脳無(幼女)のヴィランアカデミア 作:殻木の弟子
骸達によるヒーロー殲滅作戦開始とほぼ同時刻。
エンデヴァー達は、脳無の作成者と見られる志賀丸太を捕らえるべく、蛇腔病院へ突入した。
しかし・・・。
「・・・どうなっている」
病院内は無人だった。
患者も、医者も、姿を消している。
照明も全て消えており、人の気配が感じられない。
「逃げられたのか!?」
「早く地下への入口へ──」
その時。
明かりが消えて真っ暗な廊下の奥から、何者かの足音が聞こえてくる。
「下にはもう何も無いぜ?ヒーロー」
「・・・!」
暗闇から姿を現したのは、死柄木弔。
「本当にノコノコやって来たな・・・骸の作戦通りだ」
なぜこの時点で、死柄木が目覚めているのか。
話は超常解放戦線結成直後まで遡る。
「ねぇねぇドクター。弔の強化って、具体的に何するの?」
「ん〜、単純な身体能力と耐久力の強化、それと『
この処置を行えば、死柄木は『AFO』に加えて恐るべき身体能力を手に入れることになる。
『抹消』を使われても、その辺のヒーローなら束になっても敵わないだろう。
「ふーん・・・。あ、そうだ!それ、わたしの個性でなんとかならない?」
骸が治崎から手に入れた個性、『オーバーホール』。
あらゆるものを『分解』し『再構築』する、恐るべき個性だ。
「体を都合良く作り変えるなら、『オーバーホール』でやれば良くない?」
「なるほどのぅ・・・それなら大分工程を短縮できるか」
本来『オーバーホール』で人体を修復・再構築するには、相当な時間個性を訓練し、人体の構造を熟知している必要がある。
幸運なことに骸には、『オーバーホール』を練習する機会が山程あった。
単独行動中、相手を殺害するために『オーバーホール』を積極的に使用し、人体実験を繰り返したのだ。
約80名の犠牲者を出した時点で、骸は脳無に近いレベルの生物を生み出すことに成功した。
「全身を最大限強化するなら・・・1週間徹夜すれば行けるかな?」
本来何ヶ月もかかる改造も、『オーバーホール』と骸によって必要時間が大幅に短縮されたのだ。
「便利な個性じゃの〜」と思った殻木は、ここであることを閃いた。
「・・・その個性、
「もちろん。肉が足りない部分はわたしの肉をくっつけて補えば、臓器も再生できるよ。拒絶反応とかその辺は他の個性でなんとでもなるしね」
脳などの複雑な臓器でも、骸にとっては折り紙感覚で量産できる。
医療方面に活用すれば多くの命を救えるものだが、あいにく骸は
(オール・フォー・ワンよ・・・骸を手に入れられたのは、本当に幸運じゃったのう・・・!)
