異界冒険譚シリーズ【アメリア編】-聖女の証-   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第83話『そんなの間違ってるよ。お姉ちゃんは私のお星さまなんだから! いつだって最高に輝いているんだ!』

ユニコーンさんと、アシナーガヒコさん達ケンタウルスさん達と別れ、私たちはのんびりと歩きながら、オークさんの家を目指していた。

 

本当はもっと早く歩く事も出来たが、視界の端に見えるユニコーンさん達の背中をまだ見ていたい気持ちがあったのだ。

 

心なしか。ユニコーンさんが走る速さものんびりと走っている様に見える。

 

『リリィ』

 

「……なぁに? お姉ちゃん」

 

『少し見ない間に、大人になりましたね』

 

「そうかな」

 

『えぇ。お姉ちゃんはとっても誇らしいです。世界中の人に自慢したいくらいですよ。この子が私の可愛い妹のリリィなんです! って』

 

「……恥ずかしいよ」

 

私は抱き着いてくるお姉ちゃんを言葉では拒否しながらも、静かに受け入れて目を伏せた。

 

嬉しさと、寂しさが入り混じる。

 

本当は泣き出してしまいそうなくらいに苦しいのに、我慢しているだけの私が大人とは思えない。

 

けれど、こんな私を大人と言ってくれる、立派だと言ってくれるお姉ちゃんの優しさが嬉しかった。

 

そしてすっかりユニコーンさんの姿が見えなくなるまで、目で追いながら、いよいよ姿が見えなくなってからは寂しさを隠す様にお姉ちゃんの手を強く握る。

 

お姉ちゃんはそんな私の気持ちを察してくれたのか。ここに居るよと教える様に強く握り返してくれるのだった。

 

 

 

何だかんだと時間を掛けてたどり着いたオークさんの家だったが、近づいてみても草原の真っ只中に居る様にしか見えないし、ここに家があるだなんてとても思えない。

 

しかし、手を伸ばし、触れてみれば確かに何かがあるのだ。

 

手のひらに固い何かと触れる様な感触がある。

 

不思議だなと思いながらも触れたり、離したりを繰り返している間に、お姉ちゃんたちの交渉は終わった様だった。

 

まぁ、交渉とは言っても前に知り合った人と話をしただけの様だったが。

 

「んで? コイツが話してた妹か」

 

「……っ!」

 

私はお姉ちゃんの背に隠れながら、その大きな人を見た。

 

とても大きい。

 

リアムさんよりも大きい。見上げる様な大きさだ。

 

私の倍くらいあるんじゃないだろうか。

 

「アメリアの妹にしては随分と大人しいな」

 

『そうですね。可愛いでしょう?』

 

「いや、可愛いかどうかは知らねぇけどよ。俺らオークの好みじゃねぇし」

 

『あら。そうなんですか?』

 

「あぁ。肉が足りねぇ。痩せすぎだ。チビだしな」

 

『そうなんですねぇ』

 

アハハとお姉ちゃんは、その巨大なオークさんと笑う。

 

相変わらずというか。こういう時のお姉ちゃんは本当に凄い。

 

そして、お姉ちゃんはケラケラと笑いながら、次から次へ現れるオークさん達と話をして、あっちへこっちへと移りながら、気が付いたら私と一緒に大きな大きな飛行機の中に乗っていた。

 

……。

 

なんでっ!?

 

あれ!? 本当に何で!?

 

何となくお姉ちゃんの背中に付いて行ったら、こんな所に来ていた。

 

「おぉー! アメリア!! 久しぶりじゃないか!」

 

『ドーラさん! 久しぶりですね! どれくらいぶりでしょうか』

 

「そうだね。あの頃のアタシはまだまだ若いピチピチの頃だからね。五十年ばかり前の事じゃないかい?」

 

『もうそんなに経つんですね。懐かしいです』

 

「おーおー。お前は何も変わらないねぇ! 流石は魔法使いのお姫様って所かい!? いや、でも周りは変わったみたいだね。昔は姫様姫様って囲まれていただろう!?」

 

『いえいえ。ドーラさんには負けますよ。私たちが出会った頃はドーラさんがオークのお姫様だったじゃないですか。オークの皆さんは、みんなドーラさんに夢中でしたよ? 今はちょっとだけ痩せましたか? やはり年が……』

 

「いやだね! アタシは今でも変わらないよ! ちょっと会わなかっただけで美化しすぎさ!」

 

『えっへっへ。確かにそうですね』

 

