ですが原作と流れは変わらないので、地の文をバキバキに増やして、無理矢理2本立てのダイジェストにしました。
アリスside
ヘイジ達と分かれた後、俺達は『
俺が『
奴からなら、聞き出せるかもしれねぇ…『答え』を。
「海辺の『げぇむ』は…初めてだな…」
『
会場に置かれた巨大なコンテナには、『なんいど ♣︎K』『げぇむ すうとり』と書かれていて、入り口の前には腕輪が5個置かれていた。
張り紙には、『エントリー数 5名じゃすと』と書かれている。
俺達じゃ、1人足りない。
タッタが、このまま誰も来ずに『
「待ちくたびれたぜぇ…あんまり誰も来ねーもんだから、すっかり興が削がれちまってたところだ…」
「お…お前は…」
「ようやく5人…揃ったじゃねーの」
先に『げぇむ』会場で待っていたのは、ニラギだった。
ニラギは、俺達を散々煽ったかと思うと、何の相談もなく勝手に腕輪を装着した。
正直、俺やヘイジを殴ったり、ウサギやヒヅルにちょっかいをかけたりしたコイツと一緒に『げぇむ』をするのは、不安でしかなかった。
だけど、『
俺、ウサギ、クイナ、タッタの4人も、腕輪を装着して『げぇむ』会場に入った。
するとだ。
「いやー良かった!!やっと参加者が来てくれた!!THANK YOU FOR COMING!!『
そこには、髪をアフロヘアーにした全裸の男が立っていた。
「オレがこの『げぇむ』を取り仕切る、『
『
ミュージシャン
いきなり現れた露出狂の男に、俺達は全員ドン引きしていた。
奴は、『ヌーディストは立派な運動』だとか、『自然体こそが人間としてのあるべき姿』だとか訳の分からない事を言っていたが、それよりも俺は喜びの方が勝っていた。
ついに出会えた、『今際の国』の『答え』を知る人物に。
「これからやる『げぇむ』は、5対5の完全なるチーム戦。『げぇむくりあ』は勝ったチーム5人の生き残りを、『げぇむおおばぁ』は負けたチーム5人の死を意味する。君達『ぷれいやぁ』が命を懸けて『げぇむ』に挑んでるんだ。リスクは
そう言ってキューマは、どこか飄々とした様子で『るうる』の説明を始めた。
『
『るうる』は、2時間の間に俺達が『
両チームの最初の持ち点は10000点ずつ。
この点数を、『げぇむ』開始前に5人で振り分けて、『ばとる』と『じんち』と『あいてむ』で点数を取り合う。
『ばとる』は、相手の身体に触れた場合、点数が多い方が『ばとる』の勝者になり、敗者から勝者へ点数が500移動する。
味方同士で接触しながら相手に触れると、味方の点数が加算されて、勝った場合は敗者の500点が勝者に振り分けられる。
次に、この『げぇむ』会場には『あいてむ』が6個隠されていて、『あいてむ』を手に入れると持ち点が加算される。
『じんち』は、各チームに1個ずつ用意されていて、相手の『じんち』に触れると10000点が手に入る。
自分のチームの『じんち』に触れている間は持ち点が∞になって、触れた相手から10000点を奪える。
『げぇむ』の最中に持ち点が0点を下回ると『げぇむおおばぁ』。
最後に、点数の移動があった人物は、自分のチームの『じんち』に触れるまでは『無効状態』になって、『無効状態』の相手チームに触れると、気絶する程の電流が流れる。
「以上が『るうる』なんだけど、理解してもらえた?」
キューマは、『るうる』説明を終えると、自分のチームの仲間と一緒に自分のチームの『じんち』に向かおうとする。
奴は、俺達とフェアに戦う為に、『げぇむ』を仲間に考えさせて、自分は直前まで『るうる』を知らない状態で挑んでいた。
どこまでも、『真剣勝負』に拘っていた。
俺は、『じんち』に向かおうとするキューマを呼び止めた。
「待てよ…オレは…アリス…正直言って…今のオレには…『げぇむ』なんて二の次だ…オレは…お前にどうしても聞かなきゃならない事があって、ここまで来たんだ…!!頼むから、答えてくれ!!この『今際の国』は何なんだ!?『げぇむ』の目的は!?お前らは一体…誰なんだ…ッ!?」
「…アリス、君は…かつての世界にいた頃…一体どれだけの人間と、本心で語り合う事ができた?虚栄、愛想、欺瞞、おべんちゃら、おためごかし…ここじゃそんなメッキはすぐに剥がれる…死と向き合う事で、本性が見える。対話しよう!!裸の魂で!!これこそが純然たるCOMMUNICATIONだろ!?オレを知りたきゃ、オレと『
そう言ってキューマは、仲間を連れて『じんち』へ向かった。
いい加減な奴等で…あって欲しかった…
俺はコイツらに、無茶苦茶で、意味不明で、殺してもいいくらいイカレ切った奴等であってほしかった…
奴等が…この『げぇむ』に、奴等なりの意義や信念を抱いているのだとしたら…
この先、敵を知ってしまったら…
理解してしまったら…
認めてしまったら…
俺は変わらず…
奴等を憎めるのか…?
