魔法や異能が存在しても、主人公になれるかどうかは別の話   作:考える人

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雪春の愉快な学園掌握④ / マルチタスク……はできるだけ避けよう

 

「副会長候補者、全員揃っています」

 

「了解です。次、生徒会長候補の点呼をお願いします」

 

 次期生徒会役員選挙、その立候補者たちによる演説が行われる多目的ホール。

 その舞台袖では、選挙管理委員会による演説開始直前の最終点呼が実施されていた。

 

「高川 智明さん」

 

「はい」

 

「田中 昴さん」

 

「はいッ!」

 

「美園 麻由美さん」

 

「はい」

 

「渡谷 雪春さん」

 

『ハイ』

 

「えっと、次は………………ん?」

 

 点呼を行っていた選挙管理委員の男子生徒――畑中は、ある違和感を覚え、名簿にチェックを入れる手を止める。

 『渡谷 雪春』――その候補者の名を呼んだ後に返ってきたのは、明らかに人の声ではなく、加工された機械音。

 そのことを疑問に思い顔を上げると、生徒会長候補が並ぶその列の中に、一際目立つ円柱型のロボットがさも当然のように鎮座していた。

 

「……なんで?」

 

 畑中は思わず一度目をこすり、そして改めて候補者たちの列に視線を向ける。

 しかし見間違いなどではなく、やはり先ほどと変わらず、候補者たちの中に円柱型のロボットが。

 

「…………渡谷雪春さん?」

 

『ソウデス』

 

「嘘つけよ……」

 

『ウソジャナイデス。ワタガヤユキハルデス。ホンニンガリモートデハナシテマス』

 

「…………」

 

 確かに、受け答え自体は問題なくできている。リモートという言葉も、本当なのかもしれない。

 ただ当然のことながら、『じゃあオーケーです』となるはずもなく。

 

「いや、え……? もしかして、それで演説するつもりですか」

 

『モチロンデス』

 

「ダメに決まってるじゃないですか」

 

『ナゼデスカ? ロボットダカラデスカ?』

 

「ロボットだからですよ」

 

 畑中が口にするのは、常識と照らし合わせた至極当然の判断。

 しかしロボット――を遠隔操作するその生徒は、諦めることなく食い下がる。

 

『どうしてもロボットの演説は認めないと言うんですか?』

 

「そうです。ロボットでの演説なんて認められません」

 

 流暢に喋れるのかよ――そう心の中でツッコミながら、畑中は毅然とした態度を崩さない。

 

『じゃあなんすか? 機械が口にする言葉など、所詮は熱のない文字の羅列。鉄の塊に人並みの権利など与えられるはずがないと、そう言いたいんですか?』

 

「言い方に悪意がある気がしますけど、はっきり言わせてもらいますね。そうだよ」

 

『この多様化社会において――!』

 

「ごちゃごちゃ言われてもダメなものはダメなんですって! 本人が演説するっているルールなんですから!」

 

『マニュアルに従って動くことしかできないあなた。人が指示する通りにしか動かない機械。一体何が違うというんですか?』

 

「ケンカ売ってます?」

 

『――という「疑問」を抱かしかねない言動だなと……。ここまでがワンセンテンスだ。(よろ)しいか?』

 

 クラ○カ流でしか話が出来ないのか?――畑中はそうぶちまけそうになるも、グッとこらえた。

 

「とにかく何と言おうと、機械の演説は認められません」

 

『それがルールだからですか?』

 

「ルールだからです!」

 

『絶対にルールは守らなければならないと?』

 

「当たり前じゃないですか!!」

 

『そうですか……。わかりました』

 

 やっと折れてくれたか――そう安堵した畑中だが、それは一瞬のこと。

 直後にロボットが発した音声は、畑中にとってあまりにも理解のできないものだった。

 

『ではルールに乗っ取り、僕……渡谷雪春は、このロボット――スギタニくん61号による代理演説を申請します』

 

「………………何言ってんだ?」

 

『学園選挙規則――その候補者演説の項目に、演説者の代理を立てるルールが存在するはずです。調べてみてください』

 

