脳無(幼女)のヴィランアカデミア   作:殻木の弟子

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第6話

骸達によるヒーロー殲滅作戦開始とほぼ同時刻。

エンデヴァー達は、脳無の作成者と見られる志賀丸太を捕らえるべく、蛇腔病院へ突入した。

 

しかし・・・。

 

「・・・どうなっている」

 

病院内は無人だった。

患者も、医者も、姿を消している。

照明も全て消えており、人の気配が感じられない。

 

「逃げられたのか!?」

 

「早く地下への入口へ──」

 

その時。

明かりが消えて真っ暗な廊下の奥から、何者かの足音が聞こえてくる。

 

「下にはもう何も無いぜ?ヒーロー」

 

「・・・!」

 

暗闇から姿を現したのは、死柄木弔。

 

「本当にノコノコやって来たな・・・骸の作戦通りだ」

 

なぜこの時点で、死柄木が目覚めているのか。

話は超常解放戦線結成直後まで遡る。

 


 

「ねぇねぇドクター。弔の強化って、具体的に何するの?」

 

「ん〜、単純な身体能力と耐久力の強化、それと『AFO(オール・フォー・ワン)』の譲渡じゃな」

 

この処置を行えば、死柄木は『AFO』に加えて恐るべき身体能力を手に入れることになる。

『抹消』を使われても、その辺のヒーローなら束になっても敵わないだろう。

 

「ふーん・・・。あ、そうだ!それ、わたしの個性でなんとかならない?」

 

骸が治崎から手に入れた個性、『オーバーホール』。

あらゆるものを『分解』し『再構築』する、恐るべき個性だ。

 

「体を都合良く作り変えるなら、『オーバーホール』でやれば良くない?」

 

「なるほどのぅ・・・それなら大分工程を短縮できるか」

 

本来『オーバーホール』で人体を修復・再構築するには、相当な時間個性を訓練し、人体の構造を熟知している必要がある。

 

幸運なことに骸には、『オーバーホール』を練習する機会が山程あった。

単独行動中、相手を殺害するために『オーバーホール』を積極的に使用し、人体実験を繰り返したのだ。

 

約80名の犠牲者を出した時点で、骸は脳無に近いレベルの生物を生み出すことに成功した。

 

「全身を最大限強化するなら・・・1週間徹夜すれば行けるかな?」

 

本来何ヶ月もかかる改造も、『オーバーホール』と骸によって必要時間が大幅に短縮されたのだ。

 

「便利な個性じゃの〜」と思った殻木は、ここであることを閃いた。

 

「・・・その個性、失った臓器(・・・・・)も再生できるのか?」

 

「もちろん。肉が足りない部分はわたしの肉をくっつけて補えば、臓器も再生できるよ。拒絶反応とかその辺は他の個性でなんとでもなるしね」

 

脳などの複雑な臓器でも、骸にとっては折り紙感覚で量産できる。

医療方面に活用すれば多くの命を救えるものだが、あいにく骸は(ヴィラン)だ。

 

(オール・フォー・ワンよ・・・骸を手に入れられたのは、本当に幸運じゃったのう・・・!)

 


 

そんな事情で、死柄木の体は既に改造を終えており、殻木も病院から密かに逃亡している。

 

「全力でやり合うには、ここはちょっと狭いな・・・」

 

そう言うと、死柄木は右腕で壁に触れた。

 

「っ、イレイザー」

 

イレイザーヘッドが『抹消』を発動する前に、病院が崩壊を始める。

 

「全員、外に出ろ!」

 

クラストが叫ぶのと同時に、ヒーロー達は一斉に外へと駆け出した。

 


 

『こちら蛇腔市上空です、見えますでしょうか!?』

 

報道ヘリの下に広がるのは、全てが破壊され尽くした土地。

建物も、自然も、全てが綺麗サッパリなくなっている。

 

『これは・・・。市の半分程が、更地と化しております・・・!』

 

何も残らない、徹底的な破壊。

 

『あ・・・!あそこを見てください!』

 

レポーターが何かを見つけ、カメラがそれをズームして映す。

 

『更地の中心地に、誰か立っています・・・あっ』

 

レポーターが声を上げた瞬間、プツリと映像が途絶える。

カメラが最後に捉えたのは、こちらへ迫る眩い光だった。

 

 

 

 

「やっぱレーザー系は使い勝手がいいな・・・」

 

