???side
葛飾区にて。
『げぇむ』会場のモニターには、不可解な文面が表示されていた。
ーーー
いんたあばる
ほんじつをもつて『げえむ』は
つぎのすてえじへいこうします
ただいまじゆんびちゆう
ーーー
「ここも…か」
「2日前からずっと…どの『げぇむ』会場もこの調子だ…」
『げぇむ』会場に集まっていた男女が、怪訝そうな表情を浮かべながら話す。
その頃、千代田区では。
「なんなんだよ…『いんたあばる』って…!?」
「オレの…『びざ』は、昨日で切れるはずだった…なのに何で…まだこうして生きてんだ…?」
『げぇむ』会場に集まっていた男二人が、疑問を口にする。
2日前から、どの会場でも『げぇむ』が始まらずに『びざ』切れするはずの『ぷれいやぁ』が生き延びているという、異例の事態が23区内の全ての地区で起きていた。
一方、品川区では。
「『じゅんびちゅう』は『びざ』はカウントされないって事?『つぎのすてぇじ』…一体…これから…何が始まろうとしてるの…!?」
女性が、『いんたあばる』と表示された画面を見て言った。
『今際の国』に迷い込んでから初めて起こる異例の事態に、ほとんどの『ぷれいやぁ』が不安を募らせていた。
◆◆◆
ヘイジside
すっかり日が暮れた頃、俺達は焚き火を囲んで今日の成果を報告し合った。
するとタッタが、不可解な事を言い出す。
何と、『げぇむ』会場に行っても『げぇむ』が始まらないという話を聞いたというのだ。
「なっ!?その話マジかよ!?」
「どの『げぇむ』会場も、この3日機能してないって。他の滞在者の間じゃその噂で持ちきりだ!」
タッタが言うと、アンさんは少し考え込んでから口を開く。
「『
「けどボーシヤは、全てのトランプを集めた1人だけが出国できるって…」
「あの『答え』は嘘だったの!?」
「あーもうワケわかんねーよっ!!」
アンさんが言うと、他の皆が混乱する。
そんな中、クリハラさんはボソッと呟いた。
「やっぱり…全てのトランプを集める事に、意味なんて無かったんだな」
クリハラさんは、夜空を見上げながら呟く。
すると今度は、クイナさんが俺に話しかけてくる。
「…なぁ、ヘイジ。アンタに聞きたい事があるんやけど、アサヒがビームで死んだ時…アンタは、その理由に気付いとったんとちゃうんか?」
クイナさんは、アサヒの死の真相について俺に聞いてきた。
俺は、アサヒが死んだ理由を知っている。
彼女は死の間際、『でぃいらぁ』と言っていた。
きっと、『げぇむ』の運営側の人間を指す言葉だ。
それを自らバラしたからこの世界から排除された…そんなところだろう。
だけどそれは、皆に言ってもいい事なのか…?
アサヒは、ただ一言言っただけで排除された。
『でぃいらぁ』について詮索する奴が現れれば、ソイツがアサヒのように殺されるかもしれない。
全てを明かす事は、余計な詮索を招く。
何もわからない以上、今はこの情報を安易に皆に明かすべきじゃない。
「……さぁな。何かを言おうとしていたような気もするけど…喧騒の中で、聞き取れなかった」
「は…?そないな訳ないやろ、アンタ…」
「オレは何も見なかったし、何も聞かなかった。この話は終わりにしてくれないか……頼む」
俺は、クイナさんに頭を下げて言った。
するとクイナさんは、ため息をつきながら頭を掻く。
ちょうどその時、アリスが買い出しから戻ってきた。
あれ…?
買い出しに行ってたのに、手ぶら…?
