やれるだけ頑張ってみますので、今後ともよろしくお願いします。
追記:サナとシエルの容姿に関する描写を増やしました。
第1話 双翼のエンカウント
「キヴォトスの『七つの古則』はご存知かい? その5つ目は、正に『楽園』に関する質問だったね。
『楽園に辿り着きし者の真実を、証明することはできるのか』
他の古則もまたそうであるように、少々理解に困る言葉の羅列だ。ただ、1つの解釈としては、これを『楽園の存在証明に対するパラドックス』であると見ることができる。
もし楽園というものが存在するのならば、そこに辿り着いた者は至上の満足と喜びを抱くが故に、永遠に楽園の外に出ることはない。もし楽園の外に出たのであれば、つまりそこは真の悦楽を得られるような『本当の楽園』ではなかったということだ。であるならば、楽園に到達した者が、楽園の外で観測されることはない。存在を捕捉され得るはずがない。
存在しない者の真実を証明することはできるのか? つまるところ……この5つ目の古則は、初めから証明することができないことに関する『不可能な問い』なのだよ。
しかしここで同時に思うことがある。証明できない真実は無価値だろうか? この冷笑にも近い文章を通じて、何か真に問いたいことがあるのではないだろうか?
エデン……経典に出てくる
***
「あなたがシャーレの先生、かしら?」
トリニティの3人存在する生徒会長の1人であり、ティーパーティーのホスト代理を務める
“うん、確かに私は先生だけど……”
「なら丁度良かった、先生に伝えたいことがあったからね。私は聖園サナ、さっき先生と話してたミカのお姉ちゃんよ」
「
ミカと瓜二つとも言うべき見た目をしている生徒は聖園サナという名前で、ミカとは姉妹の関係にあるようだ。ただし彼女の髪やヘイローはピンクではなく紫で、こちらを見る瞳もミカと異なり深紅に輝いている。他に違いがあるとすれば、髪を右側ではなく左側でお団子にまとめていたり、翼の色合いが根元から先にかけて白から黒のグラデーションになっていたりすることだろうか。今更ではあるが、思っていたより違いが多いことに気付いた。よく見るとヘイローの回転方向もミカとは逆向きで、ミカのヘイローで水色だった部分も赤く染まっている。そんなことを考えながらサナの方に視線を向けていると、もう1人の生徒、粟国シエルが口を開いた。
「もしかして、あなたもサナ様のことをお気に召されたのでしょうか?」
”……いや、そんなことは無いよ。それで、話というのは?”
あなた『も』ということは、DNAやメビウスの輪を思わせる立体的なリング状のヘイローを持つ彼女はサナに好意を抱いているのだろうか。少し気になってはいるが、それは本題と全く関係のない内容なので聞かないことにした。
サナは最初に『伝えたいことがある』と言っていたが、生徒に話があれば聞いてあげるのが『先生』としての責務だろう。そう考えた私は2人に警戒心を抱きつつも、目の前の生徒の話に耳を傾けることにした。
「ナギちゃんが先生に話してた補習授業部のことなんだけど、この学校のことをよく知らない先生に任せるのもどうかと思ったのよね。だったらトリニティに詳しいシエルを『教育係』として補習授業部に派遣すれば、先生の仕事も少しは楽になるんじゃないかな?」
サナの話には確かに一理あるが、分からないことも多い。生徒会長の姉というポジションにあるとはいえ、一介の生徒に過ぎない彼女にそれだけの力があるのだろうか。
そんな私の疑問を見透かしたように、サナはこう続けた。
「私なんかにそんな権限があるのか、って思ったでしょう? 大丈夫よ、先生。こう見えて私、ティーパーティーでホストをやってた頃もあったから。生徒会長の椅子はもうミカに譲っちゃったけど、今でもよくティーパーティーのみんなから相談を受けてるのよ?」
“なるほど……”
「まあ簡単に言うと、ティーパーティーの『
今のホストは入院中だとナギサから聞いているが、目の前の彼女はその1期前にホストを務めていたらしい。現生徒会長の1人がサナの妹であることも加え、ホストの座を退いた後も極めて強い影響力を持っているようだ。
「だからややこしい根回しとかは全部私に任せて、先生は補習授業部の顧問として頑張ってね☆」
「とのことなので、今後ともよろしくお願いします」
“は、はい……。よろしくお願いします……”
そう言うと2人はその場を離れ、私の進行方向とは逆向きに去っていった。
これがシャーレの先生である私と、ティーパーティーの『
この時の私は知らなかった。
彼女が密かに進めていた『計画』が原因で、あのような事件が起きてしまうことを―――
Tips:
トリニティ総合学園の生徒会である『ティーパーティー』のホストも務めていたが、諸事情でその座を妹に譲ることとなった。
ところで皆さん、先生の性別はどちらがお好きでしょうか?