ヘイジside
滞在7日目。
「…………」
「……オェ」
「ガーッハッハッハッハ!!『ビーチ』最高!!」
プールサイドでは、サングラスをかけたクリハラさんが、女性を三人侍らせてサマーベッドに横たわって高笑いしていた。
その様子を、俺とヒヅルは遠くからドン引きしながら眺めていた。
何で今こんな事になっているのか、昨日この『ビーチ』にやって来た時の話からしよう。
◇◇◇
17時間前。
俺、ヒヅル、クリハラさんの三人は、『ビーチ』のリーダーであるボーシヤから話を聞いた。
『ビーチ』の目的を果たす為にトランプが必要だと言われ、命の危機をチラつかされた俺達は、大人しくトランプを渡す事にした。
俺達の迎えを待っているアリス達を裏切る事になっちまったが、殺されちまったら約束もクソもなくなっちまう。
「…オレのトランプはこれで全部だ」
俺はクズリューさんに、ヒヅルはアンさんに、クリハラさんはボーシヤに、持っているトランプを全部大人しく渡した。
「カカッ…『
クリハラさんからトランプを受け取ったボーシヤは、大袈裟な身振りをしながら大笑いする。
どうやら、『
「この2枚の献上者には、上層部でナンバーの昇格を検討しよう。これは誰の所有物かね?」
「オレだ」
ボーシヤが尋ねると、クリハラさんが手を挙げる。
「君か…医者だと聞いているが、どうやって『
「企業秘密」
ボーシヤが尋ねると、クリハラさんはニィッと笑って答える。
これも、クリハラさんの作戦だった。
実は、俺は『ビーチ』に向かう準備をしている時、クリハラさんと二人きりで話していた。
『
そうでなくとも、これから先上位層のイスを狙った争いが起こらないとは言い切れない。
まだ中学生の女の子を、そんな危険な目に遭わせるわけにはいかない。
それに、『ビーチ』の上層部に潜入するなら、俺達の中で一番頭が良いクリハラさんがその役目を負うのが一番
そこまで見越した上で、クリハラさんはヒヅルのカードをネコババした。
いや…うん。
『ビーチ』に行く事が決まった時点でそんな先の事まで考えられるなんて、この人本当に頭良すぎて怖いよ。
クリハラさんは、そこからさらに次の手を打った。
「それより、ひとつ聞きたいんだが…
「…ほぅ?」
「No.52の男。アイツ、何か隠してるぜ。念の為、持ち物検査した方がいい」
クリハラさんは、ボーシヤに耳打ちした。
するとボーシヤは、当然クリハラさんを疑ってくる。
新入りの密告なんか、信用できるわけがない。
当たり前だ。
「君達がここに来たのは、ついさっきのはずだが。何を根拠にそう言い切れる?」
「まぁ…職業柄、な。患者のちょっとした違和感を見落とさないのは、医者の基本だ」
「…そうか。報告感謝する。真偽を確認でき次第、ナンバー昇格を検討しておこう」
「へへっ、今後ともどうぞご贔屓に」
ボーシヤが言うと、クリハラさんは胸の前に手を置いて深く頭を下げる。
クリハラさん…あの一瞬で裏切り者を見つけた観察眼もそうだけど、『死』をチラつかせてきた相手に対してここまで大胆に交渉できるなんて、すごい胆力だな…
…ヒヅルの後ろに隠れて漏らした時、カッコ悪いって思ってゴメン。
するとその時、ヒヅルのカードを回収したアンさんがボーシヤに話しかける。
「ボーシヤ!この子、『
「カカカカッ、でかした!未回収のカードが一気に3枚も集まるとは…我々はツイてる!!感謝するよ、有能な新入り諸君!!」
未回収だった『
だがその時、ヒヅルが『
「それ、ヘイジの」
「ヒヅル…!?」
「『
ヒヅル、お前何言ってんだ…!?
せっかくナンバーの昇格を検討してもらえるって時に…!
俺が戸惑っていると、俺のカードを回収したクズリューさんが尋ねてくる。
「本当か?」
「違…」
俺は、ヒヅルの証言を否定しようとした。
だけどその時、ひとつの考えが浮かんだ。
ヒヅルは、とても良く頭の切れる子だ。
もしかしたら、クリハラさんの考えを察したのかもしれない。
『ビーチ』で平穏に暮らしつつ手がかりを手に入れるには、最年少のヒヅルは舐められていた方が都合が良い。
だからこそ、わざと嘘をついた。
せっかくヒヅルが空気を読んだというのに、俺が彼女の立場を危ぶんでどうする。
「…いや。それは、オレのカードだ。『
◇◇◇
「ねぇあの人イケメンじゃない?」
「ね〜ヤバ〜い!え、どうする?声掛けに行く?」
「でも見ない顔だな」
「アレだろ、さっき来てたっていう新入り」
『ルール』通り水着に着替えた俺は、今プールサイドにいる。
結局、3枚の未回収カードとクリハラさんの密告の功績が認められて、俺達はナンバーが昇格した。
今は、クリハラさんがNo.27、俺がNo.54、ヒヅルがNo.76だ。
「…アレで本当に良かったのかな」
俺は、ヒヅルの功績を横取りして昇格した。
ヒヅルを危険な目に遭わせないためとはいえ、いい気分はしない。
そう思った、その時だった。
「なーにいつまでもウジウジしてんのよ」
「クリハラさん…」
「ほれ、ビール持ってきてやったぜ」
「…ありがとうございます」
クリハラさんが、二人分のビールを持って戻ってきた。
クリハラさんは、頭にサングラスをかけていて、水着だけじゃなくアロハシャツまで着ていた。
…完全に楽しむ気満々に見えるのは俺だけか?
