脳無(幼女)のヴィランアカデミア 作:殻木の弟子
「今日まで元気でいてくれてありがとう、エンデヴァー!!」
荼毘がギガントマキアから飛び降り、エンデヴァー達の下に向かう。
「親父!!!来るぞ!!親父!!」
轟焦凍はエンデヴァーに必死に呼びかけるが、エンデヴァーは固まったままだ。
「緑谷達を守ってくれ!!俺が戦う!!」
「頼む動け!!守ってくれ!!おい!!」
「
荼毘が全身に蒼炎を纏う。
エンデヴァーは動かない。動けない。
「赫灼熱拳──」
「轟くん!!」
「やらせるかよ!!」
緑谷と爆豪が飛び出すが、空から降ってきた
「これは・・・!」
緑谷の視線の先では、骸が自らの髪に『オーバーホール』を使用し、ロープを作り出していた。
「『ファイバーマスター』・・・荼毘の邪魔はさせない」
No.3ヒーロー、ベストジーニスト。
本来ホークスは、彼を一度仮死状態にして荼毘に見せ、信頼を勝ち取った後で、密かに蘇生するつもりだった。
しかし、骸によってその目論見は崩壊することになる。
共同で保管されていたジーニストの体を、骸は密かに殺害・吸収し、『オーバーホール』で外見を変えた適当な人間とすり替えたのだ。
蘇生手術の後、目覚めたジーニスト(偽)は「何も覚えていない」と言って病院で療養しているが、記憶が戻ることはない。
彼はジーニストではないのだから。
「てめェ・・・。ジーンズ野郎まで・・・!!」
「ホークスが持ってきたから、食べた。恨むならあいつを恨め」
緑谷と爆豪は拘束から抜け出そうとするが、ロープの締め付けはだんだん強くなる。
「『OFA』を持ってるのは緑髪の方・・・ツンツン頭の方は消していいよね」
骸の翼が光り輝き、レンズが展開される。
「──プロミネンスバーン!!」
それと同時に、荼毘が焦凍に蒼炎を放つ。
絶体絶命の危機。
しかし、そこに割り込む2つの影。
「ぬうぅぅぅっ!!」
「あ?」
荼毘の放った炎は、
「他所の家に──「
攻撃を回避し、マキアの上に舞い戻った荼毘は、突然の乱入者──ミルコとクラストの存在に顔をしかめる。
「おいおい、おとなしく寝てた方がいいんじゃねえか?見るからに重傷だぜ」
「へっ!こんなもん、なんともないね!」
そう答えるミルコだが、彼女の左腕は肘から先が既になく、他にも小さくない傷がいくつもあった。
ハイエンド達に苦戦した彼女達だったが、
その生徒とは・・・。
「POーWERR!!」
「おっと」
骸に誰かが飛びかかる。
彼女が怯んだ隙に、ようやく動き出したエンデヴァーが、爆豪を縛るロープを焼き切った。
「
それと同時に、『波動』によって緑谷のロープも切断される。
「ルミリオン!ねじれ先輩も!」
「すまない、遅くなった!」
ハイエンドを倒した彼らは、エンデヴァー達を援護するべく、この場所に向かってきていたのだ。
「・・・『透過』するやつか。個性なしのわたしにも勝てなかったのに、今のわたしに勝てるとでも?」
骸は馬鹿にしたような口調でそう言った。
ルミリオンは死穢八斎會本部で一度、イレイザーヘッドと共に骸と戦い、敗れている。
『個性消失弾』によって『透過』を失った彼だったが、死穢八斎會から保護した少女・・・壊理の協力によって、個性を取り戻したのだ。
「・・・また邪魔しに来たのか、ミルコ」
「わたしにもう一度挑む勇気は認めよう・・・その選択を、存分に悔いて死ぬといい」
骸と荼毘が、ヒーロー達に飛びかかろうとしたその時。
「そろそろ時間だ・・・次の段階に移行するぞ」
死柄木が2人を呼び戻した。
「いい所だったのに・・・荼毘はもういいの?」
「轟炎司が壊れてない上に、邪魔が入ったからな・・・次は燃やす」
骸は死柄木の指示に従い、マキアの上に飛び乗った。
「マキアは一旦縮め」
「主の仰せのままに・・・」
マキアの背丈が小さくなっていくのと同時に、解放戦線メンバーの口から『泥』が溢れ出す。
「『泥ワープ』か!」
「逃がすかよ!」
ミルコ達が飛びかかるが、『ワープ』を止める方法は無く。
骸達は即座に泥に包まれ、姿を消した。
戦場から帰ってきたわたし達は、新しい拠点でマッタリしていた。
夜には宴会もやる予定だから、解放戦線の中でも料理が得意な人達が準備を始めている。
第3段階、『頃合いを見て撤退』は完了。
残すは最終段階だけだね。