「アリス!どこまで買い出し行ってたんだよ!?」
「てか、それどころじゃねーんだよアリス!!!」
他の皆は、次々とアリスに話しかける。
俺は、どこか浮かない表情のアリスを心配して声をかけた。
「アリス。こんな遅くに手ぶらでどうした?何かあったのか?」
「……何も無いよ」
嘘だ。
何も無い奴は『何も無い』って言わないし、そんな浮かない顔はしない。
何かあったんだな。
「何も無い奴は『何も無い』って言わないぞ。言いにくかったら、無理に言えとは言わないけど…」
「っせーな!!何も無えって言ってるだろ!!」
俺がアリスを心配すると、アリスはいきなり怒鳴ってきた。
しつこく心配しすぎたかな…
「ゴメン」
俺は、すぐにアリスに謝った。
するとアリスは、ふぅっとため息をついてから、冷静になって俺に謝ってきた。
「………ゴメン。悪いけどちょっと…1人にしてくれるかな…」
そう言ってアリスは、俺達の前から立ち去ろうとする。
するとウサギが、アリスの前に立った。
「…アリス。私は…ただ…」
ウサギは、アリスに何かを言おうとする。
するとアリスは、ウサギの横を通り過ぎて、そのままどこかへと去っていった。
「何か…あったんか…?」
クイナさんは、アリスの背中を見届けながら、ウサギに尋ねる。
◆◆◆
アリスside
――ごめんなさい…私はまだ…あなたと一緒には進めないの…
俺は、買い出しに行った時にウサギに言われた言葉を思い出して、居た堪れなくなって逃げ出した。
俺は、自分の想いが先走るあまり、ウサギの気持ちをこれっぽっちも考えずにウサギに迫った。
ウサギは、そんな俺を受け入れてはくれなかった。
ウサギは何も悪くない…じゃあ、何だこれは?
オレを受け入れてくれなかったから?
理解してくれなかったから?
そんなのエゴだ。
わかってる!!
じゃあ、何だこれは!!
『
ガキの頃からそうだった…
不平。不満。
口を開けば文句が絶えず、いつも何かに、苛立ってる!!
この感情は、何なんだ…!!
◆◆◆
ヘイジside
タッタが、頭の後ろで手を組みながら口を開く。
「アリスの奴、どーしちまったんだろな?」
タッタが言うと、ウサギがボソッと何かを言った。
「…愛情不足」
「え?」
「ううん…何でもない…」
ウサギの言葉にタッタが反応すると、ウサギは誤魔化した。
人には人の事情があるんだ。
…俺も、余計なお節介は程々にしないとな。
俺がそう考えた、その時だった。
――ドォン!!
「……は!?」
突然、空に花火が上がった。
一つ目の花火をきっかけに、次々と花火が上がる。
まるで『今際の国』に迷い込んだ日の朝のように。
「なっ…なんだ!?」
「何が始まったの!?」
街のあちこちで、花火が上がる。
そんな中、仲間の一人が車内から叫んだ。
「見ろよ!!いきなりナビのモニターが!!」
「どういう事…!?」
見ると、車のナビのモニターが勝手に点いていた。
何だ…何が起こってるっていうんだ…!?
俺がナビのモニターを覗き込むと、薄暗いスタジオに5人の人物が映り込む。
画面の下の方には、『緊急会見!!』の文字が見える。
『はい…はいっ、あ…えっ!?』
5人の前に、アナウンサー風の女性が走ってやってきた。
『マイク…入ってるんですか!?』
段取りがゴm…些か悪いようだが、これから何が始まるんだ?