あと、左頬に思いっきり赤い手形がついてるのは一体…?
「クリハラさん、その顔どうしたんですか?」
「ヘイジ君。人生、思うようにいかない事なんざごまんとある。だがそこで、挑戦し続ける気概を失っちゃあいけねえ。ま、何事もトライアンドエラーさ」
カッコつけてるけど、ナンパに失敗してビンタされただけでは?
「まぁ、お前さんの気持ちもわからんでもない。だがあの場面じゃ、ああするのが一番合理的な判断だった。ヒヅルちゃんも納得して決めた事だ。それにお前さん、仮に自分がNo.1になっても、他の奴らを出国させる方法を見つけるまでは出国しないつもりなんだろう?じゃあいいじゃねーか」
「それは、そうですけど…」
クリハラさんはそう言うけど、俺はいまだに自分の判断が正しいとは思えなかった。
そもそもヒヅルには、俺のわがままに付き合う義理なんかない。
俺の事なんか放っておいて、出国を優先してもよかったはずなのに。
と思った、その時だった。
「うぇーい」
「いでっ」
いきなり、頭に何かがぶつけられる。
振り向くと、そこにはフルーツカクテルの入ったグラスを持ったヒヅルがいた。
ヒヅル…お前、『うぇーい』とか言うキャラだったか…?
「おまた」
「えっ、あっ」
ヒヅルは、スクール水着の上にラッシュガードを着ていた。
メチャクチャスタイル良いな…
どこがとは言わないが、意外とデカいし、脚は長くてスラっとしてるし。
顔はキャスケットで隠れているが、よく見るとメチャクチャ美人だし。
襟ぐりが広めの水着を着てるからか、左胸のホクロが見えているのがセクシーで可愛らしい。
改めて見ると、ちゃんと女の子なんだなぁと思う。
何だよ、すげぇ可愛いじゃねぇか。
「……何」
あっ…やべっ。
見過ぎた。
すげぇ気まずい。
ニーナというものがありながら、何をやってるんだ俺は…
「ああ、いや…別に。似合ってるなって…思っただけ」
「あ、そう」
俺が言うと、ヒヅルは冷淡に返事をし、俺とクリハラさんの間にちょこんと座る。
ヒヅルの水着を見たクリハラさんは、残念そうにため息をついた。
「何だよお前…もっとエロいの着てこいよ。マイクロビキニとかハイレグとか…」
「うるさい」
「ごめんなさい」
クリハラさんがセクハラになりかねない発言をするとヒヅルが罵倒してくるので、クリハラさんはあっさり謝った。
…ヒヅルの事、可愛いって思ったのは俺だけか?
「…………」
近いな!?
何でよりによって俺の近くに座るかな…
いや、俺が離れるべきなのか…?
……これ、直視したらやばいやつだ。
何童貞みたいな反応してんだ俺。
何か別の事考えないと…
俺は何とか邪念を払おうと、別の話題を探す。
俺の視界に映ったのは、ヒヅルが持っていたフルーツカクテルだった。
「…それ、どうしたんだ?」
「さっき知らないオニーチャンに貰った」
「そっか…」
「……ここの人って優しいんだね。何か色々教えてもらった」
ヒヅルの言う通り、『ビーチ』の連中は、思いの外いい奴等ばかりだった。
特にヒヅルは、新入りにもかかわらず、連中に親切に扱われていた。
…まあ、ヒヅルが女の子だからだろうけど。
「やっぱりナイフ無いと落ち着かない…」
「そんなに大事なものだったのか」
「うんオレの命」
ヒヅルは、帽子の鍔を押さえながらソワソワする。
…あのナイフ、そんなに大事なものだったのか。
すると、クリハラさんがビールを飲みながら尋ねる。
「ヒヅルちゃん、この前の『げぇむ』でもナイフ投げてたよな。ナイフ得意なの?」
「…うん。でもあれは、投げナイフだから。普段使いのやつとは勝手が違う。投げナイフと普通のナイフは似て非なるもの」
ヒヅルは、クリハラさんに尋ねられていつになく饒舌に語った。
俺は、さっきからずっと訊きたかった事をヒヅルに尋ねる。
「ヒヅル。さっきは何であんな嘘ついたりしたんだ」
「…だって、オレ子供だし。年相応に見られた方がいいんでしょ。ほら、能ある鷹は爪を隠すって言うじゃん?」
まあ…そりゃあそうなんだけどよ。
出国が遠のいちまったんだぞ?
