は終わってるし今俺が出向くような案件無さそうだからまぁ大丈夫
そんな感じで今や俺たちの拠点となった白夜街をぶらつく。
どこからでも見える中央のリゾートカジノに隣接している☆が三つ付くくらいの豪華なホテル、カジノからのおこぼれを得て成長しその周りを囲むように広がっている町々…
いやホント広いな!?
カジノとその周辺だけで町くらいあるし、カジノやホテル内部は更に別エリアになってるから普通のダンジョンの2~3個分くらいの面積がある。
流石ユグドラの4年目をほぼこの施設で持たせていただけある。…中身薄い分、報酬は美味しかったけどさー
あれから一週間ほど経つがやはり予定を合わせるのに無理をしてたのか5人以上ギルメンが集まっているとこを見てない。
まぁ来てたとしても自分のエリア改築の為に色々と作業していたからってのもあるな
誰がやったか知らんけど気付いたら拠点の拡張と作成NPCレベルへの課金が上限までされてたから1人1エリア、1NPCは担当しないといけなくなったんだよね
もっとエリアとか拠点NPC作りたい人は御曹司や窓際に相談しに行けって感じ
堅物や帝が張り切ってたっけ
ナルシストは自分用にステージを作り変えたいんだろうけど堅物はなぁ…あんま拠点NPCを量産しすぎないでくれよ?
とりあえず俺の担当するエリアの構想は出来たんだけど…う~ん一発芸みたいになりそう。
いくらユグドラシルがなんでもありで他所も防衛用のシステム外スキルなんかを開発しているとはいえやり過ぎかな?
思いついたからにはやるけどさシステム外スキル『時間停止エリア』
婆さんはアイテム作成用の調合室、窓際はギルメンの予定を確認できる事務室、兎っ子はテイムしたモンスター用の牧場など各自で取り組んでる。
あぁ限界まで拡張されていることを流された時の兎っ子の顔が千面相してて面白かったな
そんな感じで比較的時間に余裕のある俺は改築に必要なデータクリスタルや素材をありったけ集めたので宝物殿に放り込みにいくとこ。
ほら普段こんなに大量に落ちてもな~って感じだけど使う時は凄い量が必要なアイテムあるじゃんそんなやつを集めてきた。
ユグドラシル金貨は余ってるしこれで後必要なのはNPCに持たせる素材さえあればギルド拠点の改築は全部終えられる⋯それが一番だるいんだけどな!
まぁダンジョン攻略記念のオフ会を打ち上げにするって言ってたからそんな気にしてない
幹事を買って出た御曹司はそっちの準備もあって忙しく、俺も頼まれたことあるがそれも終わってるしあとは見とくだけ
…そんなことを考えているうちにギルドの最奥宝物殿に着いた。
ダンジョンを踏破した報酬は破格だった
まずはユグドラシル金貨だけど…
破格の攻略報酬金に加えて消費させられた量の3倍が帰って来た。なんとこれで俺らの所持金は1500億*1から5000億くらいになった!
うん微妙!いや普通のギルドそれもギルド拠点の維持改築でひーひー言ってるようなとこならこの報酬は破格なんだろうけどさー
俺ら金貨余ってるんだって!!
御曹司でなくとも闇鍋ガチャ引いてれば増えるし、ゴッズ級のアイテム作るにしたって一個5~10億もあればいい。
他に金がかかるのはギルド拠点の改築なんかだけど…確かにまとめて改築して2000億くらい吹っ飛んだけどまだ半分以上残っている訳でして…
『どうするよ…この金貨の山?』って感じ
まぁ今までのホームより預けて置ける額が増えたので置いとけばいいんだけどな。
あぁ素材やアイテムも大量に手に入った
ほぼカジノでの景品として置かれているものだったけど中には個数制限のあるアイテムもあったのでけっこう美味しかった、がこれは本命じゃない。
なんと【ワールドアイテム】*2が二つも手に入れた!
2つだぜ?あのクソ見てぇな課金イベで一位になっても1つしか手に入らないのにダンジョン攻略をしただけで2つも手に入ったのだ‼
これにはみんな期待で湧き立った。
ということで紹介しようこれが我らが新たに手に入れたWIだ。
【無尽の財貨】
『持ち主に汲めども汲めども尽きぬ財を齎す』
【あぁ汝一騎当千たる円卓の騎士よ】
『かの台座より劔抜きしモノよ――かつての英雄譚に相応しき雄姿と加護を』
う~~ん、分からん!
