霞「奴等のデカい顔も癪に障らないか?」   作:文才の無い本の虫

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――あなたは、太陽の様な人だった







第五話「誓い」

 

 

 

 

 

「君が天津風で合ってる?」

 

 

赤茶の短髪の、白い軍服を着こなした大男。

 

溌剌に、その男は私の目を見て言った。

 

 

「ハハハッ!!良い目だ!!」

 

 

その日、私は太陽に出会った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◥◤◢◣◥◤◢◣

 

 

 

 

 

私は▓▓鎮守府で建造された駆逐艦、天津風。

 

戦う為に創られ、あの提督に消費されて轟沈する、そんな役割の筈だった。

 

仲間は居たけど、最後には私以外沈んでしまった。

 

 

「また・・・・・一番最初かぁ・・・・・いいけど・・・・・天津風・・・・・ま、た・・・・・ね・・・・・」

 

 

今でも、時津風の言葉を思い出す。

 

私は、生きていて良いのだろうか。

 

何時も考えてしまう。

 

 

「ようこそ、天津風。君を歓迎するよ。ま、何にもないけどね!!ハハハハハッ!!」

 

 

最初は変な提督だと思った。

 

秘書艦の霞の方がしっかりしているし。

 

だけど。

 

 

「どうかな?」

 

 

「!・・・・・美味しい」

 

 

「ハハハッ!!それは良かった!!おかわりは一杯あるからさ、沢山食べな」

 

 

彼は、私に何かを強制することは無かった。

 

提督は美味しいご飯を食べさせてくれて、霞も何かと声をかけてくれる。

 

まるで揺り籠に揺られているかのような、そんな生活。

 

この提督の為なら、少しは頑張ってみようかなと考えたりもした。

 

 

「時津風っ・・・・・・・・・・夢、か」

 

 

そんなある日、私は真夜中に目を覚ました。

 

眠れなくて、港で夜風に当たっていた。

 

 

「やあ、天津風。君も寝れないのかい?」

 

 

後ろを振り返ると、彼がいた。

 

妙に気不味くて、少しぶっきらぼうに返してしまった。

 

 

「・・・・・・・・・・ええ、そうよ。あまり深く眠れないの」

 

 

それでも、邪険にはしなかった。

 

 

「そりゃあ、難儀だねぇ。隣、失礼するよ」

 

 

そう言って、提督は私の隣に座る。

 

何と無く、私は彼の横に腰を下ろした。

 

誰かの存在を感じたかったのかもしれない。

 

 

「ねぇ・・・・・提督。感謝・・・・・してるのよ、本当は。こんな私に優しくしてくれて、なにかを強制することも無い。あの提督とは、大違い」

 

 

提督は何も言わないで、話を聞いてくれた。

 

そんな彼の隣はとても温かくて、居心地が良かった。

 

だからなのか、少し涙もろくなって、弱音を吐いてしまった。

 

 

「提督。私は・・・・・どうすればいいの?」

 

 

「・・・・・そうだねぇ。一つ、昔話をしてあげよう」

 

 

そして、彼は話をしてくれた。

 

 

「どうだい?滑稽な話だろ?」

 

 

ソレはとっても悲しいお話。

 

提督が大切な仲間を失った話だった。

 

感じるのは、強い悲しみと寂念。

 

 

「・・・・・悲しいわね」

 

 

「そ、悲しいんだ。だから、まだ前に進める。進まなくちゃいけない。俺も、君も」

 

 

彼は、その悲しさを表に出さずに、微笑っていた。

 

 

「天津風。君が進む理由を見つけなれないなら、俺が灯台になろう。時間が必要だというのなら、好きなだけ考えると良い。俺は、君の意志を尊重するよ」

 

 

真っ直ぐな瞳。

 

太陽みたいだと、思った。

 

 

「・・・・・・・・・・貴方は、太陽の様な人ね。眩しくて、温かい・・・・・・・・・・ねぇ、()()()。私、考えてみようと思うわ。私が何をしたいのか・・・・・だから、その間は、()()()の為に戦わせてもらっても良いかしら」

 

 

「そりゃ、助かるね。君が手伝ってくれるなら、俺が生きている間に戦争が終わるかも」

 

 

「大袈裟ね」

 

 

少し照れてしまう。

 

でも、そんなやり取りが、どうしようもなく楽しい。

 

 

「ハハハッ・・・・・調子、出てきたんじゃないかな?」

 

 

「ええ」

 

 

私は立ち上がって、提督(私のあなた)に向かって手を伸ばした。

 

 