「それにオレ、出国になんか興味ねーし」
「えっ…?」
「オレは、この国で永遠に『げぇむ』を続けられんならそれでいい。元の世界に戻っても、ババァがウゼーだけだし。あんなカスみたいな世界に戻るくらいなら、『げぇむ』で惨たらしく死ぬ方が百億倍マシ」
「ヒヅル…」
「カードはくれてやるから、せいぜい出国できるように頑張ればいいよ。ある意味、オレみたいなのが一番『ビーチ』に求められてんのかもね」
は……?
コイツは何を言ってるんだ…?
何の見返りも求めず、ただただ『ビーチ』にカードを献上し続ける奴隷を自ら志願するってのか…!?
何で、そんな事…
「そんな…そんなの、ただの奴隷じゃないか!もっと命を大事にしろよ…!」
「そうだよ。命は大事だよ。だからオレは、自分の為に生きるって決めたんだ。死に怯えて逃げ続ける人生なんか、死んでるのと同じだ!そっちの価値観で、オレを勝手に奴隷にするな!」
ヒヅルは、俺の胸ぐらを掴んで睨みながら反論する。
「……ごめん」
俺は、絞り出すようにヒヅルに謝った。
するとヒヅルも、ふぅっとため息をついて大人しく座る。
「…別にいいよ。オレも、熱くなりすぎたし。ごめん」
『自分の為に生きる』…か。
そう思ってんならお前、何でそんなに暗い目をしてるんだよ…?
「………はぁ」
クリハラさんもヒヅルも『ビーチ』の連中の言いなりになってるし、イバラ探しも難航してるし…俺はどうしたらいいんだよ…
俺が悩んでいた、その時だった。
――ズンッ♫
「!!?」
何だ…!?
急に音楽が…
周りの奴等も馬鹿騒ぎし始めたし…
そういえば、もうすぐ日没だ。
そろそろ『げぇむ』が始まる。
もしかして、それと何か関係あるのか…?
「もうすぐ『げぇむ』の時間だ!!」
「宴の始まりだ!!」
宴…?
これから何があるっていうんだよ…
「…やかましい」
ヒヅルは、俺のラッシュガードの袖を掴んで後ろに隠れながら不満を漏らす。
するとその時だ。
「篝火を燃やせェェッ!!!」
バルコニーに姿を現したボーシヤが叫ぶと、他の奴等が篝火を灯す。
やかましい音楽と共に、熱狂が巻き起こる。
そんな熱苦しい空気の中、ボーシヤは大袈裟な身振りをしながら演説を始めた。
「諸君!!同志諸君!!今宵もこの時がやって来た!!決して怯む事勿れ!!これは恐怖との戦争だ!!諸君には、恐怖に打ち勝つ勇気がある!!絶望を払い除ける執念がある!!それらは生きる意味を確信した時に、より絶対的なものとなろう!!全ては『ビーチ』のため!!大義のために!!戦おう!!同志諸君ッ!!!!」
ボーシヤが叫ぶと、周りに居た奴らは雄叫びを上げた。
熱狂が熱狂を呼び、ここにいるほとんど全員の士気が高まる。
だけど俺には、この演説が薄っぺらく思えた。
「………寒っ」
ヒヅルも同じ事を思ったのか、真夏だというのに腕を摩っている。
「どうかしてる…」
俺は思わず、そう呟いた。
この演説は、せっせとカード集めに勤しむ働きアリを量産する為の茶番だ。
安全が保障された楽園の中で、炎の光とやかましい音楽で気分を高揚させられ、さらにそこに絶対的なトップの演説が加わる事で、一種の洗脳状態に陥る。
ボーシヤに焚き付けられた奴等は、錯覚する。
『ビーチ』は絶対で、自分達は無敵だと。
本当に美味しい思いをしているのは上層部の奴等だけだとも知らずに。
まるでカルト宗教だ。
「いよっダンナァ!!アンタが日本一!!」
クリハラさんは、どこからか取り出した扇子を振りながら、やかましい音楽に合わせて音頭を踊っていた。
側から見れば、完全に『ビーチ』のまやかしに染まり切っているように見える。
だけどクリハラさんの目は、氷のように冷え切っていた。
きっとまんまと踊らされている振りをして、虎視眈々とNo.1のイスを狙っているんだろう。
