「いい加減にしろよ!この…クソ運営がぁぁ~!」
とある墳墓の地下深くで骸骨が吠えていた。
骨しかない顔なのにマジで切れてることが分かる。
「あの~、なんであんなにモモンガさん荒れてるの?」
今来たばかりのバードマンが近くにいた陰陽師風の男へ小声で話しかけた。
「あー、今ギルドの管理機能が調整中らしくてギルドメンバーから金貨徴収出来なくなっててね。だからモモンガさんほぼ一人でで金策してるんだよね」
一部始終を知り見守っていた男が丁寧に説明する。
「えっ、ヤバくないそれ?ギルドを維持する金貨無くなったらギルド拠点って崩壊するんじゃなかった?」
「うんその通り。マジのマジでナザリック崩壊の危機だよ」
「はぁ~~っ!?いやマジでヤバいじゃん折角高難易度の拠点出来たのにすぐに崩壊なんてシャレにならなってない!俺まだシャルティアの職業とか決めてないのに~っ!!」
慌てるバードマン、その様子を見て愉快そうに笑う陰陽師。
「あはは、もう笑うしかないよね。タダでさギルド拠点の改造でみんな金貨が底を尽きそうになってたのに…しかも僕たちみたいにギルド拠点獲ってるところ多くないから後回しにされる可能性が高いっていうね」
たはー、どうしようかねこれ?
まるで緊張感なく笑う男にバードマンがキレた。
「いやいや、笑ってる場合じゃないでしょ!…と、とりあえずモモンガさんに俺の持ってる金貨全部渡してくるッ!」
金色のバードマンが必死にギルド予算を計算している骸骨の元へと走っていった。
「うぅ…っ 皆さんのお陰でナザリックの維持費の問題が解決できそうです。本当に、ありがとうございます」
円卓の間でギルメンたちが集まったそこで骸骨が感謝の言葉を伝えていた。
「いいってことよ。こんな早くに拠点が無くなったら堪らないぜ」
「私たちの問題でもありますからね。まだメイドたちのデータも発注していないのですから」
「当たり前じゃないですかー。でも今度拠点NPCのクラス取得手伝ってくださ~い!」
「当然のことをしたまでだよ。あとで仕掛けるトラップの相談が…」
「そんなことよりゴーレムの素材獲りにいかね?」
ギルメンからの温かい声にまた泣きそうになる骸骨。
当然のように一部のトラブルメイカーたちの発言を聞き流す姿に今までの彼のギルド長としての経験がうかがえた。
「それでは第三回ナザリック大墳墓でのギルメン会議を始めます」
緩んだ空気を締め直してギルドメンバーらに早急の議題を提示する。
運にもスキルにもギルメンに恵まれてナザリック大墳墓を手に入れたがやることは幾らでもある。その全てを解決しようとすれば間違いなくパンクするので問題の一つずつ一つずつにメンバーの力を集中させて乗り越えなければならないのだ。
「まだ拠点化したばかりでやりたいことや話したい事が色々あるでしょうけど…一つ一つ解決していきましょう!最後にはいつもの多数決を獲りますので…」
調子を取り戻した骸骨が音頭を取り、ナザリックでの白熱したギルド会議が始まった。
「よっ、待ってました!まずは拠点NPCの為の装備とスキルの拡張を!」
「侵入者への対処が先だろう?こんなに拡張性が高くて開発し甲斐があるんんだどこまで悪辣なトラップが許されるのか実験するのが先だよ」
「転移事件も落ち着いてきたとはいえ未だに困っている人がいるのですからその人たちを助けに…」
己のやりたい事を最優先するギルメン
「ふざけるなタッチ!もう他のギルドも幾つかアースガルズに入ってきてるんだぞ、ナザリックへ攻め込まれたらどうするつもりだ?」
「あっ、モモンガさん。私はエリアの外観・景色を発注しにミレニアム*1まで行ってきます。私もデザインの作成に加わりますので来月までの金貨渡しておきますね」
「クリエイト・ゴーレム…(ぼそっ)」
相手の意見に反発する人、既に行動してる人、会議そっちのけで遊び始めたヤツ…