自分のチームの『じんち』に向かった俺達は、皆で話し合って最初の持ち点を決めた。
点数の振り分けは、『げぇむ』の第一段階だ。
この『すうとり』は、最初の点数の振り分けが勝敗を大きく左右する。
『げぇむ』は、とっくに始まってるんだ。
《両チームの持ち点の振り分けが完了しました。『すうとり』『げぇむすたあと』》
「しっかし…思ったより広い『げぇむ』会場やな…」
点数を振り分けた後、俺はクイナと一緒に『あいてむ』を探した。
俺達のチームは、ニラギの作戦をもとに点数を振り分けた。
ニラギの作戦は、一番足が速い2人に300点ずつ、次に速い2人に4600点と4700点を振り分けて、足が速い奴と点数が多い奴の2人組を2つ作って、一番足が遅い奴に100点を振り分けて『じんち』を守らせる、というものだった。
この作戦なら、まず『ばとる』に負ける事はないし、仮に不利になっても状況に応じてペアを入れ替える事で柔軟に対応できる。
『げぇむ』が始まってから、俺は昨日ウサギに言われた事を思い出して、いまいち集中を欠いていた。
このままじゃ、皆の足を引っ張っちまう。
「やあ!ご対面〜だね!」
突然、キューマが俺達の前に現れた。
キューマは俺達に、
「『ありがとう』も、『すまなかった』も、『ふざけんな馬鹿野郎』も、大切な事は
俺は、キューマの話を聞いて、キューマの事をもっと知りたいと思った。
キューマの事を知るには、サシで勝負するしかない。
俺は、キューマの誘いに乗った。
「オレは、アンタの事がもっと知りたい…だから…オレと、サシで『ばとる』してくれ」
「喜んで!」
俺がキューマと握手を交わすと、『ばとる』が成立した。
すると俺とキューマの点数が腕輪に表示される。
俺が4600点、キューマが2000点だった。
「あちゃー!負けたかー!」
「2000…アンタ…まさか…!!ただ…5等分したのか…?命懸けの…『げぇむ』なんだぞ!?」
「…それでもね、オレにとってチームの連中は生死を共にする、
そう言ってキューマは、不敵に微笑んだ。
ウサギとニラギのペアも『ばとる』に勝って、俺達のチームは1000点を手に入れた。
さらには、俺とクイナが2000点の『あいてむ』を見つけて、クイナが2000点手に入れた。
《『ぷれいやぁ』チームに点数の移動がありました》
俺達は、『じんち』に戻って、この先の作戦を話し合った。
正直、滑り出しは怖いぐらいに順調だった。
俺は、キューマのアドバイスを思い出して、ウサギに昨日の事を謝った。
この『げぇむ』で死んじまうかもしれないなら…ウサギへの気持ちは、今伝えなきゃいけないと思った。
ウサギは、俺の謝罪を受け入れてくれた。
ようやく…いつもの2人に、戻れたよな…
◆◆◆
キューマside
アリスと『ばとる』をした俺は、『じんち』に戻った。
しばらくして、『ぷれいやぁ』と『ばとる』をしてきたウタとシタラが戻ってきた。
俺も2人も『ばとる』に負けちゃったから、俺達のチームはマイナス1000点。
これって俺達…ピンチだよね。
「…旗色は、すこぶる悪いわね…」
「どーすんだよリーダー?オメーが何の策も無しにキレイに5等分しちまったもんだから、オレ達ァ大ピンチだぜ?」
ウタが言うと、ゴーケンは笑いながら俺に言った。
するとシタラが、ゴーケンを窘める。
「ソイツは…ナシだろ。オレ達の間に多数決はねぇ。これまでも大事な決断は、全員が納得した上で下してきたはずだろう」
「……だな。ならここはひとつ、前向きな作戦でも模索してみるか?」
シタラが言うと、ゴーケンが笑いながら言い放つ。
前向きな作戦…か。
一応、無い事もないんだけどね。
俺がそう思っていると、シタラが口を開いた。
「…一つ、ブッ飛んだ策でよけりゃあるんだが…キューマ…もしかしてお前なら…オレと同じ事思いついてんじゃねーの…?」
「じゃあさ!せーので言いっこしてみる?」
俺とシタラは、思いついた作戦をせーので言った。
俺達の作戦を聞いた他の3人は、呆れていた。
…うん、思った通りのREACTIONだぜ!
