異界冒険譚シリーズ【アメリア編】-聖女の証-   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第24話『魔物は魔物。種族等はなく、ただそういう存在です』

水の精霊との最上位契約を終わらせ、私とキャロンさんはエルフさん達、それにレーニちゃんに別れを告げて、リアムさん達の待っているであろうキャンプ地へと戻った。

 

そして、私たちよりもずっと前に帰ってきていたという三人に湖で水の精霊と最上位契約を結んだ事を話す。

 

「はぁ? どういう事だ。何があってそうなる」

 

「いやー。それがまぁ、色々とありまして」

 

「色々ってのは何だ」

 

「それはその……まぁ、色々とありまして」

 

「歯切れが悪いな。何かあったのか?」

 

「それくらいにしなさいよ。本当に色々あったのよ。それに、多分湖であった事は誰にも話さない方が良いわ。夢を壊さない為にもね」

 

「はぁ?」

 

「あー。それと、今度から淫魔にあったら少しは優しくしてあげなさい」

 

「いや、意味が分からないが、淫魔ってのは、とんでもない連中だぞ? 道で目が遭えば死ぬ寸前まで絞りつくされるとか何とか。まぁ子供の前で具体的な事は何にも言えんが、とにかくヤバイ連中だ」

 

「詳しくは言えないけど、それ全部風評被害なのよ。ある連中の」

 

リアムさん達は首を傾げていたが、私はキャロンさんの話を聞きながらただ首を縦に振っていた。

 

それもこれも、エルフの方々のお願いというのもあったが、エルフが純粋無垢な存在だと信じている人は、世界でもかなりの数がいるらしく、その人たちの夢を壊さない為に、黙っていようと言ったのはキャロンさんだった。

 

まぁ、痛い目に遭う人も居るかもしれないが、それは自業自得だからと言って。

 

かくしてエルフさん達の秘密は私たちだけの秘密にもなったという訳である。

 

「まぁ良い。そっちにも動きがあった様に、こっちにも動きがあったからな」

 

「そうなんですか?」

 

「あぁ。おそらくだが、強力な風の精霊に会えそうな場所がある。どうもそこには奇妙な奴が居るらしくてな。ソイツに聞けば風の精霊について詳しく教えてくれるんだそうだ」

 

「ソイツっていうのは?」

 

「なんでも、空を飛ぶオークらしいぜ」

 

 

 

リアムさん達が聞いて来た情報を元に、私たちは旅の次なる目標を南東にある草原地帯へと定めた。

 

「しっかし、オークかぁ。俺、オークって会った事無いんだけど、どういう連中なんだ? 知ってる奴は居るか?」

 

「はい。私が多少知ってます」

 

「あ、そうなんだ。アメリアちゃんは博識だねぇ」

 

「いえいえ。それほどでもありませんよ」

 

フィンさんの疑問に応えながら、私はオークさんとの記憶を思い返していた。

 

確か初めて会ったのは獣人さん達と同じ頃だったと思う。

 

「オークさんというのは、知性を持った魔物の一部が姿を変えた種族の事で、自らを『魔力を持った動物』である魔物ではなく『魔力を持った新たなる種族』という事で魔族と名乗っている様ですね」

 

「あー。魔族ってそういう意味なんだ。確か淫魔とかオーガとかもそうよね?」

 

「はい。そうですね」

 

「ん? そいつらと獣人は何が違うんだ? 獣人も確か獣が人みたいに生活し始めたから獣人なんだろ? そいつらも同じじゃないか」

 

「リアム。アンタそんな事も知らないの?」

 

「あァ? テメェも今同じ様な事聞いてただろうが」

 

「全然違うわよ。私は元々どういう種族なのかあやふやな存在を確認しただけ。獣人と魔族はね。体の中に蓄えられる魔力量が違うのよ。そうでしょ? アメリア」

 

「はい。そうですね」

 

「あぁ。なるほどな。そういう事か」

 

「えっと、ごめん。姉ちゃん。俺、まだよく分かんないや」

 

「いえいえ。大丈夫ですよカー君。では分かるところから説明しましょうか。カー君は魔力という物がどういう物かご存知ですか?」

 