そんな個性豊かなギルメンらの相手にし目を回しながら骸骨は話をまとめるために奮闘する。
「あー!まずは皆さんのやりたいこと毎に分野を決めますので!…では、NPC強化したい人は挙手を!」
骸骨の絶叫が近い声がナザリック大墳墓に響き渡った。
「皆さんお疲れ様でした。次の会議は今回決まった『ナザリック拠点の強化』がある程度めどが付いたら行いますので。それまでは各々作りたいNPCの強化や素材集めなどをしていきましょう」
「はーい」
「よし気合が入るぜ!」
「ゴーレムの素材…」
「ふむ私は何をしようか…」
別れの言葉を残しながらギルドメンバーたちが会議室から去っていった。
「…ふぅ」
思わずため息が出る。
いきなり任せられたギルド長という重責が肩に圧し掛かる。
他にも個性的なギルドメンバーをまとめるための気苦労、ナザリック攻略によるギルド拠点の改造、しかもこのクソ忙しい時にクソ運営がギルド長の権限を制限し始めるし…
本当にここ数か月だけで色々なことが起こったんだなぁ…
そんな中行われたギルド会議が穏便に終わったのだから、少し気が抜けたところで文句は言われないだろう。
手元にある招待状を見返す。
有力ギルドの長たちが集まる集会への招待状。手元にあるそれはアインズ・オール・ゴウンが上位ギルドとして認められた証でもある。
だからそんなナザリックのギルド長たる俺が無様を晒したら…と考えると
うぅ…認められた嬉しさとそれだけの上位のギルド相手にアインズウールゴウンの長として対等に振舞わねばならない重責が…
骸骨には無いはずの胃がキリキリする。
「モモンガさんどうしたんだいそんな顔して?」
お腹を押さえていると声が掛けられた。
「朱雀さん、えーっとですね。なんとアインズ・オール・ゴウンにもあのギルド会への招待状が送られてきましてね。それで今度の交流会に出席してこようかと」
話しかけられて振り向くと死獣天朱雀さんがいた。
彼はギルドでも大人びた性格でギルメン同士が喧嘩していても外から見守っていることが多い穏やかな人だ。知識も優れていてギルメンたちからもご意見番みたいな扱いを受けていたりする凄い人だ*2
「ほぉ、それは凄い。アインズ・ウール・ゴウンも今回のナザリック攻略と【ワールドアイテム】獲得でギルドランクを上げたからね」
「ふふっ、そうかモモンガさんに招待状が…いやー周りに認められるって嬉しいことだね」
嬉しそうにそのことを喜ぶ朱雀さん。
「そうなんですよ!ついにアインズ・ウール・ゴウンも上位ギルドとして認められたっていうか!それが証明されたようで嬉しいですよねっ!」
「うん、分かるよ。自分の研究が認められるのは嬉しいよね。それが仲間と共に築いてきたものなら猶更だ」
子供みたいにはしゃぐ骸骨に相槌を打ちながら二人でこれまでのギルドの思い出を話す
「それで…その事を考えていたらお腹が痛くなってきて…」
彼ならリアルでもそういう場に出向くことも多いだろうし、力になってくれるかもしれない。相談するにはもってこいの人だろう。
そうして朱雀さんに胸の内を曝け出した。
「ーーーという訳なんですよ」
「なるほどね。初めての研究発表会にいく生徒みたいなものか」
「研究、発表会ですか?」
研究か、あまり聞きなれない言葉だ。そんなものは鈴木悟の人生では縁のないモノだったから
「あぁ、いや気にしないでくれ。…そうだね僕がアドバイスするなら『緊張するものは緊張するんだから失敗することを考えるより当たって砕けたらぁ!』…って気持ちで行くことかなぁ」
「砕けてるじゃないですかーッ!」
少し考えてから出た言葉は想像以上に脳筋なものだった。
いつもの知性的な彼はどこに行ってしまったんだ…
「いやいや案外馬鹿にならないんだよ。あれこれ考えて小さく纏まるより、とりあえず大きな声で自分の考えを言うっていうのはね」
うぅ、いつもの穏当な物言いに戻った。それに含蓄ある言い方だし本当にそれでいいのかな?
