ヘイジside
『それでは3ターン目を開始します。次のターンも、生かしたい人を慎重に選んで下さい』
皆が放心している中、アイの無機質な声が響き渡る。
ショーゴが死んでも、『げぇむ』は続行した。
ショーゴは『
無実のショーゴが『しょけい』された。
奴に恨みを持ったメイさんが『おうさま』に選ばれたからだ。
問題はそこだ。
仮にメイさんが自分に票を入れたとしても、ショーゴがメイさんに票を入れるわけがないから、7票を獲得している俺が『おうさま』になるはずだった。
なのに実際は、メイさんが『おうさま』になった。
つまり、俺達の中に、俺に投票するふりをしてメイさんに投票して、かつ他の奴にメイさんの『なんばぁ』を教えた裏切り者がいるって事になる。
ソイツはもしかしたら、ただただ正義感が強すぎるあまり、自分達でショーゴを何とかしようとして、メイさんを『おうさま』にする為に彼女の『なんばぁ』を漏らしただけなのかもしれない。
だけどもし、そうじゃなかったら…?
メイさんの復讐は、誰かが仕組んだものだったとしたら…?
「………!!」
「…どうしたの?ヘイジ」
「そうか、そういう事だったのか…!」
この時俺は、自分でも寒気がする程に恐ろしい仮説に気付いてしまった。
俺はてっきり、『
だけど、そうじゃない。
それだと、万が一裏切られた時のリスクが大きいし、何だかまだ詰めが甘い気がする。
俺が『
誰かを焚き付けて『おうさま』にして、殺し合いをするように仕向ける。
1ターン目でショーゴが『おうさま』になって、2ターン目では奴に『どれい』にされたメイさんが『おうさま』になったのは、『
『
そして2ターン目では、ショーゴに恨みを抱いたメイさんを『おうさま』にする事で、今度は復讐劇を引き起こした。
でも気弱なメイさんに、いきなりショーゴを『しょけい』する度胸があったようにも思えない。
きっと、『
そうやって自分の手は一切汚さずに殺し合いのきっかけを作る事こそが、奴の狙いだったんだ。
やられた…!!
『
ここまで完全に、『
この『げぇむ』は、正攻法で『くりあ』できるほど生易しいものじゃない。
もっと、本質的な部分に目を向けないと…
「もうイヤ…!!私吐きそう…!!」
「何でだよ…せっかく皆の心がひとつになったと思ったのに…!」
サクマさんは泣き喚き、ミズキ君は悔しそうに拳を握りしめていた。
ヒヅルは、俺達を裏切って自分に投票したメイさんを睨みつけた。
「アンタのせいで、ヘイジの計画が台無しになった」
「何とでも言えばいいわ。あなたが私の立場だったら、どうせ同じ事をしたくせに」
「やめなさい二人とも!」
ヒヅルがメイさんを非難すると、メイさんは開き直ってヒヅルに反論した。
そこへ、見兼ねたアヤカさんが仲裁に入る。
「今は喧嘩してる場合じゃないでしょ?それこそ『
「そーだそーだぁぁ!!」
「何なのアンタ」
アヤカさんの発言にルキヤさんが便乗すると、ヒヅルが呆れる。
ルキヤさん、完全にアヤカさんの金魚のフンだな…
すると、メイさんが小さくため息をついてから口を開く。
「今回はヘイジさんに投票します。もう復讐を終えて気は済みましたし。それに、前回は
そう言ってメイさんは、早速投票をした。
すると、それに続けてミズキ君も皆に声をかけた。
「やりましょうよ、皆さん!!メイさんもこう言ってますし、今度こそ皆で力を合わせれば、『おうさま』を取れるはずです!!」
「そ、そういうものですかね…」
「前回は8人揃っても『おうさま』を獲れなかったのに、今回は本当に『おうさま』を獲れるの?」
ミズキ君が言うと、クニエダさんとアヤカさんが不安そうに答える。
するとミズキ君が話す。
「メイさんの言う通り、きっと前回は、ショーゴさんに消えて欲しいと思ってしまった人が、メイさんに投票しただけです。でももうショーゴさんはいないんですから、その人達が裏切る理由はどこにもないはずです」
「い、言われてみれば…そうかも…?」