『え、えー、これより、生中継での緊急会見を放送させていただきます。本日は『今際の国』の国民を代表して、こちらの5名にスタジオにお越しいただきました』
そう言ってアナウンサーが指した先には、5人の男女がいた。
逆光になっていて、顔は見えないが…
何人かは、見覚えのあるシルエットをしている。
「『今際の国』の…」
「国民だァ!?」
『それではまずはじめに、『
そう言ってアナウンサーが指した一番左端の男性の背後には、『ガァン…』という音と共に♢のKのトランプが浮かび上がる。
背後のトランプによって、『
あのシルエットは…
まさか……
『おめでとう。『ぷれいやぁ』諸君。今回君達は異例の早さで、絵札を除く全ての『げぇむ』を『くりあ』した。よってその功績に賛美と敬意を表し、先程の花火と、こうして我々の存在を明かす機会を設けさせていただいた』
やっぱりだ…
ネズミの何気ない発言から、ずっと頭の片隅で引っかかってはいた。
本当は死んでないんじゃないかって、俺も思ってた。
…アンタが『
クズリューさん。
『だがしかし、これまで同様、この『今際の国』における『げぇむ』の目的や趣旨については、私の口から語る事は一切しない。私に然るべき義務もなければ、君達にそれを知る権利も無い。故に、理解も求めない。私からの発言は、以上だ』
『
俺は、クズリューさんの発言に、理解が追いつかなかった。
「『ぷれいやぁ』…何の事…!?」
「オレに…聞くなって…頭が…ついてってねーよ…」
ウサギが尋ねると、タッタが口を開く。
アサヒの最期の言葉を聞き届けた俺には、何となくわかる。
アサヒが『でぃいらぁ』…『げぇむ』を仕掛けている側の人間なら、『ぷれいやぁ』は、俺達『げぇむ』を
『えー続きまして、『
アナウンサーが言うと、クズリューさんの隣に座っていた男の背後に、『ガァン…』という音と共に♣︎のKのトランプが浮かび上がる。
『えっ…とォ、ど…どもっ!『
『もう…事前に段取り話し合ったでしょう?』
『ごっ、ごめん!』
『
まるで漫才のようなやりとりに、思わず拍子抜けしてしまう。
「何、これ…」
「オレ達、何見せられてんだ…?」
「オレに聞くんじゃねぇ」
ヒヅルと俺が言うと、クリハラさんは俺の脇腹を小突いた。
『あははっ!やっぱダメだオレー!ちゃんとした場所って、どーも緊張しちゃってー!』
『
「何なんや…コイツら…」
クイナさんは、おちゃらけた様子で喋る『
呆然としている俺達を他所に、『
『あははっ!えーっと…あ、そうだ!とにかくっ…あれだあれ!!『ぷれいやぁ』と『でぃいらぁ』の対決はこれで終わりだから、勝った君らはいよいよオレ達との決勝戦っ!!お互い悔いのないように頑張ろーぜっ!!こんなんで…いいのかな?ど…どもっ!『
『
テレビの映像を見て、アンさんが口を開く。
「巨大な…宇宙船が現れて…宇宙人が降りてきた方がマシだったかも…真実は私達が思っていたものより、遥かに稚拙で荒唐無稽なのかもしれない…!!」
そう言ってアンさんは、モニターを睨みながらギリっと歯を食いしばる。
そうしている間にも、生中継は進んでいく。
『続きまして、『
そう言ってアナウンサーが指した先には黒いシルクハットを被った長身の女性が座っていて、女性の背後に、『ガァン…』という音と共に♣︎のQのトランプが浮かび上がる。
その人物のシルエットを見て、俺は思わず目を見開いた。
そして確信した。
俺の確信を裏付けるように、『
『ご機嫌麗しゅう、迷える子羊達よ…私が『
たった今、点と点が全部繋がって線になった。
思わず、笑みが溢れる。
見間違えるはずもない。
何故なら、俺にとっては、この女が全ての始まりだったのだから。
「はは…あの時のあの言葉は、そういう意味かよ…!道理で…『ビーチ』の連中が血眼になって探しても見つからなかったわけだ…!!」
俺は、笑いで口角が歪みそうになるのを、手で覆い隠した。
