エルデンリングって何だよ   作:ポチ&タマ

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 生存報告も兼ねて、1話だけですが。

 現在本作を中心に執筆中です。
 ストックの完成までおよそ2〜3ヶ月掛かる見込みですので、気長にお待ち頂ければと思います。


第45話 お前は美しい

「早急な用事がないのであれば、レアルカリア魔術学院へ向かうといい。是非とも我が王に会わせたい人がいる」

 

 ラニ様が暗き道へ旅立たれた後、定位置である肩の上に座ったミニラニ様からそんな提案を受けた。

 さしあたっての用事といえば、セレン師匠から出された宿題の報告くらいか。それと、リムグレイブは大体散策したからそろそろ次のエリアへ赴いてもいいかも。

 それはそうと、ミニラニ様からそのような提案が上がったのなら受けねば無礼というもの。

 レアルカリア魔術学院⋯⋯レアルカリアかぁ⋯⋯。

 

「あのラニ様、その魔術学院にユビムシは居ますかね⋯⋯?」

 

「フッ、案ずるな。彼の領地は生粋の魔術の徒。今も魔術を研鑽している学徒が研究に勤しんでいるだろう。ユビムシが生息出来る環境ではない」

 

「と、いうことは」

 

「ユビムシは居ないから、安心して向かうといい」

 

 ミニラニ様から心強いお言葉を頂いた俺は、主君のアドバイスに従い、レアルカリア魔術学院へ向かうことにした。

 

 

 

 というわけでやって来ました、レアルカリア魔術学院! 

 場所は湖のリエーニエの中央。

 まるで空から学院が堕ちてきたかのように、巨大な岩盤と崩壊した大橋が湖の中央に鎮座しており、ビルほどの高さはある地盤の上にホグワーツ染みた城が建っている。

 廃墟と化した城下街の屋根を跳び移りながら、魔術学院の敷地内に足を踏み入れると巨大な城門がお出迎えした。

 厳重な結界が張られていたが、何時ぞや師匠に「必要になる時が来るだろう」と渡された学生証のお陰で無事に侵入。

 今でも学院は機能しているのか、師匠とは違う輝石頭を被った学徒たちが敷地内を巡回している。

 これまでの経験則から無闇矢鱈に姿を見せれば即サーチアンドデストロイモードに移行するだろう。無駄な戦闘は避けたいところだ。

 

「ではどうする? コソコソと隠れながら進むのか?」

 

 我が王なら王に相応しい振る舞いをしてほしいものだが、と肩に座ったミニラニ様から苦言を呈される。

 何気に隠密行動をディスるミニラニ様。伝説の兵士が聞いたら無言でタバコを吸いそうだなと思いながら、ポーチから学徒の制服一式を取り出す。

 

「変装か。知に秀でた振る舞いは嫌いではないぞ」

 

 ステルス潜入はアウトで変装はOKなのか⋯⋯。

 腑に落ちない思いを抱きながら、彼らと同じ輝石頭を被ろうとして、ふと思う。

 

(偉大なるセレン師匠の愛弟子の俺が彼らと同じクラスの輝石頭を被るのは、師に対する侮辱では?)

 

 しまった、今の俺がどのクラスに匹敵するのか、予めセレン師匠に聞いておけば良かった⋯⋯! 

 輝石頭は教室を示すものであり、一種のステータスである。

 教室はカロロス、オリヴィニス、双賢、ラズリ、ハイマ、ヤロダスの六つ。

 セレン師匠の話では、レアルカリア魔術学院はかつて星の生命の残滓である輝石を手掛かりとして、星と生命の探求を行っていた。が、月の魔術を主流とするカーリア王家の当主──すなわちラニ様のお母様であるレナラ女王が学院の統治者として就任すると、それらの探求は禁止される事となったとのこと。

 それでも禁忌を追求した結果、セレン師匠は学院を追放された。そんな師匠の弟子となった俺が魔術学院へ足を踏み入れることになろうとは⋯⋯。

 取りあえず、輝石頭はカロロスでいいか。流石に師匠と同じ輝石頭は頭が高過ぎる。ちなみに師匠の輝石頭は【魔女の輝石頭】という名称であり、オンリーワンである。

 

「ラニ様は学院に通ってたんですか?」

 

 カロロスの者と見做されているのか、学徒たちの前を素通りしても気にした様子はない。

 肩に乗っかったミニラニ様とお付のボックに「何だコイツ」と言いたげな視線を送ってくる学徒どもをスルーしつつ、そういえばとミニラニ様に話題を振った。

 

「いや、私が師は雪の魔女だったからな。カーリア王家の母は学長を務めていたが、私は学院に通わず師の元で研鑽を積んでいた」

 

 丁度お前がセレンを師に持ったようにな。そう続けたミニラニ様の言葉になるほどと頷く。

 そして、ミニラニ様は憂いを孕んだ声音で、そっと語り始めた。

 

「卓越した英雄だった若き日のレナラは、月の魔術で学院を魅了し、輝石の騎士たちを率い、カーリアを王家と成した。しかし、夫ラダゴンに捨てられ心を失った。地に堕ちた英雄など不要と断じた学院は反旗を翻し、今もレナラは大書庫に捕らわれているだろう。

 何故、ラダゴンが母を捨てたのかは分からない。だが、結果として狂ったレナラは、かつてラダゴンから贈られた琥珀の卵に縋り、生まれ直しの禁忌に耽った」

 

「生まれ直しの禁忌?」

 

 転生ですか? 