「お、おう…そうだな!オレも今回はヘイジに投票するぜ!」
ミズキ君が言うと、サクマさんとルキヤさんがミズキ君に賛成する。
他の皆も、それに続けて投票を始めた。
皆に『なんばぁ』を教えているミズキ君に、ヒヅルが微笑みを浮かべながら話しかける。
「…ヘイジに似てきたね」
「え、あ、そう、かな…」
ヒヅルが言うと、ミズキ君は微かに頬を染めて頭を掻く。
俺は、洗面所で手を洗っているメイさんに話しかけた。
「…なぁ、ちょっといいか?」
俺が話しかけると、メイさんが振り向く。
「『しょけい』は、相手の『なんばぁ』を知らなきゃセットできないはずだ。なのにアンタ…どうしてショーゴの『なんばぁ』を知っていたんだ?」
俺は、メイさんがショーゴの『なんばぁ』を知っていた理由を尋ねる。
するとメイさんは、ハンカチで手を拭きながら答える。
「…クニエダさんが言ってたでしょ?間違えて『5』を押しちゃったって。だからあのクソの『なんばぁ』は『5』かなって思っただけです」
「でも、クニエダさんが間違えて投票したのがショーゴだったとは限らないだろ?どうして『5』がショーゴの『なんばぁ』だってわかったんだ?」
「それは……勘、ですかね?」
…やっぱりだ。
誰かがメイさんにショーゴの『なんばぁ』を教えて焚きつけたんだ。
一体誰が……?
◇◇◇
投票時間が終わり、『おうさま』を決める時間になる。
全員が決められた位置に立ち、『おうさま』の発表を待つ。
ちょうど時間になると、アイが口を開く。
『時間になりました。それでは、『おうさま』を発表します。今回の『おうさま』は、ヘイジ様』
俺が…『おうさま』……!
メイさんとミズキ君の言う通り、今度こそ皆が俺に投票してくれたのか…!
「ヘイジが…『おうさま』…!」
「っしゃあ!!『おうさま』ぁ!!」
「やった、やりましたよヘイジさん!」
「…ああ」
ヒヅルとルキヤさん、ミズキ君が喜ぶと、俺もつられて安堵のため息を漏らす。
……良かった。
このターンは、誰も死なずに済む。
『4ターン目では、ヘイジ様の『めいれい』が実行されます』
「『めいれい』の対象は、ミズキ君だ。オレの質問に嘘偽りなく答えろ。君は『
「いいえ、僕は『
俺が尋ねると、ミズキ君はハッキリと答える。
ミズキ君が質問に答えても、何も起こらなかった。
これでミズキ君が『
つまり、ミズキ君は『
「もしこれで彼が『
「彼は『
アキモトさんとトカゲは、ミズキ君の方を見ながら言った。
ミズキ君は、前に出て他の皆に声をかけた。
「あの…!僕の『なんばぁ』教えますから、平和的に『げぇむ』を『くりあ』したい人は『なんばぁ』を聞きにきてください!」
ミズキ君が声をかけると、まだ俺のグループに入っていないアカマツさんとクロダさんが顔を見合わせる。
「ま、まあ…アイツは『
「そ、そうだな…」
アカマツさんとクロダさんは、ミズキ君に『なんばぁ』を聞きにきた。
ミズキ君の『なんばぁ』は、『11』だ。
計画が上手くいって嬉しそうなミズキ君に、ヒヅルが声をかける。
「良かったね」
「…うん!」
ヒヅルが声をかけると、ミズキ君が笑顔で頷いた。
『3ターン目の生存者は、13名中13名。それでは次のターンも、生かしたい人を慎重に選んで下さい』
…そういえば、そろそろ腹が減ったな。
時間は…もう6時か。
「皆様、お食事をご用意しました。ぜひご自由にお召し上がりください」
アイさんが、手の込んだ豪華な食事を運んでくる。
食事用意してくれたのはありがたいけど、『しょけい』を見せられた後で用意されてもな…
つーか運ばれてきた料理見てドン引きだよ。
ビーツとトマトの生ハムサラダとか、ソーセージのボルシチとか、鴨とラムチョップのローストとか…人がレーザーで加熱されて死んだ後で食べられる料理のチョイスじゃない。
飲み物も、赤ワインか葡萄ジュースしかねぇし。
…ここまで手の込んだ嫌がらせも珍しくないか?