「は、いや……ちょ、ちょっと待っててください!」

 

 スギタニくん61号、もとい渡谷雪春の言葉を受け、畑中は慌てて分厚い書類――選挙規則を取り出し、その確認を行う。

 そしてそんな畑中の下に、騒ぎを聞きつけた他の選挙管理委員たちも集まり、畑中の手元を覗き込んだ。

 

「……どうだ? あるか?」

 

「あっ……確かにあります。……けど、こんなルールあったんですね。知りませんでした……」

 

「そりゃそうでしょ。全校生徒の前で顔を見せる最後のチャンスなのに、代理なんて普通出さないわよ」

 

「おそらくだけど、当日体調不良になった生徒のための救済措置だろ」

 

「実際、代理制度が使われたのなんて聞いたことないしな」

 

 選挙管理委員たちは代理制度の存在を認識し、渡谷雪春の言葉が正しいことを認識する。

 しかし当然ながら、同時に湧き上がる一つの疑問。それは――

 

「……でも代理にロボットはダメでしょ」

 

「「「…………」」」

 

 誰かの発したその言葉に、選挙管理委員たちは黙り込む。

 

「……そうなんだけど、規則には『代理も認められる』の文言しかないんだよな……」

 

「それでロボットでもオーケーとはならねえよ。普通の理解力があれば確認は不要だろ」

 

「こういうルールの隙を突こうとするやつのせいで、余計な文言や無駄なチェックシートが増えるんだよ……!」

 

「けど、渡谷雪春って……あの『学生寮襲撃事件』の主犯格って言われてるやつだよね? これでこっちが突っぱねて、変に恨まれたりとかしない?」

 

「「「…………」」」

 

 またしても、選挙管理委員たちは黙り込む。

 そしてこの後、長い協議の結果、スギタニくん61号の代理演説が認められるのだった。

 

 ちなみに翌年、選挙規則の大幅な改定が行われるのだが、それはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  とある山中――

 

 

 

『渡谷雪春さん……、こちらのロボット…………』

 

「スギタニくん61号です」

 

『……スギタニくんの代理演説を認めます』

 

「よしっ!」

 

 通信機から聞こえてきた承認の言葉に、僕は力強く拳を握る。

 

 

 生徒会の候補者演説当日、まさかのチーム任務とダブルブッキング。

 チーム任務の『七色のツチノコ探し』は、学園から遠く離れた山中でほぼ同時刻に行われるため、両方に参加することは不可能。

 

 そこで僕の考えた策が、バイト先の接客ロボット――スギタニくん61号を使った代理演説だ。

 

 誰かに演説の代理をお願いしなければならない。となると、どうせなら選挙が有利になる存在に代理をお願いしたい――という考えのもと、スギタニくんに搭載されている遠隔操作機能の利用を思いついたというわけだ。

 あの円柱ボディであれば、有権者である学生たちに与えるインパクトは十分。タンパク質の演説が続く中、いきなり鉄の塊が出てこればそれはもう興味を惹くこと間違いなし。

 スギタニくんが無駄に多機能でよかった。応援もできるし、武装機能も付いてるし。これで逆に配膳だけできないのほんと意味わからないけど。

 ただ体の自由を奪われているからか、こちらの声を伝える通信機からは時折、『……シテ、コロシテ……』というスギタニくんの嘆きが聞こえてくるが、まあ特に問題ないだろう。

 

 しかし当然のことながら、選挙管理委員会に認めてもらえるかどうかは怪しかったので、規則以外にもいくつか言いくるめるための材料を用意してたのだが、思ったよりあっさり許可が出て助かった。

 知名度等を考慮し、冬二に演説を頼むことも考えはしたけど、あいつは基本的に忙しいし、選挙演説中にイベントが勃発する可能性もあるので。

 本当はツチノコ探しの方に誰かを代理で派遣して、演説の方に僕が出たかったのだが、立花先生から『ちゃんと任務に行けよ』と怖い顔で圧をかけられたため断念。

 ほんと、最近やり方が雑になってきたというか……。

 

