脳無(幼女)のヴィランアカデミア   作:殻木の弟子

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きっと子供を素材にした脳無もいっぱいいたんだろうな・・・と思ったので書きました。


第1話

危機に直面した時、生物は自分の限界を超えた力を発揮する。

虫であれ、動物であれ、人間であれ、危機こそが生物を最も成長させるのだ。

 

そう、どんな生物であっても。

 

「脳無格納庫、制圧完了」

 

たとえそれが、動く死体だったとしても。

 


 

「うえぇ〜〜〜これ本当に生きてんのォ・・・?」

 

Mt.レディが手に持った脳無に目をやる。

脳が露出したその姿は、とても生きているようには見えない。

 

「こんな楽な仕事でいんですかね、ジーニストさん。オールマイトの方行くべきだったんじゃないですかね」

 

「難易度と重要性は切り離して考えろ、新人」

 

不服そうなMt.レディをベストジーニストがたしなめる。

命令されなければ動かない脳無であるが、動き出せば大きな脅威となる。

 

難易度は低いが重要性が高い仕事。

 

「機動隊、すぐに移動式牢(メイデン)を!まだいるかもしれない、ありったけ──」

 

そのはずだった。

 

「アァ・・・」

 

突然、1体の小型脳無が動き出した。

 

「なんだ!?」

 

周囲を警戒するが、他の脳無が動き出す様子はない。

 

「1体だけなら問題ない!すぐに取り押さえて・・・」

 

すぐさまベストジーニストが捕縛しにかかる。

 

「イト・・・?」

 

「くっ!?」

 

脳無は腕を変形させ、簡単に繊維の拘束を引き千切った。

 

「コワイ・・・コナイデ」

 

「っ!?」

 

猛烈な速度で振り抜かれた腕は、周囲の建物をめちゃくちゃに破壊した。

 

「・・・助かりました、ジーニスト」

 

ベストジーニストがヒーロー達の衣服を操り、回避させたのだ。

しかし彼らの表情は険しい。

 

「こいつ・・・他の脳無を・・・!」

 

変形した腕から、無数の脳無が取り込まれていく。

 

「ア・・・グ・・・」

 

全て吸収し終えたその体に、異変が現れる。

青白かった体表が、人間のそれと大差ない色になっていく。

 

「何かする前に仕留める!」

 

動きを止めたそれを確保するべく、その場にいたヒーロー全員が動き出す。

 

しかし・・・

 

「来ないでっ!」

 

先程とは比べ物にならない速度で振るわれた腕が、その場にいた全員の意識を刈り取った。

 

「はぁ、はぁ・・・」

 

ヒーロー達を排除し、地面に座り込んだ脳無。

その姿が変貌し、姿が人間に近くなっていく。

そして最終的に、5、6歳くらいの少女に外見が変化した。

 


 

頭が痛い。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

裸で目が覚めたと思ったら、よくわからない人達に襲われて。

なんとかやっつけたけど、今どうなってるのかわからない。

 

「あれ・・・わたし、名前は・・・?」

 

自分が誰なのか、わからない。

なんでこんなことになっているのかも。

 

パチ、パチ、パチ。

 

「いやー、驚いたよ。命令もなしに起動し、プロヒーローを簡単に倒してしまうとは・・・。黒霧とはまた別タイプの成功例かな」

 

黒いマスクを着けた人が、拍手をしながら現れた。

 

「だれ・・・?」

 

「僕はオール・フォー・ワン。取り敢えず、これを着るといい・・・君の名前はなんて言うのかな?」

 

黒いマスクを着けた人──オール・フォー・ワンが差し出したスーツを羽織る。

ブカブカで変な格好だけど、裸よりはマシかな。

 

「わかんない・・・」

 

気がついたらここに居て、ロープみたいなので縛られてた。

名前も何もかもわからない。

 

「そうか・・・。なら、僕が君に名を与えよう。そうだな・・・今日から君は“(むくろ)”だ」

 

ムクロ・・・よくわからないけど、かっこいい名前。

 

「わかった・・・わたしは骸」

 

「いい子だ。早速だけど、君にお願いしたいことがある。そこにいる人達は見えるかい?」

 

オール・フォー・ワンが指さした先には、泥みたいなものから出てくる人達がいた。

 

「見えるよ」

 

「彼らについて行って、力になってあげてほしいんだ」

 

力になる・・・。

 

「助けるってこと?」

 

「ああ」

 

助ける・・・みんなを守るってことね。

きっとわたしならできるよ。

 

「オール・フォー・ワンは来ないの?」

 

「僕は、彼らを捕まえに来るやつを足止めしなきゃいけない。オールマイト・・・世界一強いであろう男さ」

 

「・・・大丈夫?」

 

そんなに強い人が来たら、殺されちゃうかもしれない。

まだ会ったばかりだけど、わたしはオール・フォー・ワンには死んでほしくない。

 

「大丈夫さ。僕はこう見えて、結構強いんだぜ?」

 

そう言うとオール・フォー・ワンは、泥から出てきた人の内、黒い靄みたいなのが出てる人へ指を伸ばし、突き刺した。

 

「ちょっと・・・!?」

 

「大丈夫、個性を発動させるだけさ」

 

靄が広がり、大きな穴のようになる。

あそこに入れればいいんだろう。

 

「さあ、行くんだ骸」

 

「・・・わかった。気をつけて」

 

オール・フォー・ワンに背を向け、騒いでる人達の所に駆け寄る。

体に手をいっぱいくっつけてる人は、オール・フォー・ワンと何か話しているみたいだ。

 

「お嬢ちゃんは・・・さっきパイプ仮面と話してた・・・」

 

「なんだよその格好!いいセンスだ!」

 

「わたしは骸。オール・フォー・ワンが、みんなを助けてあげてって。この服はさっき貰ったんだよ」

 

「そうか・・・。色々丸見えだからとりあえずボタンはしようなっ!?」

 

仮面の人がサングラスの人に叩かれた。

 

「早く──」

 

悪寒。

何か、とんでもないものがやって来た。

わたしを簡単に殺せる、そんな何かが。

 

「来た!来ちゃった!早く逃げよう、早く早く早くっ!」

 

「ちょっ、おい!まだコマが──」

 

「いいから早くっ!」

 

腕を変形させてみんなを掴み、靄に飛び込む。

オール・フォー・ワンの方をチラッと見ると、筋肉ムキムキの人と戦っていた。

 

「先生!俺、まだ──」

 

「弔、君は戦いを続けろ」

 

そしてわたし達は、どこかの部屋に転移した。




骸ちゃんの基本情報

・享年6歳。親の個性が良さげなやつだったのでオール・フォー・ワンが目をつけていたが、とある事件によって死亡したため遺体を回収。個性を調べると思ってたのと違ったため、脳無の素材とした。

・ヒーロー達に拘束された際、なんかバグって起動。生命の危機が迫ったことで秘められた力的なのが解放され、骸ちゃんが爆誕した。

・身長は低い。

・今持っている個性は『超再生』『身体変形』『死体融合』。
 『死体融合』は、生前持っていた個性『融合』がバグって変化 
 した結果発現。
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