僕の心のヤバイやつ 鞍馬祢音と山田杏奈の邂逅 作:北村 貴之
憂本瞳。
東京都内のSMクラブの経営者にして、年商50億以上である株式会社「ヒトミワークス」の女社長だ。
血液型B型のさそり座の女性で、40代を超えているにも変わらず20代後半くらいの外見をした高身長の美女である。
そんな彼女だが、現在京都府の京田辺市に来ていた。
愛車のレクサスに乗り、東京からはるばるやってきたのだ。
今回彼女がなぜこの地を訪れたのかというと、同窓会の会場へと向かうためだった。
あまりにも予定より時間が早すぎたためか、車を止めて京田辺市内を散策していた。
瞳が京田辺の街を歩いていると…。
「あれ、あの子たちは…」
瞳は、ある人物たちを目撃した。
それは、彼女が会ったことのある人物たちであった。
3人の少女を目撃したのだが、そのうちの1人は知らない少女だ。
「あら、あんな子知らないよ…」
瞳はその見覚えのない少女が気になる様子だった。
その少女は、黒く長い髪の美少女だった。
身長も推定170cmはありそうだった。
白いシャツに紺色のホットパンツという姿をしている。
シャツの生地が薄いためか、発育した胸が主張している。
かなり大きめのようだ。
太ももと美脚も美しい。
「一緒にいるのは祢音にベロバか…。何故、あんなスタイル抜群の小娘と一緒なんだ?動画の撮影はわかるとして、どういう関係なんだ」
瞳は独り言を言っていた。
2人の少女は知っていたようだ。
名は祢音とベロバというようだ。
「あの様子…。車じゃなくて電車で来たみたいだな」
3人の少女の様子を眺める瞳。
しばらく静観することにした。
祢音を知っているが、実は瞳は祢音の母とは高校時代の親友なのだ。
しかし、今回の同窓会は、中学校の同窓会なので、残念ながら祢音の母とは会うことはない。
自販機にもたれながら祢音たちの様子を見守っていた瞳。
そんな祢音たちは、車で来ていなかったために徒歩とバスなどでの交通手段での移動を余儀なくされていた。
いくら若いとはいえ、アスリートでもないいたいけな少女たちだ。
恐らく彼女たちはこの京田辺市は初めてのようだ。
が、そんな瞳自身もここ京田辺市は来るのは初めてなのだ。
しかし、あのいたいけな美少女たちを長時間にわたり移動させるのは可哀想だと瞳は思った。
体力もないのに、長い時間歩かせるのは、どこかよろしくないと思ったからだ。
そんな彼女たちを見た瞳は、祢音たちのもとへと歩み寄った。
そして…。
「お困りのようだね」
瞳はそう言って、祢音たちに声をかけた。
声に反応し、祢音たちが瞳の方を向いた。
祢音とベロバは瞳と知り合いのためか、驚いた目で瞳を見ていたのだった。
「だ、誰…?」
祢音たちに同行していた美少女が言った。
胸は白いシャツを着ているためか大きさがはっきりとわかる。
わかりやすい大きな丸型だ。
「こんないたいけなお嬢様たちがご旅行だとは。近年の若者にしちゃ冒険者だな」
瞳はどこか高圧的な物言いをしたのだが、声は優しげだった。
相手は自分より年下の女の子たちだからだろうか。
「あの人…。誰…?」
ベロバの背中に隠れるようにして、少女はベロバに聞いた。
「あの人はね…」
ベロバが答えようとすると…。
「おっと、名を名乗るのが遅れたな。私の名前は憂本瞳だ。東京のSM調教師でもの凄〜い社長だ」
瞳はこちらから自己紹介をした。
名を名乗るのはこちらから名乗るのが礼儀だと思ったのだろう。
「鞍馬財閥のご令嬢、鞍馬祢音。そしてそのボディガードのベロバ。それから…」
「山田杏奈です」
少女は山田杏奈と名乗った。
瞳はなるほど、と言いたげな目で、その山田杏奈という美少女を見た。
「モデル体型か。大学行ってるのか?」
「こ、これでもまだ、中学生なんですがね…」
山田が少し恥ずかしそうにそう言った。
この少女はなんと中学生だった。
どう見ても大学生くらいはいっていそうな外見であるが、これでもまだ幼さのある少女のようだ。
それを聞いた瞳が豪快に笑い、
「あっはっは!そうだったか!てっきり大学生かと思ったよ!ほら、そんなおっぱいじゃそう見えてさ」
と言った。
それを聞いた祢音が慌てた様子を見せ、
「ち、ちょっと瞳さん!まだ中学生なんだからそんな言い方はやめて!」
