魔法や異能が存在しても、主人公になれるかどうかは別の話   作:考える人

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キミを忘れた世界

 

 それは、とある日曜日の夕方ごろ。いつものように、『明日から平日か~。学校行くのやだな~』などと考えながらゲームに興じていたその時、唐突な不快感が僕を襲った。

 腹の中を指で直接なぞられるような気持ち悪さで、どこか覚えのある(・・・・・)感覚。

 

 まさか……またループか?

 

 そんな考えが頭をよぎり、すぐさま時刻を確認するが、そこに表示される数字におかしな点はない。逆行するようなことはなく、正確に世界の時を刻んでいる。

 はて、今のは一体何だったのだろうか?――そう疑問に思うも、結局その答えを得ることはできず。

 そのうちしばらくすると、僕は不快感を覚えたことすら忘れ、再びゲームに夢中になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 翌日――

 

 

 放課後になり、すぐさま帰ろうとした僕の下に、一人の少女が歩み寄る。

 その少女は赤い髪を揺らし、僕の座る机に勢いよく両手を叩きつけた。

 

「雪春、行くわよ!」

 

「……どこに?」

 

 通学カバンを肩にかけ、さも当然のように茜は告げる。他の誰でもない、僕に向かって。

 

「どこにって、昨日約束したじゃない。今日の放課後、新しくできたラーメン屋に行こうって」

 

「……したっけ?」

 

 …………いや、絶対してないぞ? そもそも僕、昨日はずっとパ〇プロの最新作をやってて、一切家から出てない&誰とも喋ってないわけで。監督生活は百年を超えたし。

 

「というか、それこそ冬二を誘いなよ……ってそっか、今日冬二休みだったっけ」

 

 僕はその名前を口にしながら、今日は友人が学園に来ていないことを思い出す。

 冬二が学園を欠席するのは、それほど珍しいことではない。今日は全員来ているが、イツメン(茜を含めた冬二のいつものハーレムメンバー)と共に休むこともしばしば。

 あいつはきっと今日も忙しく、どこかで誰かを救ったりしているのだろ――

 

「……冬二って誰よ?」

 

 

 ……………………おん?

 

 

 僕は顔を上げ、茜のその表情を確認するが、とても冗談を言っているようには見えない。

 惚れた相手の名を忘却する――そんな異常事態が目の前で生じているにもかかわらず、僕はどこまでも冷静だった。

 

 あいつ……記憶なくしたりなくされたり、本当に大変だな――なんて考えが、自然と浮かんでくるくらいには。

 

 

 

 

 

 

 

 といったことがあり、詳しい状況を探るという目的も兼ねて、僕は茜とラーメン屋に足を運んでいた。

 

「……なるほど、悪くないわね。スープは豚骨の旨味たっぷり……。麺はすすりやすいけどコクもあって、具も多くて食べ応えがある。値段を考えるとかなり満足感が高い一品だわ」

 

「…………」

 

 出てきたラーメンをカウンター席で食しながら、茜は真剣な表情で濃い目の感想を口にする。その姿はさながら歴戦の玄人。

 高校入学当時、僕と冬二に連れられ、生まれて初めて食べるラーメンに目を輝かせていた彼女の姿は、もはやどこにもない。

 そんなすっかりラーメンフリークと化した茜を横目で見ながら、僕は本題を問いかける。

 

「茜さん。もう一度聞くけど……、『綿谷冬二』って名前に聞き覚えあったりしない?」

 

「だからないって言ってるじゃない。ワタガヤってことはあんたの兄弟か誰か?」

 

 とまあこのように、勘違いとかそういったパターンではなく、茜は完全に冬二の存在について忘却してしまっている。

 教室を出る前に確認したところ、茜だけでなく他のハーレムメンバーも同じ反応を見せていた。そしてさらには、宗助や立花先生たちまでもが同様に。

 どうやら僕以外、全員の記憶から冬二の存在が消えてしまったらしい。

 ちなみに、携帯の連絡先からも冬二の名が消えていたため、冬二の存在そのものが消失している可能性が高い。

 

 なぜ、そんなことになっているのか。なぜ、僕だけが冬二のことを覚えているのか。

 もしかしたら、もともと冬二のいない世界線に、僕だけが移動したのかもしれない。

 考えられることはいくつかあるが、現時点では情報が少なすぎる。

 

「ねえ雪春、そっちの醬油もらっていい?」

 

「……あ、うん。いいけど――」

 

「ありがと」

 

 僕の許可を得ると、茜はこちらに身を寄せ、僕のラーメンの器に箸を伸ばすと、髪を耳にかけながら麺をすする。

 あ、直接いくんだ――という僕の考えを読み取ったのか、茜は笑いながら告げた。

 

「ふふ、なんて顔してるのよ。私たちの間で、今さらこんなの気にしないでしょ。……へえ、醬油もなかなか」

 