俺より朱雀さんの方が分かってそうだからなぁ…
「そうですか。ではそんな風にやってみますね」
「ふふっ、モモンガくんはホントに素直で良い子だね。…おっと失礼!そうだ他にはどこのギルドが来るのか見せて貰ってもいいかい?」
「えぇ朱雀さんとはけっこう年が離れてるようですし別に良いんですけどね。はい、どうぞ」
「ありがとう」
朱雀さんとの会話が終わる。朱雀さんが渡した紹介状を見ている間、今度の会議での自分のイメージをしてみる…
うっ、こんな凄いメンツの中にアインズ・ウール・ゴウンを代表として行くんだな。
…お土産とかもっていった方が良いんだろうか?
偶に聞こえてくる上役会議などでは席順とかも細かく決められていて、毎回恒例の新人いびりとかがあるときく…
このギルドも同じような暗黙の了解などあったら学のない自分ではどうしょうもなくなる。やっぱり朱雀さんやプラネットさんに行ってもらうべきじゃ…
「アルゴノーツ…」
招待状を眺めていた朱雀さんがあるギルドの名前を呟き、その声がモモンガのネガティブな想像が断ち切られた。
「・・・・・」
どうしたんだろ朱雀さん、黙り込んで…
なんというかいつもニコニコしているか、ウキウキで厨二っぽい詠唱を唱えてる朱雀さんらしくないな
我に返ったモモンガが朱雀の態度に不審に思い
「アルゴノーツがどうしましたか?確かにあそこのギルドも間違いなく上位ギルドですけど…流石に人数が少な過ぎますよ」
「ギルドになりましたが人数的にもクランと変わらないので参加できるイベントも少ないはずですよ…アインズ・ウール・ゴウンと競合することは少ないと思いますけど」
あぁ…でもこの前あの海原商事の娘って人が入ったんだっけ?
噂が本当なら課金アイテムに困らないだろうしガチャも回し放題なんだろうなぁ…
あとメンバーのスペックイカれてるとか、これ絶対イカサマしてるだろ!サッサとBANしろよ運営だとか…お金持ちへの妬みもあって色んな噂が絶えないところだったっけ?
ひぃひぃ言いながら無課金でやってる身としては羨ましくてたまらないなぁ…
朱雀さんが呟いたギルドについて思い起こしながら朱雀さんさんを見ると…目を合わせずに暫く視線を彷徨わせた。
そうして覚悟を決めたように真正面から向き合ってくる。
「…モモンガさんはユグドラシルで一番敵に回してはいけないギルドってどこだと思う?」
朱雀さんが小さな声でぼそっと質問してきた。
「えっと…2チャン連合ですかね。ギルドランクも一位ですし、何より所属しているメンバーの数が違います。情報も一番多く集まってるでしょうしどこのギルドでもあそこを敵に回したらヤバいですよ」
「うん、そうだね。実質数千人がいるギルドだからねあそこ。敵に回したらどこもひとたまりもないと思うよよ」
「ですよね。じゃあ次の集まりで…」
やっぱり2チャン連合に睨まれるとヤバいよなー。ギルド長会議でも目を付けられないようにしないと…
「でもね…」
「はい」
「私が一番気を付けないといけないと思っているのは『アルゴノーツ』…だよ。あまり大きな声では言えた話じゃないけどね」
「えっそれはどういう…?」
朱雀さんが声を潜めて耳打ちしてくる。
「あそこのギルドはね…リアルではトップもトップ…最上級階層の人たち集まりだよ。
「はっ…?」
言っている意味が分からなかった。
アルゴノーツの人たちが凄いお金持ちな事は知っているけど…ユグドラシルを、買える?
朱雀さんは何を言っているんだ?