俺がどんな思いで生中継を見ているのかも知らずに、『
『『げぇむくりあ』おめでとう。あなた達は見事、『ふぁあすとすてぇじ』を『くりあ』し、今日この日まで生き延びました。あなた達とこうして話せる日が来るなんて…本当に嬉しいわ。私、思わず涙腺に来ちゃいました』
『
どれほど、この時を待ち望んでいた事か。
あの時、何も知らなかった俺は、俺とニーナの命を救ったアンタに感謝していたんだ。
でも、それも全部、アンタが仕組んだ事だったんだな。
自分で助けたニーナを『げぇむ』で殺したのも、アンタだったんだな。
「オレも、会いたかったよ…イバラ…ハナエ……!!」
俺は、♣︎のQのトランプの前に座る女を睨んだ。
俺が最初の『げぇむ』に一緒に参加した女…イバラが、『
あの女がかつて俺に言った、『また、すぐに会える』…その言葉の意味は、こういう意味だったんだ。
俺とニーナは、この女に命を救われた。
だけど次の『げぇむ』で、ニーナは死んだ。
『げぇむ』を作ったのがコイツらだとするなら…コイツらが、全ての元凶だとするなら…
この女は、自分達で作った『げぇむ』に何食わぬ顔で参加して、『ぷれいやぁ』を救けて恩を売ってたって事になる。
マッチポンプもいいところだ。
今思えば、全ての始まりは、この女だった。
この女の…コイツらのくだらない遊びに付き合わされて、ニーナは死んだ。
コイツらが、ニーナを…俺の女を弄んで殺した。
…まったく…俺も、まだまだ人ができちゃいないな。
こんなにも本気で、女をぶん殴りたいと思ったのは生まれて初めてだ。
ありがとう、イバラ。
ようやく、全部わかったよ。
アンタが俺に与えたものは、『絶望』じゃない…『希望』だ。
これで心置きなく、アンタを思いっきりブン殴れる。
そしたら少しは、前に進めそうな気がするよ。
『次の『げぇむ』は、私達『今際の国』の国民との対人戦です。あなた達に直接会える日を、楽しみにしているわ…
ああ、上等だよ。
俺もちょうど、アンタに会いたいと思ってたところだ。
すぐにその椅子から引き摺り下ろして、思いっきりブン殴ってやるから、待ってろ。
◆◆◆
???side
『あなた達に直接会える日を、楽しみにしているわ…
テーブルの中央の席に座っている『
『続きまして、『
そう言ってアナウンサーが指した先、『
男の背後に、『ガァン…』という音と共に♠︎のKのトランプが浮かび上がる。
『
『これは…未練を絶つ為に必要な、救済だ。我利を求め奔走し、煩悶と後悔を生み出し続ける生への未練を…』
『
『
あまりにも唐突で、淡々と進められていくその演説に、ほとんどの者が言葉を失い、思考すらもおぼつかなかった…
ある一部の『ぷれいやぁ』を除いては。
「末法思想か…コイツはさっきの女よりタチが悪いかもね。バカが小難しい事を考え出すと、極端だ」
テレビを見ていたチシヤは、『
一方で、アリスはというと。
「はは…そっ…か。そういう、事かよ…」
テレビを眺め、口角を上げながらそう呟いていた。
一方で、ヘイジはというと。
「『救済』……ね、そうかよ…救ってるつもりか…はは、寒すぎて逆に笑えてきた」
「次はボス戦か…コイツら全員ぶっ殺したら、何が知れるのかな…」
「大丈夫かお前ら…変なもの食って、とうとう頭イカレたか?」
ヘイジは、口元を手で覆い隠しながら、歪に笑っていた。
唐突な演説に最初は困惑していたヒヅルも、いつもの無表情に戻って淡々と言った。
そんな2人を見て、クリハラが何とも言えない表情を浮かべる。
そうしている間にも、緊急会見は進められていく。
『それでは、最後に、『
そう言ってアナウンサーは、一番右端に座っている女を指す。
女の背後に、『ガァン…』という音と共に♡のQのトランプが浮かび上がる。
ヘイジ達は、『
『
