脳無(幼女)のヴィランアカデミア   作:殻木の弟子

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今回、原作キャラの死者数エグいです。
ご注意を。


第7話

「これは・・・閉じ込められたのか!」

 

群訝山荘側に襲撃をかけたヒーロー達は、大混乱に陥っていた。

 

捕縛した超常解放戦線の構成員は全て偽物。

さらに、山荘を中心として展開されたバリアにより、ヒーロー達は閉じ込められたのだ。

 

「本物はどこに・・・っ!?」

 

轟音を立てて山荘が崩壊し、土煙が辺りに立ち込める。

 

「ようこそ。わざわざこっちに来てくれてありがとう」

 

土煙の向こうから現れた集団。

それは、解放戦線の幹部達だった。

集団の最前列にいる少女・・・骸は、何かを引きずりながら歩いている。

 

「スパイが役立たずだったばっかりに・・・かわいそう」

 

「・・・!」

 

ヒーロー達は、骸が足を掴んで引きずっているのが、赤い翼を持った人間だと気付いた。

 

「お前達は、わたしの餌。全員今から喰われるよ・・・」

 

そう言うと、骸はホークスを右手で持ち上げ──一気に吸収した。

ヒーローが事態を飲み込む前に、あっさりと。

 

「こんなふうにね」

 

それを見ていたヒーロー達は、激しく動揺する。

No.2ヒーローが、あっさりと殺されたのだから当然である。

 

「ホー・・・クス・・・?」

 

黒い鳥のような頭をした少年・・・常闇踏陰は、呆然と立ち尽くしている。

 

死んだのか?

ホークスが?

あんな簡単に?

 

骸の姿が変化し、背中から一対の翼が生える。

ただ、それはホークスのような赤い翼ではなく、真っ白な翼だ。

 

「みんな、準備はいい?」

 

解放戦線メンバーが戦闘態勢に入る。

コピーとの戦闘で疲弊したヒーロー側に対し、解放戦線側は万全の状態。

さらに、トゥワイスが健在。

 

「蹂躙せよ」

 

「「「オォォォォーッ!!!」」」

 

これより始まるのは戦闘ではない。

ただの虐殺である。

 


 

「『肉体変形』+『触腕』+『筋力増強』+『蛇』!」

 

『触腕』で増やした腕を巨大な蛇に変える。

正直に言うと『蛇』を使う必要性は全く無いんだけど、かっこいいからいいよね!

 

「『閃光』×8+『レンズ』×5!」

 

さらに、増やした蛇の口へレンズを作り、レーザー砲にする。

 

このレーザーは、回避も防御も不可能。

文字通り『必殺技』だけど、わたしにとっては通常攻撃だ。

 

「ふふふ・・・」

 

レーザーを高速で連射すると、それは地形も貫通し、次々にヒーローを消し飛ばす。

 

「さらに・・・『分裂』+『反射』」

 

蛇になった腕が破裂し、その残骸がレーザーを反射していく。

めちゃくちゃに反射してるように見えるかもしれないけど、全部わたしの計算通りに動いている。

 

「避けられるものなら、避けてみろ!」

 


 

「よーし、行ってこい!」

 

トゥワイスによって、次々複製される解放戦線幹部達。

耐久力は本体より低くなるが、その攻撃性能は全く劣化していない。

 

「「「制圧放電 雷網!!」」」

 

「ゴハッ・・・」

 

莫大な電力で放たれた雷撃は、一撃で数十名の命を奪った。

 

「ぎゃあぁぁぁっ!」

 

ガスマスクの男が放った炎は、一瞬で人を炭に変えた。

 

個性・・・『異能』の鍛錬をずっと重ねてきた彼らの技術が、無限に複製され襲い掛かってくるという悪夢。

 

それに呆気なく殺されていくヒーロー達だったが、それはトップヒーロー達でも例外ではない。

 

「忍法 千枚通し!!」

 

エッジショットが荼毘の体を貫くが、それは一瞬で崩れ落ち、泥となる。

 

「残念、ハズレだ」

 

エッジショットの周囲360°が、増殖した荼毘で埋め尽くされる。

 

「しまっ・・・」

 

「「「燃えろ」」」

 

全ての荼毘が一斉に火を放つ。

回避不能、通り抜けられる火力でもない。

 

「ちょっと焼き過ぎたか・・・?まあいいか」

 

後に残ったのは、真っ黒に炭化した死体だけだった。

 

 

 

「ぬうっ!」

 

迫りくるコピーの群れに対し、セメントスはコンクリートの波を操り対応する。

しかし──

 

「ほい圧縮!」

 

