霞「奴等のデカい顔も癪に障らないか?」   作:文才の無い本の虫

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第二話「鎮守府」

 

 

 

 

 

出発してから数時間後。

 

俺達は呉鎮守府に着いたが・・・・・人気が無い。

 

どういう事だろうか?

 

 

「へぇ・・・・・此処が呉鎮守府ねぇ」

 

 

「出迎えが無いとはどう言う事だ?」

 

 

・・・・・あ。

 

やばい、嫌な予感がする。

 

 

「ねぇ、霞」

 

 

「なんだ?」

 

 

「今思ったんだけどさ・・・・・呉の艦娘って、色んな鎮守府に引っこ抜かれちゃったんじゃない?」

 

 

「・・・・・」

 

 

改めて見回すが、人気は無い。

 

まるで放棄されたかの様だ。

 

 

「ま、取り敢えずは執務室に向かおうか」

 

 

「・・・・・そうだな。其処に引き続きの書類がある筈だ」

 

 

「おーい、妖精さん達!!ちょーっと積荷下ろしといて!!()()()()()()()()!!」

 

 

――――――(アイアイサー)!!】

 

 

―――――(リョウカイ)!!】

 

 

―――――(カクスゼー)!!】

 

 

―――――(マタアトデ)!!】

 

 

俺と霞は(大発動艇)をしっかりと固定し、鎮守府へと歩いて行く。

 

花壇の荒れ具合から一週間程、放置されている事がわかる。

 

館内の掃除もされてないようだから、マジで無人なのかもしれないね。

 

そうして館内を見ながら進んで行き、執務室を見付けた。

 

執務室の中が比較的綺麗(物が少ない)なのは汚職の検挙が入ったからだろうか。

 

机の上に何枚か報告書の様な物が積み重なり、置いてある。

 

俺はソレを手に取った。

 

 

「あったあった。報告書に艦隊運営状況の書類。これだね。えーっと・・・・・・・・・・はい?」

 

 

「どうした?」

 

 

「・・・・・燃料0、弾薬0、鋼材0、ボーキサイト0。保有艦数0だってさ」

 

 

「・・・・・・・・・・上は無能か??」

 

 

その頭の可笑しい状況に霞が悪態をつく。

 

きっと艦娘と一緒に資材も持って行ったんだろうなぁ・・・・・。

 

此処、五大鎮守府の一つなんだよね??

 

悪態の一つや二つも吐きたくなる。

 

 

「こりゃ、思ったよりも大変な状況だねぇ・・・・・上の意向的にはこれを一日二日で立て直さなきゃいけないって事かな」

 

 

「はぁ・・・・・大変では済まんぞこれは」

 

 

霞が横でため息をつく。

 

あの時と同じだ。

 

選択肢は有って無いような状況。

 

だから。

 

 

「それでもやるしか無いだろ?まあ、程々に頑張るさ、程々にね。ハハハハハッ!!」

 

 

「お前はもう少し真面目にやれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◢◣◥◤◢◣◥◤

 

 

 

 

 

「うーん・・・・・」

 

 

―――(キャー)!!】

 

 

―――(ワーイ)!!】

 

 

―――(アハハ)!!】

 

 

俺は妖精さん達で遊びながら、悩む。

 

そうしていると、隣から霞の鋭い声が飛んできた。

 

 

「おい、任一郎。妖精と遊ぶ暇があるなら書類を書け」

 

 

「いやぁ~面倒くさくて、つい」

 

 

「ほう・・・・・秘書艦に書類を書かせ、自分はお手玉と。良い度胸だな、貴様」

 

 

「おーっと」

 

 

「痛い目に会いたい様だな?」

 

 

霞が、指を鳴らす。

 

毎回思うけど・・・・・霞が、駆逐艦ってマジ?

 

俺は軽く両手を上に上げる。

 

 

「ハハハ・・・・・書くんでその手を下ろしてくれると嬉しいなーって」

 

 

「ふんっ。なら、さっさと書け」

 

 

「はーい」

 

 

俺はお手玉にしていた妖精さん達を横に下ろし、目の前の途中まで書いた報告書に鎮守府の現状を書き記していく。

 

資材備蓄料

燃料0、弾薬0、鋼材0、ボーキサイト0

 

開発資材0、高速建造材0、高速修復材0

 

最後に『至急、補充ヲ求ム。』っと。

 

・・・・・終わってんなぁ。

 

俺はそれを小さな封筒に畳んで突っ込み、妖精さんに渡した。

 

 

「妖精さん、これを大本営まで」

 

 

――――――(アイアイサー)!!】

 

 

瞬間、その封筒を持った妖精さんが消えた。

 

マジで何度見ても妖精さんって不思議生物だな。

 

 

「ま、これで遅くても明日には返事が来るでしょ」

 

 

「ふむ・・・・・だと良いがな」

 

 

「不穏な事言わないで?!」

 

 

「はんっ・・・・・上はこの様な状況で此処を放置していた無能だぞ?」

 

 

「・・・・・それを言われるとちょっと辛いかな」

 

 

流石に少しはまともであって欲しいね。

 

持って来た資材を報告書に書いてない俺が言うのもなんだけど。

 

ま、汚職よりは可愛いもんでしょ。

 

いざって言う時にウチの霞を守るためだし、バレなきゃ無問題ってね(お偉いさんも許してくれるさ)!!

 

 

「取り敢えず、気分転換に工廠に行こうかな。スミちゃんの艤装もメンテしなきゃね!!ハハハッ!!」

 

 

「スミちゃん言うな貴様!!」

 

 

「あ、ちょ痛い!!痛いって!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◥◤◢◣◥◤◢◣

 

 

 

 

 

鎚で熱した鋼材()を打ち、引き延ばす。

 

延ばしたソレを重ね、叩き、鍛える。

 

只、ソレが『鋼』と呼べる強度に至るまで繰り返す。

 

 

――――(カンセー)!!】

 

 

――――――――(ナニコノテイトク)

 

 

――――――(スゴイダロー)?】

 

 

俺は出来上がった霞用の盾を持ち上げて、色々な角度から見る。

 

うん、歪みは無いし、重量バランスも何時も通り。

 

 

「しっかし、未だに爺さんが言ってた様な『呼吸』を感じるってのはイマイチだなぁ」

 

 

「私からしたら提督のくせして、しかも手作業で艤装を造るお前の方がイマイチ理解できないのだが?」

 

 

「いやぁ、此方のほうが性に合ってるんだよ。ま、提督らしさは無いけどね」

 

 

俺は、鋼を打つ。

 

満足がいく出来になる迄。

 

彼女が少しでも楽を出来る様に。

 

 

「うーん良い感じ!!ハハハハハッ!!」

 

 

そして、()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










主宮 任一郎
祖父は刀鍛冶だった。彼はその姿に憧憬を抱いた。だが、彼が目指したのは、鋼と向き合う事ではなく、誰かの為に鉄を打つことだった。



駆逐艦「霞」
照れ隠しや不機嫌な時に任一郎の腹をぽかぽかと殴る。その威力は並の人間なら腹筋を痛め、痣が出来る程。




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