「ほ…本気で…言ってるの!?」
「グハハ!!やっぱりオメーらはどーかしてるぜ!!」
「強要はしない。いつも通り、満場一致がオレ達のスタンスだからね。ただオレ達は多少ばかり…
俺が言うと、他の4人は覚悟を決めた表情を浮かべる。
誰も、俺とシタラの作戦には反対しなかった。
「全員異論は無し。…で、いいね?この中の誰か1人は、『じんち』を守るGKとしてここに残る事になる。誰が残るかは…いつものやつで決めちゃおうか!いくぜ!?せぇーのぉー!!」
俺達は5人全員拳を固く握りしめた。
いつものやつ、いってみようか!
「「「「「じゃんけんぽんっ♪」」」」」
◆◆◆
アリスside
俺は、ウサギとペアを組んで、一緒に『あいてむ』を探した。
このまま『あいてむ』を見つけていけば、『
だけどそんな期待は、すぐに裏切られた。
《両チームに、点数の移動がありました》
「…………え!?」
モニターを見ると、俺達のチームが10000点、『
「そんな…まさか!?逆転されるなんて…!?」
「いや…問題は、
《続いて、持ち点が0を下回った参加者が出ました。その参加者は、『げぇむおおばぁ』》
俺達の『じんち』の近くで、赤いレーザーが発射された。
やっぱり…俺の予想は当たってた…!!
「問題は…逆転された事なんかじゃあない…これでオレ達はもう、『ばとる』じゃ到底奴等に敵わなくなっちまった…!奴等のとった策は言わば、究極の『ばとる』重視…!!奴等は…仲間1人の命と引き換えに…3人の10000点越えの無敵の戦士を創り出したんだ!!」
◆◆◆
タッタside
俺は、1人で『じんち』の前に座って見張りをしていた。
するとだ。
「やあ!」
いきなり、キューマが、仲間の男3人を連れて俺の前に現れた。
4人がかりだと…!?
コイツら、何考えてんだ…!?
「4人…がかりで、オレ達の『じんち』に…!?お…お前ら…何しに来たんだよっ…!?」
「もちろん、この『げぇむ』に勝ちに来た。文字通り、
そう言ってキューマは、俺の前に立ちはだかった。
キューマ達は、俺の四方を塞ぐように立ってじりじりと距離を詰めてくる。
「なっ…!?何だよっ!?何だよお前ら!?何する気だ!?何しようってんだよ!?」
………まさか!?
4方向から同時に、俺達の『じんち』の10000点を取りに来るってのか!?
「冗談だろオイ…!?『じんち』に触れてるオレと『ばとる』したら、マイナス10000点で、死んじまうんだぞッ…!?最低でも1人は防いでみせる!!お前らの誰かは、必ず死ぬんだぞ!?」
「だから言ったろ?『命懸け』だって、誰が死ぬかは…君が決めなよっ!!」
そう言ってキューマが走り出すと、他の3人も一斉に走り出した。
マジかよ…!?
コイツら…
マトモじゃねぇ…!!
少しでも面積を減らす為に、いっそ『じんち』にしがみつくか…!?
いや…ダメだ!!
隙間を狙われて、相手に40000点も与えでもしたら、取り返しがつかねぇッ!!
こうなりゃせめて1人だけでも、『ばとる』で防ぐしかねぇッ!!
キューマ達は、一斉に特攻を仕掛けてきた。
4方向からの特攻は防ぎ切れずに、3人に『じんち』への接触を許してしまった。
だけど俺は、『るうる』を考えた男だけは、『ばとる』で防いだ。
《持ち点が0を下回った参加者が出ました。その参加者は、『げぇむおおばぁ』》
アナウンスが鳴る中、俺が『げぇむおおばぁ』にしたシタラが、キューマに話しかける。
「思えばお前とは今日まで、本当に永い付き合いだったなァ…勝てよキューマ…オレの死を無駄にしたら、あの世でブン殴る」
「お前の事を、オレはこの先1秒たりとも、忘れない」
キューマが涙を流しながら言うと、シタラは微笑んだ。
その直後、レーザーがシタラの身体を貫いた。
「何…だよ…!!何なんだよコイツら…!?」
コイツら…
完全に、狂ってやがる…!!