『…期待した人も多いのではないかしら?もっと肝心な何かを私達から聞けるはずではないのかと…何故、こんな『げぇむ』をする必要があるのか?何故、自分達がこんな目に遭わなくてはいけないのか?理由を求める生き方をやめ、災難だったと諦めれば楽になれるというのに…それでも、強いて理由を挙げろと言うならば…私達が、病気だからよ♡そろそろ『答え』を探すのはやめなさい。文字通りこれはただの、『げぇむ』。『げぇむ』は、楽しむもの。でしょ?どう?今……楽しい?』
『
そしてその直後、口角を上げた。
「そうか…この感情は、お前らにぶつけりゃいいんだな…!!」
アリスは、『今際の国』の国民達に、激しい怒りを向けた。
一方でヘイジも、強く拳を握り締めてモニターを睨みながら、歪に口角を上げる。
「『楽しい?』か…そうだな…オレは、この日が来るのが、待ち遠しかったよ…!!」
ヘイジは、モニターに映る5人に激情を向け、血が滲む程強く拳を握りながら言った。
『
『最後に…今後の日程につきまして、『げぇむ』の『ねくすとすてぇじ』は、明日、正午をもって開催されます。以上、緊急会見を生中継でお送りしました───』
アナウンサーの言葉を最後に、緊急会見が終わり、23区内で点いていたモニターが全て砂嵐になる。
砂嵐の音が聴こえる中、タッタはその場にへたり込んで口を開いた。
「オレ…ダメだ…とてもじゃねーけどもうこんなのに、ついてけねーよ…」
タッタは、震えて冷や汗をかきながらそう言った。
だが、チシヤ、アリス、ヘイジの3人はというと。
「嫌いじゃない展開だ♪明日の正午が…」
「待ち遠しくて、眠れそうもねぇよな…!!」
「楽しみで仕方ねぇよ…アイツらを思いっきりぶん殴る瞬間が」
チシヤ、アリス、ヘイジの3人は、歪な笑みを浮かべていた。
ヘイジは、大切なものを理不尽に奪われた怒りが、たった今その怒りの元凶とも呼べる存在が目の前に現れた事で、復讐心、そして生への原動力へと変わった。
「『げぇむ』はもういいって言ったけど…前言撤回。せっかくなら…もっと面白い『
ヒヅルも、相変わらずの無表情で言った。
闘志を燃やす二人を、クリハラは少し離れたところで見ていた。
「『
ヘイジは、隣にいたヒヅルに言った。
ヒヅルは、迷わずヘイジの手を取って言った。
「そんなの、聞くまでもない。アイツらを全員殺すまで、止まらない…そうでしょ?」
ヒヅルは、ヘイジの手を掴んで後ろに立って言った。
ヒヅルは、『今際の国』の国民達に復讐心を燃やすヘイジを、決して非難も否定もしなかった。
彼女にとっては、自分の殻を壊し、望む生き方を変えてくれたヘイジが全てだった。
何があっても彼を守れるように、たとえ地獄の果てへでもついていく覚悟だった。
そんな二人を見て、クリハラは目を見開いて冷や汗をかきながら笑う。
「…ハハッ、やっぱりテメェら2人まとめて狂ってんな」
クリハラは、二人に畏怖に近い感情を抱いていた。
医者という職業柄あらゆる人間を見てきたクリハラは、肌で感じていた。
普段は真面目でお人好しのヘイジが持つ、潜在的な怪物性を。
そして、同時に思った。
何の躊躇いもなくヘイジを受け入れどこまでもついていこうとしているヒヅルも、まさしく怪物だと。
◆◆◆
???side
薄暗いスタジオに、5人の男女がいた。
眼鏡とスーツを身につけた男の『
長いカーリーパーマの髪をした男の『
クラウンブレードの茶髪をしており黒いシルクハットとロングドレスを身につけた女の『
深くフードを被った男の『
黒髪ロングの髪をしておりパキッとした赤いルージュを塗った女の『
クズリューとミラは、かつてはヘイジ達がいた『ビーチ』の仲間で、イバラはヘイジと一緒に『
「たった今、『でぃいらぁ』による…絵札の『げぇむ』12会場の設置が完了したそうよ」
ミラは、たった今入った情報を、他の4人に伝える。
するとキューマが、緊急会見の司会を担当した女性アナウンサーの方を向いて、名残惜しそうに言った。
