脳無(幼女)のヴィランアカデミア   作:殻木の弟子

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今回は、異能解放軍との戦いです。

骸ちゃん(の素材)が死んだ理由が明らかに・・・。


第4話

「や、やめてくだ――」

 

メシャリ。

 

「・・・『骨刃』か。なかなか面白い個性」

 

入手した個性を確認し、手についた血を服に拭う。

 

死穢八斎會を皆殺しにしてからしばらく経ったけど、わたしは戦力拡大と資金稼ぎを続けている。

何度かヒーローにも出会ったけど、全員問題無く殺した。

 

「お金も結構貯まったし、弔達に届けに行こうかな・・・」

 

1ヵ月以上連絡がないんだけど、捕まってたりしないよね・・・?

 

「えーっと、新しい拠点は確か・・・っ!?」

 

突然、わたしの口から泥が溢れ出す。

なにこれ?

 

「ゴボゴボ・・・(攻撃じゃない?)」

 

毒でもないっぽいし、近くに人影はない。

どんどん湧き出る泥は、そのままわたしの全身を包み込んだ。

 

「・・・どこ、ここ?」

 

泥が消えると、わたしは研究所のような場所にいた。

周りの水槽には、脳無がたくさん浮かんでいる。

 

「ようこそ、ワシの研究所へ・・・。歓迎するぞ、変異体(ミュータント)よ!」

 

「わぁ、悪の科学者っぽい」

 

「お前を実験台にしてグッチャグチャにしてやる!」とか言われるのかと思ったら。

わたしは普通に歓迎されていた。

 

「ほうほう、死体を吸収できる個性とな・・・。さらに体の構造まで大きく変化していると来た!実に面白いのう!」

 

このおじいさん・・・ドクターは、わたしを含む脳無達を作り上げた人らしい。

わたしは本来、中〜下位の脳無であったらしく、明確な意識を持ったり喋ったりするはずはないとのこと。

 

「極限状態で生存本能が刺激されたか・・・にしても珍しい事例じゃ!」

 

と、ドクターはこんな調子でずっとハイテンションである。

 

「あ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

 

「なんじゃ?」

 

「わたしの素材って、なんで死んだの?」

 

わたしには脳無になる前の記憶がない。

知ったところでどうにかなるものではないが、ちょっと気になる。

 

「ふむ・・・ちょっと待っとれ」

 

奥に引っ込んでいったドクターは、3分くらいして何枚かの紙を持って帰ってきた。

 

「これじゃな。おまえさんの素体は、とある強盗殺人(・・・・)事件に巻き込まれて――」

 


 

『・・・ただいま、電話に出ることができません。ピーっと鳴りましたら、お名前とご要件を――』

 

「チッ、出ねぇぞ」

 

骸が殻木に会っている頃、死柄木達(ヴィラン)連合は異能解放戦線に脅迫されていた。

 

「まさか骸ちゃん、ヒーローに捕まったのか!?」

 

「ないだろ・・・エンデヴァーとイレイザーヘッドを個性なしで相手できる奴だぞ。電波がない所にいるだけだろ」

 

このとき、骸は殻木と共に地下施設にいたため、電話が繋がらなかったのである。

 

「しょうがねぇ・・・ドクター、荼毘の居場所は?」

 

『ええい、ちょっと待っとれ!ったく、今良いところじゃったのに・・・。三重と滋賀の県境じゃ!』

 

「いいとこ居やがる・・・よし。転送頼むぜ、行くぞ」

 

『はいはいわかった、さっさと行って来い!』

 

殻木は骸の体を解析したくてウズウズしているため、対応が雑であった。

 


 

「――と、そんな感じじゃな。こいつがおまえさんの素体を殺さなければ、ワシもこんな特異体に出会えんかった・・・感謝せねばならんの!」

 

「ふーん・・・。やっぱりヒーローとか公安ってクソだね」

 

なんというか、間接的にヒーローに殺されたようなものだった。

哀れ、生前のわたし。

 

「そんなことよりもじゃ!サンプルを、サンプルを採らせてくれ!」

 

「いいよー。どのくらい?腕一本?」

 

「それだけあれば十分じゃ!」

 

自分の左腕をもぎ取り、ドクターに渡す。

するとドクターは、「うっひょ~」とか言いながら奥に引っ込んで行った。

 

「・・・ちょっとー。弔達の所に送ってくれない?」

 

「おお、すまんすまん。忘れとったわ」

 

ドクターが返事をした直後、また口から泥が溢れ出す。

 

「ゴボゴボ〜(またこれか〜)」

 

そしてわたしは、再び泥に包まれた。

 


 

「・・・あ。骸に死柄木達の現状を説明するのを忘れとったのう・・・まあ良いか!そんなことよりこれの解析を!!」

 

もちろん全然良くなかったので、殻木は後で骸にチョップを食らう羽目になるのだが、それはまた別のお話。

 


 