 そんな、冬二相手なら絶対にしないような発言をして、またすぐさまラーメンの批評に夢中になる。

 こいつ……、相手を異性として意識してなかったらツンデレ属性皆無だな。

 

「……あのさ、僕と茜さんが話すようになったきっかけって、成宮(なるみや)との婚約騒動だったよね?」

 

「ちょっと、嫌な名前思い出させないでよ。急にどうしたわけ?」

 

「その、なんとなく思い出しちゃって」

 

「もう……、でも懐かしいわね。あんたのおかげで、私はあいつと結婚しなくてすんだ」

 

「…………」

 

 あんたのおかげで……ね。本来は冬二も含めて『あんたたち(・・)』のはずなんだけど、この世界線では僕一人の功績になってるわけか。

 

「ほんと、あの時の雪春はすごかったわ。追いかけてくるサメを刀で細切れにして、成宮の異能をまるで舞うように避けながら、スカイツイスタープレスでとどめを刺したんだもの」

 

 いやこの世界線の僕すごいな。

 

 それどうやってやったの? やり方、詳しく教えてほしいんですけど。

 その時の映像残ってたりしないかな――なんてことを考えていると、突然茜の表情が真剣なものへと切り替わる。

 

「……だから雪春、私はあの時の恩は絶対に忘れない。前にも言ったけど、あんたにどんな秘密があっても、私はあんたの味方だから」

 

 それだけ告げると、茜はまた黙々とラーメンをすすりだす。

 茜が口にしたのは、あくまで仮定の話。しかしその言葉には、どこか確信しているような熱が込められていた。

 

 ……あの、僕どんなヤバい秘密抱えてると思われてるの?

 

 やっぱりメイルカムイの件バレてる……? ここはちょっと探りを入れて……いやでも、変に藪蛇つつくのもあれだし……。

 というか、冬二のいないこの世界線でも僕、メイルカムイと契約してるの? ムーとはちゃんと契約してるみたいだけど、わんちゃんオリエイナと契約してたりしない?

 

「すみません! 替え玉お願いします!」

 

「…………」

 

 結局その後も、僕は考えをまとめることができないまま、ラーメンを完食して店を後にするのだった。

 

 ちなみに、茜は替え玉を三玉頼んだ上で完飲してました。漫画とかだとあるあるだけど、その細い体のどこに入ってんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその日の夜――

 

『雪春、敵がそっちいった』

 

「了解。紗季(さき)さんの方は大丈夫?」

 

『……なんとか』

 

 僕は冬二のハーレムメンバーの一人である青髪の小柄な少女――青水(あおみず)紗季と、通話しながらゲームに興じていた。

 なぜこんなことになっているのかというと、いつも通り部屋で一人ゲームをしていた時、紗季から電話がかかってきたのだ。

 

 なんで時間になったのに来ないの?――と。

 

 どうやら紗季曰く、この世界線での僕は、いつも決まった時間に紗季と通話しながらゲームをしているとのこと。シンプルにこの世界線の僕が羨ましい。

 ……まあせっかくの機会だ。茜同様、紗季にも冬二に関して探りを入れてみよう。

 

「紗季さん、あのさ……僕らがこうして一緒にゲームをするようになったきっかけって――」

 

『雪春、ちゃんと集中して。やられる』

 

「大丈夫だよ。このくらいの相手なら余裕だから」

 

 紗季の方は苦戦してるみたいだけど。

 

『……ほんと、なんでそんな上手いの? あの時から(・・・・・)ずっとそう』

 

「……あの時って、初めて紗季さんとゲームした時のことで合ってる?」

 

『そう。私の好きな格ゲーで、雪春に挑発(アピール)かまされながらパーフェクトされた時』

 

 いや……その、あの時はほら……、『私にゲームで勝てたら、事件の解決に協力してあげる』って紗季の方から挑発してきたから……。

 

『正直あの時のせいで、昔は雪春のことが大っ嫌いだった』

 

「…………」

 

『でもあの後、私の暴走しかけた異能を止めてくれて、仲違いしていた友達との間も取り持ってくれて……。そのおかげで、私はまた人と関われるようになれた。だから……今は雪春のこと、それほど嫌いじゃない』

 

 その言葉は、通話越しでありながら、紗季の感情が確かに伝わってくる。

 それを受け、僕はこれまでずっと、なんとなくそうじゃないかと感じていたことに、改めて確信を持った。

 

 元の世界線だと、『あの後』からは全部冬二の功績。

 つまり、こいつ今でも僕のこと大っ嫌いなんだろうなと。

 

 こうして、僕は複雑な心境になりながら、その後もゲームに興じるのだった。

 

 

 

『……ねえ。なんでそんな走り撃ちで当てられるの? しかも狙撃銃……』

 