 

「私も詳しくは知らないが、肉体から魂を分離し、再結合する禁術だ。……ラダゴンとのよすがに縋りつく様は、見ていて痛々しく思うよ」

 

 微かな寂しさを滲ませながらそう言葉を締め括るミニラニ様。

 レナラ様が何を思って生まれ直しの禁術に手を伸ばしたのか分からないが、お労し過ぎる⋯⋯! 

 ダークファンタジー系のエロゲなのだから、きっとレナラ様のベッドシーンも用意されているはず。

 これは我が情熱と尽きぬエロスで、こっぴどく捨てられた未亡人属性の熟女ヒロインを救済せよとの、神のご意思に間違いない! 

 虚空に向けて腰を振るエアピストンをしながら決意を漲らせる俺を、勘の良いメリナがペチペチするのだった。

 

「生まれ直しの禁術⋯⋯」

 

 何処か神妙に呟くボック。何か気になるのかと尋ねるも愛想笑いを浮かべて小さく首を振った。

 

「ん? そこのお前。なぜ亜人など連れてるんだ?」

 

 不意に背後から声を掛けられた。

 ゆっくり振り返ると、魔術教授を示す服装の男性の姿が。

 仮面越しに不躾な視線を送ってくる教授は、

 

「魔術の素材にするにしては役に立たんだろうに。そんな猿を学院に入れるなど、何を考えている」

 

「──!」

 

「Shut Up Punch!」

 

 許されぬ失言をしたクソ教授の顔面に拳をブチ込み、即視界から消えてもらう。

 誹謗中傷を受けたボックは非常に落ち込んだ様子で顔を俯けていた。

 

「⋯⋯前々から思っていたんです。わが王には、多くの美女や有能なお方が側にひかえていらっしゃる。それに比べて、オイラはただの針子⋯⋯醜いオイラが、ずっとわが王に仕えるなんて、許されないのでしょうか⋯⋯」

 

「ボック」

 

「もし⋯⋯もし、生まれ直すことが出来るのなら。たとえどうなるとしても、生まれ変わるべきでしょうか⋯⋯」

 

 ボックは何時だって明るくて純朴で、俺のことを我が王と慕ってくれて。

 俺の力になりたいと血反吐を吐く思いで鍛錬についてきて、十分な戦力に成長して。

 針子のボックがいるから着る物に困らずにいるのに、そんな劣等感を抱いていたとは。

 側にいながら彼の悩みを見抜けなかった自分が情けない⋯⋯。

 

「オイラは本当にバカだ⋯⋯当たり前のことが、全然わからないのです⋯⋯」

 

 見ていて耐えられなくなったのか、顕現したメリナがボックを背後から優しく抱き締めた。

 俯く彼は今にも消え入りそうな涙声で尋ねてくる。

 

「わが王よ⋯⋯ほんとは、どう思われてますか? 生まれ直した方が、わが王にとっても喜ばしい──」

 

「お前は美しいッ!」

 

 我慢の限界だった。

 輝石頭を外して膝をつく。

 今にも自虐的な笑みさえ浮かべそうなボックを、これ以上見る訳にはいかない。

 自分の心を傷つける言葉を吐かせてはならない。

 

「たとえ、万人が顔を背けるような醜悪な容姿をしていたとしても、俺はお前を美しいと断言する!」

 

 俺はボックだから、ボックだからこそ従者にすると決めたんだ。

 そこに容姿の醜悪は関係ない。

 

「いいかボックよく覚えておけ。人の強さとは心の強さ、人の美しさとは心の美しさ。例え容姿が整っていようと心が醜かったら、そいつは醜いブサイクだ。そして、お前は美しい!」

 

「──こんな醜いオイラを、美しいと言ってくださるのですか……?」

 

「何度でも言う。お前は美しいッ!」

 

 ボックを抱き締めているメリナも力強く頷く。

 再び顔を下げたボックは体を震わせた。

 

「こんなオイラを、美しいと言ってくれたのは、ずっと母さまだけでした。けれど今、その言葉を、わが王が聞かせてくださった⋯⋯っ。う、うぅ……⋯わが王、わが王よ。お針子のボックを、ずっとお仕えさせてください。そして、エルデの王に、おなりください⋯⋯」

 

 俺はただ力強く、ボックを抱き締めるのだった。

エルデンリングはどこまで知っている?

  • ストーリー考察含めて大体熟知している
  • 本編クリア済だが難しくてよく分からん
  • 本編未プレイだが、考察動画で大体履修済み
  • 大雑把な概要だけ知ってる
  • タイトルは聞いたことがある
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