「いや、アレ見た後で食えって言われても…」
「嫌がらせかよ…」
「つーか何か入ってねぇだろうな?」
ルキヤさん、クロダさん、アカマツさんは、アイの作ってきた嫌がらせ料理に吐き気を催していた。
顔色ひとつ変えずに料理を口にしたのは、ヒヅルとトカゲ、それからメイさんだけだ。
メイさん、さっきまで『げぇむ』に怯えてたのに、強くなったな…
「こ、こんなの食えるわけねーだろ!!何考えてんだテメェら!?」
ヒヅル達が平気な顔をしてアイの嫌がらせ料理を食べていると、ルキヤさんがヒヅル達を指差して叫んだ。
だけど数十分後には、ルキヤさんはすっかり出来上がっていた。
「うへぇ〜もう飲めましぇ〜ん」
「アンタねぇ…そんなんでちゃんと次の投票できるんでしょうね?」
出来上がったルキヤさんがアヤカさんに抱きつくと、アヤカさんが呆れた様子でルキヤさんを引き剥がす。
さらにルキヤさんは、アイにまでウザ絡みをする。
「アイさんってぇ、何気に有能メイドさんっスよねぇ。けっこー長くメイドやってるんスかぁ?」
「いえ…これは彼の趣味です」
ルキヤさんが尋ねると、アイがバッサリとルキヤさんの話を切る。
そんな中、アイの嫌がらせ料理を食べ終わったトカゲが口を開く。
「ところで…これはいつ言おうか迷ってた事なんだけど、この『げぇむ』での『びざ』の扱いはどうなるのかな?」
トカゲが口元をナプキンで拭きながらアイに尋ねると、会場がどよめく。
「日付を跨ぐ事になりそうな『げぇむ』って、今回が初めてだよね。何かローラーをかけて『
「な…!!」
「ルキヤさんの『びざ』って…確か今日まででしたよね…!?」
「やばいじゃん…ちょっとアンタ、酔っ払ってる場合じゃないんだけど!?」
「どーすんだよぉぉっ!!」
ルキヤさんの『びざ』が今日までだった事を思い出したアヤカさんは、慌ててルキヤさんを叩き起こす。
一方で、同じく『びざ』が今日までだったらしいアカマツさんまで喚いていた。
阿鼻叫喚の中、騒ぎの原因のトカゲは、不気味な笑みを浮かべていた。
だがそんな中、アイが無表情のまま答える。
「ご心配には及びません。この『げぇむ』では、『びざ』はカウントされません」
「よ、良かった…ヒヤッとさせやがって」
アイが言うと、アカマツさんが胸を撫で下ろす。
さっきまでの熱が急速に冷めていくのを見て、トカゲは面白くなさそうに舌打ちをする。
だがその直後、続けてアイが言った。
「裏を返せば、皆様は、『
その言葉を聞いた皆は、顔を見合わせる。
一生…か。
だったらわざと『
だけど俺には、アリスやウサギ、皆をほったらかしにしてこの『げぇむ』会場で過ごすなんて事はできない。
早く『
◇◇◇
4ターン目の投票時間が終わり、『おうさま』を決める時間になる。
全員が決められた位置に立ち、『おうさま』の発表を待つ。
ちょうど時間になると、アイが口を開く。
『時間になりました。それでは、『おうさま』を発表します。今回の『おうさま』は、ミズキ様』
「『めいれい』の対象は、クニエダさんです。僕の質問に正直に答えてください。クニエダさんは、『
「いいえ…私は『