 凸砂はロマン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冬二の消失から数日後――

 

 しばらく普通に日々を過ごしていくなかで、わかったことがいくつかある。

 その内の一つが、どうやらこれまで冬二の築き上げてきた功績は、別の人物の功績として全て置き換わっているということ。それに伴い、過去の出来事や記憶も、ある程度辻褄が合うように調整されてるみたいだ。

 ちなみに入学当初のころの冬二の功績は、そのほとんどが僕の功績に置き換わっているらしく、そのためか冬二のハーレムメンバーと過ごす時間がやたらと多い。

 茜とラーメン屋巡りをしたり、紗季とゲームをしたり、他のメンバーとも勉強したり組手したりと。ぼっちとはほど遠い日々を送っている。

 

 ……正直なことを言うと、冬二のいないこの世界線での日々が結構楽しかったりする。

 恋愛感情こそなさげなものの、親愛の情を向けてくれる顔のいい異性のクラスメイトたちと、毎日楽しく学園生活をおくれるのだ。

 それはまさに、僕が入学前に求めていた理想に限りなく近いわけで。楽しくないわけがない。

 

 でもだからといって、このままがいいとは微塵も思わなかった。

 理想に限りなく近い。でも、理想じゃない。僕の理想は、誰かの功績を奪って自分のものにすることではなく、自分自身で功績を積み上げ、それを誇ることだから。

 それに、楽しい生活を享受する満足感よりも、冬二(友人)がいないという喪失感の方が僕の中では強い。

 いわゆるあれだ。『オマエがいないと寂しいよ』ってやつだ。

 

 あと、この世界線の僕は烏丸家の養子契約にサインしてしまっているらしいので、是が非でも元の世界に戻さなければならない。烏丸はいやだ!

 

 

 

 というわけで――

 

「失礼しまーす」

 

 僕が訪れたのは、片眼が髪で隠れた高身長の女探偵――天眼路(てんがんじ)さんの探偵事務所。

 僕の異能に関する知識不足は、以前のループ時にしっかり実感したので、こうして詳しい人の力を借りに来たというわけだ。

 理事長や立花先生といった選択肢もある中で天眼路さんを頼ったのは、天眼路さんなら『世界線を越えた』というとんでも話も、『おもしろそうだ』の一言で信じてもらえると思ったから。

 

「……あれ? いない」

 

 事務所内はかなりきれいに整理整頓されており、細かいところまで掃除が行き届いている。

 ただ、そこに天眼路さんの姿はない。

 

「すみませーん、天眼路さーん?」

 

「はいはい、ちょっと待ってもらえるかな」

 

 その声が聞こえてきたのは、こちらからは見えない部屋の奥から。

 しばらくすると、ジーパンに胸元を緩めた白シャツ姿の天眼路さんが姿を現す。

 

「これはこれは、珍しいお客さんだ。もしかして、依頼を持って来てくれたのかな? 少年(・・)

 

「はい、そうで…………なんで“少年”呼びなんですか?」

 

「おや、いつもそうだったと思うが」

 

 ……これもあれか。世界線が違うが故の微妙な差異か。

 

「なら……雪春くん(・・・・)と、名前で呼んだ方がいいかい?」

 

 別にどっちでもいいです――そう言いかけた時だった。

 ガシャンと、先ほどまで天眼路さんがいた部屋の奥から物音が鳴る。

 

「……?」

 

「ああ、実は最近ノラネコを拾ってね。きっとそのネコが悪さでもしたんだろう。ほら、鳴き声が聞こえる」

 

「……聞こえないですけど?」

 

「おや、それは少し心配だ。このままだと、姿を確認するために近づかなければならないが……」

 

 まるで、誰かに言い聞かすような不思議な言い回しで、天眼路さんは告げる。

 すると数秒後、部屋の奥から声が届いた。

 

『にゃ、にゃ~…………』

 

「うん、どうやら問題ないようだ」

 

「…………」

 

「ん? どうしたんだい少年、まだ何か気がかりなことでも?」

 

「いえ……」

 

 

 

 ……………………今の冬二の声だな。

 

 

 

 なんだあの下手くそな鳴きマネ。あんなんで騙せるわけないだろ。

 え、ちょっと待って。この世界線に冬二いるの? じゃあなんで出てこないの?

 

 予想外の事態に混乱していたその時、いつの間にか天眼路さんは片方が髪で隠れたその目で、僕のことをジッと見ていることに気づく。

 

「……あの?」

 

「雪春くん、これはただの雑談なんだが……」

 

 嘘つけよ。雑談でそんな圧かけることある?