「んー。何となく。魔術を使う時に無くなる奴だろ?」

 

「そうですねぇ。大体はそれで合っています。しかしもっと詳しく言うと、魔術を使う際にはカー君の体の中にある魔力を使っているんです」

 

「体の中」

 

カー君は自分のお腹を触りながら首を傾げた。

 

そしてそんなカー君に私は大きく頷きながら、続きを語る。

 

「そして持っている魔力が多ければ多い程沢山魔術が使えます。ここまでが魔術と魔力のお話です」

 

「うん」

 

「そして獣人さんと魔族さんの違いについてですが、先ほどキャロンさんが言った通り、魔族さんと獣人さんの一番大きな違いは持っている魔力の量が違うという点です。獣人さんは元々持っている魔力量が少なく、どちらかと言えば私たち人に近い存在です。その為、人族に属する獣人さんという種族になる訳ですね」

 

「あー! そっかー! じゃあ、魔族は元々魔力の多い種族で、魔族っていう括りの中のオークとか、オーガとかそういう種族なんだ」

 

「はい。その通りです」

 

私がカー君に説明し終わると、何だか意外そうな顔をしているリアムさんとフィンさんとキャロンさんが居た。

 

何だろうと首を傾げると、みんなを代表してかフィンさんが口を開く。

 

「いやー。意外……と言ったら失礼なんだけど。アメリアちゃんってかなり物知りなんだね。それに説明するのが上手い」

 

「そうですか?」

 

「あぁ。よくあのド田舎でそれだけの知識を付けたもんだ」

 

「言い方ァ!」

 

「いてっ、痛ぇな! 蹴るんじゃねぇよ! キャロン!」

 

「アンタが気遣いの無い事言うからでしょ」

 

「チッ」

 

リアムさんとキャロンさんは言い争いをしながら、互いに睨み合う。

 

そんな中、今までの会話で何か疑問に思ったのかフィンさんが私に疑問を投げてきた。

 

「不意にさ。疑問に思ったんだけど。魔物ってどういう括りになるんだ? 魔力が多い種族だから魔族か?」

 

「あー。フィン。それは突っ込まない方が良いわ」

 

「そうですね。魔物は魔物。種族等はなく、ただそういう存在です」

 

「ん? あ、いや。そりゃあ、そうなんだろうけどさ」

 

「フィン。知ってるか? 魔物の中には年がら年中発情して、手あたり次第に女を襲うゴブリンって連中が居るらしい。小鬼だったか? ソイツ、お前によく似てるが親戚か?」

 

「んだとテメェ! リアム! 誰が小鬼レベルの頭だと!?」

 

「ソレだ。それがオークとかの連中が魔族を名乗り始めた理由だ」

 

「あ? あぁ、そういう事か」

 

「結構ギリギリな話題だからオークの前でそれやるの止めてね? 下手したら私ら全員オークの餌にされるわよ」

 

「え!? オークってそんなに怖い奴らなのか!?」

 

「あ、いえ。そんな事は無いですよ。カー君。ただ、誰だって自分の信じている物を否定されたり、バカにされたら悲しいでしょう? オークさんも同じという事です」

 

「あぁ、そういう事か。ま、でもオークがヤバイ奴らでも俺が姉ちゃんを護ってやるからな」

 

「へっ。ビビってた癖によく言うぜ」

 

「なんだと!? 俺はビビってねぇ!」

 

「へいへい。そうだと良いな。ビクビク小僧」

 

「俺はガキじゃない! ビビってもねぇ!!」

 

「もうリアムさん! カー君をあんまり虐めないでください」

 

私はカー君を抱き寄せながら、リアムさんに文句を言った。

 

そしてそんな私の反応にリアムさんはバカにした様に笑う。

 

「おいおい。またお姉ちゃんに庇われてるぜ。随分と勇敢な英雄様だな」

 

「なんだと!」

 

「はいはい。もうその辺にしておきなさいよ。全く。リアムも大人げないわね」

 

「しょうがない。しょうがない。愛しのアメリアちゃんがカー君。カー君言ってるから面白くないんだろ」

 

「黙ってろ! フィン!」

 

ワイワイと森の中で騒ぎながら、私たちの旅は続いていくのだった。

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