泥が消えた後、わたしがいたのは見知らぬ町の中だった。

 

「・・・また知らない場所だ」

 

ま、いいか。

ここがどこだろうと、やることは変わらないからね。

 

「弔達はどこか・・・な?」

 

濃厚な血の匂いがする。

しかも、見知った人物の血だ。

 

「・・・トガ?」

 

わたしは、匂いがする方向へ走り出した。

 


 

「うわぁぁぁぁ・・・あ?」

 

俺とトガちゃんに襲いかかってきた『俺』達が、一瞬でミンチになった。

 

「・・・トゥワイス、これはどういう状況」

 

ものすごく冷たい声で話しかけてきたのは、さっきまでいなかった骸ちゃん。

 

「骸ちゃん!なんでここに――」

 

「今それはどうでもいい」

 

そう言って骸ちゃんは、トガちゃんに右手で触れた。

すると、トガちゃんの体から傷が消え、それが骸ちゃんに移っていく。

 

「この傷は・・・内側からやられてる?陰湿な個性」

 

あっという間に傷を治した骸ちゃんは、再びこっちを見て言った。

 

「これをやったのはどこのどいつ?全部殺す」

 

「異能解放軍とか言う奴らですっ!」

 

パッと見てわかるくらいブチギレている様子の骸ちゃんに、俺は思わず敬語で返事をした。

 

「ふーん。ところで・・・前から気になってたんだけど、なんで自分を増やさないの?」

 

「・・・その、もしかしたら、俺が分身かもしれないと思って・・・。怖いんだ、自分を増やすのが」

 

骸ちゃんは納得したような顔をして、手をポンと叩いた。

 

「ふーん、なるほど。でも、そういうことなら安心していいよ?ここにいるトゥワイスが確実に本体だから」

 

「・・・どうして断言できる?」

 

俺が増やした分身は、見た目も身体能力も本体と全く同じだ。

見分けるには、ダメージを与えてみるしかない。

 

「わたしは『耐久知覚』って言う個性を持ってる。普通の人の耐久は2000〜3000くらいで、今のトゥワイスは耐久4000。分身の耐久は1000より少なかったから、絶対本物だよ。断言する」

 

「・・・よ、よかった~」

 

ホッと胸を撫で下ろす。

少なくとも、俺が怪我して消滅する可能性はなくなったわけだ。

 

「それに、本物かどうかなんて、どうでもいいことじゃない?」

 

「えぇ・・・?」

 

「大事なのは意思だよ、意思。例えコピーでも、動く死体でも、自分で『こうしたい』って意思を持っているなら本物だよ」

 

作られた命だとしてもね、と骸ちゃんは言う。

 

「そう・・・だよな。別に俺がコピーでも、俺は、仲間を・・・」

 

「ほら、ブツブツ言ってないでさっさと戦う!また偽物がきてるよ」

 

骸ちゃんが指差す方向には、こちらへ走ってくる偽物が。

 

「へっ・・・もうそんなの意味ねえぜ。俺は、仲間を守る!!」

 

俺はもう、ビビらない。

例え俺がコピーでも、俺は自分の居場所を、仲間を守るだけだ!

 

「個性『二倍』の恐ろしさ、思い知れや解放軍!!」

 


 

「・・・不快」

 

わたしは今、とても怒っている。

ブチギレている。

 

「なんで連絡しないの?」

 

なぜ、緊急事態なのに連絡しないのか。

連絡してくれれば、世界中どこにいても30分以内に合流するのに。

 

「・・・なんでこんなしょうもない連中が?」

 

時代遅れの革命家気取りの分際で、わたしの仲間を傷付けるとは。

百万回死ね。

内臓を引きずり出して、生きたまま1つづつ潰してやる。

 

「皆殺しだ!」

 

『肉体変形』+『肥大化』+『骨刃』!

 

向かってくるゴミどもを串刺しにし、即座に死体を吸収する。

 

「・・・あの炎、荼毘かな」

 

町中で広がる蒼炎の方向にわたしは向かった。

 

 

 

 

 

「異能の強さ以外に、生の価値はない」

 

「そう。じゃあ、お前の価値はわたしより下だね」

 

『肉体変形』+『冷却』×4!