他の奴等が、『げぇむ』に向けて出発し始める。
するとヒヅルが声をかける。
「どうする…?『げぇむ』、参加する?」
「そりゃあ、するだろ…『ビーチ』の事について知れる良い機会だ」
「でも、確か4人一組にならないといけないんだよね」
「ああ。誰か一人探さないと…」
「めんどくさ…1人で参加できるようにしてくれればいいのに」
「あんまりそういう事言うな」
俺達は、一緒に『げぇむ』に参加してくれる人を探した。
できれば、ナンバー上位で『
だけど新入りの俺達に協力してくれる人なんていないよなぁ。
なんて思っていた、その時だった。
「良かったらオレ達と組んでくれないかな」
不意に後ろから声をかけられたので振り向くと、チシヤと、禁煙パイプを咥えたコーンロウの背の高い女の人が立っていた。
「チシヤ…!と、アンタは…?」
「ウチ、クイナ。
「…ああ。よろしく」
クイナと名乗る女性は、俺に右手を差し出してくる。
俺は、クイナさんと握手を交わした。
するとチシヤが意地の悪い笑みを浮かべながら口を開く。
「と言っても、三人じゃちょっと多いんだよね。オレとしては、ヘイジ君とヒヅルちゃんに来て欲しいんだけどな」
「やめぇや、可哀想やろ」
チシヤが俺とヒヅルを名指しすると、クイナさんがチシヤの肩を肘で小突く。
除け者にされたクリハラさんは、見るからに不貞腐れていた。
「へぇへぇ、オレは除け者ですか、そうですか」
「クリハラさん…」
どうしよう…
クリハラさんは、『びざ』の期限が残り三日しかない。
そろそろ『げぇむ』に参加したいけど、チシヤの誘いを断ったら、新入りの俺達と組んでくれる人が見つかる保証はどこにもない。
俺が悩んでいた、その時だった。
「あのっ!」
突然、俺達の背後からウェーブのかかったセミロングの美女が話しかけてくる。
その後ろには、金髪ポニーテールの美女と、片眼が前髪で隠れたショートヘアーの美女が立っていた。
「私達、今日『げぇむ』に参加するんですけど、ちょうど頭脳派の人探してて…一人余ってるなら、私達とチームを組んでくれませんか?」
「ハァイッ!!喜んでェ!!」
美女達が声をかけると、クリハラさんは鼻の下を伸ばして美女三人についていく。
俺は、俺達に何の相談もなく美女達についていくクリハラさんを呼び留めた。
「ちょっ…クリハラさん」
「やっぱ野郎と可愛げのねーガキより女だぜ女!んじゃ、そういうわけだから」
そう言ってクリハラさんは、美女達と肩を組んで手を振りながら去っていく。
そんなクリハラさんを見て、クイナさんは呆れ、チシヤは乾いた笑いをこぼす。
「はぁー…呆れた。ただのスケベオヤジやんアイツ」
「ははっ、即決だね」
「………」
俺は、美女達と一緒にパーキングへ向かうクリハラさんに目を向ける。
クリハラさんは、美女達と肩を組むフリをしながら、俺達にだけわかるようにハンドサインをしていた。
『行け』って…これって、俺達がこの二人と組めって事か?
まぁ…このチャンスを逃したら、今日は『げぇむ』に参加できなくなっちまうし…誘いは受けておこう。
「今日はよろしく頼む」
俺はチシヤとクイナさんの二人と握手を交わし、チーム結成の意思を表明した。
『げぇむ』中は『水着着用』と『武器の所持禁止』のルールは適応外だったので、俺とヒヅルは、すぐに着替えた。
ナイフを返してもらったヒヅルは、心なしか上機嫌になっていた。
パーキングへ向かう途中、クイナさんが俺達二人に話しかけてくる。
「アンタらがヘイジとヒヅルやな。わからん事あったら何でも聞いてんか」
「ありがとうございます」
何でも聞いてって言われると、まず何を聞いたらいいのか…
「二人は付き合ってるの?」
おぉいヒヅルゥ!!
デリカシィイイイッ!!
『何でも聞いて』って言われたからって最初にそれを聞く奴があるか!!
