脳無(幼女)のヴィランアカデミア   作:殻木の弟子

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今回で全面戦争編は終結します。



第9話

「今日まで元気でいてくれてありがとう、エンデヴァー!!」

 

荼毘がギガントマキアから飛び降り、エンデヴァー達の下に向かう。

 

「親父!!!来るぞ!!親父!!」

 

轟焦凍はエンデヴァーに必死に呼びかけるが、エンデヴァーは固まったままだ。

 

「緑谷達を守ってくれ!!俺が戦う!!」

 

「頼む動け!!守ってくれ!!おい!!」

 

後にしてくれ(・・・・・・)!!」

 

荼毘が全身に蒼炎を纏う。

エンデヴァーは動かない。動けない。

 

「赫灼熱拳──」

 

「轟くん!!」

 

「やらせるかよ!!」

 

緑谷と爆豪が飛び出すが、空から降ってきたロープ(・・・)に拘束される。

 

「これは・・・!」

 

緑谷の視線の先では、骸が自らの髪に『オーバーホール』を使用し、ロープを作り出していた。

 

「『ファイバーマスター』・・・荼毘の邪魔はさせない」

 

No.3ヒーロー、ベストジーニスト。

本来ホークスは、彼を一度仮死状態にして荼毘に見せ、信頼を勝ち取った後で、密かに蘇生するつもりだった。

 

しかし、骸によってその目論見は崩壊することになる。

 

共同で保管されていたジーニストの体を、骸は密かに殺害・吸収し、『オーバーホール』で外見を変えた適当な人間とすり替えたのだ。

蘇生手術の後、目覚めたジーニスト(偽)は「何も覚えていない」と言って病院で療養しているが、記憶が戻ることはない。

彼はジーニストではないのだから。

 

「てめェ・・・。ジーンズ野郎まで・・・!!」

 

「ホークスが持ってきたから、食べた。恨むならあいつを恨め」

 

緑谷と爆豪は拘束から抜け出そうとするが、ロープの締め付けはだんだん強くなる。

 

「『OFA』を持ってるのは緑髪の方・・・ツンツン頭の方は消していいよね」

 

骸の翼が光り輝き、レンズが展開される。

 

「──プロミネンスバーン!!」

 

それと同時に、荼毘が焦凍に蒼炎を放つ。

 

絶体絶命の危機。

 

しかし、そこに割り込む2つの影。

 

「ぬうぅぅぅっ!!」

 

「あ?」

 

荼毘の放った炎は、3重の盾(・・・・)に阻まれた。

 

「他所の家に──「踵月輪(ルナリング)!!」チッ・・・」

 

攻撃を回避し、マキアの上に舞い戻った荼毘は、突然の乱入者──ミルコとクラストの存在に顔をしかめる。

 

「おいおい、おとなしく寝てた方がいいんじゃねえか?見るからに重傷だぜ」

 

「へっ!こんなもん、なんともないね!」

 

そう答えるミルコだが、彼女の左腕は肘から先が既になく、他にも小さくない傷がいくつもあった。

 

ハイエンド達に苦戦した彼女達だったが、休学から復帰した(・・・・・・・・)とある生徒と協力し、なんとか全個体を制圧することに成功した。

 

その生徒とは・・・。

 

「POーWERR!!」

 

「おっと」

 

骸に誰かが飛びかかる。

彼女が怯んだ隙に、ようやく動き出したエンデヴァーが、爆豪を縛るロープを焼き切った。

 

捻れて穿つ槍(グリングパイク)!」

 

それと同時に、『波動』によって緑谷のロープも切断される。

 

「ルミリオン!ねじれ先輩も!」

 

「すまない、遅くなった!」

 

ハイエンドを倒した彼らは、エンデヴァー達を援護するべく、この場所に向かってきていたのだ。

 

「・・・『透過』するやつか。個性なしのわたしにも勝てなかったのに、今のわたしに勝てるとでも?」

 

骸は馬鹿にしたような口調でそう言った。

ルミリオンは死穢八斎會本部で一度、イレイザーヘッドと共に骸と戦い、敗れている。

 

『個性消失弾』によって『透過』を失った彼だったが、死穢八斎會から保護した少女・・・壊理の協力によって、個性を取り戻したのだ。

 

「・・・また邪魔しに来たのか、ミルコ」

 

「わたしにもう一度挑む勇気は認めよう・・・その選択を、存分に悔いて死ぬといい」

 

骸と荼毘が、ヒーロー達に飛びかかろうとしたその時。

 

「そろそろ時間だ・・・次の段階に移行するぞ」

 

死柄木が2人を呼び戻した。

 

「いい所だったのに・・・荼毘はもういいの?」

 

「轟炎司が壊れてない上に、邪魔が入ったからな・・・次は燃やす」

 

骸は死柄木の指示に従い、マキアの上に飛び乗った。

 

「マキアは一旦縮め」

 

「主の仰せのままに・・・」

 

マキアの背丈が小さくなっていくのと同時に、解放戦線メンバーの口から『泥』が溢れ出す。

 

「『泥ワープ』か!」

 

「逃がすかよ!」

 

ミルコ達が飛びかかるが、『ワープ』を止める方法は無く。

骸達は即座に泥に包まれ、姿を消した。

 


 