触れた部分を『圧縮』し、Mr.コンプレスはそれを簡単に突破する。

 

「くっ・・・」

 

いくら壁を作っても、コンクリートで固めて拘束しようと、複製され続けるコンプレスの前には成すすべがない。

次第に状況は悪くなっていく。

 

「そらよっと!」

 

コンプレスが大きな布を取り出し、セメントスに向かって放り投げる。

 

「・・・!?」

 

セメントスが布を払い除けると、そこにコンプレスの姿はない。

 

「視線誘導・・・手品の基本だぜ?」

 

いつの間にか接近していたコンプレスが、セメントスの肩に触れる。

 

それと同時にセメントスの上半身が『圧縮』され、残った下半身は血を噴き出して倒れた。

 

 

 

「ウルシ鎖牢!」

 

コピー達を拘束していくシンリンカムイ。

相手が攻撃を仕掛ける前に、相手を拘束・無力化していく。

 

「・・・ぬん!」

 

しかし所詮木は木に過ぎず、圧倒的な暴力の前には無意味である。

 

「ストレス75%・・・」

 

自らを縛る木を引き千切り、リ・デストロが立ち上がる。

 

「消えろ」

 

その拳がシンリンカムイに迫り・・・黒い鎧に阻まれた。

 

「助かりました!」

 

「コピーはしっかり消しておけ!耐久は低い、小突く程度で十分だ!」

 

シンリンカムイの窮地を救ったのは、No.9ヒーロー、ヨロイムシャだった。

 

「・・・不愉快」

 

リ・デストロの体がさらに盛り上がり、両手に黒いオーラを纏う。

 

「我が異能の極北・・・その身で受けろ!」

 

「いかん!回避を──」

 

周りのヒーロー達に回避するよう叫ぶが、時既に遅し。

 

「解放100%・・・負荷塊」

 

圧倒的な力の奔流が、ヨロイムシャと周りのヒーローを巻き込み、跡形もなく消し去った。

 

「ヨロイムシャさ──」

 

シンリンカムイの頭部に、複数のナイフが突き刺さる。

 

「ぐぁ・・・」

 

「それって中身はどうなってるんですか・・・?切ってみればわかりますけど」

 

『変身』で姿を変え、気配を消して接近していたトガが、シンリンカムイに馬乗りになり、ナイフを突き立てる。

何度も、何度も何度も何度も。

 

「が・・・あ・・・」

 

ビクビクと痙攣していたシンリンカムイだが、やがて動かなくなった。

 

「へぇ・・・ちゃんと血は流れてるんですね!」

 

ナイフに付いた血を啜り、トガヒミコはニッコリ笑った。

 

 

 

 

 

 

トップヒーローでさえも、次々と殺されていく。

戦っているのはトゥワイスの作ったコピー達であるため、解放戦線幹部の本体は傷1つ負っていない。

 

「駄目だぁ・・・勝てねぇ・・・」

 

「くそっ、一時退却を!」

 

逃げ出そうとする一部のヒーロー達。

市民を守るために日夜戦っているとはいえ、実際に死の危険が目前に迫った時、命を投げ捨てられる者はそれほど多くはないのだ。

 

「こ、これを壊せば!」

 

しかし、バリアがそれを許さない。

 

「壊れろ!壊れろ!壊れろってんだよぉッ!」

 

「ちくしょう、なんで壊れねぇんだ!!」

 

「出せよ!ここから出してくれぇぇぇっ!」

 

泣きながらバリアを叩くヒーロー達。

それを背後から襲撃する者がいた。

 

「おら、粛清!!」

 

「ぎゃあっ!?」

 

泣き喚くヒーローを斬りつけたのは、大剣を持った男・・・スピナーだ。

 

「怖気づいて逃げ出そうとするなんてな・・・。そんなもんは『本物』じゃねぇ!」

 

「あがっ!」

 

腰を抜かし、這いつくばって逃げるヒーロー達を、スピナーは大剣で斬り裂いていく。

その姿は、まるで処刑人のようであった。

 

「お前らみてぇな偽物は・・・粛清対象だ!!」

 

 


 

「お〜い、骸ちゃ〜ん!死体全部集め終わったよー!」

 

こちらに手を振るトゥワイスの背後には、積み上げられた死体の山が。

黒焦げになった死体、穴だらけの死体、ぐちゃぐちゃのミンチになった死体。

色んな死体がそこにはあった。

 

戦闘開始から約30分、わたし達はバリア内にいたヒーローの殲滅を完了した。

わたし達の損害は・・・群訝山荘が跡形もなくなったくらいかな。

 