「これで君ら『でぃいらぁ』とも本当にお別れかァ…短い間だったけど、一緒に仕事できてマジで楽しかったぜ!!」
「今まで本当にありがとう。あなた達のおかげで、とても楽しい『げぇむ』になりましてよ」
キューマが言うと、それに続けてイバラも女性アナウンサーに向かって微笑みかける。
彼女の妖艶に微笑む口元からは、チャームポイントである八重歯が覗いていた。
すると女性アナウンサーは、涙を流して震えながら5人に懇願する。
「あ…あのっ!言われた通りに全部やりました!!ですから………お願いですから…!!どうか私の命だけは…!!」
「いやぁー例外作っちゃまずいっしょ。だってさ、『ぷれいやぁ』を全員『げぇむおおばぁ』にできれば『でぃいらぁ』の勝ち。『ぷれいやぁ』に全種類の『げぇむ』を『くりあ』されれば『でぃいらぁ』の負け。そういう『るうる』だったんだから、しょうがないよね」
キューマは、女性アナウンサーの懇願を却下した。
さらに追い討ちをかけるようにイバラが、胸の前で十字架を握って微笑みながら、女性アナウンサーに向かって祈りを捧げる。
真っ直ぐに切り揃えた前髪の下からは、限りなく暗いブラウンの瞳が覗いていた。
「我らが父の御許で、安らかに憩われますようお祈り致します」
イバラが微笑んだその直後、女性アナウンサーの身体をレーザーが貫通した。
さらに、『今際の国』にいる全『でぃいらぁ』の身体にレーザーが貫通し、『でぃいらぁ』全員が次々と『今際の国』から排除されていった。
「『でぃいらぁ』全員の殺処分が確認出来次第、各自所定の『げぇむ』会場で明日まで待機」
クズリューは、他の絵札の国民達に指示を出した。
「久々の『げぇむ』だなっ!身体ナマってねーか心配」
「そうですね……では、私はお先に失礼しますね」
キューマが言うと、イバラも同意する。
イバラは、杖をつきながら持ち場へ向かう途中、何かを思い出したように立ち止まる。
「……あ」
急に立ち止まったイバラは、小さく声を漏らしたかと思うと、キューマの方を振り向いて話しかける。
「あの〜…例外云々の話をするなら、元々緊急会見に参加する予定じゃなかった私は、ここにいても良かったんでしょうか?しかもちょっと長々喋っちゃって」
「いいのいいの!キミはオレが呼んだんだから」
「そういうものですか」
イバラが尋ねると、キューマが軽い感じで言った。
するとイバラは、納得したのかニコッと微笑む。
同じ『
ひと足先に『げぇむ』会場に向かうイバラは、ドレスのポケットに入っていた懐中時計を取り出す。
懐中時計を見たイバラは、誰に向けてでもなく、ボソ、と独り言を呟いた。
「久々に
イバラは、無邪気な笑みを浮かべて独り言を言い、ブーツの足音を立てながら、軽い足取りで『げぇむ』会場へと向かった。
◆◆◆
ヘイジside
『今際の国』滞在27日目、正午。
ついに、この時が来た。
いよいよ、『ねくすとすてぇじ』が始まる。
『ねくすとすてぇじ』の開始を知らせるかのように、上空には、絵札のトランプが書かれた幕を吊るした飛行船が、次々と現れる。
『ねくすとすてぇじ』に備えて支度を終えた俺は、ずっと一緒に過ごしてきた仲間のヒヅルとクリハラさんに声をかける。
「行こう」
「うん」
「おう」
俺が声をかけると、二人は返事をしながら立ち上がる。
『今際の国』の国民と俺達との直接対決が今、始まろうとしていた。
はい、イバラさんの正体は♣︎Qでした。
本作では、アリス達に敗れたキューマに代わり、♣︎の絵札のラスボスとなっています。
♡J編にオリキャラを登場させるつもりなんですが、定員を増やすのと原作通り20人で進めるのとどちらがいいですか?
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人数増やす
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原作通り20人で進める