 

「もし世界から自分の生きた痕跡が消え、誰もが自分の存在を忘れてしまったとしたら、キミはどうする?」

 

「え?」

 

「なに、いわゆる思考実験さ。もちろんそんなこと、実際に起こるとは到底考えられないからね。……で、どうだい? みんなの記憶から自分が消えた世界。さらにその世界では、仲の良い大切な友人が、見たことないほど楽しそうな生活を送っていたとしよう」

 

『な……ッ! にゃあん! にゃあん!!』

 

 ネコうるせえ。

 

「フフッ、ネコも話に混ざりたいのかな? さて、話を続けようか。そんな楽しそうな友人を見たキミは、もしかするとこう思うかもしれない。自分なんていない方が、その友人にとっては幸せなのかもしれない……ってね」

 

「…………」

 

「そんな時、キミならどうする? たとえ親友の幸福を奪ってでも、自分の居場所を取り戻すか。それとも、自分の存在を犠牲にして、親友の幸せを望むのか」

 

「それは……」

 

 

 

 ……………………これ冬二の話だな。

 

 

 

 なるほど、大体把握した。どうやら僕は、別に世界線を移動したわけではないらしい。

 消えたのは冬二の存在ではなく、あくまでその痕跡と記憶だけ。だから冬二は健在だし、天眼路さんの質問内容から察するに、冬二にもこれまでの記憶はあるとみた。

 となると、さっき抱いた疑問も理解できる。なぜ冬二が、僕たちの前に出てこなかったのか。

 

 ……出てこれるわけないんだ。共に同じ時間を過ごした仲間や、同じ記憶を共有するはずの友人たちから、『誰だお前?』などと言われるのだから。出ていけるわけがない。

 そして今、冬二は迷っている。

 

“たとえ親友の幸福を奪ってでも、自分の居場所を取り戻すか”

“自分を犠牲にして、親友の幸せを望むのか”

 

 ならば僕のすべきことは、記憶があることを打ち明け、弱気になっている冬二を支えること――ではない。

 

「僕なら自分の居場所を取り戻します」

 

「ほお、迷いがないね。やはり、自分の居場所がなくなるのは耐えられないかい?」

 

「それもありますけど……」

 

 僕は天眼路さんに、そして部屋の奥に隠れているであろう冬二に向けて告げる。

 

「もし自分がいることで友人の幸福を奪ってしまうなら、それ以上の幸福を与えてやる!――ってくらいの気概でいればいいんですよ」

 

 僕のやるべきこと――それはきっと、迷う冬二の背中を蹴り飛ばしてやることだ。

 

「そうすれば、自分も友人も両方幸せ。文句なしのハッピーエンド。それが一番なんですから、考えるまでもありません」

 

 そうだ。誰かから強制された選択肢なんて、全部ひっくり返せ。たとえそれが自分であっても、切り捨てるなんて似合わない。

 主人公にもいろいろあるだろうけど、冬二(お前)は何一つ捨てることなく、全部拾い上げてしまうタイプのかっけえ主人公なんだから。

 

「もしこの二択で迷うようなやつがいれば、『なに弱気になってんだバカ』……って言ってやりたいですね」

 

「……フフッ」

 

 なにわろとんねん。

 

「いやすまない。初めて会話した時もそうだったが、キミの青臭いはずの答えには……ひどく心が揺さぶられるものでね。それがおかしくて笑ってしまったんだ。もちろん、キミをバカにしたわけじゃないさ。きっと奥にいるノラネコも、キミの言葉に揺さぶられたんじゃないかな?」

 

 だといいですけど。

 

「さて、随分と余計な話をしてしまったね。依頼について聞こうじゃないか?」

 

「え? ……あっ」

 

 そういやそうだった。そのために天眼路さんに会いに来たんだった。

 けどもう僕的には謎が解けちゃったし、後はおそらく冬二が頑張るターンだろうし……。

 

「おや、何か聞きたいことがあって来たんじゃないのかい?」

 

 仕方ない。ここは何か適当な質問で誤魔化そう。何か、何か……。

 

「…………異能大百科を作ったのって誰ですか?」

 

「ノグソ博士だね」

 

 わりとニアミスじゃん!!!

 この時、僕はここ最近で一番の衝撃を受けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日――

 

 

 朝起きた時には、世界はすっかり元通りに。さすが冬二、仕事が早い。

 冬二は普通に学園に登校し、いつも通りハーレムメンバーに囲まれていた。

 どうやら誰も、冬二のことを忘れていた間の記憶はないらしく、僕もいつも通りぼっち生活へと逆戻り。

 少し変わったことと言えば、冬二から遊びや飯に誘われる頻度がさらに増したくらい。数時間おきはやめません?

 

「まあでも……、これでこそ正しい世界(・・・・・)だよな」

 

 不思議と、ぼっちへの返り咲きに寂しさを感じるようなことなく。

 それどころか、どこか晴れ晴れとした気分になりながら、僕は屋上で一人、昼食のパンを口に運んだ。

 

 




書籍版の3巻、鋭意作成中です。
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