『ねぇ、起きて…僕ずっと独りぼっちで暇なんだ』
綿飴の様な甘い声が響く
視界が真っ白で何も見えない
誰かに身体を揺すられている
身体がずぶ濡れだ
ふと、自分の身体が薄くベタつく膜で覆われていることに気がついた。
腕を伸ばす、膜が千切れる、視界が開ける
息が出来ない、苦しい、くるしい
身体が上に持ち上げられた
「ゲホッ…ゔぇ゙っ、………ふぁ??へぁ?ん?うわっ!」
状況が飲み込めない
目の前には自分よりも遥かに大きい生き物?がいた。
『あっ!起きたみたいだね、おはよう。』
なんだこいつは、口が無いのにどうやって喋ってるんだ?
『僕はね、えっと…何だったかな?……あぁ思い出した、ミツル。僕はミツルって言うんだ!よろしく。君の名前も教えて!』
蛇と人を撹ぜた様な大きな生き物がそう言った
「…カズラ。ナカタニ カズラ、それが俺の名前。」
訊きたい事が山程あるのに上手く言葉に出来ない。そんな俺の事を見透かした様にミツルは言った。
『此処はね、"バスルーム"って場所。僕みたいな化け物が君みたいな子とお話やら戯れをするところ。』
「…は?」
『混乱してるね、まぁ落ちたばっかりだし仕方ないか。』
ミツルが俺の身体に尻尾を巻きつける。
動けず戸惑っていると、ミツルの顔が目の前に来ていた。
ミツルの冬の空に似た色素の薄い眼が余りにも美しくて思わず声が漏れてしまった。
『…変わってるね、普通は凄い剣幕で睨んでくるか、パニックでまともなコミュニケーション取れない子ばっかりなのに』
頭がこの状況を受け入れている
まるでもとから此処に居たと言わんばかりに
此処が故郷だと、頭が受け入れている
「どうやったら此処から出られる。」
一握りの理性を振り絞ってミツルに質問をする
何故か判らないが、ミツルのペースに呑まれてはいけない様な気がしたから
『…僕の話聞いてくれたら出してあげるよ、んまぁ聞き終わる前に時間が来ちゃうだろうけどね。』
時間?何の事だ?
分からない事が多すぎる
ようやくハッキリしてきた頭で考えを巡らせる
ミツルは俺の事をじっと見つめたまま不気味な程に動かない
少し怖くなってミツルに話しかけようとしたその時
ジリリりりりりリリリリリリリリリリリリ
目覚ましのベルの音が響いた
『今日はここまでかぁ、明日から本格的に宜しくねカズラ君。』
そうミツルにそう言われた後、何処かへ行かなければならない様な気がして俺は走り出した。
「……………………ゔっ…今何時だ?……は?8時?終わった。遅刻確定した…」
最悪の日常の始まりだった。
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眠いので寝ます
ここまで読んでくれた貴方に大感謝