でもワールド系ってこんな感じの説明だけであとは勝手に検証してくれって放り投げてくるもんだから
【流転し交差する縁】だって『過酷な旅路に比翼の巡りあれ』としか書かれてない。
こっちはイベントの景品だけあってサポートNPC作れるって告知されてたから良かったけど、他の消費系WIは良く分からんまま使用条件が満たされることもあると聞くからなぁ…
で、その後に真の価値に気付いて使ってしまったプレイヤーがゾンビみたいにそのWIを求めるようになるまでがテンプレ
運営にもっと説明しろとかやり直させろとか言っても無駄☆無駄☆何の返事も帰ってこない
いや、あまりの電凸に苛ついたのか?ご丁寧に使ってしまったアイテムの説明をお知らせに乗せてたことあったっけ?
うっ…そいつプレイヤーネームも晒されて公開処刑されてたような?
しかもその後各ギルドがそのWIを巡って乱世状態になって…済んだことだ忘れよう
ということで分かってることだけ箇条書きにする
【無尽の財貨】
古めかしい一枚の金貨
ストレージに入れてると勝手に持ち主の所持金が増えていく。あと拠点の宝物庫へ置いておくと消費する分の金貨を肩代わりできる*3
拠点に設置した後に俺が傭兵モンスターを召喚しようとした時も肩代わりされていたから拠点に設置したときの効果は拠点内かつメンバーが使用する額であれば肩代わりできるっぽい?
【あぁ汝一騎当千たる円卓の騎士よ】
見た目は石に突き刺さった剣まんま
設置型アイテムみたいでギルド拠点ならどこでも置くことが出来た。剣を引き抜くことで効果を発揮し
このバフは強力かつ既存のバフとは全くちがう系統のバフとなり〈世界の護り〉や〈耐性突破(小)〉更にはステータスに10Lv分の加算するなど凄まじいの一言。
1対1の対人戦でこれを使えば並みのプレイヤーであろうとも悟空(ワールドチャンピオン)と勝負になりかねないほど破格のものだった。
では、これらのWIを確認した御曹司がこぼした一言を聞いていただこう
「ふざけるな!使えるかこんなもの‼」
はい、ということでこのWI俺らにとっては無用の長物というかどっちも使いどころがないんだよね…
察しがついてると思うけど【無尽の財貨】は金貨に困ってない俺たちにとっては有っても無くてもそう変わらないアイテム…
まぁWIだけあって持ってるだけでギルドランクとかには関わってくるんだろうけど、肝心な効果が金貨に困ってない俺たちに金貨が幾らでも使えるって言われてもってね。
いくら毎日食べるからってお米農家にお米一年分の懸賞が当たっても嬉しくないよねって話
そして【あぁ汝一騎当千たる円卓の騎士よ】
バフ効果だけ見ればぶっ壊れも良いところなんだけど…これ設置するとギルメン全員にバフが付与される
そしてそのバフの中に〈世界の護り〉が含まれていることが最大の問題、更にバフが破格すぎて裏がありそうとのこと
…うん、俺もそう思うWIとはいえお手軽にこのバフはやり過ぎてる気がする。だからどっかに落とし穴がありそうなんだよねー()
あー、なんで世界の護りが付与されるとマズいのかって?
〈世界の護り〉は【ワールドアイテム】の
ユグドラシル初心者も居るだろうし簡単に説明しよう!
まずユグドラシルっていうのはあのクソ運営が作った極悪ギミックが搭載されたモンスターやら地形やらバグを悪用してるプレイヤーで溢れている。
最近までギルドを壊滅させてアイテムを奪う強盗団みたいなギルド戦の連中が幅を利かせてたし、ナザリックがPKKギルドと言われるくらいにはPKプレイヤーもPkギルドもありふれている。
で、そんな中でWIを持っている証である〈世界の護り〉を纏っているのは私超激レアアイテム持ってます!って周りにアピールしてるのと変わらないんだ
<世界の護り>を見せびらかす…そんなことしてたら翌日からそいつは
だから今の上位ギルドはワールドアイテムの情報を完全に遮断して自分たちだけで検証を進めていたし、他の所も自分ギルドを突かれると困るので知らないふりをしていた。そんな状況だったんだけど燃え上がる三眼が、やっちゃったからな~
そもそも〈世界の護り〉って何の効果があるのかもよく分かってない謎バフ*4だ。
一応他のワールド系統の効果を打ち消すことが出来るらしいが…今のユグドラシルじゃそもそも誰もWIを持ち歩かないので意味がなく、ワールドチャンピオンの技には効果ない。
ほんと無駄に目立つだけで勘弁してほしいのにそれがギルメン全員に付与されるなんて事になったら…
いやぁウチのギルドホーム来月から満員御礼になること間違いなしだね…くそったれが!