「おーいリーダー! そろそろ始まるらしいよー!」

 

「わかった! 今行く!」

 

 ちなみに細かいフォローであったり、演説順が近づいてきた際の連絡は宗助に頼んであるため、僕は一度通信機の電源を切り、任務の方へと集中することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 『七色のツチノコを探す会』――それが今回、学園に任務依頼を出した団体の名前だ。

 事前に団体のホームページを確認したところ、和気あいあいとした楽しそうな写真がいくつか掲載されていたため、ゆるめの社会人サークルか何かなのだろう。

 これなら途中で少し抜けたりするのも問題なさそうだ……というふうに考えていたのだが――

 

 

「松永さん、臨時の助っ人を含め、メンバー全員そろいました」

 

「よし、班はパターンBでいく。全員に周知を」

 

「通信機、および発信機、全員分の用意できています」

 

「捕獲罠、全て設置完了しました。確認をお願いします」

 

「SNS解析班の報告によると、ここから南へもう数キロほど先まで目撃情報が出ています。捜索範囲を広げるべきではないでしょうか?」

 

「いや、それだと一区画あたりの人数が不足して――」

 

 そこに和気あいあいとした雰囲気などなく、多くの大の大人たちが、真剣な表情で話し合いを行っている。ツチノコ探しの。

 

「……え? こんなガチな感じなの……?」

 

 どうやらその雰囲気に驚いているのは僕だけでなく、チームメイトたちも同じの様子。

 

「松永さん、全ての準備が終わりましたので、会長挨拶をお願いします」

 

「ああ、わかった」

 

 僕らがただただ困惑する中で、松永と呼ばれた人物――おそらく団体の会長らしきその人は、そこにいる百人近くの人たちの前に堂々と立ち、勢いよく口を開いた。

 

「諸君! ついにこの日がやってきた!!」

 

「「「おおっ!!!」」」

 

「今日こそ新たな歴史の扉を開く時! それでは! 唱和開始ィ!! 七色のツチノコはぁ!?」

 

「「「存在する!!!」」」

 

「見つからなくてもぉ!?」

 

「「「絶対に諦めない!!!」」」

 

「見つけるまでぇ!?」

 

「「「絶対に帰りません!!!」」」

 

「夢? 理想? ロマン? いいや違う!! 七色のツチノコはぁ! 我らの手に届く現実である!!」

 

「「「(しか)り!! (しか)り!!」」」

 

「ツチノコの誇りを胸に! さあ行くぞぉ!!」

 

「「「おおぉぉぉぉぉ!!!」」」

 

 

 …………まずい、僕らはとんでもない依頼を受けてしまったのかもしれない。

 

 

「リーダー、ポイントは諦めて今すぐ帰ろう」

 

「オレも光華に賛成だ。こいつら絶対やべえ」

 

「よし。じゃあみんな……いち、にの、さんで回れ右して全力ダッシュを――」

 

「待って待って待って!」

 

 この場にいることに恐怖を覚え、今すぐ逃げ出そうとしていた僕らだったが、それを温和そうな大人の女性が慌てた様子で引き留める。

 

「えっと……」

 

「あ、初めまして。『七色のツチノコを探す会』会員の梅宮(うめみや)です。今日はよろしくね」

 

「「「「…………」」」」

 

「そ、そんな警戒しないで。あの人たちも、普段はすごくいい人たちだから。……ツチノコ探しの時は変になるだけで」

 

 じゃあ今日はずっと変なの確定じゃん。

 

「ちょっとやる気があり過ぎるだけだと思って、大目に見てもらえると嬉しいな。アハハ……。かくいう私も、久しぶりの参加で気合入ってるんだけど」

 

「あ、じゃあこのツチノコ探しって、そんな頻繁に行われてるわけじゃないんですね」

 

「ううん、私はここしばらく子育てに忙しくて参加できてなかっただけで、基本週一くらいでやってるよ」

 

 週一であのテンションなんすか?

