脳無(幼女)のヴィランアカデミア   作:殻木の弟子

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原作、終わっちゃいましたね。
本作も次回で終わります。




第11話

超常解放戦線への襲撃作戦から1ヶ月後。

今、世界は大混乱に陥っている。

 

作戦に参加していた生徒が数多く犠牲になったため、雄英は世間から猛バッシングを受け、根津校長は辞職。

公安の非人道的行為が公開されたことにより、市民による“公安狩り”が起こって、公安委員の家族まで殺される事態へとエスカレートしている。

 

襲撃作戦では、僕達1年A組からも犠牲者が出た。

最前線にいた、常闇くんと上鳴くんだ。

 

この事態を受け、政府は雄英の無期限閉鎖を宣言。

僕達は実家へ帰ることになり、僕達の“ヒーローアカデミア”は、あっさりと終わりを迎えた。

 

 

雄英の寮から家に帰ったとき、パパンとママンは僕が無事だったことを喜び、抱きしめてくれた。

でも、常闇くんと上鳴くんの両親はどうだろうか?

考えるだけで胸が苦しくなる。

 

これからどうなるのだろうか?

ニュースでは、各国のトップヒーローがオール・フォー・ワン達に次々と殺害されていると報じている。

ヒーローは超常解放戦線によって狩られ、守るべき市民に非難され、辞めていく。

当然、治安はどんどん悪くなる。

 

「はぁ・・・」

 

もし、内通していることがバレたら。

オール・フォー・ワンに『用済みだ』と判断されたら。

どちらでも、僕達は終わりだ。

 

公安委員のように市民によって殺されるか、オール・フォー・ワンによって殺されるかの差でしかない。

 

『そう悲観することはないよ、青山優雅くん。僕が君と君のご両親の身の安全を保証しよう』

 

「!」

 

オール・フォー・ワン(おじさま)から『テレパス』で話しかけられる。

 

『今夜、君の所へ会いに行く。と言っても、夢の中での話だけどね』

 

なぜ敵であるオール・フォー・ワンと、平然と会話をしているのかって?

それは、僕、青山優雅が雄英に潜んでいた内通者──クズの(ヴィラン)だからだ。

 

 

 

 

「やあ、青山優雅くん」

 

眠りにつくと同時に、僕の意識は何も無い平原に飛ばされた。

ここはオール・フォー・ワンの部下の個性によって作られた夢の中の世界らしく、僕も何度か招かれたことがある。

 

「ご両親は元気かい?」

 

「えぇ、まあ・・・」

 

数多くいるオール・フォー・ワンの協力者の中でも、僕は『素晴らしい働きをした』らしく、南国のとある無人島とそこにある豪邸をプレゼントされた。

敵の活動が活発化し、日本も治安が悪化してきたため、僕達は今そこで生活している。

 

「今日は君に、改めてお礼を言おうと思ってね。君の『素晴らしい働き』について・・・ね」

 

「!」

 

オール・フォー・ワンの言う『素晴らしい働き』が具体的に何を指すのか、この時僕はまだ知らなかった。

・・・知らないままでいた方が幸せだっただろう。

 

「おいで、骸」

 

オール・フォー・ワンが呼びかけると、上空から翼の生えた少女が降りてきた。

 

彼女の可愛らしい顔と頭上に浮かぶ輪っかによって、まるで天使が降りてきたかのように見える。

 

「へぇ・・・こいつがオール・フォー・ワンの言ってた内通者?」

 

しかし、彼女もまた凶悪な敵。

確か、街をいくつも吹き飛ばし、虐殺を繰り広げたと報道されていて──上鳴くんと常闇くんを殺した敵だ。

 

「紹介しよう、彼女は骸だ。元々ただの脳無だったが、偶然覚醒した──君のおかげでね

 

「・・・え?」

 

どういうことだろう。

僕は彼女に会ったことは──

 

「彼女が覚醒したのは、神野区でヒーローに襲撃された時なんだ。もし、爆豪勝己の拉致に成功していなければ──襲撃が成功(・・・・・)していなければ、そのための情報(・・)が渡されていなければ、骸は今ここにいなかっただろうね」

 

そう考えるとゾッとするよ、とオール・フォー・ワンは言う。

 

「骸がいなければ、ヒーロー側の戦力をここまで削ることはできなかっただろうし、何より──」

 

オール・フォー・ワンが顔を覆っているマスクを外す。

 

「──僕が全盛期以上の肉体を手に入れる(・・・・・・・・・・・・・・)こともなかっただろう」

 

マスクの下の素顔は、神野区の中継で見たのっぺらぼうではなく、白い髪の青年だった。

 

「ありがとう、青山優雅くん。君のおかげで、僕の長年の夢が叶うよ」

 

「あ、あぁ・・・」

 

僕のせいだ。

 

僕のせいで、僕の渡した情報のせいで、凶悪な敵が誕生した。

その敵によってオール・フォー・ワンは力を取り戻し、多くの人が亡くなった。

上鳴くんも、常闇くんも死んだ。

たくさん、たくさんの人が死んだ。

 

全部、僕の流した情報から・・・。

 

「誇ると良い、青山優雅くん。君はヒーロー社会を崩壊させるきっかけを作ったんだ」

 

「・・・」

 