因みに俺たちギルドの寡占状態である【流転し交差する縁】は珍しい事に所有権が移らないWIだ。
まぁ奪い取れるってなるとイベント終わりで勝った奴を100人くらいで待ち構えておけばいいからな。イベント自体の価値をなくさないための措置なんだろう。
ついでに言うなら【流転し交差する縁】で作ったサポートNPCを連れていても〈世界の護り〉は得られないが、その代わり作ったサポートNPCは〈世界の護り〉(小)を持つようになる。
という訳で大して役に立たないWIと役には立つけど使うに使えないWIを手に入れた俺たちのユグドラシル生活は特に変わりがなかった。
「あっ」
「おやツイてるじゃないかアーミー!」
ふらっと寄ったステージで劇の準備をしているナルシストに捕まってしまった。
「丁度良かった。君にこの僕による僕のショー、その記念すべき1人目の見学者の地位を与えようじゃないか」
「じゃあちょっと見ていくよ」
「あぁ、まもなく開演さ!」
そうしてステージの裏に去っていくナルシストとぺこりと頭を下げてその背を追うオトモの獣人
彼女のプレイスタイルには言いたいことはたくさんあるが、それでもコイツのショーに懸ける情熱は本物だ。音楽から照明、己のパフォーマンスに至るまで一切妥協しない。噂ではそんな姿に惹かれてユグドラシルをプレイするファンもいるらしいし、このゲームのグラフィックが格段に跳ね上がったのはナルシストのお陰じゃないかと言われるくらい。
ショーを最後まで見届けてから契約しているNPCの配置に頭を悩ませていたらあっという間に時間が経っていた。
ま、まぁ今日人少ないからバレないはず、バレないよね?
就業から少し経ったオフィスを忍び足で帰った。
「窓際のところへも協力は取り付けてきた、が本当にやるんだな?」
「総裁選のことかい? もちろんだよ次の総理大臣になるのはこの僕さ!うーん総理になったときの祝辞は何を言おうかな」
「ふん、今の政治家など企業の犬でしかないだろうに…」
片やはそこに居るだけで目を惹かれる男装の麗人、片や人々を統べるのが当然という覇気を纏う青年
自信満々に言い放つ麗人へため息を吐きながら現実を突きつけるも容易く跳ねのけるその様は心地良さすら感じる。
「だけどこの国を変えたいならまず政治から、さ!しかし君も意地が悪いね、ここまで準備してくれたというのに今更こんなことを確認するだなんて」
「…準備だと?俺は契約した分しか動いていない」
はーっはっはっは!
あのカジノのVIPルームすら超えた会場に高らかな笑い声が響き渡った。
「白夜、遠慮する必要はないさ!これまでの君の尽力が分からないほど僕は愚かではないよ」
「集めてくれたんだろう?僕と共に覇道を往く輝きを‼」
「はぁ…お前のそれは相変わらずだな」
確信したように白夜を見つめる瞳を迎え撃つ
「勘違いするな!俺の計画にお前が使えるから支援しているだけだ。それにアイツらはいつの間にかいただけだ。態々それもお前の為に集めた訳じゃない」
「というかお前、俺の運の無さは知っているだろう?少し探しただけで手に入るものかあんな奴らが…」
そう吐き捨てる青年をみて面白いことを聞いたと目を見開く。
「おや、知らなかったのかい?君は不幸の神に愛されているけれど、人との縁を結ぶ神様にも愛されているのさ」
「…なんだと?」
「なんたってこの僕が幼馴染なんだから、さっ!」
「…聞いた俺がバカだったな。準備に戻る」
そうして2人の密談は幕を閉じた。
「ところで彼女、失うには勿体ないと思うけど」
「ふん、ネズミには当然の末路だ。しかしまぁ…もしここまで辿り着けたのならお前のそれも考えてやろう」
「替え玉も既に用意しているしな」
そういって今度こそ青年は部屋を出ていった。