自分が今いるのは、現実ではなく本の中…もっと言えば、物語の世界。士道がその事に気付いたのは、割と早い時点だった。自分が豚の着ぐるみを着ていたり、藁の家で寝ていたり、初めに会った人物(?)が喋る狼だったりと、幸いにもその可能性に至れる要素が早い時点で揃っていた。…その狼には襲われた為、幸いと言えるかどうかは微妙なのだが。
そこから士道は逃げる中で赤い頭巾を被った四糸乃と出会い、瞬間移動というか役割チェンジをしたかのように再び襲ってきた狼に追い詰められ、窮地をきび団子を持った十香と、一人だけ方向性が色々違う二丁拳銃スタイルの二亜に助けられた。きび団子でお供になった狼の案内を受けて城下町へと行き、そこでマッチを沢山持った琴里と、洋菓子を沢山持った耶倶矢、夕弦とも合流し、不思議な歌声をした人魚と会う為に城へ向かった。自らの天使の力…ではなく、魔女に変身させてもらったらしい七罪とも城門前で出会い、兵士とすったもんだした末に城内へと入り、やはり美九であった人魚と再会した末……なんとこの城下町、というか国の王は、マントと王冠以外は身に付けていないようにしか見えない折紙であったと判明した。そこに至るまでにトンデモな展開が続いたが、何とか全員と再び会う事が出来た。
これで後は、元の世界へ戻るだけ。その為には二亜曰く、物語において登場する、願いを叶える力を持ったアイテムや空間移動能力者、或いは物語の世界から出てきてしまうような存在が必要との事だったが、それも王である折紙が捜索の御触れを出せばいいという話になった。漸く何とかなりそうな状況となり……だがそんな中で起こった、三度の狼襲来。更にはきび団子効果の切れたらしい狼に続いて、様々な作品の悪役(何故か自分達からやって来た鬼とか、そもそも悪役じゃなかったり作中に登場してなかったりした人物もいたが)も現れ、一気に窮地となってしまった。多勢に無勢に加えて、今は士道も精霊達も本来の力が使えず、物語由来の戦闘能力を持っていた数名が何とか応戦出来るかどうか程度の状態に陥り…士道には、何もする事が出来なかった。自衛もままならない皆の姿に、六喰の言葉が…自身のエゴが、助けたかった精霊達をむしろ安全から遠ざけてしまっていたのではないかという思いが頭を過っていた。そして……正に、その時だった。どうしようもない、どうする事も出来ない危機の中で、一つの声が聞こえたのは。それに続く形で、一太刀の斬撃が四糸乃を捕らえていた狼の腕を両断し──天使を携えた、一人の少年が現れたのは。
「さあ、悪役共。俺が相手をしてやる。この精霊の守護者──五河士道がな」
天使…〈
「大丈夫か、シドー!怪我は!?」
圧倒的な戦闘能力で『士道』が大立ち回りを始める中、つい先程狼に打撃で吹き飛ばされ、立ち上がるので精一杯だった士道の下へと、十香が…桃太郎という、数少ない明確な戦闘能力を持った『キャラクター』となった彼女が、自身も劣勢で手負いとなっていたにも関わらず駆け寄ってきてくれる。
十香だけではない。赤ずきんの四糸乃、マッチ売りの少女の琴里、ヘンゼルとグレーテルの耶倶矢と夕弦、人魚姫(人魚の為皆に担がれてきた)の美九、シンデレラの七罪、裸の王様(!?)の折紙……そして、『
「彼、どう見ても士道……よね?士道、貴方分身の術とか使えたの?」
「いや、忍者に弟子入りした覚えはないけど……」
そんな馬鹿な、と士道は琴里の問いに否定で返す。ここは物語の世界である為、士道が忍者や魔法使いのキャラクターになっていたのなら話は別だが、士道がなっていたのは三匹の子豚に出てくる長兄…即ち、一番最初に食べられる豚。どう考えても分散など出来る筈がなく…今度は二亜が口を開く。
「うーん……?ていうかあの少年二号、もしかして『この世界』のキャラクターなんじゃないかな?」
「え……?」
分身ではなく、元から物語の世界の住人であった士道……二亜が口にしたその可能性に、士道は首を傾げる。確かにそれならば、今も単騎で悪役達を薙ぎ払う『士道』の存在も…自分ではない自分がいる事も理解は出来る。