戦場から帰ってきたわたし達は、新しい拠点でマッタリしていた。

夜には宴会もやる予定だから、解放戦線の中でも料理が得意な人達が準備を始めている。

 

第3段階、『頃合いを見て撤退』は完了。

残すは最終段階だけだね。

 

「何人か殺し損ねたけど・・・まあいいか」

 

「無論じゃ。群訝山荘側に展開していたヒーローの7割は殲滅、蛇腔病院側も死柄木と愛しきハイエンド達が6割は殺した。ヒーローも今は動けんよ」

 

そう答えるドクターだが、だいぶ元気がない。

というかずっと泣いてる。

 

「しかし・・・ハイエンド達は皆やられてしまったのう・・・うう・・・」

 

「元気出してよドクター。設備は全部持ってきたんだし、また作ればいいじゃん」

 

脳無を作成するための設備も個性のストックも、襲撃前に別の場所に移して残っているので、脳無ならまた作り直せばいい。

 

「その話は後だ・・・さっさと先生を解放しに行くぞ」

 

「はいはーい」

 

今回の作戦の最終段階・・・動けるヒーローがほぼいない今日の内に、タルタロスを襲撃。

オール・フォー・ワンを救出する。

 

「弔の中にいる『AFO』は、本体の場所がわかるんでしょ?」

 

『そうだね』

 

最終段階を実行するのは、わたしと弔の2人だけ。

オール・フォー・ワンがどの辺にいるか分かってるなら、建物ごと吹き飛ばせる(・・・・・・・・・・)からね。

 

弔は翼が生えた脳無に乗っかり、わたしは翼を展開する。

 

「じゃあ、行ってきまーす!」

 

 

 

 

 

 

 

双眼鏡を片手に、タルタロスの様子を観察する。

 

「本体はどのくらい下にいるの?」

 

『ふむ・・・水深500mの辺りだね』

 

500m・・・このくらいでいいかな。

 

『閃光』×16+『レンズ』×3!!

 

「ファイア!!」

 

極太レーザーが放たれ、タルタロスを飲み込む。

周辺の海水が吹き飛ばされ、レーザーに触れた部分が蒸発していく。

 

「ふう・・・大したことないね」

 

もうちょっと硬いとか、反射してくるとか、色々想定してたけどあっさり吹き飛んだね。

威力の調節も完璧!

 

「おまえの火力がおかしいだけだろ」

 

弔は呆れたような顔でそう言った。

 


 

その日。

脱獄不能と謳われた監獄──タルタロスは、襲撃を受け、壊滅した。

 

と言っても、タルタロスにいた職員や囚人達のほとんどは、襲撃が起こったと気付かなかっただろう。

なにせ、突如放たれた閃光により、最下層付近まで(・・・・・・・)建物が蒸発した(・・・・・・・)のだから。

当然、上層にいた囚人や職員も即死である。

 

「フフフ・・・神の名を冠する監獄から僕を助け出すのが、天使の姿をした者とは・・・。とんだ皮肉だね」

 

オール・フォー・ワンはそう呟くと、死柄木が乗っている脳無に腰を下ろした。

 

「神の名前をつけても、所詮はコンクリートと鉄骨の塊だしね。

そんなものでわたしのレーザーは止められないよ」

 

「・・・ところで、先生。生き残ってる連中はどうするんだ?」

 

上層の囚人達は建物ごと消し飛んだが、オール・フォー・ワンと同じ最下層に閉じ込められていた囚人達は生きている。

 

「解放して僕の駒にしようと思っていたが・・・骸の計画を実行するならいらないな」

 

骸の考えた案。

それは、『オーバーホール』でオール・フォー・ワンを治療・・・どころか全盛期の力を取り戻させるというものだ。

 

骸が死穢八斎會から持ち帰った、『個性消失弾』の中身を研究した結果、『巻き戻す』個性が使われていると判明。

ドクターに解析を進めてもらった結果、『人を若返らせる』夢の薬剤が完成した。

 

ただ、完成した薬を原液そのままで使用すると、肉体の欠損も修復される代わりに、巻き戻りすぎて最後には消える。

そのため、細胞の機能が若返って効果が切れるくらい・・・1000分の1くらいまで薄め、肉体の欠損は『オーバーホール』で治す。

 

「僕と君達がいれば、兵力としては過剰すぎるくらいだからね」

 

「じゃあ、個性だけ奪って・・・「ちょっと待って」

 

収容室の扉に向かった死柄木を、骸が制止する。

 

「ヒーローへの嫌がらせに使えそうなのが1人、ここにいるはずなんだよねぇ・・・」

 

そう言うと骸はニヤリと笑い、1つの独房の扉を蹴破った。

 

「・・・ああ、なるほど。彼女か」

 

「・・・?」

 

オール・フォー・ワンは邪悪な笑みを浮かべ、死柄木は首を傾げる。

 

「元公安所属ヒーロー──レディ・ナガン」




死柄木の肉体改造にかかる時間が短くなった分、ドクターは『個性消失弾』の研究を進め、原作でオール・フォー・ワンが使った薬の改良版を完成させました。
マジ有能。

骸ちゃん(の素材)の父親は、骸ちゃんと一緒にホークスの父に殺されました。
では母親は?

ヒント レディ・ナガンが関係している
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