「ははっ、いやいやマジの話さモモンガさん…彼らを敵に回しちゃいけないよ」
「最近どこかのギルドがやらかして彼らの気が立ってるかもしれないから…一応それだけ伝えておこうかなって」
朱雀さんはもうすっかり何時もの雰囲気に戻っている。今も変態バードマンと笑いながら話していたときのそれと全く同じ表情、声音で真意が掴ませない。
「……そんなに、なんですか?」
「…うん。これは僕の推測なんだけど。あそこに居るギルドメンバーの一人は多くのアーコロジーで大学を運営している理事の一人だ。彼女の一声でアーコロジーにある大学が一つ無くなってしまうくらいのね」
「・・・・」
言葉が…出ない。
大学だと?
高校でも高次の資格として信頼と安泰な人生が認められるというのに…
大学…それもそこに通うのではなく運営する側、しかも複数のアーコロジーに跨り一つくらい潰せるときた。
でも前にいる朱雀さんも心なしか表情が固い。つまりそういうことなのだろう…
正にアーコロジーの外側でなんとか生きている自分なんかとは次元が違う存在。
正直そんな雲の上の人たちが集まっているギルドとなんて関わりたくない、けど…
「モモンガ、さん…?」
呆気に取られている朱雀さんを見ながら続ける。
「だってそうじゃないですかっ。お金も時間も余裕もあって他にどんなことでも出来る人たちが態々手間と時間を掛けてまでユグドラシルで遊んでいるんですよ!」
「それだけユグドラシルが面白い最っ高のゲームだってことじゃないですか!」
「・・・・・」
どうしたのだろう?朱雀さんが固まってしまった。
なにかおかしなことを言ってしまっただろうか…?
「くっ…はははっ」
「ふふっ、マジで、モモンガさんは…」
扉から笑い声がした。
「ウルベルトさんっ!ペロロンチーノさんまで!?」
振り向くと扉の前で二人が腹を抱えて笑っている。
「何なんですか!盗み聞きは良くないですよ!という何時から聞いてたんですか!?」
相談していたことが事なだけに恥ずかしい!とくに口の軽いペロロンチーノさんなんて知られたらどこまで拡散されるかたまったものじゃない!
「あー、俺は一緒にシャルティアの装備の話をしに来たら話してたからつい。ふふっ…」
「私は誘われて一緒にね、今度ギルド長会議行くのだろう?いや~興味深い話が聞けたよ」
「ほぼ最初からじゃないですかーっ!?」
会議室に入ってからも笑いをこらえきれない二人を追いかけまわす骸骨。
その羽を毟り取ってやろうとしたところで後ろから笑い声がした。
「ふふっ。僕の杞憂に過ぎなかったね」
どこかさっぱりした雰囲気の陰陽師が静かに震えながら追いかけごっこをする三人を眺めていた。
「ほら!朱雀さんだって笑ってるって!」
掴まれた羽をはがそうと必死で身をよじるバードマン。
「朱雀さんまでーッ!?」
あはは…ってなにぃ!?
逃がしませんよウルベルトさぁ~ん!
相変わらず君たちは仲がいいねぇ…
ていうか皆さんに笑われるようなこと言いましたか私ッ?
楽し気な異形たちの声がナザリック大墳墓にこだました。
「疲れた…けど思っていたより楽しかったな」
ギルド長会議が終わった帰り道一人ごちる。
会議の方は勝手が分からずいつもの調子で調整役をやってしまったけど。
まぁあれは談合みたいな面が強かったのでよかったかな?