「はぁ!?んなわけないやろ!こんなんが彼氏とか嫌やわ!」
「…ふぅん」
クイナさんが食い気味に否定すると、ヒヅルは若干残念そうな表情を浮かべる。
ヒヅルお前…人の色恋沙汰とか興味あったのか。
それはさておき、俺は一番気になっていた事をチシヤに尋ねる。
「じゃあオレからもいいか?どうしてオレ達だったんだ?」
ハッキリ言って、俺達二人は強そうには見えない。
俺はこの国に来てからまだ1週間も経ってないし、ヒヅルは中学生だ。
『おにごっこ』で協力したってだけじゃ、組む理由にはならないはずだ。
「言っただろ?君に貸しを作ったって。そろそろ借りを返してもらおうと思ってね」
借り…
…そういえば、『おにごっこ』の時はチシヤに助けてもらったんだっけ。
全員で生きて帰れるように、今回は俺が頑張らないと。
パーキングに着くと、チシヤが俺に尋ねる。
「ヘイジ君は運転できるの?」
「一応…あっ、でもオレさっきビール飲んだんだった」
「何や、真面目やなぁ。そんなん気にしとる奴誰もおらんよ。まあええ、ウチが運転するわ」
「すみません…」
クイナさんは、俺の代わりに車の運転席に座った。
何か申し訳ない…
車に乗って移動する途中、クイナさんが尋ねてくる。
「二人は『げぇむ』何が得意なん?ウチは『
「『
俺、まだ『
まあでもその二つだったら、どっちかというと『
「オレ、まだそんなに『げぇむ』はやってないんだが…強いて言うなら、『
と言っても、俺も自信を持って『
「おぉ、キレイに割れよった」
「オレ達ツイてるね♪」
俺達の得意ジャンルを聞いたクイナさんは少し驚き、チシヤは機嫌良さげに笑う。
どうやら、チシヤが得意なのは『
見事に4人とも違うジャンルだな。
「二人は、今序列は何番目なんだ?」
俺が尋ねると、チシヤとクイナさんがロッカーキーを見せながら答える。
「オレ?No.13」
「ウチは15」
No.13とNo.15って…
ほとんど上層部じゃないか。
『おにごっこ』のよしみとはいえ、新入りがこんなに早く上位のメンバーと接触できたのは、運がいい…のか?
「すごいな…」
「アンタらも噂になってんで。初日から一気に昇格した有能な新入りが来よったってな」
「………」
俺が声を漏らすと、クイナさんが答える。
俺は、クイナさんの言葉を素直に喜べなかった。
俺の昇格は、ほとんどヒヅルの手柄だ。
クリハラさんは頭が良くて初日からボーシヤに気に入られたし、ヒヅルもたった一人で大量のトランプを集めてきた。
俺だけだ。
いまだに何も成し遂げていないのは。
「着いたみたいだよ」
俺達が来たのは、住宅街だ。
そのうちの一軒がライトアップされている。
あの家が『げぇむ』会場って事か…
「今回は随分とこぢんまりした『げぇむ』会場だねぇ」
「会場の規模からして、『
「わかってんじゃん」
俺が安堵のため息をつきながら言うと、ヒヅルが口を開く。
今回の『げぇむ』は、『
俺達4人は、早速『げぇむ』会場に足を踏み入れた。
だが、家の中をしばらく調べても、『げぇむ』が始まらなかった。
「…始まらないね」
「まだ『エントリー』の条件を満たしてないのかもよ」
ヒヅルがポツリと呟くと、チシヤが答える。
すると、2階を調べていたクイナさんが声をかける。
「なぁ、『げぇむ』会場の部屋見つけてんけど」
そう言ってクイナさんが俺達を連れてきた先には、頑丈そうな鋼鉄の扉があった。
扉には、張り紙が貼られている。
ーーー
エントリー数 無制限
制限時間 30分
賞品 なし
ーーー
この部屋が『げぇむ』会場か…
…行くしかない。
俺は、覚悟を決めて部屋に入った。
「うわぁ」
「きったねー部屋」
部屋に入ると、クイナさんとヒヅルが口を開く。
部屋の中は物が散乱していて、壁にはゴチャゴチャとポスターが貼られている。
ビリヤードのキューやパソコン、化学や英語の本なんかが置かれている。
おそらく男子大学生の部屋だ。
そして一番気になるのが、部屋の窓が全て分厚い鋼板で封じられている。
まさかこの汚部屋が『げぇむ』会場だっていうんじゃないだろうな。
――ガチャッ
「!?」
4人全員が部屋に入った瞬間、扉がひとりでに閉まり、内側からロックがかかる。
そして次の瞬間、どこからかアナウンスが聞こえた。
《それでは『げぇむ』の時間です。『げぇむ』難易度…『
宝探し…?
どんな『げぇむ』なんだ…?
《続いて『るうる』の説明です。会場内の唯一の脱出口は、電子ロックで施錠されています。制限時間内に電子ロックを解除してこの部屋から脱出する事。電子ロックを解除するには、正しいパスワードを入力する必要があります。パスワードを入力できるのは3回までです。パスワードのヒントは、会場内に隠された7つの『ぼぉる』に書かれています》
「何その7つ玉集めると願い叶うみたいな『るぅる』」
「とりあえず説明聞こうよ」
「えっ、あっ…ごめんなさい」
ヒヅルが『るうる』の説明中に私語を挟むと、チシヤが注意するので、ヒヅルがハッとして謝った。
お前それ、もう天然ってレベルじゃねぇかんな…
そういやコイツ、『おにごっこ』の時も『るうる』の説明中にトイレ行ってたっけ。
『くりあ』する気あるのか…?