◆◆◆
アリスside
俺達は一度『じんち』に戻って、何が起こったのかを今一度整理した。
残り時間はもう半分しかないってのに、6000点差もつけられちまった。
…俺の、見通しが甘かった。
キューマの飄々とした態度…どこか緊張感を欠いたこの会場の雰囲気に…
いつの間にか呑まれ、忘れていたんだ…
奴が『きんぐ』である事も、これが命懸けの『げぇむ』である事も。
「命の覚悟は奴等が上だ、ギアを上げなきゃオレ達は確実に全滅する…!!」
俺達は、気を引き締めて、今後の作戦を話し合った。
奴等の特攻作戦は、仲間が5人いないと成立しない。
1人を『じんち』に残して3人で攻めても、仲間を1人犠牲にして手に入る点数は10000点しかない。
それだと、俺達のチームとの点差は発生しない。
奴等はもう特攻作戦を使えないから、『じんち』の守りを強化する事に意味はない。
かといって、『ばとる』を仕掛けまくるのも得策じゃない。
俺達がペアを組む事で、チームの機動力は実質3対3。
『ばとる』を仕掛けたとしても、勝率は1/3しかない。
残る戦術は、人海戦術。
『ばとる』は完全に捨てて、奴等より1つでも多くの『あいてむ』を手に入れる。
それしか俺達の生き残る道はない。
タッタ以外の4人は、片っ端から『げぇむ』会場を調べた。
この大量のコンテナの中から奴等より多くの『あいてむ』を手に入れるなんて…ほとんど運任せ…
こんなものが、本当に作戦と呼べるのか…!?
おまけに、この暑さで脱水症状を起こしかけてる。
真夏の日中の『げぇむ』…
水分補給が必要な事くらい、予期できたはずだろ?
くそっ…どこまで弛んでんだ、俺は…
全てが行き当たりばったりだ!!
今一度強く言い聞かせろ!!
死ぬぞ!!
死ぬぞ!!
この『げぇむ』に負けたら俺は…死ぬんだぞッ…!!
◆◆◆
ウサギside
私が『あいてむ』を探して『げぇむ』会場を駆け回っていると、突然頭上に影が現れた。
反射的に飛び退いた直後、濃い髭の男が私の目の前に着地した。
私は、迷わずに男から全力で逃げた。
すると男が、すぐに私を追いかけてくる。
「躊躇わず逃げの一手。クールだねぇ…オレ好みだ…女の尻追っかけんのは、嫌いじゃねーよ!」
男は、一気にギアを上げて私との距離を縮めてきた。
この男、速い!!
私が何とか男を撒こうと、曲がり角を曲がると、そこは突き当たりだった。
「グハハ!!行き止まりかよ!!ついてねぇなァ!!どうする!?嬢ちゃん!!」
「……行き止まり?何の事?」
私は、その場で飛び上がってコンテナの縁を両手で掴んだ。
そのまま、身体を上に持ち上げてコンテナの上に上がろうとする。
この程度の高さの壁、私なら…!!
「ハッ!!案外ホットじゃねーかよ!ホットな女は、尚、好みだぜッ!!」
そう言って男は、高く飛び上がると、コンテナの縁に着地して、そのままさらに高く飛び上がって空中で身を翻した。
私の目の前に着地した男は、私の頭に手を置いた。
何よ、今の動き…!?
「今…のは…!?」
「パルクール」
◆◆◆
クイナside
ウチは、スキンヘッドのデカい男から逃げとった。
デカいくせに、何ちゅう足の速さやねんコイツ…!!