ヘリを撃ち落とした死柄木は、そう呟いた。

 

個性の定着にかかる期間は短縮できなかったが、それでも当初の計画より遥かに早く完了した、死柄木の強化。

そこから今まで何をしていたのかと言うと、骸から戦い方のレッスンを受けていた。

 

骸もオール・フォー・ワンと同じく、複数の個性を使って戦う。

遠距離攻撃はこういう個性を使うといい、不意打ちをするならこれとこれを組み合わせればいいなど、様々なアドバイスを貰い、実際に骸と戦闘をしてみて、持っている個性を最大限に活かす訓練を積んだのだ。

 

「やっぱり生きてたか・・・」

 

死柄木の視線の先には、猛烈な速度で飛んでくるエンデヴァーの姿があった。

 

「死柄木弔!!」

 

「そんなに叫ばなくても聞こえてるよ!」

 

放たれた炎を躱し、右の掌をエンデヴァーに向ける。

 

「『閃光』×4+『レンズ』!」

 

「ぐっ・・・!」

 

直後、一筋の光がエンデヴァーの左腕に到達する。

それと同時に、彼の体が『ジュッ』と音を立てて焼かれた。

炎への耐性があるエンデヴァーが、である。

 

「『閃光』を『レンズ』で収束した回避不能のレーザー砲だ!俺がやられたクソコンボ、たっぷり味わえ!」

 

弔にこの技を教えたのは骸である。

もっとも、骸は『レンズ』に加えて『鏡』も使用し、光速でオールレンジ攻撃を行っていたが。

 

「ぬおおぉっ!赫灼熱拳 ジェットバーン!」

 

光が貫通した左腕の痛みを堪え、エンデヴァーは自身の必殺技を放つ。

 

「炎熱系はもう死ぬほど食らったよ・・・『空気圧縮』」

 

弔が放った空気弾が、エンデヴァーの炎を散らす。

 

「何も飛んでこない・・・そりゃそうか」

 

模擬戦では、骸が炎と同時に釘や刃物を投げてきていた。

 

壁を作って炎を防いだと思ったら、ナイフが壁を貫通してきたり。

炎に隠れて本体が突っ込んできたり。

 

散々な目にあったので、死柄木は『目隠しになりそうなものは取り敢えずどかす』ことが体に染み付いている。

 

「エンデヴァー!」

 

「デカい的だな」

 

『暴風』+『ガス』+『炎』!

 

救援に駆けつけたリューキュウの体が、爆発的に燃え上がった炎に飲み込まれ、地上へ墜落する。

 

「リューキュ──「遅い」

 

『瞬発力』×3+『筋力増強』×2!

 

エンデヴァーは猛烈な速度で拳を叩き込まれ、沈黙する。

 

「さてと、後は『OFA(ワン・フォー・オール)』を獲りに・・・?」

 

突如、死柄木の体に違和感が走る。

個性が使用できない。

 

「イレイザーヘッドか・・・どこだ」

 

死柄木は周囲を見回す。

 

『デバフをかけてくるやつは最初に殺す』。

これは骸の教え・・・ではない。

骸は『デバフとか誤差。50%移動速度低下を食らったら、2倍速く動けばいい』と発言した。

 

「・・・いた」

 

少し離れた地点でイレイザーヘッドを捕捉。

死柄木はそこへ向かって駆け出した。

 


 

一方、ミルコとクラスト達は、大量のハイエンド達と交戦していた。

『崩壊』から逃れた直後、襲撃を受けたのだ。

 

「数が多いな!」

 

「倒したそばから湧いてきやがる!」

 

『泥ワープ』によって、次々と送られてくるハイエンド達。

 

ヒーロー達の襲撃前に、殻木は地下施設を別の場所に移した。

そして現在、「ワープ(ジョンちゃん)」によって、完成したハイエンド達を送り込んだのだ。

 

「オッおお前たちの死体を、ムクろへ持っテ行けト・・・そうイう指令ダ」

 

「ゾンビなんぞに殺られるかよ!」

 

「哀れ、生ける屍よ!」

 

ヒーローとハイエンド達の激戦は続く。




死柄木が原作より強化されました。
個性複数使用の先輩に教わったからね、しょうがないね。

クソコンボを乱用しまくるのは骸ちゃんのせいです。
でも骸ちゃんはもっとひどいコンボを使います。

クラスト生存!!
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