《制限時間は30分。制限時間内にロックを解除する事ができれば『げぇむくりあ』。最後に、『げぇむおおばぁ』となるのは次の場合です。3回間違ったパスワードを入力した場合。もしくは、制限時間内にロックを解除できなかった場合。それでは、『げぇむすたあと』》
『げぇむ』が始まった。
早くヒントを探さないと…
「とりあえず、手分けしてヒントを探そう。30分あれば、部屋を隅々まで探す事くらい難しくないはずだ」
「…ねぇ、何か息苦しくない?」
ヒヅルは、軽く胸元を掴みながら口を開く。
言われてみれば、息苦しいような気もしなくもない…?
するとチシヤがモニターを見ながら呟く。
「大人数で来ないで正解だったかもね」
「え…?」
「部屋の酸素濃度が下がってる。部屋が完全な密室になってるんだろうね。『げぇむおおばぁ』になったら、このまま酸欠で死ぬってところかな」
部屋のモニターには、残り時間の下に、パーセンテージが表示されていた。
『17.8%』と表示されていたのが、たった今『17.7%』に下がった。
おそらく、この部屋の空気中の酸素濃度だ。
部屋の中を調べていたヒヅルが、壁際に立って口を開く。
「酸素ボンベとガスマスクがある…2つしかないけど」
ヒヅルが指を差した先には、酸素ボンベとガスマスクが二つずつ設置されていた。
酸素ボンベは壁に埋め込まれて固定されていて、ガスマスクと繋がっているホースもせいぜい1mくらいしかない。
ガスマスクを装着すれば酸素を吸えるが、その代わり酸素ボンベの近くから動けない、という事らしい。
「しかもこのボンベ、壁から動かせないぞ」
「酸素を吸ってる間は、部屋の中を探せないんだね」
「何やそれ、意地悪やなぁ」
「攻略を人任せにする奴への対策だろうね」
チシヤの言う通り、おそらくこれは『げぇむ』を人任せにして何もしない奴が『くりあ』できないようにするための措置だ。
積極的に『げぇむ』に参加している奴が酸欠になって動けなくなれば、それまで酸素を吸っていた奴が自力でヒントを探さなきゃいけなくなる。
酸素が極端に減った室内で、だ。
酸欠で死ぬのが嫌なら、必然的に全員が協力してヒントを探さざるを得ないわけだ。
俺達は、まだ部屋の中に酸素が残っているうちに、協力して部屋を隅々まで探してヒントを探した。
くそっ、どこにあんだよヒント…!
「こっち1個見つけたわ。そっちは?」
えっ、嘘?
「オレも」
「こっちもあったよ」
マジか…
俺以外の三人は、7個のヒントのうち3個をあっという間に見つけてしまった。
さすが、三人とも『げぇむ』に慣れてるだけあって、こういう時の判断や行動に無駄がないな…
「何や、色ちゃうやん」
「こっちはピンク。『5』って書いてある」
「色にも何か意味がありそうだね」
「これ、『
三人は、見つけたヒントの意味を考察していた。
俺まだ1個も見つけてないのに…
だけどそこからは、難しい場所に隠してあるのか、酸素不足で集中力が低下してきたのか、1個も見つからなくなった。
「酸素濃度が16%を切った」
「そろそろボンベ使わんとヤバいな…どないする?」
「オレまだいいや。酸素残ってるうちに部屋探したいし」
「オレもまだいいかな。探したいとこあるから」
そう言ってヒヅルとチシヤは、引き続き部屋を調べた。
ヒヅルは持ち前の身体能力と小柄な体格を活かして天井の通気口を調べ、チシヤは部屋に隠された暗号を解いた。
二人とも、方法は真逆だけど、『げぇむ』に勝つ為に冷静に的確な行動をしている。
今日死ぬかもしれない、なんて事をこれっぽっちも恐れていないんだ。
なんて考えていると、クイナさんが話しかけてくる。
「『まだ役に立ってない』て思うとるんか?気にせんでええよ。あの二人が異常なだけや」
「クイナさん…」
「ウチな、『
そう言ってクイナさんは笑った。
クイナさんは強い人だ。
逞しく生きて、『ビーチ』じゃNo.15にまで上り詰めた。
俺も、他の三人みたいに強く生きられるだろうか。
その後も俺達は、交代して酸素を交換しながらヒントを探した。
だけどヒヅルは、一度も酸素ボンベを使っていなかった。
「ヒヅル。まだ大丈夫か?」
「…平気」
「そっか。無理すんなよ。酸欠で倒れたら元も子もないからな」
俺がようやく自力で1個ボールを見つけたその時、ヒヅルがフラフラとした足取りで酸素ボンベのある壁際へ向かう。
「…ねぇ……そろそろ…交代して、ほしい…」
「アンタなぁ、そういうんはもっと早う言わんかい!」