オール・フォー・ワンはニヤニヤと笑みを浮かべて言う。

 

「君は間違いなく・・・超一流のトップ(ヴィラン)だよ」

 


 

1週間後。

 

「あの青山とか言うやつ、死んだよ。首を吊ったらしいね」

 

罪の意識に耐えきれなかった、というやつだろう。

 

わたしが覚醒したのは、どちらかと言えば現場のヒーロー達の対応が問題だった気がするけど・・・そんなことを彼は知らなかっただろうからね。

 

「そうか・・・フフフ、オールマイトはこれを知ったら悲しむだろうね」

 

「怒る可能性もあるよ?・・・まあ、無個性の死にぞこないが怒ったところで、何の役にも立たないだろうけどさ」

 

オールマイト・・・八木典俊はもはや、何の力も持たない人間。

オール・フォー・ワンは、八木典俊の大切なものを全て奪おうとしているんだ。

 

「奴の教え子達の家は特定できた。いつでも行けるよ?」

 

「よし、それじゃあ早速・・・『OFA(与一)』を取りに行こう」

 

 

 

「お、出てきた出てきた」

 

双眼鏡で緑谷出久の家を監視していると、母親の緑谷引子が玄関から出てきた。

 

どうやら食料を買いに行くらしい。

 

「『眠り香』+『空気操作』・・・」

 

家から少し離れ、人目がない道に来たあたりで、個性を使って眠らせる。

 

「ふむ・・・それはミッドナイトの個性だね。傷を負わせず相手を無力化できるというのは、やはり便利だ」

 

わたし的には、もっと致命的なダメージを簡単に与えられる個性が欲しい。

死体でも個性を奪えるからね。

 

「う〜んと・・・『放電』」

 

威力を控えめにして体内に電気を流し、心臓を止める。

もちろん、この女は死んだ。

 

「吸収して・・・部分顕現!」

 

死体を吸収し、もう一度体外へ出現させる。

わたしの操り人形として。

 

「ふふっ、すごいでしょ!電気系の個性を使って筋肉を刺激して、喋らせることもできるんだよ!」

 

「我々は宇宙人だー」と、人形に喋らせてみる。

 

「ほう・・・中々精度がいいね。すごいじゃないか」

 

「えへへ~!それじゃ、『OFA』を回収しちゃおうか!」

 

 

 

 

出久(いずく)ー?お母さん今手が塞がってるから、ちょっとドア開けてくれない?」

 

母親(にんぎょう)の声に釣られて、ノコノコ出てきた緑谷出久。

 

「・・・え?荷物なんて──」

 

「『麻痺毒』」

 

緑谷の言葉は途中で遮られ、困惑した表情のまま意識を失った。

かわいそうに、戦うこともできないなんて。

 

「ふふっ、あっけなかったね」

 

「いいや、本番はここからだよ」

 

意識を失った緑谷を家の中に引っ張って運ぶ。

 

「それじゃあ、頑張ってね!」

 

ここから先は、わたしが見つけた『秘策』で解決する。

 

「いざ!『感情爆発』!!」

 

個性には色んな種類のものがある。

便利なものもあれば、とても限定的な使い道しかないものも。

もっと最悪なのは、デメリットしかない個性だ。

 

例えば、イモムシの異形型。

モゾモゾと這い回ることしかできず、体が簡単に潰れる。

『機械が勝手に壊れる』だけの個性もあったね。

 

『感情爆発』も、そんなデメリットだけの個性だった。

周りにいる人の感情を増幅・強化し、極端なものにしてしまうんだよね。

 

この個性のせいで、彼は幼少期から虐待を受け、周辺でやたらと事件が発生するようになった。

そのせいで彼は『疫病神』と呼ばれ、次第に社会から排除されていった。

 

最終的に彼は殺人教唆やらなんやらで捕まり、タルタロスに収監されていたわけだけど、実はそれらは公安がでっち上げた罪だったんだ。

『生きていることが社会の害になる』けど、本人に罪は無い。

だったら、罪を押し付けて閉じ込めよう。

 

都合の悪い奴は殺すか隔離してきたんだよね、公安は。

『個性社会の闇』ってやつだね。

 

話が逸れちゃったけど、わたしが目をつけたのは『想いを強化する』という部分。

『OFA』を奪うには強い意志力が必要らしいんだけど、オール・フォー・ワンの弟への『愛』を増幅させれば、きっと奪えるはずだ。

 

「がんばれ、オール・フォー・ワン・・・!」

 


 

ようやく、僕の長年の目的が達成される。

弔を使って奪う計画だったが、骸によってその必要はなくなった。

 

必要なのは、『OFA(与一)』への強い想いだけ。

 

「僕の下へ帰ってこい、与一!!」

 

 

 

「フフフ・・・ハハハハッ!」

 

ついに、全てを取り戻した。

 

「おはよー、オール・フォー・ワン。その様子だと、成功したみたいだね?」

 

「あぁ・・・無事回収できたよ」

 

中期目標は達成した。

あとは最終目標・・・すなわち、

 

「世界を我が手に」




オール・フォー・ワン大勝利!希望の未来へレディGO!!

かわいそうな青山優雅・・・ひとえにテメェが情報を流したせいだが

次回で最終回です。
ヒーロー社会も何もかもおしまいです。
お楽しみに。
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