だが、果たしてそんな事があるだろうか。そんな、士道がキャラクターとして登場するような…特殊災害指定生命体と呼ばれる精霊を武力で殲滅するのではなく、デートしてデレさせるような物語が……
「あぁぁぁっ!」
困惑の中、不意に響いたのは七罪の叫び声。何事かと士道が反応すれば、七罪は言う。私は、あいつを…『士道』を知っていると。皆だって知っている筈だと。だって、今天使を振るい戦っている『士道』は……先月、
その言葉で、士道は、士道達は、ハッとした。確かにあるのだから。士道が登場する…士道が主人公として、極めて史実に近い形で制作がされた、『同人誌』という物語が。それは二亜をデレさせる為に制作した、しかし紛れもなく製本までされた物語であり……されど、まだ納得は出来ない。むしろ士道は、その可能性を示された事で混乱する。
「で、でも……あれは同人誌じゃないか!そんな主人公が助けに来てくれるなんて、幾ら何でも都合が良過ぎないか!?」
同人誌。プロが作った商業作品とは違う、アマチュアによる非商業作品。…まあ、非商業だからといって金銭が一切発生しない訳ではないのだが…何れにせよ、そんな非商業作品である士道達の作った物語と、日本人なら大半の人が知るような童話の数々とが、同列に語れる筈などない。ないのだが……士道の発言に、二亜はうんにゃ、と首を横に振った。
「あたし自身の…世界的に有名な作品に混じって、あたしの作品もこの世界に存在してるって話をした時にも言ったっしょ、少年。創作物に垣根はないって。一度創造された物語であれば、この世界には存在している可能性があるんだ。しかも、今ここにはそれを描いた『作者』が全員揃ってるときたもんだ。キャラクターを呼び寄せる『縁』としては、最上級だよ……!」
語った言葉と共に、二亜は興奮の面持ちを見せる。二亜自身、今は自分の作品のキャラクターとなっており、その二亜が言うのだから、恐らくその考えは間違っていない。しかし、頭で理解出来るのと、それに対して納得出来るかどうかは別問題で……されど、士道とて分かってはいる。重要なのは、そこではないと。今ここには、士道ではない『士道』がいて、その『士道』が危機的状況を一変させてくれた…それこそが重要であり、同時に紛れもない事実であると。
だが…それでもやはり、幾ら強力として『士道』は一人。多勢に無勢は否めず、相手も超有名作品の悪役連合…数だけでなく質も十分に高い集団であり、次第に立て直しの兆しを見せる。一対一なら相手を問わず優勢な『士道』も、一人であるが為に、その対応力には限界がある。
そして、正に士道がそう思った直後、童話における悪役の定番とも言える複数人の魔女が、一斉攻撃を『士道』へ放つ。それを『士道』は〈
「──させないッ!」
次の瞬間、二条の赤い閃光が、狼の胴体を撃ち抜いた。会場に響いた声と共に、爪を寸前のところまで振るっていた狼を吹き飛ばした。
(…今の、声は……)
聞き覚えのある、強い意思の籠った声。今の閃光は、光芒は、間違いなく『士道』を守る為のものであり…氷壁を解いた『士道』は、〈
しかしまだ、悪役達の猛攻も終わっていない。今度は棍棒を構えた鬼の一団が『士道』へ向けて突っ込んでくる。それ等を『士道』は飛翔する斬撃で捌いていくも、鬼も相当なタフさで進軍を続ける。味方がやられようと、臆する事なく『士道』へ迫り、〈
「させねーと、言ったでしょう?」
刀身で煌めく青い光と共に、棍棒を受け止める一対の刀。一振りは実体刃の、もう一振りは収束した粒子の刃が交差する事で打撃を受け止め、そのまま力強く押し返す。仰け反った鬼を、『士道』の横薙ぎが両断する。そして、小さく息を吐く『士道』の背後へ……二人の少女が、軽やかに降り立つ。
「助かったぜ、真那、侑理。やっぱり持つべきは頼もしい妹だな」
「ふふっ、そうでしょ?」
「よく分かってるじゃねーですか。…背中は私達に任せて下さい、兄様」