 

「七色のツチノコ含め、UMAにはそれだけ人を燃え上がらせる魅力があるんだよ。夫から『久しぶりに羽を伸ばしてきな』って言われて、今日迷わず参加したからね」

 

 そう告げながら、梅宮さんはうんうんと一人納得するように頷く。

 普通そうに見えるけど、なんだかんだこの人もあっち側の人間だな?

 

「もちろん、キミたちにまであのテンションを求めるつもりはないから。気楽に参加してくれて大丈夫だよ」

 

「……まあ、それなら…………」

 

 思うところがないわけではないが、やはり取れるポイントは取っておきたい。

 こうして、多大なる不安を抱えたまま、僕らの任務がスタートするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『G班! 急いで回りこめ! 包囲網に穴が開く!!』

 

「ぜぇ……、ぜぇ……、G班、了解……ッ!」

 

「まだ走んのかよ!?」

 

「うん、今度は…………ってあれ? 光華さん、烏丸さんは?」

 

「彼女ならどこかで力尽きて倒れてるよ」

 

 任務開始――ツチノコ探しを始めてから一時間。僕らは広い山の中を縦横無尽に駆け回っていた。

 通信機から届く捜索本部の指示に従い、ほとんど休むことなく。

 もらえるポイントが多く、捕獲できなくてもポイントの保証があり、危険度が低いため任務ランクもそれほど高くない。にもかかわらず、この依頼が掲示板に残っていた理由がわかった気がする。

 

 いやこの依頼、普通にきっちいわ!!!

 

 烏丸はいつの間にか既にリタイア。蛇塚は肩で息をしながら大量の汗を流しており、光華は割とまだ平気そう。

 ちなみに、僕はもう限界だった。

 

「ぐえっ!?」

 

 走りながら足をもつれさせ、その場で転がり倒れてしまう。

 

「……っと、大丈夫かい? リーダー」

 

「うん……。だいじょう――」

 

 柔らかい土の上を転がったからか、大した痛みもなく、僕はそのまま立ち上がろうとして――言葉を失った。

 転倒し、地面と近くなった僕の目線のすぐ先に、そいつ(・・・)がいたからだ。

 蛇にも似ているが、その胴体は太く膨らんでおり、頭部は三角形。そしてその体色は、複数のカラフルな色でチカチカと輝いている。

 

 それは紛うことなく、僕のいた一般社会では空想上の生物でしかない――ツチノコだった。

 

「いたーッ!!!」

 

 僕はすぐさま手を伸ばし、その七色に輝くツチノコを捕まえようとするが、素早い動きで避けられてしまう。

 このままでは逃げられる! そう判断した僕は、持っていた小型の発信機をツチノコへと投擲する。

 そしてそれは見事に命中し、発信機はツチノコの体にピタリとくっついて(・・・・・・・・・)離れない。

 そう、僕の異能の力によって……!

 

 ……なんかすっごい久しぶりに異能使った気がする。

 

「二人とも追って! あれを捕まえたら任務完了だよ!」

 

 僕が指示を出すと、蛇塚と光華の二人は素早く逃げるツチノコを捕まえるため走り出す。

 僕も立ち上がり、すぐさま二人の後を追おうとしたその時、ポケットに入れていた携帯が震えた。

 

「まさか……!?」

 

 携帯を取り出し確認すると、やはりそれは僕の予想通り宗助からの連絡。そして内容は、『演説の順番が近づいている』というもの。

 くっそ! よりにもよってこのタイミングで……!