「くっ…!!デカい図体しとるくせに…しつこいやっちゃ…!!」
男から逃げとったウチは、とうとう行き止まりに追い詰められてしもうた。
「こんな時に…何で行き止まりやねん、くそっ!!」
アカン、もうこれ以上は逃げられへん。
足を止めて息を整えていると、男がゆっくり歩み寄って来よる。
ウチは、男の前に立ちはだかって、オトンに教わった構えをした。
「反則みたいで気は進まんが…もう…手段は選んでられへん…相手チームの身体に触れられるのが、『ばとる』の一瞬に限るんなら…その
ウチが言うと、男は迷わずウチに突っ込んで来よった。
ウチは、男の頭に回し蹴りを叩き込もうとした。
せやけど、男はウチの蹴りを避けると、ウチの顎に掌底を叩き込んで来よった。
「喧嘩慣れしとるんなら…先に…言わんかいアホ…く…そ…」
男にキツい一撃を喰らったウチは、そのまま地面に伸びてもうた…
くそっ…
完膚なきまでの返り討ちやんけ…
◆◆◆
アリスside
《両チームに、点数の移動がありました》
俺が『あいてむ』を探していると、また500点俺達のチームの点数が減った。
「まただ…二度も連続で…『ばとる』に負けたのか…!?何やってんだよ…皆…!!」
俺がコンテナの持ち手を握って引くと、コンテナの扉が開いた。
「開いた!?やったぞ!!ようやく二つ目の『あいてむ』を、ゲット…だ…」
俺がコンテナの中に入って『あいてむ』に触れようとしたその時、相手チームの女が現れた。
訳がわからずに戸惑っていると、今度は俺の背後からキューマが現れた。
「いやー、随分待ったよォ!こん中超ー暑いのなんのって、今ならドクターペッパードラム缶でいけちゃうね」
「これは…一体…!?」
「『あいてむ』で私に点数移動があれば無効状態になり、アンタは私に手を出せない。後は檻に閉じ込められたアンタを、キューマが『ばとる』で
そう言って女は、『あいてむ』に触れた。
すると『あいてむ』の分の3000点が女に加算される。
「ワォ。これってもしかして、最高得点じゃない?」
「恨みっこはなしだぜ。これも、作戦だからね」
そう言ってキューマは、俺に触れて、俺から500点を奪い取った。
「4人…全員…アンタらの『じんち』は今…空だったのか…」
「まーね。
キューマはそう言うと、女と一緒にコンテナから立ち去ろうとした。
くそ…くそっ…命の覚悟も、『げぇむ』の駆け引きも、何もかもが…奴等が上だ!!
くそっ…!!
「…………ところでさ、キューマ…さっきは…ありがとう。アンタのおかげで…大事な友達と、仲直りする事ができたんだ…だからその…ありがとな…」
誰よりも…驚いていたのは俺自身だった…
今、まさに死ぬかもしれない状況で、大勢の仲間を殺した仇に…俺は一体…何を言ってんだ…!?
「ははっ!
そう言ってキューマは、笑いながら去っていった。
◇◇◇
その後、ニラギが『あいてむ』をゲットするも、直後、『
『あいてむ』を取られちまった今、逆転するには、奴等の『じんち』を攻めるしかない。
だが、奴等も残り時間は『じんち』の守りを固めるはず…一体、どう攻める…!?
打開策は…!?
突破口は…!?
オレが…オレが…
オレが、キューマなら…!?
キューマの、『
巧妙な計略か?
大胆な行動力か?
どれも違う…もっと根底に流れる奴の強さは…圧倒的、ポジティブ!!
「…皆、聞いてくれ…ここは全員で、奴等の『じんち』から10000点を奪いに行かねーか?」
俺は、キューマになり切って、皆に提案した。
俺には、奴等から10000点を奪う策があるわけじゃない。
でも、だからこそ、ここにいる5人で自分の武器を再確認して、知恵を絞り合えば、必ず突破口は見つかるはずだ。
だが奴等が自分の仲間を犠牲にして突っ込んでくるのをその目で見たタッタは、完全に奴等に怯え切っていた。
「あんな連中に…どう足掻いたって…勝てっこねーんだよ…」
確かに、タッタの言う通りだ。
俺達じゃ、キューマ達には到底敵わない。
奴等は、死の瀬戸際に踏み込む事でしか、生を実感できない。
言わば、“死にたがりの遺伝子”…!!