銃器を、刀剣を携え、コートの裾をはためかせ、赤と青の粒子と共に降り立った二人。『士道』を見やり、笑みを浮かべる二人の姿は……間違いなく、侑理と真那。
そして士道が見つめる中、三人は散開。先陣を切るように『士道』が悪役達へと突っ込んでいって、侑理と真那がフォローに回る。言葉通り、真那が『士道』の背中を守り、侑理が遠距離攻撃で二人を支援する。『士道』は力強く会場を駆け、侑理と真那はコートに備えられたパーツから粒子を噴射し飛び回る。
「…あれは、CR-ユニット…なのか……?」
「違う。何かは分からない…けど、
ぽつりと漏らしていた士道の呟きに、折紙が答えてくれる。士道自身もなんとなく感じてはいたが、やはり二人の本来の力ではないらしい。
前衛を担う二人を支える、侑理の支援。左右の手に持つ銃器からは弾丸を、光弾を次々と放ち、更に背負う形の二門の砲を展開したかと思えば、そこから最初に見せたあの光芒を叩き込む。その戦い方は、普段の侑理とよく似たもので…だが今は、砲門数が違う。〈ヨルムンガンド〉よりも多数の銃口、砲口をフル活用し、弾幕形成によって援護すると共に自身への接近も悉く阻む。
一方その援護を受けて『士道』と共に立ち回る真那は、嘗ての装備、〈ムラクモ〉を思わせる二刀流で素早く激しく連撃を叩き込む。悪役が距離を取れば、逃がさないとばかりに四基の遠隔操作端末を飛ばす。どうやらその端末は突撃専用らしく、動きも折紙の〈
「さぁて、そろそろ決めるとしようじゃねぇか。はぁああああぁぁ……ッ!」
ぐるりと見回し、二人とアイコンタクトを取った『士道』は、大きく後方へ跳躍。着地と共に〈
そして次の瞬間、一際強く輝く〈
『…すっご……』
数拍の間を経て聞こえてきた、琴里と耶倶矢、七罪の声。士道自身は、唖然としてしまっていて何も声が出なかったが…同じ気持ちだった。侑理や真那の動きも流石ではあったが…やはり、『士道』は色んな意味で破茶滅茶だった。
「よ、大丈夫だったか、『俺』」
結局最後まで手傷を受ける事も、大きく息を切らす事もなく、戦闘を勝利で終わらせた…今も爽やかに髪をかき上げてこちらへとやってきた『士道』。その『士道』に続く形で、もう脅威は存在していないか確認していた侑理と真那も士道達の下へと駆け寄ってくる。そして士道が軽く手を上げれば、二人は全員無事(無論多少の怪我はあるが)でいる事に安堵したように息を吐き……
『──って、(士道にぃ・兄様)が二人いるぅぅぅぅううううううっ!!?』
……愕然とした顔と共に、何とも今更な…本当に今更過ぎる驚きを声にするのだった。
*
侑理の内から湧き出た力。自分のものではない…されど、自在に扱う事の出来た能力。これが、新たな力に目覚めたのではなく、何かしらの物語の力…その登場人物が持つ能力なのだろうという事は、戦いながら薄々感じていた。だがどんな能力であれ、力は力。真那と共に戦えるのなら、士道を支えられるのなら、今の侑理にとってはそれで十分であり……どこぞのヴィランズの様な集団を相手に、侑理は戦い抜いた。どの相手もかなりタフで厄介ではあったが、真那共々士道のサポートに徹する事で、何とか勝利する事が出来た。
そうして窮地を乗り越えてからの、皆との再会。それぞれ特徴的な格好にはなっているものの、元気な姿をした琴里達を見た時には、心からの安堵が漏れ…そこから士道が二人いる事に気付いた時は、それはもう驚いた。恐らく、この世界に来てから一番の驚きだった事だろう。
「…つまり、うち等がずっと行動を共にしていた士道にぃは……」
「本物の兄様ではなく、あくまで『物語の登場人物』としての兄様だった、と……?」
一足先に士道が二人いる事への真実に気付いた士道(本物)達の説明を受け、侑理は真那と共に返答する。それに士道達はこくりと頷き…もう一人の『士道』は、肩を竦める。
「おいおい、俺だってちゃんと本物だぜ?少なくとも、皆が俺に込めてくれた思いは本物だ。それだけは、間違いない」