「じゃあ、さっさと食べちゃおう。『肥大化』」

 

背中から生えた『剛翼』を大きくして、死体の山を包み込む。

翼に触れた部分から、死体が一気に吸収されていく。

 

「あぁ・・・良い!とっても気分が良い!!」

 

わたしの中に、膨大な力が流れ込んでくる。

こんなにたくさん一気に吸収したことはなかったから、初めての感覚だ。

 

「お・・・。なんか頭の上が面白いことになってるな」

 

「え?」

 

荼毘に言われて頭の上に手をやるけど、何にもない。

 

「これで見てみてください」

 

トガが渡してきた手鏡を覗いてみると、わたしの頭上に光の輪(・・・)が。

 

「えっなにこれ」

 

頭の上に、ピカピカ輝きながら浮かんでいる。

手で触れられないし、熱も感じない。

 

「取り込んだやつの個性かな・・・なんか消えないし」

 

ふむふむ。

どうやら、この個性は『加護』というらしい。

 

「むむむ・・・」

 

輪に意識を集中させると、光の輪が輝きを増した。

 

「うおっ、眩し!」

 

「わぁ・・・骸ちゃん、天使みたいですね!」

 

天使・・・天使か。

 

「ねぇねぇトゥワイス、ちょっと地面をパンチしてみて」

 

「えっ!?」

 

「大丈夫、殴ってみれば分かるよ」

 

トゥワイスが恐る恐る地面にパンチする。

 

ドゴン!

 

「うおっ!?」

 

物凄い音と一緒に、地面にヒビが入った。

 

「この個性は『加護』っていうやつで、輪っかから出る光を浴びた人にわたしの『身体能力』をちょっと分けられるらしいよ」

 

わたしはこう見えて身体能力がめっちゃ高いから、トゥワイスにもすごいパワーが宿ったってわけだね。

 

「えぇ・・・強くね?」

 

「元の持ち主は大してパワーがなかったみたいだし・・・宝の持ち腐れだね」

 

見た目もかっこいいし、これは出したままでいいかな。

 

 

 

「さて・・・。こっちは片付いたし、次の段階に進もう」

 

ヒーローの戦力を大幅に削った今、作戦の第1段階は完了した。

次は第2段階、市民へ大きな被害を出して、ヒーローへの信頼をぶち壊す。

 

「マキアは?」

 

「もうすぐ来るぜ・・・」

 

その直後、地面を突き破ってギガントマキアが現れる。

 

「いざ、主の下へ!!」

 

わたし以外のみんなは、マキアに乗って死柄木を回収し、第3段階の準備に向かう。

街を襲うのはわたしの役目だ。

 

「じゃあ、わたしは飛んで行くから。また後でね!」

 

「気をつけろよ骸ちゃ〜ん!」

 

トゥワイス達に手を振り、空へ飛び立つ。

大量殺戮はわたしの得意分野だ。

 


 

「おい、あれなんだと思う?」

 

「また(ヴィラン)かしら?嫌ねぇ・・・」

 

上空に巨大な『翼』を広げて飛ぶ存在を、市民はさして気にしていなかった。

まあ、気にしていたとしても、その正体に気付いたとしても、もはやどうしようもなかったのだが。

 

 

群訝山荘を後にした骸は、既に大阪上空まで到達していた。

 

「『閃光』×18+『レンズ』×7・・・。出力最大、照準ロック」

 

上空にて、骸は翼を展開する。

都市を、平穏を、そこにいる全ての命を終わらせるために。

 

「さぁ・・・死に絶えろ!!」

 

この日、大阪、京都、兵庫、和歌山に存在した複数の都市が、上空から降り注いだ光によって壊滅した。

各都市の80%以上が物理的に消滅し、多数の死者・行方不明者を出すとともに、莫大な額の経済損失が発生。

 

この大惨事を引き起こした敵を、現地にいた何人かの民間人が、吹き飛ばされる前にカメラで捉えており、インターネット上にその姿が拡散された。

 

巨大な白い翼を広げ、天使の光輪(エンジェル・ヘイロー)を持つ少女。

 

その姿から彼女は、一部の者達から『神の遣い』や『終末を齎す者』として信仰されることとなった。




トゥワイスと骸ちゃんがいたら、まあこうなるよね・・・。
クラストが生き残ってるし、なんとか・・・ならんか。

骸ちゃんはマッハで飛ぶとか余裕です。
『閃光』によるレーザーの射程は流石に県を跨ぐレベルではないので、各県に飛んでいって都市を吹き飛ばしました。

次回、ダビダンス。
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