 ダメだ、さすがにこの状況で演説に集中するのは無理だ。息も切らしてるし。

 しかしもちろん、こういう時のために、事前に録音しておいた演説音声データはスギタニくんにインストールしてある。

 本当はスギタニくんの内部カメラで、学生たちの反応を伺いながら演説をするつもりだったが、背に腹は代えられまい。

 僕はその旨を宗助に連絡し、スギタニくんの設定等をお願いして、再び走り出す。

 

 前を見ると、蛇塚たちはかなり先を走っている。しかし発信機の位置を確認したところ、二人の向かう先はかなりズレていた。

 おそらくツチノコの姿を見失い、ほとんど闇雲に走っている状態なのだろう。ただ、声をかけてズレを修正させようにも、僕の今のかすれ声が届くような距離ではない。

 そのため、僕は通信機を取り出して(・・・・・・・・・)スイッチを入れる。

 しかしその時、なぜか僕の背筋に冷たいものが走った。

 

「……?」

 

 ……いや、きっと気のせいだ。

 僕は胸の内に抱いた違和感を無視し、通信機に向けて口を開く。

 

「左過ぎるって! もっと右! 右!!」

 

 僕は通信機を通して蛇塚たちに指示を送る。しかし――

 

「ちょっ!! 右だってば!!!」

 

 二人は僕の指示を無視し、返事すらせず、そのまま走り続ける。

 

「ボケカス共がぁ……!」

 

 ふざけやがってあいつら……! ここが現実じゃなく、ゲームのギルド戦なら――

 

「頭ぶち抜いてるぞ……ッ!」

 

 結局、蛇塚たちはそのまま見えなくなり、僕は体力が尽きてその場に倒れこむ。そして、

 

「うぷっ、おぇぇぇぇ……」

 

 無様にも、深い山の中でお花畑を咲かせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 その後、最初の集合場所に戻って二人と合流した時、蛇塚たちは水浸し。光華は泥まみれだった。

 どうやらツチノコを追っている途中、蛇塚は川に、光華は崖から落ちたらしい。いい気味だぜ。

 そしてそんな二人は、なぜか僕に文句を言い始めた。

 

「ちょっとリーダー! なんで指示くれなかったのさ!?」

 

「そうだぞ! お前あの時、発信機付けてただろ! こっちの声にも反応しねえしよぉ」

 

「……はい?」

 

 何を言っているんだこいつらは。指示に反応しなかったのはそっちじゃないか。

 こっちはちゃんと、何度も呼びかけて――

 

「…………あれ?」

 

 そこまで考えて、僕の中である疑問が浮かぶ。

 

 僕はなぜ、ツチノコに発信機を取り付けたあの後……通信機を取り出した(・・・・・)

 

 そうだ。僕はずっと、初めから通信機を出し、スイッチを入れていたはずだ。捜索本部からの指示を聞くために。

 じゃあなぜ、わざわざ取り出す必要があったのか? そんなの当然、僕の手元に通信機がなかったからだ。

 なぜなかった? それはおそらく、転げて倒れた時にほっぽり出したのだ。

 なら、新しく取り出した通信機は何? ……それはもちろん――

 

 僕は懐にしまっていた通信機を取り出し、じっくりと観察する。

 それは『七色のツチノコを探す会』から借りた通信機……ではなく、スギタニくんを通し、こちらの声を伝えるための通信機だった。

 

「ッ……!」

 

 まずいですわよッ!!!

 

 あの時、その通信機に向けて口にした言葉の数々を思い出し、嫌な汗が止まらない。

 ……いや、まだだ! 演説のタイミングではなく、まだ舞台袖にいた時であれば……!

 僕は一縷の望みをかけ、宗助へと電話をかける。電話が繋がると、僕が何か言うまでもなく、すぐさま宗助は告げた。

 

 

『……雪春、何も聞くな』

 

 

 その言葉で、全てを察した僕は天を仰ぐ。

 

 

 …………終わったぜ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 

 

スギタニくん61号の演説 一部抜粋

 

『入学当初から、僕はずっと感じていました。この学園は「左過ぎるって! もっと右! 右!!」』

『この学園の人たちは、みな等しく「ボケカス共がぁ……!」』

『僕が生徒会長になった暁には、生徒全員の「頭ぶち抜いてるぞ……ッ!」』

『……それでも、僕はこう思います。この学園の未来は「うぷっ、おぇぇぇぇ……」』

 




この表で、冬二たちはガチバトル中です。




書籍版3巻の書影出ました!!
https://x.gd/9EL69

発売までもうしばらくお待ちください。
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