「そ、そこまで否定してる訳じゃないんだけど……」
軽い調子で笑みを浮かべたかと思えば、ふっと真面目な…真摯な眼差しを見せる『士道』の言葉に、七罪が目を逸らし、前髪を弄りながら答える。ちらりと見れば、耶倶矢や夕弦も恥ずかしそうな…でも満更でもなさそうな表情をしており、折紙に至ってはその通りだと深く頷いていた。
「けど、それならそうと早く言ってくれれば良かったじゃねーですか。私はてっきり、現実世界から来た兄様かと……」
「悪い。最初から隠そうとしていた訳じゃないんだが、二人が勘違いしてるって分かった時に、このまま黙っていたらどうなるかな…なんて思っちまってさ」
「もう、士道にぃったら人が悪い……」
むぅ、と二人して『士道』に抗議をするも、『士道』にはさっぱりとした笑みと雰囲気で躱されてしまう。しかもそれが凄く爽やかなものだから、つい「仕方ないか……」と思ってしまいそうになるのが困ったもの。
「けど、驚いたぞ。まさか、二人までこっちに来てるだなんて…二人もウェストコットにやられたのか?」
「いや、二人の事だから、自分からこっちに来ようとしたんじゃない?」
「…よく分かったね、琴里……」
「…まさか本当だったとは…何二人して危ない真似してるのよ……」
見透かされたのか、と侑理が驚けば、琴里は呆れの面持ちになる。まあそれは理解していたんだけどね、とその発言に対して侑理は真那と肩を竦め合い、それから今に至るまでの経緯を伝える。
「そうだったのか…二人がCR-ユニットを使えなかったって事は、やっぱりここじゃ物語の登場人物になっちまう、だから本来の力は使えなくなる…って事みたいだな」
「ところで、お二人は何の作品のキャラクターなんですかー?ぱっと見は、二亜さんと同じで童話や昔話ではなさそうですけど」
『それは……』
美九からの問いに、今度は真那と顔を見合わせる。一体何の作品の、誰なのか…それは、侑理自身も疑問に思っていた事なのだ。
「二亜よ。お主なら分かるのではないか?」
「同感。その道のプロならば、思い付く作品があるのでは?」
「うーん…あたしもそれなりにサブカルへの造詣が深いつもりだけど、正直全く分からないのよねー。だから、あまり知名度のない作品か……或いはひょっとすると、ネットの投稿サイトとかの作品かも?」
「ここは、有名な作品の方が現れ易い世界だったんじゃ、ないんですか……?」
「現れる可能性としては確かにそうだけど、だからってマイナーな作品は存在しないなんて事はないからね。第一、有名な作品の方が…っていうのもあたしの予想に過ぎないし。まあでも……もしかすると、ここにも何かの『縁』があったのかもしれないわね」
縁。それは、作品との繋がり。例えばそれは、漫画家である二亜が自身の作品のキャラクターとなっているように、同人誌のキャラクターである『士道』がここに現れたように、『人』と『作品』の繋がり次第では、知名度以上の影響力を持つようになる。…と、いう事らしいのだが…やはり侑理としては納得がいかない。一体自分と、自分が割り当てられたキャラクター及び作品とに、どんな縁があるのだろうか。もしや、実は真那は密かに創作活動をしていて、その作品の中に登場するキャラクター…とかだったりするのだろうか。
「そうだ、二亜。気になるといえばなんだが…その、幾ら何でも『俺』、強過ぎないか?自分で言うのもアレだが、俺はあんな大立ち回り出来る気がしないぞ……?」
すっきりしない疑問を侑理が抱える中、今度は士道が二亜に問う。それを聞いて、侑理もそういえば…という思いを抱く。
確かに『士道』の動きには、洗練されたものを感じた。はっきりと、『技術』を感じ取る事が出来た。それは、街中で助けてくれた時にも感じたものであり……しかし士道は本来、戦闘においては素人の筈。無論今に至るまでで少なからず経験は積んでいる筈だが、それでも経験豊富と呼べるレベルではなく、侑理からすれば士道の戦い方は、まだ力任せの面が強かった。