慌てながら瞳にそう言った。
どうやら「おっぱい」という単語は不適切だったようだ。
「ところで瞳さん、なんでこんなとこに…?」
ベロバが少し呆れた様子でそう言った。
そう聞かれた瞳はジーンズのポケットから煙草の箱を取り出し、お手玉のように放り投げてはキャッチを繰り返しながら答えた。
「神のいたずらってやつだろうか」 「…」
ベロバは返す言葉に困り、黙りこいてしまった。
「そうだお前達。この様子だと京田辺市を撮影しながら紹介していくつもりだな?なら話は早い。私の車を使え」
お人好しの瞳は、祢音たちを自分の車に乗せて、京田辺市の撮影に協力してやることにすることにしたのだ。
「い、いいんですか?」
ベロバがそう聞いた。
すると瞳はこう答えた。
「お前らを貧弱な足で歩かせる訳にはいかないからな」
こうして、祢音たちは瞳の車に乗って移動することになった…。
瞳の愛車であるレクサスに乗り込んだ祢音、ベロバ、山田。
山田は、乗ったことのない高級車にただただ驚いていた。
「すっご〜い…。瞳さんてこんな車乗り回してるんだ」
山田はキョロキョロと首を回し、車内を見回していた。
レクサスに乗るのは人生で初なので、そんなリアクションが出るのも無理はない。
「そうだ。仕事でも使ってるんだよ」
瞳はハンドルを握り、山田に答えてあげた。
ベロバに教えてもらった場所へと、瞳はレクサスのハンドルを握り車を動かしていた。
「それにしても、瞳さん…。たまたまとは思うけど京田辺に来ていたとはね」
ベロバは驚きながらも瞳にそう言った。
「ああ。同窓会があってな。来るのが早すぎたから観光していたんだ」
瞳はそう答えた。
実は彼女は、鞍馬財閥と関わりがあった。
実は祢音の父である光聖とも面識があるのだ。
光聖はかつて瞳のSMクラブの常連客だったため、光聖が結婚した後も、何回か瞳とは顔を合わせていたのだ。
祢音とは生まれた頃から知っており、家に遊びに来ては祢音に勉強を教えたり、遊んだりしたものだった。
瞳は車内に音楽を流していた。
高校生の頃から好きだった山下達郎の曲だ。
祢音たちはあまり知らないようだが、瞳にとってはいつ聞いても落ち着く曲だった。
「えっと…。もうじきかな?」
ベロバが聞いてきた。
「ああ。用意しろ」
瞳はそう答えた。
祢音たちの目的地は、一休さんで知られている「一休寺」だった。
こうして…。
祢音たちは瞳のおかげで、時間をかけずに京田辺市を周ることができた。
撮影もスムーズにはかどり、いい動画を作れそうなのを祢音とベロバは満足そうにしていた。
そんなこんなで、祢音たちは、三山木のコメダコーヒーにいた。
コメダコーヒーは名古屋市に本店を構えるチェーン展開している喫茶店だ。
瞳のおごりで、祢音たちはご馳走になっていた。
瞳は喫煙者なのだが、煙草は吸わなかった。
年下の少女たちに副流煙を吸わせるのはよろしくないからだった。
瞳は色々と祢音たちに質問していた。
「それで…。ベロバちゃん。道長くんとはどうなんだ?」
ベロバは現在、吾妻道長という青年と交際しているようだった。
レベルが違う顔面偏差値のイケメンのようだった。
「そ…。そうですね…。あいつとは…。まぁ、順調ですよ…」
ベロバは照れ臭そうにそう答えた。
「なるほどな。未来の伴侶を持てて幸せだな」
瞳はコーヒーをすすりそう言った。
それを聞いたベロバは顔を赤くした。
「は、伴侶って…!?」
ベロバは驚いた表情で声をあげた。
「ふふ、冗談だよ」
瞳は少し意地悪そうな笑みを浮かべていた。
「それで…。祢音ちゃん。お見合い相手は見つかったのか?」
それを聞いた祢音は…。
「ま、まだ見つかってはないですけど…」
少しムッとした顔でそう答えた。
「そうか…。まぁ、焦ることはないさ」
瞳はコーヒーカップをテーブルに置きながらそう言った。
「でも…。お見合い相手もいないのに結婚なんて…」
祢音は不安な表情でそう言ったが、瞳がこう返した。
「まだ若いんだし、これから見つかるよ」
と。
やりとりを聞いてメロンソーダを飲んでいた山田。
長靴のようなグラスに注がれた緑色のソーダで、涼しげな顔で喉を潤していた。
(あれ?景和さんは違う感じ…?)