ヒヅルが弱々しい声で言うと、クイナさんはヒヅルを叱りながら、自分がつけていたガスマスクをヒヅルに被せた。
クイナさん、強くて頼りになるし、良い人だな。
というかヒヅル、やっぱり無理してたのか…あれだけ無理するなって言ったのに。
「アンタはしばらくそこで休んどき!」
クイナさんが言うと、ヒヅルは壁にもたれかかってガスマスクを両手で押さえながら深呼吸をする。
今度は、俺とクイナさんでヒントを探した。
制限時間3分前。
4人で交代しながらヒントを探し、何とか全部のヒントが集まった。
「何とか7個全部集まったけど…これがどうヒントになるんだ?」
俺は、ボールを見ながら考えた。
手元にあるのは、『ACK』と書かれた赤いボール、『K』と書かれた青いボール、『SI』と書かれた黄色いボール、『¥』と書かれた緑のボール、『BS』と書かれたオレンジのボール、『5』と書かれたピンクのボール、『DLE』と書かれた茶色いボールの7個だ。
まあ書かれている文字の意味はそのままパスワードの内容として、色の意味は…
「順番」
ガスマスクを使って息をしていたヒヅルが、俺の持っていたヒントのボールを指差しながら言った。
「色が意味するのは、パスワードを入力する順番。ボールの色は、ビリヤードの球の色と対応してる。ビリヤードの球の番号の順番に文字を並べ替えれば、正しいパスワードになる…はず」
「君も気付いてたんだ」
「部屋にビリヤードのキューがあったのに球がなかったのが気になっただけ」
すごいな…そんな細かいところまで見てたのか。
頭が良いんだな、ヒヅルは。
えっと、黄色が1番で、青が2番だから…そうやって並び替えると…
「答えは『SIKACK5BS¥DLE』」
ヒヅルが言った答えを、クイナさんが入力する。
「頼むで…」
だが…
《パスワードが違います。残りあと2回》
『ブーッ!』という不正解を示す音と共に、モニターに表示されたライフゲージが1個減る。
クイナさんは、ため息をついて右手で頭を抱えながらその場にしゃがみ込んだ。
残り時間は、あと2分…
「…何で?順番は間違えてないはずなのに」
「いや、順番はそれで合ってるんだと思うよ」
「じゃあ…」
「まだ何かあるみたいだね。そろそろ交代しようか」
ガスマスクで呼吸をしていたチシヤが声をかける。
今度は、俺とクイナさんがガスマスクを装着した。
俺は、ヒントのボールの文字をじっくりと観察する。
…あれ?
この文字、どこかで見た事あるような…
…!
もしかして、これって…!
「アスキー!その文字、アスキーコードだ!」
「はぁ?」
「コンピュータで文字を出力する時、文字に番号を当てはめて入力するんです。その文字と番号の対応表のひとつが、アスキーコードです。ボールに書かれた文字を番号にすれば、正しいパスワードになるはず…!えっと、最初が15…で、次が75…」
俺は、貴重な酸素を脳に行き渡らせ、脳細胞にトップギアを入れて、頭の中に入れたコード表を引っ張り出す。
それをひとつずつ当てはめていると、クイナさんがポカンとした表情を浮かべながら尋ねる。
「…アンタ、何しとった人やったっけ?」
「ICPCの出場選手…に、なり損ねた者です。解けた!答えは『157565389216』だ!」
俺が言った答えを、今度はヒヅルが入力する。
だが…
《パスワードが違います。残りあと1回》
またしても不正解だった。
これでもう、1回も間違えられなくなった。
「クソッ…これも違うのか…!」
「これで、チャンスはあと1回…まずいな」
今度こそ、正解だと思ったのに…
俺が項垂れていると、パスワードのヒントになりそうなものを探していたチシヤが、『代われ』とジェスチャーしてくる。
俺達は、またパスワードを入力する組と、酸素を補給しながら正しいパスワードを考える組を交代した。
もう制限時間が20秒しかない。
ダメだ、もう何も思い浮かばない。
何なんだよ、正しいパスワードは…?
俺が思考を放棄し始めた、その時だった。
「『precious』。パスワードは『precious』だ」
壁にもたれかかってガスマスクで呼吸をしていたチシヤが、正解と思われるパスワードを言った。
すると隣にいたヒヅルが、数秒ほど考え込み、ハッとした表情を浮かべる。
「あっ…もしかして、元素記号?」
「そういう事」
ヒヅルが言うと、チシヤが答える。
その答えを聞いて、俺は急いでパスワードを入力した。
頼む…今度こそ、正解であってくれ…!