今までにあったオークさんの中でも、かなり大きなオークさんに抱き着きながら、オークさんと一緒にお姉ちゃんは笑う。

 

とても楽しそうで、嬉しそうだった。

 

「ほえー。ママの若い頃だってよ」

 

「まるで想像も出来ねぇなぁ」

 

「今じゃ見る影もねぇや」

 

「アンタたち!! 聞こえてるよ!! 無駄口叩いてないでさっさと準備しな!!! 明日の夜には飛び立つんだからね!」

 

「「「はぁい!! ママ!!」」」

 

ボーっとドーラさんとお姉ちゃんの話を聞いていたオークさん達はドタバタと走り周り、魔導具を動かそうと色々な道具で作業をしていた。

 

私も何か手伝えないかと、立ち上がり、床の下に降りて声を掛けてみる。

 

「あの。私も何かお手伝いしても良いですか?」

 

「えぇ!? 人間のアンタがかい? そんな細い腕で力なんか入れたら折れちまうんじゃ無いか?」

 

「おー。爺さん。なんだなんだ。どうした?」

 

「いやぁ、よ? この人間のお嬢ちゃんが魔導具の整備を手伝うんってんで、話を聞いてたんだよ」

 

「手伝ってくれるってんなら、そりゃ嬉しいが……しかし、大丈夫か? ちっさくて細っこいが、何か病気じゃねぇだろうな?」

 

「いや、あの。人間はみんなこんな感じなんです」

 

「ほえー! そりゃ驚いた! 人間も大変なんだなぁ。可哀想に。飯もろくに食えんとは……よし! じゃあ厨房の方を頼めるかい? そろそろ飯の支度をしないといけないしな」

 

「厨房、ですか?」

 

「あぁ。そうだ。この船はな。ママの趣味で厨房を付けてんだよ! 空の上で食う飯は最高だからな! そこで手伝いながら、適当に食べると良い。腹も減ってるだろう」

 

あれよあれよという間に私は厨房へ案内され、そこで料理をする事になった。

 

そして、とりあえずジャガイモの皮むきを樽いっぱい分行う事になった。

 

無論。一杯ではなく、いっぱい分だ。

 

一個一個丁寧に皮を剥いて、手が空いてきたらスープを作るのも手伝う。

 

家ではお姉ちゃんと一緒に居る時間を増やす為に、お手伝いはよくしていたし。

 

旅に出てからはキャロンさんと一緒に作る機会も多かった。

 

だから、慣れているのだけれど……厨房の外から感じる気配には微妙な感じを覚える。

 

何だろう……監視されてるって感じじゃないんだけど。

 

珍しいモノとして気になってるんだろうか……。

 

私は作業をしつつ、外から聞こえてくる会話に耳を傾けた。

 

「いい……」

 

「見ろよ。あの手際の良さ。人間にしとくのが勿体ないぜ」

 

「確かになぁ。見た目がなぁ……」

 

「人間ってどんぐらい喰ったら肉が付くんだ?」

 

「あんまり食べ過ぎると、空の果てに行っちまうって俺は聞いたぞ」

 

「なんと」

 

「惜しい……」

 

「いや、俺は割といける気がしてきた」

 

「「「お前、本気か!」」」

 

うーん。なんだろうこの。

 

やっぱり種族が違うと価値観が違うのか。

 

こんなにハッキリと品定めされる様に言われるのは初めての経験だ。

 

流石に人間同士だと、ここまで色々言わないからね。

 

あれかな。私たち人間も花とか宝石とかに好き放題言ってるし。同じ様な感じなのかもしれない。

 

しかし、しかしである。

 

私はこのまま言われたい放題言われるつもりは無かった。

 

何せ、この見た目は完璧なのだ。

 

お姉ちゃんにそっくりなのだから。

 

まぁ、お姉ちゃんより色々小さいし、まだ子供っぽい感じだけど。

 

それでも将来は完璧な人になる訳で。

 

その姿を否定されるのは……納得いかない。

 

そうだよ。そんなの間違ってるよ。お姉ちゃんは私のお星さまなんだから! いつだって最高に輝いているんだ!

 

「あの!!」

 

「ん? おぉ。どうした?」

 

「私の事を色々と言うのは良いんですけどっ! それならお姉ちゃんはどうなんですか!? 私たちそっくり姉妹なんですけど」

 

「……」

 

「ほえ?」

 

「そっくり?」

 

なんだその反応!!

 

むっかー!!

 

むっっっっかー!!!!

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