霞「奴等のデカい顔も癪に障らないか?」 作:文才の無い本の虫
――ハハハハハ!!愛してるんだ、君達を!!
――生きて帰ってこい。此処まで戦って来た貴様らにはその権利と義務がある
――あ、そうなんだ。で、それが何か問題?俺にはこれがこいつ等の限界には見えないけど?
――貴様らなら、それが出来るはずだ
――いや、言い直そうか
――天津風、君を信じてるよ
第零話「原点」
――(一部抜粋)――
▓▓▓▓年四月上旬、一八歳という若さで東間矩郎大将(当時中将)の直属の技術者として横須賀に着任。
僅か二ヶ月で横須賀の工廠を取り仕切る様になる。
その頃の通称は「主任」。
横須賀の艦娘と職員に東間提督が着任した最初期の横須賀を支えていた工作艦「明石」や『妖精』に並ぶと称されるメカニック。
但し、その内容は意図的に隠蔽されている模様。
▓▓▓▓年九月下旬、当人に提督適性を確認。
大本営により当人を海軍大佐に任命。
同年十月、▓▓鎮守府へ配属。
同年十一月、戦力不足を理由に大本営へ建造許可を申請。
翌年一月、大本営より一艦のみ建造許可。
建造艦は特Ⅲ型駆逐艦「響」。
▓▓▓▓年八月、欧州方面反撃作戦発令。
青梅提督の指揮下で参戦。
同作戦において、僅か二艦(「霞」大破、「響」轟沈)で作戦目標の一つである姫級深海棲艦撃破を達成。
作戦の成功に大きく寄与したとして、当人を少将に昇格。
翌年一月、呉鎮守府に着任。
同年四月、東間提督より駆逐艦「天津風」を受領。
経緯は不明。
▓▓▓▓年六月、大規模反攻作戦発令。
当人の指揮により、駆逐艦「天津風」が大戦果を挙げる。
その功績によって、少将から中将に昇格。
▓▓▓▓年四月、終戦。
この終戦には、当人と駆逐艦「天津風」が大きく関わっているとされる。
◢◣◥◤◢◣◥◤
「へぇー。任一郎君は小さなメカニックなんですね!!」
「すごいでしょ?!俺、何時か矩郎さんと瑞鳳さんを助けられるようなメカニックになるよ!!」
「おお、それは頼もしいね。任一郎君、私からも、頼んで良いかな?」
「うん!!」
それが、
誰かの為に、役に立ちたいと思った最初の事。
「大丈夫かい?!任一郎君!!目を開けるんだ!!」
「提督!!深海棲艦の増援が!!」
「!!瑞鳳、前線を保たせてくれ!!今、此処を明け渡すわけにはいかないんだ!!」
「了解ですっ!!攻撃隊、発艦!!私も、テンション上げて、突撃ですっ!!」
二度目の
あの後、軍の病院――正確には矩郎さんの鎮守府の医務室――で目が覚めた俺は、軍に志願した。
爺さんが遺してくれた家財を失った俺には、それ以外、道が無かった。
「お久しぶりですね、矩郎さん、瑞鳳さん」
「君は!!」
「あっ!!」
「ハハハハハッ!!主宮任一郎技術少尉、ただいま着任しました!!」
そして、俺は矩郎さんの横須賀鎮守府に技術者として着任した。
工作艦の明石姉(
俺は工廠で『主任』と呼ばれるようになった。
そんなある日。
明石姉と徹夜で工廠を片付けている時の事だった。
「主任君は不思議ですね~。まるで『妖精さん』が見えているみたいです」
「・・・・・明石姉、妖精って今突然見える様になったこいつ等の事かな?」
「え゛」
【
【
「あ、もしかして見えたら不味い感じ?」
「・・・・・・・・・・です」
「うん?」
「主任君・・・・・君、『提督』になっちゃったんですよ!!」
【【
「?!」
そうして、俺は提督になった。
後で聞いた話だが、『提督』というのはこのモチモチした小人の様な生物(?)が見える人間の事を言うらしい。
それを聞いたときは提督ってメルヘンな存在なんだなと思ったものである。
まあ、建造というオーバーテクノロジーがある為、今更驚く事は無かったけども。
「ふんっ・・・・・悪く無い面構えじゃないか。私は朝潮型駆逐艦、霞だ。貴様が私の提督だな?」
初めて建造した艦娘、霞との出会い。
「見極めさせてもらうぞ。提督。貴様の有用性を」
「お手柔らかに頼むよ、霞。ハハハハハッ!!」
「・・・・・ハズレかもしれんな」
「酷くないかな?!」
彼女との会話は面白かった。
霞は
俺と彼女だけの寂れた鎮守府だったが、楽しかったんだ。
「おーい、スミちゃん。艤装の整備終わったよ〜」
「スミちゃんだとっ?!擦り下ろすぞ貴様?!」
「あ、照れ隠し?ハハハハハッ!!・・・・・あ、ちょ、スパナは不味いって!!」
「クソッ。躱したか・・・・・」
何時しか、彼女とは気楽に話せる様になった。
そして、二人でやってきた鎮守府に仲間が増えた。
「響だよ。その活躍ぶりから不死鳥の通り名もあるよ。よろしく、司令官」
「任一郎、貴様は駆逐艦しか引けんのか?」
「あれ?妖精さんには大型艦分の資材を渡したんだけど・・・・・ま、いっか。よろしくね、響。俺には誰かが来てくれただけで充分だからさ」
響が来てくれたお陰で、だましだましやってきた哨戒任務が結構楽になった。
俺は指揮と整備しかできないから、霞と一緒に戦ってくれる仲間が増えるのは心強い。
「響・・・・・いや、Верный。調子はどうかな?」
「うん、よく馴染むよ。流石司令官と言った所かな」
「いやー・・・・・君達の要望を聞いて多少頑張ったとは言え、明石姉から資料を送ってもらえて良かったよ」
「艤装のフルカスタム仕様の何処が『多少』だ貴様」
「そう云うのも司令官の美点だと私は思うよ」
「おい、Верный。あまり任一郎を甘やかすな」
「霞は俺の母親か何かかな??」
練度も上がり、艤装の改造は俺がやって。
大変だが、楽しかった。
楽しかったんだよ。
失いたくない程に。
◥◤◢◣◥◤◢◣
「Верный!!頼むよ、逝かないでくれ!!」
「・・・・・司令官は、泣き虫だね・・・・・・・・・・大丈夫・・・・・きっと、また・・・・・会える、から・・・・・・・・・・それまで、司令官を・・・・・・・・・・頼むよ・・・・・霞・・・・・・・・・・До ・・・・・свидания・・・・・」
「さようなら、また会いましょう」
彼女は、そう言って艤装を遺し消えていった。