「そんな奴等に追いつく為には、今、この時だけでいい…恐怖というブレーキをぶっ壊すんだ。イカレなきゃ、奴等には勝てない」
俺が言うと、クイナとニラギ…そしてウサギが、俺の考えに乗った。
ウサギは、『じんち』どころか、一度でも『ばとる』したら『げぇむおおばぁ』になっちまう。
だがウサギには、自分の武器を活かした策があった。
「ぶっ壊すんでしょ?ブレーキを。持ち点が50だからこそ拓ける活路もある。私の
◆◆◆
ゴーケンside
俺達4人は、『じんち』の守りを固めていた。
『ぷれいやぁ』共に動きはなかった。
もっと闘りがいのある奴等だと思ってたんだがなぁ。
まあ、4人で『じんち』を守り固められちゃあ、攻めようがねぇけどな。
「『ぷれいやぁ』共に、動きはないようね…流石に、観念したかしら?」
「完全に手詰まりってやつだ。連中にはもう、オレ達の『じんち』を攻めるしか選択肢はねぇんだ。その『じんち』を4人がかりで守られちゃ、手も足も出せね………ああ!?」
俺の視界には、見覚えのあるシルエットが映った。
コンテナの上には、さっきの嬢ちゃんが立っていた。
「好きなんでしょ?女の尻を追いかけるのが。もう一度、捕まえてみなさいよ」
「あの女…持ち点50で、一度は格付けの済んだオレを、わざわざ挑発しに来やがった…ガハハ…!!イカレてやがんのか!?」
「ゴーケン!」
「どーせオレ達の勝ちは揺るがねぇんだ。ちょっくら遊んでくるぜ。あのホットな嬢ちゃんの、虜になっちまった!!」
ウタが俺を止めるが、俺は迷わず嬢ちゃんを追いかけた。
悪ぃな、あんなホットな女に煽られちゃ、じっとしてなんかいられねぇんだよ!!
「ガハハ!!いい!!いいねェ!!こんなに心が躍る『げぇむ』は久方ぶりだ!!楽しもうぜ!!嬢ちゃんよォ!!」
俺は、コンテナを飛び移って、嬢ちゃんの逃げ道に先回りした。
「ガハハ!!捕まえたぜェ!!」
そう言って俺が嬢ちゃんの脚を掴もうとすると、嬢ちゃんは高く跳び上がってコンテナの上に登った。
何だ今の動き…さっきまでとは全然違うじゃねぇか…!!
「なんちゅー無駄のねぇ動き…さっきとは、別人じゃねーの…」
一度の『ばとる』で死んじまう極限状態に敢えて自分を放り込む事で、ギアを、上げてやがるのか…!!
「何ていい…女だ…!!」
俺は、興奮を抑えきれずに、息を荒くしながら嬢ちゃんを追いかけた。
「楽しいねぇ!!なぁ嬢ちゃん!!『今際の国』は、楽しいだろォ!?」
「あはっ!ええ、楽しいわ」
嬢ちゃんは足を止めて、顔を赤く染めながら微笑んだ。
ククク、いいねぇ…やっぱりオメーも、俺達と同類かよ…!!
「やっぱり同じ穴の、狢かよ…!!」
「ええ…でもこれは…できれば2人だけの秘密にしてね…聞いてくれてありがとう…最初で最後の私の告白を…」
あ?
「決めたの。そんな私とはもう、これでさよならするって…」
「………グハ、グハハ…ハハハハハハ!!変われるはずねぇさ!!今、この瞬間もオメーは、死の瀬戸際のスリルにゾクゾクしてたまんねぇんだからよォ!!」
俺は、笑いながら嬢ちゃんを追いかけた。
そうさ、変われるはずがねぇんだよ!
オメーは俺と、同じなんだからよ!
◆◆◆
ウサギside
いいえ…変われるわ…
何故ならそれは…
私が、女だから…
ようやく…決心がついたよ…
けどそれは…私があの世界を許したからじゃない…
ごめんね…前を向いて進もうとしているあなたの歩みを、私が止めた。
私なんかの為に、回り道ばかりさせてごめんね…
けど…もう待たせないから…
あなたにはただ、前だけを見て進んでほしいから。
あなたがいちいち後ろを振り返らずに済むように…
私が、すぐにあなたに追いつくから!!
今の私の…生き延びる力は…
「!」
私が男から逃げていると、とうとう逃げられる足場がなくなってしまう。
「グハハ!とうとう、後がねぇぜ!!今度こそ、行き止まりだ!!どうする?嬢ちゃん!!」
男が挑発するように笑うけど、私はさらにスピードを上げて走った。
速…く…
速く…
速く…
速く…
速く…!!
もっと…
もっと…
もっと…速くッ…!!