「何人か殺し損ねたけど・・・まあいいか」
「無論じゃ。群訝山荘側に展開していたヒーローの7割は殲滅、蛇腔病院側も死柄木と愛しきハイエンド達が6割は殺した。ヒーローも今は動けんよ」
そう答えるドクターだが、だいぶ元気がない。
というかずっと泣いてる。
「しかし・・・ハイエンド達は皆やられてしまったのう・・・うう・・・」
「元気出してよドクター。設備は全部持ってきたんだし、また作ればいいじゃん」
脳無を作成するための設備も個性のストックも、襲撃前に別の場所に移して残っているので、脳無ならまた作り直せばいい。
「その話は後だ・・・さっさと先生を解放しに行くぞ」
「はいはーい」
今回の作戦の最終段階・・・動けるヒーローがほぼいない今日の内に、タルタロスを襲撃。
オール・フォー・ワンを救出する。
「弔の中にいる『AFO』は、本体の場所がわかるんでしょ?」
『そうだね』
最終段階を実行するのは、わたしと弔の2人だけ。
オール・フォー・ワンがどの辺にいるか分かってるなら、
弔は翼が生えた脳無に乗っかり、わたしは翼を展開する。
「じゃあ、行ってきまーす!」
双眼鏡を片手に、タルタロスの様子を観察する。
「本体はどのくらい下にいるの?」
『ふむ・・・水深500mの辺りだね』
500m・・・このくらいでいいかな。
『閃光』×16+『レンズ』×3!!
「ファイア!!」
極太レーザーが放たれ、タルタロスを飲み込む。
周辺の海水が吹き飛ばされ、レーザーに触れた部分が蒸発していく。
「ふう・・・大したことないね」
もうちょっと硬いとか、反射してくるとか、色々想定してたけどあっさり吹き飛んだね。
威力の調節も完璧!
「おまえの火力がおかしいだけだろ」
弔は呆れたような顔でそう言った。
その日。
脱獄不能と謳われた監獄──タルタロスは、襲撃を受け、壊滅した。
と言っても、タルタロスにいた職員や囚人達のほとんどは、襲撃が起こったと気付かなかっただろう。
なにせ、突如放たれた閃光により、
当然、上層にいた囚人や職員も即死である。
「フフフ・・・神の名を冠する監獄から僕を助け出すのが、天使の姿をした者とは・・・。とんだ皮肉だね」
オール・フォー・ワンはそう呟くと、死柄木が乗っている脳無に腰を下ろした。
「神の名前をつけても、所詮はコンクリートと鉄骨の塊だしね。
そんなものでわたしのレーザーは止められないよ」
「・・・ところで、先生。生き残ってる連中はどうするんだ?」
上層の囚人達は建物ごと消し飛んだが、オール・フォー・ワンと同じ最下層に閉じ込められていた囚人達は生きている。
「解放して僕の駒にしようと思っていたが・・・骸の計画を実行するならいらないな」
骸の考えた案。
それは、『オーバーホール』でオール・フォー・ワンを治療・・・どころか全盛期の力を取り戻させるというものだ。
骸が死穢八斎會から持ち帰った、『個性消失弾』の中身を研究した結果、『巻き戻す』個性が使われていると判明。
ドクターに解析を進めてもらった結果、『人を若返らせる』夢の薬剤が完成した。
ただ、完成した薬を原液そのままで使用すると、肉体の欠損も修復される代わりに、巻き戻りすぎて最後には消える。
そのため、細胞の機能が若返って効果が切れるくらい・・・1000分の1くらいまで薄め、肉体の欠損は『オーバーホール』で治す。
「僕と君達がいれば、兵力としては過剰すぎるくらいだからね」
「じゃあ、個性だけ奪って・・・「ちょっと待って」
収容室の扉に向かった死柄木を、骸が制止する。
「ヒーローへの嫌がらせに使えそうなのが1人、ここにいるはずなんだよねぇ・・・」
そう言うと骸はニヤリと笑い、1つの独房の扉を蹴破った。
「・・・ああ、なるほど。彼女か」
「・・・?」
オール・フォー・ワンは邪悪な笑みを浮かべ、死柄木は首を傾げる。
「元公安所属ヒーロー──レディ・ナガン」
死柄木の肉体改造にかかる時間が短くなった分、ドクターは『個性消失弾』の研究を進め、原作でオール・フォー・ワンが使った薬の改良版を完成させました。
マジ有能。
骸ちゃん(の素材)の父親は、骸ちゃんと一緒にホークスの父に殺されました。
では母親は?
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