複数の天使を扱えるという唯一無二の強みがあるものの、まだまだ未熟である本来の士道と、立ち回りにせよ、間合いの取り方にせよ、明らかに素人のそれではない動きを見せたこの世界の『士道』。両者の差はどのようにして生まれたのかという話で……しかし二亜は、それもおかしな事ではないとばかりに再び口を開く。更にその表情には、ほんのりと興奮を帯びさせる。
「ノンノン、分かってないなぁ少年は。彼は『五河士道』であって『五河士道』ではない。少年二号はあの同人誌に描かれた、精霊を救う事に、そしてその姿を見せる事によってあたしをデレさせる事に特化した『五河士道』なんだ!」
「つ、つまりどゆ事?」
「要請。説明を求めます」
「つまり!簡単に言うと彼は──皆が思い浮かべた、『超格好良くて超強い少年』って事!」
そう言って、二亜は楽しそうに両腕を広げる。彼女の言葉に士道は目を瞬き、真那や精霊達は漸く理解が出来たという顔になり……そして『士道』は、苦笑した後興味深そうに二亜の事をしげしげと見つめる。
今の説明で、侑理も理解した。当たり前だが、同人誌の中の士道は事実…それこそ一挙手一投足の全てを再現して描かれたものではない。精霊やAST、〈ラタトスク〉関連は情報としての取り扱いが…という事以前に、士道の言動全てを正確に記憶するなど土台無理な話(…何か折紙から視線を感じたが、気にしない事にする)であり、分からない、覚えていない部分については、推測や想像で描く事になる。となれば当然、そこには『美化』が生まれるもので…もっと言ってしまえば、しっかり覚えているつもりの事でも、実際には美化された形で、脳内補正が掛かった状態で記憶してしまっている事など往々にある。そんな各々の美化が、それぞれにとっての『理想』が無意識の内に反映されたのが、同人誌の『士道』という事なのだ。
であれば『士道』が強かったのも頷ける。二亜が興奮しているのも、彼女自身が言う通り、二亜をデレさせる為の同人誌の主人公…謂わば、対二亜を前提に生み出された存在だからなのだろう。更に言えば、これまでは気付かなかったが…現実の士道と比較して見てみると、『士道』はほんのりと美形度が増している気がする。…七罪を始めとする同人誌制作班の『好き』が、知らず知らずの内に士道をより格好良く描いてしまっていたのだと思うと…何というか、にまにました顔で七罪達を見てしまいそうだった。
(…うん?でも、そうなると…こっちの士道にぃにあった爽やかな感じも、無意識の美化の影響って事?…けど、やっぱり何となくこっちの士道にぃって……)
ふと、そこで浮かぶもう一つの思考。初めに感じた時は、ただの違和感でしかなかったが、謎が解けた今となっては……これについても、何だかにやにやしてしまう。
「…侑理、何変な顔してやがるんで?」
結果、半眼となった真那から受ける指摘。だが今に関しては頬が変な緩み方をしている自覚があった為、特にショックを受ける事もなく…ちらりと七罪に耶倶矢や夕弦、それに折紙の事を見やりながら……侑理は言った。
「いや、ここに至るまでに何回か、こっちの士道にぃからは士道にぃが霊力を暴走させちゃった時みたいな雰囲気っていうか…女誑し感?があったんだよねぇ。で、こっちの士道にぃは、皆の理想の士道にぃって事でしょ?という事は…なんだかんだ言っても、あの時の士道にぃに皆格好ドキドキキュンキュンさせられてたんだな〜、って」
女誑しというか、妹誑しだったけど、と内心で付け加える侑理。そしてこの発言をした瞬間、皆ちょっと顔が赤くなり、目を逸らし…二人の士道の頬も、揃って反応に困ったような表情を浮かべていた事は、言うまでもない。
作中で侑理及び真那が見せた力ですが、その能力については元ネタ…原作がきちんとあります。一体何の作品なのか、どのキャラクターのものなのかは敢えてこの場では公表しませんが、私にとって非常に思い入れのある、唯一無二と言っても良い作品です。