ギルド長会議と言っても上位のギルド同士が不用意にぶつからないようにするための普通の会議だった。主に今どこらへんで活動してるとかフィールドで見つけたバグの報告、他所とのギルドメンバーで起きたいざこざの仲裁などが主な内容だ。
ギルドでやってる事の詳しい話はしないし、あの場で真っ赤な嘘を言っても良いらしい。
まぁその場合、後から上位ギルド同士で問題になった際に不利になるみたいだけど…まっ妥当なところだろう。
その後の雑談での運営への不満や仲間との冒険の話は共感できるものも多くて色んなギルドの人たちと話し込んでしまった。
お陰で何人もの人たちと仲良くなり連絡先を交換した。
こういう人たちは事情通が多く、何かあった時に相談できるというのは心強い。
朱雀さんの言っていたアルゴノーツのギルド長とも少し話したけど…うーん、穏やかな感じで朱雀さんみたいな感じだったな
でも確かに、昼行灯みたいに掴みどころがない人ではあったかな?
あまり向こうから話してはくれなかったけど、俺の話をニコニコと聞いてくれてたので不評は買っていないと、思う…
いや、明らかに俺だけ喋ってたよね!流石に話過ぎたかも!?…とちょっと反省していると
「おい、お前」
「えっ!?あの、自分ですか?」
後ろからから高圧的な声で話しかけられた。
うわぁ、ゲームでしかありえないような美形だ。それに思わず平伏しそうになるプレッシャーにカリスマがあるというか…
キャラカスタマイズ凄い力を入れてるんだな…なんて現実逃避気味に思っていると
「そうだ、会議後の雑談会で楽しくおしゃべりしていた骸骨…貴様だ」
ひゃー!あの会議に居たってことは上位ギルドの幹部の一人じゃん⁉
なんか怒ってるみたいだしここは穏当に…
「あのすみません。初めてだったもので加減が分からず、ご不快にさせたのでしたら申し訳ありまs…」
「…不快に?」
何故か首をかしげられた。
「まぁ良い。お前にとってこのゲームとはなんだ?」
「あれだけユグドラシルについて熱弁していたのだからな、聞きたくなった」
俺の問いに答えるのが当然という態度で質問?尋問されている…というのに全く嫌な気にさせない。
なんだこれ始めて感覚だ…
「 」
問われるがまま思ったことを口に出すと
「はっ」
イケメンから鼻で笑われた。
言えと言われて思ってることを言っただけなのに流石に酷くないか?
なのに目の前の男の覇気にこれが当然の事であると分からされる。
「だが、まぁ悪くない…コイツならばうちでもやっていけるか?」
小声でなにか呟いてる。
さっきから全く口を挟む間がない…というよりこれは会話ではないのだろう
「決めたぞ。骸骨。お前を俺たちのギルドへの加入を認めよう」
此方を向いたイケメンが手を伸ばしてくる…
「俺の手を取るがいい」
俺は伸ばされた手を……
静寂が満ちていたフィールドに声が響き渡った。
沸々と怒りがこみあげてくる…
俺にアインズ・ウール・ゴウンを辞めろ…だとっ?
ふざけるのも大概にしろ。
俺がナザリックのみんなを裏切るような真似するはずないだろうが!!
「ふむ、しかしお前のギルドに伸びしろはそう残されてないだろう。しかしお前のユグドラシルへの熱量も稀に見るものだ」
「お前に着いていける仲間がいるとは思えないが?」
怒号にも全く動じず冷静に分析することを辞めない男。
というかコイツ今なんて言った?
…俺だけでなくギルメンのことも馬鹿にしたのかッ⁉
ふざけるなよ今日会ったばかりのお前に…
お前なんかに…俺の仲間たちの何が分かるっていうんだッ………!
「…ふふふっ、はーはっはは!」
「ふむ?」
怒り過ぎて笑えてくる。
「そこまで言うなら勝負といこうじゃないか!」
「俺が仲間に恵まれていないというならっ、お前が俺たちの作ったアインズ・ウール・ゴウンに将来性がないと言うのなら…ッ!」
舐めるなよ…アインズウールゴウンを!
この偉そうな男へと宣言する。
お前たちを打ち倒す!
目の前の男にも負けない気力を滾らせて骸骨がそう宣言した。
荒野に静寂が支配した。
非戦闘領域のためモンスターの音もしない、時たま吹く風の音だけが聞こえるそんなところで
「面白い…」
ニヤリと口元をゆがませた男から荒々しい覇気が零れた。
「……っ」
うぇ…ッ、あれで抑えてたっていうのかこの人⁉
絶対タダモノじゃないじゃん!