限界を超えて速く走った私は、10mは離れた反対側のコンテナに向かって勢いよく跳んだ。
そして狙いを定めて、両手でコンテナの縁を掴んで着地する。
だけどその時、無理な態勢で着地したせいで、手首を痛めてしまった。
それでも私は、身体を上に持ち上げてコンテナの上に登った。
するとその時だった。
「グハッ!!ハハハ!!そうこなきゃな!!やっぱオメーはオレと同じ、危ねぇ橋渡んのが大好きな死にたがりだ!!」
そう言って男は、私のいるコンテナに飛び移ろうとする。
だけど男は、私のいるコンテナの側面に激しく身体を打ちつけて、上に登ってくる事はなかった。
「な…んだよ…同じの…はずだろう…?何で…オメーに跳べて…」
男は、そのまま地面に落ちた。
私は、腕の痛みに顔を歪めながらも、地面で伸びている男に言ってやった。
「死にたがりのままなら…きっと私も届かなかった…早く走れたのは、自分の為じゃないからよ」
◆◆◆
クイナside
ウサギが、最初の活路を拓いてくれた。
これで、敵の『じんち』にいるのは3人。
ウチも、負けてられへんな。
「よう!」
ウチは、敵の『じんち』の前に丸腰で姿を見せた。
ウチが用があるんは、さっきウチにキツい一撃を喰らわせよったデカいのや。
「そこのデカいの。アンタや!アンタにちょっと、話があって来た。正直なところ、もうこの『げぇむ』…どう足掻いてもウチらの負けは見えとる。ウチらの仲間の1人が、すっかり戦意を喪失してもうてな…実質4対4の戦力でアンタらの守りを掻い潜って『じんち』に触れるなんて、到底出来るとは思えんからな…」
「見え透いた嘘…相手にしないでよ」
ウチが言うと、女は仲間の2人に忠告した。
イラついとんなぁ…
さっき、ウサギに1人引き剥がされたからか?
ウチは、デカいのがウチの話に食いついとるのを確認してから、本題に入った。
「…でな、こっからが
ウチが言うと、デカいのは一歩前に出た。
やっぱり…そう来ると思たで。
「いい加減にしなさいよ。ゴーケンに続いてアンタまで…明らかに裏のある安い挑発に、いちいち乗ってんじゃないわよ!マキ!!」
マキっちゅう男は、女の忠告を無視して、ウチに歩み寄った。
やっぱり…アリスの読み通りや…
どんだけ無口で無愛想に振る舞おうが、結局お前も内心は…
生きてる事が退屈で退屈で、刺激に飢えて堪らんのやろ!?
「
マキがウチに歩み寄ると、キューマは余裕そうに言った。
ウチの役目は、ここまで…
コイツを『じんち』からほんの数十メートル引き離して、隙を作れればそれでええ。
後はコイツとの『ばとる』に負けようが、アリスとニラギに託すだけ…!!
こっから先は…ウチの個人的なアンタへの用件や。
せやかて別に、本気でどつき合いの勝ち負けをハッキリさせたいワケやあらへん!
ウチは、マキの頭目掛けて回し蹴りを放った。
ウチがさっきと同じ手を使うてくると思い込んだマキは、カウンターを叩き込む為にウチの蹴りを避けようとする。
せやけどそれがウチの狙いや。
ウチは、蹴りを出す為に出した左脚を引っ込めて、そのまま身体の回転を活かして右の蹴りを放った。
ウチはウチのやり方で、死んでった仲間の為に、相討ち覚悟でも、お前らに一矢報いな気が済まんのじゃッ!!
――ゴッ!!
ウチの蹴りとマキの掌底が、同時に互いの頭と顎に入って、ウチらは同時にダウンした。
あとは頼んだで…2人共……
◆◆◆
キューマside
2人が同時に倒れた、次の瞬間だった。
アリスともう1人の男が、同時に俺達のチームの『じんち』目掛けて突っ込んできた。
「何…よ!?ここに来て最後は…正面突破!?」
そう来るか…
俺は、ウタと背中合わせに『じんち』の守りを固めて、突っ込んでくるアリスと向き合った。
「ハッ!!破れかぶれにも程があるわね!!これなら2人で充分守り切れるわよ!!」
俺はアリスの、ウタはもう1人の男の正面に立って『じんち』を守った。
迷わず真っ直ぐに、突っ込んでくる気かい…!?
『じんち』越しの『ばとる』になれば、マイナス10000点で死ぬというのに…
躊躇する気配は微塵もない…
本当にこれが、彼等の策なのか…!?
アリスは迷わず、『じんち』……ではなく、俺に向かって手を伸ばしてきた。
この違和感…そうか…!
「やるね…アリス!ウタ…あとの1人は任せたぜ」
「え…!?」
俺は『じんち』の守りをウタに託すと、アリスの手首を掴んだ。
するとその瞬間、俺とアリスの身体に気絶する程の電撃が走る。
思ったより…強いなこれ…!!