祢音と親しい桜井景和という男を思い出していた山田。
付き合ってはいないと両者とも言ってはいたが、いかにもそれっぽい雰囲気を漂わせていた。
ふと何かを思い出したように、ベロバが祢音にあることを聞いてきた。
「あっ、そうだ。今日の宿ってどこか決めてるの?」
「あっ…」
ベロバの言葉に驚く祢音。
その様子だと、宿のことを忘れていたようだ。
「まさか…。そこ調べていなかったの!?」
「あはは…。そこまで確認してなかった…」
苦笑いして頭を掻く祢音。
その様子を見たベロバは、はぁ、とため息をついた。
瞳は苦笑しながらこう言った。
「はっはっは。大人になってもドジな子だな。ちょうどいい。私の泊まるホテルに一緒に泊まろうか」
と言って、今晩泊まる予定のホテルへの宿泊を勧めてきた。
「いいの?」
「こんな女の子たちに野宿なんてさせるバカがいると思うか?」
瞳の顔を見る祢音たち。
同窓会で奈良に向かう瞳は、大きなホテルを1室取っていたのだ。
「ありがとう、瞳さん」
「ありがとうございます」
ベロバと山田がお礼を言うのだった。
「よしお前ら。ここでしばしお別れだ。同窓会に行ってくる。戻るのは結構遅くなるから、ゆっくりしてこい」
場所は変わり、奈良県。
近鉄奈良駅付近の大きなホテルの一室だ。
泊まる部屋は4人程の人が泊まれるスイートルームだった。
元々彼女はここに泊まる予定であったが、祢音たちも泊まる旨をホテルのスタッフにはフロントにて伝達した。
上述の発言から、瞳は同窓会の会場に向かうようであった。
部屋の鍵は祢音たちに預け、彼女は同窓会へと向かっていった。
「うっわ〜、広いお部屋」
山田が感嘆の声をあげた。
4人で泊まるには広すぎるスイートルームだ。
ベッドは4人分あった。
山田は人生で初めてスイートルームに泊まるようだ。
山田は祢音たちと部屋を散策していた。
「これ…。住めるんじゃない?」
山田がベロバに聞いてきた。
「住もうと思えば…、ね」
ベロバは祢音のボディガードというわけで、高級で広い部屋に驚く様子は見せていなかった。
祢音は冷蔵庫を開けて中にあったミネラルウォーターのペットボトルを開けて中の水を飲んでいた。
「ねえ、駅前観光してこうよ」
祢音がそう言った。
「カメラ、回すの?」
ベロバが確認する。
「いいよ。目的は京田辺だけだし…。今度機会があればもう一回来たらにする」
「そう。じゃあ、ご飯でも行こうか」
祢音たちを連れてホテルを出て、駅前周りを散策することにした。
祢音たちが夕食で訪れたのは、近鉄奈良駅からすぐの中華料理店だった。
いかにも高そうな雰囲気のお店だ。
テーブルにはすでに、小海老の天ぷら、酢豚、炒飯といった中華料理が並んでいる。
祢音がガンダーラと思われる曲を鼻歌で歌いながら料理を口に運んでいた。
「ねえ祢音。中国料理ってのになんでインドなのよ」
ベロバが祢音に突っ込んだ。
「んう…?なんとなく、かな…」
祢音がそう言った。
山田は酢豚を食べている。
小皿に料理を盛り、中華スープを飲んでいた。
「ん〜、美味しい!」
と、満足げな表情をしていた。
「祢音ちゃんって毎日こんなのを食べてるの?」
山田にふと声をかけられた祢音。
鼻歌を歌っていてご機嫌の様子の祢音は我に返る。
「んんっ?あ、毎日ってわけじゃあないけど…。稀にハンバーガーとか食べてる…、かな」
今回の撮影のように、祢音は庶民の食事を割と頻繁に食べるようになっていった。
幼少期から高そうなものを食べているのが日常的にあったため、庶民の食事は珍しかったのだ。
そのためか、蕎麦屋でキャビアはないのかと頼んだほどだった。
「そういえば…。瞳さんは今頃どんなもの食べてるのかな」
と、ベロバが祢音に言った。
「えっ?」
「パーティー会場なわけだし、何か食べてるかなって」
どうやらベロバは、瞳の同窓会の様子が気になるようだった。
祢音はそんなことなど気にせず、中華料理を堪能するのだった。
「ん〜、…美味しい!この酢豚のタレってなんだろ?」
食べながらそんなことを考えていた。
どうやら中国料理の味を楽しんでいるようだった。
スルーされたが、ベロバは気にしないことにした。
「そういえば、ご飯食べたらどうするんですか?」
祢音に質問する山田。
祢音は口の中で砕いていた小海老の天ぷらを飲み込んだあと、
「えっと…。お土産見たりとかかな」
とりあえず次は適当に歩いてお土産を見たり、歩いて奈良を堪能する予定のようだ。
「お土産…。ですか。ご両親と、あと景和さん…、にですかね?」
景和という単語を聞き、祢音が目を見開いた。
このあとの展開に内心少し怯える祢音。
しかし、ファンかつ年下の女の子からの質問に答えないというのもよろしくはないと判断した。
「え、えっと…。そうね、何かと助けてもらってる彼にもあげようかなとは思ってるけど…」
祢音が答えると山田が興奮気味に食いついてきた。
「えっ!?それって交際してたってことですか!?」
「は、はぁ…!?」
祢音が思わず顔を真っ赤にする。
それを聞いていたベロバが、
「ふ〜ん。なんだ、相手いてたのね」
と冷やかし気味に笑う。
「な〜んだ!やっぱりそうだったんですね」
そんな祢音とは打って変わって、楽しそうな表情をしている山田だった。
(なんでそんなに楽しそうなのこの子…)
そんな様子の山田に、祢音は心の中でツッコミを入れていた。
こうして、美少女3人は楽しげに食事をしていたのであった…。