霞「奴等のデカい顔も癪に障らないか?」   作:文才の無い本の虫

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――()()()!!Верный!!ご飯の時間よ!!


――ハハハッ、天津風に怒られる前に行こうか


――うん、司令官







第四話「月下の」

 

 

 

 

 

「ようこそ、天津風。君を歓迎するよ。ま、何にもないけどね!!ハハハハハッ!!」

 

 

「えっ・・・・・此処って()()呉じゃないの?!」

 

 

「いや、正真正銘、あの五大鎮守府の呉であっている。無能な上のせいで私と任一郎以外誰もいないがな」

 

 

「う、嘘でしょ・・・・・」

 

 

彼女はまるで僻地に飛ばされた官僚の様な顔をしている。

 

そんな天津風に霞は続けて言った。

 

 

「だが・・・・・天津風、貴様が苦しむ要因も無い」

 

 

「!!」

 

 

霞は天津風に軽く微笑む。

 

おー、お母さんみたいな微笑みだね。

 

 

「今は休め。それしかできんのだからな」

 

 

「・・・・・わかったわ」

 

 

・・・・・あれ?

 

俺より霞の方が提督してない??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◥◤◢◣◥◤◢◣

 

 

 

 

 

「どうかな?」

 

 

「!・・・・・美味しい」

 

 

「ハハハッ!!それは良かった!!おかわりは一杯あるからさ、沢山食べな」

 

 

「・・・・・・・・・・おかわり」

 

 

「任一郎、私もおかわりだ」

 

 

「はいはーい、ちょーっと待っててね!!」

 

 

「ねぇ、霞・・・・・軍服を着た大男が間宮さんのエプロンしてるのってシュールね」

 

 

「まあ・・・・・気にするな天津風。すぐ慣れる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◢◣◥◤◢◣◥◤

 

 

 

 

 

天津風が来てから、数日が経った。

 

彼女はふらふらと鎮守府の中を散歩していたり、港で海風に当たっていることが多い。

 

まあ、ご飯を美味しそうに食べれるからそこまで心配はしていない。

 

俺は霞に書類を任せて――無論、サボっている訳では無い――あくせく妖精さんと工廠で働いている。

 

 

「任一郎、どうだ?」

 

 

「うーん・・・・・彼女の艤装、修理は出来そうだけどほぼ新造になっちゃうね」

 

 

「構わん。艤装は艦娘の半身だ。それを大破状態で放置する訳にはいかないからな」

 

 

「了解。じゃ、ちゃちゃっと作っちゃいますかね!!」

 

 

俺は壊れている艤装に向き合う。

 

装甲は大部分を作り直し、機関部に関しては明石姉から貰ったタービンや新型缶の設計図を参考に新造した。

 

 

「よし、完成」

 

 

「相変わらず手際が良いな」

 

 

「まあね」

 

 

俺は修理が終わった艤装を丁寧に仕舞い、蓋を閉める。

 

彼女が艤装(半身)を必要とする時まで。

 

 

――――(テートク)!!】

 

 

「うん?どうしたのかな?」

 

 

―――――――――(ケンゾーカンリョウ)!!】

 

 

―――――――(ケイジュンイチ)!!】

 

 

――――――(センスイイチ)!!】

 

 

―――――(クチクサン)!!】

 

 

「はい?」

 

 

五艦も建造したっけ??

 

俺は霞を見るが、彼女も意味がわからないといった顔をしていた。

 

 

「・・・・・取り敢えず、見に行こっか」

 

 

「ああ」

 

 

俺達は工廠の端、海に近い区画に向かっていく。

 

――建造。

 

ソレは五種類の資材に命を吹き込み、艦娘を生み出す妖精のオーバーテクノロジー。

 

必要な物は、時間と資材と環境と妖精の協力のみ。

 

それだけで創れてしまう。

 

だからせめて―――――――。

 

それが俺の義務だから。

 

 

「提督、軽巡大淀、戦列に加わりました。艦隊指揮、運営はどうぞお任せください」

 

 

「グーテンターク・・・・・あ、違った。提督、よろしければぁ「はち」と呼んでくださいねぇ」

 

 

「暁よ。一人前のレディーとして扱ってよね!」

 

 

「電です。どうか、よろしくお願いいたします」

 

 

「雷よ!!かみなりじゃないわ!そこのとこもよろしく頼むわね、提督!!」

 

 

・・・・・暁型。

 

俺は整列・・・・・整列?していた彼女達を見回す。

 

ていうか流石に多すぎじゃない?

