霞「奴等のデカい顔も癪に障らないか?」 作:文才の無い本の虫
そして人は揺り籠で揺られながら海に浮かび続ける、か・・・・・お前の答えだ、私はそれで良いさ
「軍拡ねぇ・・・・・」
前回の会議――もとい無能達の保身活動――の決定を思い出しながら溜息をつく。
すると横を歩いていた天津風が少し下から覗き込んでくる。
「あなた、まだ言ってるの?」
「そりゃ勿論。終戦した後の内輪揉めで懲りた筈なんだけどさ」
「相変わらず上は無能ね。そう言えば、Верныйが
天津風と
あの戦いが終わって――終戦から1年。
俺はもう30代前半で、昔言われた“工廠のおぢさん”もあながち間違ってはいない歳だ。
まあ、工廠でゆっくりしていられる立場では無いのだが。
「どうするの?」
「そうだね・・・・・間者や暗殺者の処理も面倒だし、盾治郎君に後任を任せて灯台で隠居生活かな」
「後任って・・・・・生半可なら潰れるか、最悪海軍が駄目になるわよ」
「ま、盾治郎君なら大丈夫でしょ」
「幾ら瑞鳳さんと
天津風の質問に、俺は霞に怒鳴られながら――彼は俗に言うヒョロガリなので色々なものを垂れ流しながらだったが――死に物狂いで走る盾治郎君を思い浮かべる。
「彼の事は霞に空き時間で見て欲しいって頼んであるから心配するだけ無駄だね」
「えっ?!死んじゃうんじゃ・・・・・ま、まあ、それなら海軍が駄目になることは無い・・・・・やっぱり心配よ」
「んー・・・・・まあ、悪い方向には行かないでしょ。多少脳筋だったり、根性論に汚染されたりするかもしれないけどね」
「駄目じゃないのそれ・・・・・」
呆れてる天津風をちらりと見る。
俺が勝ったから、深海の
俺は、俺だけは忘れないでおこう。
『・・・・・我々二――ジン、ルイ――二、栄光ノ――ジダイ、ヲ――――』
人類、か。
全く。
「内輪揉めねぇ・・・・・」
「どうしたの?」
「いや?何でも無いさ」
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「あなた、朝よ」
彼女の声で、目が覚める。
「ああ・・・・・もう朝か」
「ええ。いい朝よ」
もう、身体を起こすことすらできない。
霞が去り、Верныйも眠りに就いた。
俺の最後は、こんなものか。
見守られて逝くのも悪く無いだろう。
「天津風・・・・・日は、どうだ?」
「夕焼けより、ちょっと赤いくらいね。それに、とっても良い風よ」
「そうか・・・・・良い、風か?」
「勿論よ。でも、あなたが居ないとイマイチよ」
ぼんやりとだが、頬にヒビが入っている彼女が涙しているのが見て取れた。
ああ・・・・・寂しくなるな。
最後は、決まってるから。
「は、はははは・・・・・そうか、そうだな・・・・・・・・・・あぁ・・・・・愛してる、天津風・・・・・愛してるんだ、お前達を・・・・・」
「馬鹿ね、知ってるわよ。私も愛してるわ、あなた」