《正しいパスワードが入力されました。ロックを解除します》
『ピー』と音が響いたかと思うと、鉄の扉が横にスライドする。
俺達は急いで部屋の外に駆け込んだ。
「ぶはぁっ!!はぁーっ、はぁーっ…!!」
廊下に出て、全身で深呼吸をする。
ようやく全身に酸素が行き渡って呼吸が落ち着いてきた、その時だった。
《『こんぐらちゅれいしょん』。げぇむ『くりあ』。これより、『げぇむ』に生き残った方への『びざ』を発行いたします》
アナウンスと共に、廊下に置かれていたレジから4人分の『びざ』が発行される。
『げぇむ』を『くりあ』して、新鮮な空気を吸って思考が回復してきた頃、俺はようやくこの『げぇむ』の本質を理解した。
「はは…はははは…」
「ヘイジ、どないしたん?」
「そういう事か…パスワードの答えは、はじめから書いてあったんだ。この『げぇむ』は『たからさがし』。『precious』は、『宝物』を意味するスラングだ」
『るうる』説明の時点で、俺達は既にパスワードの答えを知ってたんだ。
だから『
ホントに…いやらしい『げぇむ』だな。
「……ふぅ」
ヒヅルは、酸欠状態が続いたせいか、よろけて壁に手をついていた。
俺は咄嗟にヒヅルの肩を支えた。
「大丈夫か、ヒヅル」
「……ガチで死んじゃうかと思った」
俺が声をかけると、ヒヅルは頬を赤らめて恍惚とした表情を浮かべていた。
……うん、そんな事だろうと思ったよ。
「『
「全員生還出来ただけ御の字やろ」
『びざ』を手に入れたチシヤとクイナさんが、そんな話をしていた。
やっぱり、手に入れたトランプによってどれくらい昇格できるかが違うんだな。
『げぇむ』を『くりあ』した俺達は、行きに使った車に乗って『ビーチ』に戻った。
すると、助手席に座っていたチシヤが尋ねる。
「ところで、お二人とも。『ビーチ』に来た感想は?」
「あ、えっと…」
「くっっっっっっっそつまんねー」
俺が返答に困っていると、ヒヅルがハッキリと言った。
直球だな…
「おいヒヅル…」
「この国の事色々知れるかなって思って来たけど、ただのカルトじゃん。周りの奴等もバカばっか。『げぇむ』は好きだけど、アイツらの巻き添え喰らうのだけはやだ」
「もうその辺にしとけ。すみません、コイツ思った事何でも言っちゃう奴なんで。悪気はないんですけど…」
「ええやん。この子、おもろいやんか。こないに威勢のええ新入り、久しぶりやで」
「普通は『ビーチ』のまやかしに染まり切って現実逃避するものなのにね。強いんだね。ヒヅルちゃんは」
俺がヒヅルの失言を謝るも、クイナさんとチシヤは怒るどころか逆にヒヅルを面白がった。
するとヒヅルは、明後日の方向を見ながら口を開く。
「オレは、この世の誰よりも強い」
「オイオイ…そら言いすぎやろ」
ヒヅルが当然のように言うと、クイナさんが呆れ返る。
「ははっ、いいね♪オレ達、気が合いそうだね」
「…やっぱわかる?」
チシヤが笑うと、ヒヅルは少し考えてから瞬きをしながら答える。
俺はその図太さが羨ましいよ…
◇◇◇
無事に『げぇむ』を『くりあ』した俺達は、『ビーチ』に戻ってきた。
すると『ビーチ』でパーティーをしていた奴等が、歓声を上げながら俺達を出迎える。
「おぉっ、帰ってきたぞ!」
「No.13のチームだ!!」
俺達が戻ってくると、『ビーチ』の奴等のボルテージが最高潮まで上がる。
『げぇむ』を生き残って帰ってくるだけで、ここまで歓迎されるものなのか…
するとその時、別の場所でドッと歓声が巻き起こる。
「こっちも帰ってきたぞ!!」
振り向くと、美女を侍らせたクリハラさんが、『げぇむ』から戻ってきていた。
よかった…クリハラさん、生き残ったのか。
「うむ、苦しゅうない。余を崇め奉りたまえ」
クリハラさんは、美女達と肩を組みながら、真顔で鼻血を垂らしていた。
若干偉そうなのが気になるけど、まぁ…初日で一気に昇格した有能な新人って体だもんな。
……でも、『余』って何だ『余』って。
「すげぇよな、あの新入り」
「No.1に気に入られて一気に昇格したんだとよ」
「アイツ、『
この日は、俺達とクリハラさんの話題で持ちきりだった。
『ビーチ』の奴等は本当に気のいい奴等ばかりで、まだ入ってから数時間しか経ってない俺達に親切にしてくれた。
ここは医者も設備も充実してるし、ここに連れて来ればチョータの足も良くなるかもしれない。
だけど、あんなカルトじみた計画に皆を巻き込むのは気が引ける。
アリス達、今頃どうしてるんだろうな…
───今際の国滞在六日目
残り滞在可能日数
北句平治 13日
小鳥遊火鶴 35日
栗原鳳正 11日