 

 

「おーっと、俺は聖徳太子じゃないんだけどなぁー・・・・・まあ、自己紹介ぐらいはしようか。俺は主宮任一郎。よろしく頼むよ、皆」

 

 

・・・・・ごめん、そんな期待の眼差しを向けないで。

 

俺、本職じゃなくてメカニックだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーっと・・・・・ごめん、霞。後は任せて良いかな?」

 

 

「・・・・・はぁ。一つ貸しだからな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◥◤◢◣◥◤◢◣

 

 

 

 

 

鎮守府が寝静まった深夜。

 

俺は港の端で夜風に当っていた彼女に話し掛けた。

 

 

「やあ、天津風。()()寝れないのかい?」

 

 

すると、彼女は白銀の髪を靡かせながら振り返った。

 

月を背にした彼女は、輝いて見える。

 

だが、その顔は曇っていた。

 

 

「・・・・・・・・・・ええ、そうよ。あまり深く眠れないの」

 

 

「そりゃあ、難儀だねぇ。隣、失礼するよ」

 

 

俺は彼女の隣に座った。

 

すると、彼女も地面に腰を下ろした。

 

 

「ねぇ・・・・・提督。感謝・・・・・してるのよ、本当は。こんな私に優しくしてくれて、なにかを強制することも無い。あの提督とは、大違い」

 

 

天津風はうずくまる様に膝を抱える。

 

 

「あのね・・・・・思い出すの、あの頃のこと。いろいろ頑張ったけど・・・・・・・・・・時津風も、名前も知らない娘達も・・・・・全員居なくなったの。私は運良く助かってしまっただけ」

 

 

彼女は、ポロポロと涙を流す。

 

 

「提督。私は・・・・・どうすればいいの?」

 

 

「・・・・・そうだねぇ。一つ、昔話をしてあげよう」

 

 

――ソレは、仲間を失った提督のお話

 

不貞腐れて、影に縋って・・・・・誰かに火を灯してもらわないと動けなかった。

 

そんなどうしようもない、提督(オレ)の話。

 

 

「どうだい?滑稽な話だろ?」

 

 

「・・・・・悲しいわね」

 

 

「そ、悲しいんだ。だから、まだ前に進める。進まなくちゃいけない。俺も、君も」

 

 

だから。

 

 

「天津風。君が進む理由を見つけなれないなら、俺が灯台になろう。時間が必要だというのなら、好きなだけ考えると良い。俺は、君の意志を尊重するよ」

 

 

暫くして、彼女は言った。

 

 

「・・・・・・・・・・貴方は、太陽の様な人ね。眩しくて、温かい・・・・・・・・・・ねぇ、()()()。私、考えてみようと思うわ。私が何をしたいのか・・・・・だから、その間は、()()()の為に戦わせてもらっても良いかしら」

 

 

「そりゃ、助かるね。君が手伝ってくれるなら、俺が生きている間に戦争が終わるかも」

 

 

「大袈裟ね」

 

 

「ハハハッ・・・・・調子、出てきたんじゃないかな?」

 

 

「ええ」

 

 

彼女は立ち上がった。

 

そして、俺に向かって手を伸ばす。

 

 

「改めて。私は、天津風。よろしくね、()()()

 

 

「ああ。よろしく、天津風」

 

 

俺は、立ち上がってその手を握り返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――その様子を、月だけが見守っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









任一郎
無論、引き摺っている。だが、笑う。彼女とまた会う日まで、折れるわけにはいかないから。


天津風
立ち直った訳では無い。だが、彼女は進む。彼女にとっての太陽が現れたから。



大淀を補佐に艦隊運営中。下手な提督よりも提督している。



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