「改めて。私は、天津風。よろしくね、()()()

 

 

そして、あなた(提督)は立ち上がって私の手を握り返してくれた。

 

 

「ああ。よろしく、天津風」

 

 

少し、頬が緩む。

 

ああ、コレが・・・・・恋、なのね。

 

良いわ。

 

私は、何時かあなたの一番になってみせる。

 

だから、その時が来たら・・・・・。

 

 

「ん?どうしたんだい?」

 

 

「ううん。何でも無いわ、あなた・・・・・夜明け前の、良い風ね」

 

 

「ハハハッ!!そうだねぇ・・・・・とっても良い風だ」

 

 

水平線の向こうが少しずつ明るくなっていく。

 

今は、もう少しだけこの時間が続いて欲しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、貴様等・・・・・二人で朝帰りとは、良い身分だな?」

 

 

「あー、はい。すいません」

 

 

「えーっと・・・・・ごめんなさい、霞」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・一番までは、少し遠そうだけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◢◣◥◤◢◣◥◤

 

 

 

 

 

「うーん・・・・・ずいぶんと楽になるもんなんだねぇ」

 

 

「大淀の働きが大きいな。奴が艦隊を率い、報告書の製作もしている。貴様の書類仕事をやっている私も随分と助かっているよ」

 

 

「あー、すいません」

 

 

霞と大淀が作製してくれた書類に目を通し、大丈夫なら判子を押す。

 

 

「ハハハッ・・・・・本当に君には頭が上がらないよ」

 

 

「ふんっ。喋っている暇があるなら手を動かせ」

 

 

そうやって書類に目を通して、判子を押したりしていると執務室の扉が開かれた。

 

 

「失礼します。提督、先日の哨戒任務の報告書です」

 

 

「お、ありがとう・・・・・うん、俺より文章書くの上手いね・・・・・」

 

 

「はぁ・・・・・任一郎、貴様が下手過ぎるだけだ。大淀、訓練は順調か?」

 

 

霞は大淀に問う。

 

 

「はい、()()()。順調に練度も上がっています」

 

 

「ふむ・・・・・今度、提督を連れて行く。通達しておけ」

 

 

「了解しました」

 

 

窓の外を少し見ると、港に作った演習場で天津風達が演習用ペイント弾で撃ち合いながら駆け回っている。

 

前とは動きのキレが違うね。

 

どうやら霞に訓練を頼んだのは正解だった様だ。

 

天津風が言うにはスパルタらしいけど。

 

 

「お、そろそろ天津風達がお腹をすかせて帰って来る頃だね」

 

 

俺は、立ち上がる。

 

すると、霞が言った。

 

 

「今日は?」

 

 

「うーん、確か野菜が余ってたからカレーかな?」

 

 

「提督のカレー・・・・・楽しみです」

 

 

大淀の目がキラキラしてる。

 

彼女達は何時も美味しそうに食べてくれるから料理人冥利に尽きるって奴だね。

 

俺、提督だけどさ。

 

 

「ハハハッ!!じゃ、期待して待っててね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「もぐもぐ・・・・・」」

 

 

「うん、美味しいわ!!」

 

 

「提督のカレー、美味しいですねぇ」

 

 

「提督、とても美味しいです」

 

 

「あなた、おかわり」

 

 

「任一郎、私もだ」

 

 

「はいはーい、ちょーっと待っててね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









天津風
偶に任一郎に料理を習っている。霞にとあることを頼んでいるため現呉鎮守府で一番食べる量が多い。最近、夜中にコーヒーを煎れる練習をしているとか。


スミちゃん
朝帰りのせいでご飯が出てこなくてご立腹。任一郎が焼いたうさちゃんクッキー特盛で機嫌を直した。見た目は駆逐艦だが、超弩級戦艦も慄くレベルのスパルタ教官である。


大淀
事務能力が高く、呉鎮守府の運営に携わっている。霞の部下の様な立ち位置。あれ、提督は?


その他艦娘達
日中は哨戒任務だったり訓練をしている。任一郎の方針で自由時間は割と(他の鎮守府と比べると凄く)多め。その事で霞は「甘い奴め・・・・・まあ良い。その分は私が締めればいい話だ」と更にスパルタに磨きがかかったとか。


任一郎
日中は書類仕事と艤装の修理や調整、鎮守府の掃除洗濯料理・・・・・あれ、提督とは??そして夜中に工廠で全員の艤装のメンテナンスをしている。最近天津風がコーヒーの差し入れをしてくれる事や、雷が掃除を手伝ってくれることがとても嬉しいとか。




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