…だけど俺もギルドを背負ってるんだ、負けてやれるか!
物理的な重圧を放っている男を睨みつける。そうして…
「・・・・・」
「良く吠えたな骸骨…その言葉覚えておこう」
そう言って男は踵を返して去っていった。
完全にその背中が消えるまで俺はその場を動けなかった。
「はぁ…」
「一体、なんだったんだよあの人…」
プレッシャーで竦んだ身体を伸ばして、ようやく一息付けた。
でもやっちゃったなー
アインズウールゴウンは多数決で決めないといけないのに、俺一人で決めて宣言してしまった。
明らかに只者ではない男が所属するギルドを超えてやる宣言…
俺一人だけで頑張ったところで敵うはずがない、アインズ・ウール・ゴウンのギルメン全員で取り組まないといけない目標だ。
ギルドメンバーの皆をどう説得しようか…そんなこと考えながらナザリックへとテレポートした。
「……っていうことがあったんですよ~」
後日ギルド会議室でモモンガがギルド長会議で起きたことを話していた。
「はぁ私がアインズ・ウール・ゴウンを辞めるはずないのに…っ!今考えても腹が立ちます…ほんと失礼な話ですよね!」
アインズ・ウール・ゴウンの仲間を誇りに思っている自分が勧誘されたことを思い出しプンプンと怒っている骸骨。
「そうだよ!モモンガさんは俺たちのギルマスなんだから、何を言われたってあげませんよ!大体そっちが勧誘してるのに来てもいいって何様のつもりなんだか!!」
「うん、モモンガお兄ちゃんが居なくなったら寂しくて泣いちゃうよー。…よく言ってくれたわモモンガさん!そんなふざけた勧誘してくる奴なんてロクなヤツじゃない、絶対いつかぎゃふんと言わせてやりましょう!」
モモンガが勧誘された話を聞いて珍しく息を揃えて兄妹が気炎を上げる。
「ぺロロンチーノさん、茶釜さん…ありがあとうございます。そうですねどこのギルドか聞くの忘れてましたが絶対にアインズ・ウール・ゴウンの方が上になるように力を入れていきましょう!」
「「「「「おー!」」」」」
その場にいたギルメンの殆どがモモンガさんを引き抜こうとしたギルドを打倒するために結束の歓声を揚げた。
「「「・・・・・」」」
ボルテージの上がった会議室の中
冷静に状況を分析してモモンガさんが一体誰に啖呵を切ったのか察してしまった人が数名。
「…たはは。これは一層気を引き締めるしかないですね」
語尾が弱まっている陰陽師
「んー、あー。えっと…」
「まじ、なのか…」
悪戯しようと天井に仕込んでた仕掛けのこともすっかり忘れて呆然としてるゴーレム使い
「…モモンガさん」
頭痛でもしているのか頭を抱えている大悪魔
彼らはモモンガが誰に喧嘩を売ったのか理解してしまっていた。
その難易度の高さを知って頭を抱えていたが…
ふと三人の視線が交差する。
「「「…ふふっ」」」
「僕も仲間に入れておくれよ」
「偶には他所のギルドに一発かましてやるのも悪くない」
「そういうことなら入念な計画を立てようじゃないか。私も知恵を貸すとも」
そうして彼らもギルメンたちの中に消えていった。
モモンガの宣言通り『アインズ・ウール・ゴウン』がユグドラシルでその名を轟かすまであと…
少しだけナザリックが強化されます。
モモンガさんはギルメンたちも好きだけど、ユグドラシルのことも大好きだと思います。
じゃないと2~3年もギルドの維持とかやってられないよね?
wikiにある魔法やアイテムを丸暗記とかヤバいんだよな…
誤字報告ありがとうございます、いつも助かってますm(__)m
気付けば評価してくれる方が30人も!
ホント小説を書くモチベーションとなってます。感謝!