 

『肉体変形』で腕を伸ばし、ベラベラ喋っていたフードの奴の右腕を掴む。

 

「!?」

 

すぐに払い除けられたけど、効果はすぐに現れた。

 

「グァッ・・・」

 

苦しげに呻き、右腕を押さえるフードの奴。

 

「『冷却』でその腕を−100度くらいまで冷やしたからね。『氷』の個性を持ってる体でも、その温度は耐えられないでしょ?」

 

「貴様っ!」

 

こちらへ飛んでくる氷をはたき落とし、今度は相手の顔を掴む。

 

「お前の個性・・・ああ、“異能”って言うんだっけ?ちゃんと貰っておいてあげるよ」

 

頭を掴んでいる右腕に力を込め、氷の像になったフードの奴を粉々に砕く。

 

「自分で氷は出せないのか・・・。微妙に使い勝手悪くない?」

 

バラバラに砕けた死体を吸収し、わたしは荼毘の前に降り立った。

 

「なんでわたしを呼ばないの?電話すればすぐ行くのに」

 

「電話はした。お前が電波の届かない場所にいたんだろ」

 

「何?そんな・・・ことは・・・」

 

・・・あるかも。

さっきまで、地下施設っぽい所にいたし。

 

「・・・ドクターはそんなこと言ってなかった」

 

「あー。貴重なサンプルを目の前にして、その他のことが頭から抜けてたんじゃねえのか?」

 

あいつ、後でぶん殴る。

 

「・・・ゴホン。それはともかく、なんで戦闘になってるの?」

 

「義爛・・・俺達を死柄木に紹介したやつが人質にされた上に、『ヒーロー達に居場所を通報する』と脅してきやがった。それで仕方なく戦いに来たわけだ」

 

「なるほど。それは皆殺ししかないね」

 

人質にされるということは、義爛という人は敵連合の構成員もしくは協力者的な存在。

つまり仲間ということ。

 

わたしの仲間に手を出すやつは皆殺しだ。

 

「事情を聞かなくても皆殺しにする気だっただろ」

 

「まあね・・・じゃあ、その義爛って人を助けに行ってくるよ。その人の見た目は?」

 

「右前歯が欠けた白髪のおっさん」

 

「そう。じゃあ、行ってくる」

 


 

バゴン!

 

「何だ!?」

 

「・・・来たか」

 

大きな音を立てて、タワーの外壁が破壊される。

 

「どうも。あなたが義爛?」

 

ガラスをぶち破って現れたのは、5歳くらいの少女だった。

 

「ようこそ。私は異能解ほ「うるさい死ね」

 

少女はリ・デストロを蹴り飛ばし、俺を横抱きにしてタワーから飛び出した。

 

「うおぉぉっ!?」

 

「口を閉じたほうがいい。虫が入る」

 

少女は、俺を抱えたまま民家の上に着地した。

 

「めちゃくちゃなことするな・・・。お前さんが骸か?分倍河原達から話は聞いてるよ」

 

「ぶばいがわら・・・トゥワイスのこと?」

 

「「「「そうだ!!」」」

 

「うおっ、ビックリしたぁ!」

 

増殖した分倍河原が一斉に返事をする。

いつの間にかトラウマは克服したらしい。

 

「義爛の怪我は治しておいたから、わたしは雑魚を皆殺しにしてくるね」

 

「マジかよ・・・指も全部生えてるじゃねえか」

 

切り落とされた右手の指も、いつの間にか元通りになっている。

降りてくる間に治したのか・・・。

 

「ここは任せたよ、トゥワイス」

 

「「「「「おう、任せとけ!!!」」」」」

 


 

「いくらでも湧いてくる・・・鬱陶しい」

 

『筋力増強』+『肥大化』+『肉体変形』+『骨刃』+『触腕』!

 

『触腕』で6本に増やした腕を強化し、『骨刃』を展開。

高速で振り回し、建物ごと解放軍を薙ぎ払う。

 

「この程度、何匹来ても・・・?」

 

なんだ、この音?

巨大な何かが走ってくるような・・・。

 

「・・・なに、あれ」

 

音のする方向に目をやると、巨人が全てを薙ぎ倒しながらやって来た。

 

「「「おいおい、相手になってねぇじゃんかよ!解放軍!」」」

 

「・・・あれは?」

 

近くにいたトゥワイス達に、巨人の正体を尋ねる。

 

「あいつはギガントマキアだ!屈服させるためにボコボコにしろって言われたんだが・・・無理だろ!」

 

「なるほど・・・って、今度は何!?」

 

町の中心部から轟音が響き渡り、建物が次々と崩れていく。

 

「あれは・・・弔の個性?」

 

あんな大規模を崩せるものだったかな・・・まあ、わたしの知らない内に特訓でもしたんでしょ。

 

「あれ?なんだろ」

 

スマホが振動している。

 

「もしもし?」

 

『あー、荼毘だ。死柄木が勝ったぞ』

 

弔は勝ったらしい。

相手のリーダーはさっきのハゲかな?

 

「ふーん。あんな大技食らったら、まあ相手も降参するだろうね」

 

あとは残党狩りだね。

 

『ただ勝っただけじゃない。異能解放軍が傘下に入るらしいぞ』

 

「えっ」

 

さっきまで殺し合いをしてたのに、どうしてそうなったわけ?




さらば外典。
お前の個性は、骸ちゃんが活用してくれる・・・かもね。

『耐久知覚』は、物や生物の耐久値がHPみたいな感じで見える個性です。

骸ちゃん(の素材)を殺した強盗殺人犯・・・腕から羽が生えてたらしいよ。
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