そんな事情で、死柄木の体は既に改造を終えており、殻木も病院から密かに逃亡している。
「全力でやり合うには、ここはちょっと狭いな・・・」
そう言うと、死柄木は右腕で壁に触れた。
「っ、イレイザー」
イレイザーヘッドが『抹消』を発動する前に、病院が崩壊を始める。
「全員、外に出ろ!」
クラストが叫ぶのと同時に、ヒーロー達は一斉に外へと駆け出した。
『こちら蛇腔市上空です、見えますでしょうか!?』
報道ヘリの下に広がるのは、全てが破壊され尽くした土地。
建物も、自然も、全てが綺麗サッパリなくなっている。
『これは・・・。市の半分程が、更地と化しております・・・!』
何も残らない、徹底的な破壊。
『あ・・・!あそこを見てください!』
レポーターが何かを見つけ、カメラがそれをズームして映す。
『更地の中心地に、誰か立っています・・・あっ』
レポーターが声を上げた瞬間、プツリと映像が途絶える。
カメラが最後に捉えたのは、こちらへ迫る眩い光だった。
「やっぱレーザー系は使い勝手がいいな・・・」
ヘリを撃ち落とした死柄木は、そう呟いた。
個性の定着にかかる期間は短縮できなかったが、それでも当初の計画より遥かに早く完了した、死柄木の強化。
そこから今まで何をしていたのかと言うと、骸から戦い方のレッスンを受けていた。
骸もオール・フォー・ワンと同じく、複数の個性を使って戦う。
遠距離攻撃はこういう個性を使うといい、不意打ちをするならこれとこれを組み合わせればいいなど、様々なアドバイスを貰い、実際に骸と戦闘をしてみて、持っている個性を最大限に活かす訓練を積んだのだ。
「やっぱり生きてたか・・・」
死柄木の視線の先には、猛烈な速度で飛んでくるエンデヴァーの姿があった。
「死柄木弔!!」
「そんなに叫ばなくても聞こえてるよ!」
放たれた炎を躱し、右の掌をエンデヴァーに向ける。
「『閃光』×4+『レンズ』!」
「ぐっ・・・!」
直後、一筋の光がエンデヴァーの左腕に到達する。
それと同時に、彼の体が『ジュッ』と音を立てて焼かれた。
炎への耐性があるエンデヴァーが、である。
「『閃光』を『レンズ』で収束した回避不能のレーザー砲だ!俺がやられたクソコンボ、たっぷり味わえ!」
弔にこの技を教えたのは骸である。
もっとも、骸は『レンズ』に加えて『鏡』も使用し、光速でオールレンジ攻撃を行っていたが。
「ぬおおぉっ!赫灼熱拳 ジェットバーン!」
光が貫通した左腕の痛みを堪え、エンデヴァーは自身の必殺技を放つ。
「炎熱系はもう死ぬほど食らったよ・・・『空気圧縮』」
弔が放った空気弾が、エンデヴァーの炎を散らす。
「何も飛んでこない・・・そりゃそうか」
模擬戦では、骸が炎と同時に釘や刃物を投げてきていた。
壁を作って炎を防いだと思ったら、ナイフが壁を貫通してきたり。
炎に隠れて本体が突っ込んできたり。
散々な目にあったので、死柄木は『目隠しになりそうなものは取り敢えずどかす』ことが体に染み付いている。
「エンデヴァー!」
「デカい的だな」
『暴風』+『ガス』+『炎』!
救援に駆けつけたリューキュウの体が、爆発的に燃え上がった炎に飲み込まれ、地上へ墜落する。
「リューキュ──「遅い」
『瞬発力』×3+『筋力増強』×2!
エンデヴァーは猛烈な速度で拳を叩き込まれ、沈黙する。
「さてと、後は『
突如、死柄木の体に違和感が走る。
個性が使用できない。
「イレイザーヘッドか・・・どこだ」
死柄木は周囲を見回す。
『デバフをかけてくるやつは最初に殺す』。
これは骸の教え・・・ではない。
骸は『デバフとか誤差。50%移動速度低下を食らったら、2倍速く動けばいい』と発言した。
「・・・いた」
少し離れた地点でイレイザーヘッドを捕捉。
死柄木はそこへ向かって駆け出した。
一方、ミルコとクラスト達は、大量のハイエンド達と交戦していた。
『崩壊』から逃れた直後、襲撃を受けたのだ。
「数が多いな!」
「倒したそばから湧いてきやがる!」
『泥ワープ』によって、次々と送られてくるハイエンド達。
ヒーロー達の襲撃前に、殻木は地下施設を別の場所に移した。
そして現在、「
「オッおお前たちの死体を、ムクろへ持っテ行けト・・・そうイう指令ダ」
「ゾンビなんぞに殺られるかよ!」
「哀れ、生ける屍よ!」
ヒーローとハイエンド達の激戦は続く。
死柄木が原作より強化されました。
個性複数使用の先輩に教わったからね、しょうがないね。
クソコンボを乱用しまくるのは骸ちゃんのせいです。
でも骸ちゃんはもっとひどいコンボを使います。
クラスト生存!!