あとは頼んだぜ、ウタ……!
◆◆◆
ウタside
「な…!?電流…!!?まさか…このガキ…まさか!?」
さっきの『ばとる』の後から…ずっと…『無効状態』のまま!!?
正気とは思えない策に私が驚いていると、もう1人の男が『じんち』に向かって突っ込んでくる。
「…くっ!!だから何だってのよ!!アンタが本命だったとはね!けどもう囮はいないわよ!?1対1なら、『じんち』は守れるわ!!」
私は、男の正面に立って、『じんち』の守りを固めた。
男との距離は残り2m。
私がコイツに触りさえすれば───
「なあ?ザ・グレート・カブキ…って知ってっか?」
次の瞬間、視界が真っ赤に染まった。
コイツ、私の顔に血を吹きかけて…!?
「ぐうっ…!!」
私は、咄嗟の事で視界を失いつつも、『じんち』に触れられるのを防ごうと、手を伸ばした。
私が男に触れたのと、男が『じんち』に触れたのは、ほとんど同時だった。
だけど…タッチの差で、男に10000点を奪われてしまった。
◆◆◆
アリスside
「…ぎゃ…はは…ぎゃははは…」
目が覚めると、ニラギの笑い声が聴こえる。
俺は、電流を喰らって痛む身体を起こした。
「ぐ…う…!!つぅ…!!ニラ…ギ、やったのか…!?」
「ぎゃはははは!!」
俺が尋ねると、ニラギが高笑いした。
するとその時だった。
《『ぷれいやぁ』チームに、点数の移動がありました》
アナウンスと同時に、モニターに表示されていた俺達のチームの点が増える。
その直後、俺の道連れを喰らって伸びていたキューマも起き上がった。
「いっ…てぇー!!超痛えーッ!!……あれ?もしかしてウタ…『じんち』に触れられちゃったの?」
やった…やったんだ…!!
俺達は、キューマ達から10000点を奪ったんだ…!!
「やった…!やった…やったぞ…!!ウサギ…!クイナ…!オレ達は…やったんだ!!『じんち』攻め!!大成功だァァーッ!!」
俺は、大声を上げて、作戦の成功を喜んだ。
ウサギが活路を拓いて、クイナが相打ち覚悟で敵を引き離して、ニラギが達成してくれた。
俺達のチームプレイが、キューマ達を───
「……それで?」
………え?
「プラス10000点おめでとう。だから…何だっての?」
俺達に10000点を奪われたにもかかわらず、敵の女は余裕そうにしていた。
何だ、コイツのこの余裕は…?
「強がんなよ嬢ちゃん…オレ達の不利は変わらねぇが、テメェらのリードも今や立ったの3000…『あいてむ』がまだこの会場にあと1つ残ってる以上、テメェらもこれまでのように『じんち』に固まっちゃいられねぇぜ。何せオレ達が最後の『あいてむ』を手に入れりゃあ、それで逆転って事も…事も……………?いや…待てよ!?」
女を挑発しようとしたニラギは、自分の考えが間違っている事に気がついた。
その時俺は、この女の余裕の意味に気付いた。
クイナとニラギが手に入れた『あいてむ』は、『2000』と『1500』。
敵に取られた『あいてむ』は、『3000』と『1000』と『500』。
女が『3000』の『あいてむ』を『最高得点』と言っていた事から推測される、最後の『あいてむ』は…
「『2500』…」
「そういう事」
俺が絶望のあまり地面に膝をつくと、女が言い放つ。
「仮にアンタ達が最後の『あいてむ』を手に入れても、逆転には届かない。今後私達は、時間切れまで『じんち』を離れず、一切の『ばとる』をしない。最後の『あいてむ』は好きに探すといいわ。そして私達はもう、二度と付け入る隙など与えない。二度目の『じんち』攻略ができるなんて、思わない事よ」
女が言い放つと、俺は絶望に打ちひしがれる。
するとキューマが、若干呆れた様子で口を開いた。
「せっかく…喜んでたんだ…今水差す事なかったのに…」
「フン!」
「残念だけどアリス…オレ達の『じんち』から10000点を奪ったところで、君達はもう…
残り時間は、あと20分…
ダメだ…
もう、何の手も思い浮かばねぇ…
♡J編にオリキャラを登場させるつもりなんですが、定員を増やすのと原作通り20人で進めるのとどちらがいいですか?
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人数増やす
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原作通り20人で進める