ミズキ君が尋ねると、クニエダさんが答える。
クニエダさんも『
『4ターン目の生存者は、13名中13名。それでは次のターンも、生かしたい人を慎重に選んで下さい』
4ターン目が終わり5ターン目に突入すると、アカマツさんとクロダさんがクニエダさんの『なんばぁ』を聞きに来る。
「あっと…それじゃあ、私の『なんばぁ』を教えますね。私の『なんばぁ』は…『4』です」
クニエダさんは、2人に自分の『なんばぁ』を教えた。
二人とも、少しずつ俺達のグループに協力的になっていた。
そんな二人を見て、ミズキ君が喜ぶ。
「すごい、ヘイジさんの計画、順調にいってますよ!」
「…そうだね」
ミズキ君が喜ぶと、ヒヅルも同意する。
何か…いい感じだな、あの二人。
いい感じと言えば、ルキヤさんとアヤカさんも、この『げぇむ』でお互い絆を深め合っていた。
「そのうち『
「アンタは危機感無さすぎだと思うけど…でもまあ、このまま犠牲を出さずに『げぇむくりあ』できたらいいよね」
ルキヤさんがアヤカさんに話しかけると、アヤカさんは呆れつつも、ルキヤさんに微笑みかける。
するとルキヤさんは、頬を染めて笑顔を浮かべたかと思うと、アヤカさんの肩を掴んだ。
「オレ、一生アヤカさんについていくっス!」
「一生はやめてよ」
ルキヤさんが肩を掴んで言うと、アヤカさんは呆れつつも、満更でもなさそうに笑った。
何か、この二人もいい感じだな…
◇◇◇
5ターン目の投票時間が終わり、『おうさま』を決める時間になる。
全員が決められた位置に立ち、『おうさま』の発表を待つ。
ちょうど時間になると、アイが口を開く。
『時間になりました。それでは、『おうさま』を発表します。今回の『おうさま』は、クニエダ様』
「あっ、えっと…『めいれい』の対象は、ルキヤさんです…わ、私の質問に正直に答えてください…ルキヤさんは、『
「いいや、オレは『
クニエダさんが質問すると、ルキヤさんが答える。
ルキヤさんも、『
これで、『
『5ターン目の生存者は、13名中13名。それでは次のターンも、生かしたい人を慎重に選んで下さい』
6ターン目も、アカマツさんとクロダさんが、『
ルキヤさんの『なんばぁ』は『8』だ。
全員でルキヤさんの『なんばぁ』を共有した後、ルキヤさんはアイが持ってきたワインを開けてアヤカさんと一緒に飲んだ。
アヤカさんの飲ませ方が上手いのか、6ターン目が終盤に差し迫る頃にはルキヤさんはベロンベロンになっていた。
「いやぁ〜アヤカさんってメッチャ美人さんっスよね〜。オレ、アヤカさんが注いでくれる酒ならいくらでも飲めちまうっス」
「ちょっとアンタ、飲み過ぎ。次のターンに響いても知らないよ」
「アヤカさんはキレーだし、つえーし、最高っスよ〜」
「ありがとう。お世辞でも嬉しいわ」
「お世辞じゃねーっスよ!!アヤカさんはオレが守るっス!!」
酔っ払って気が大きくなったルキヤさんは、アヤカさんと肩を組んで大声で言った。
するとアヤカさんは、満更でもなさそうに笑う。
「あはは。あたし…ルキヤ君みたいな素直で優しい人、けっこうタイプかも?」
「アヤカさ〜ん!!」
「もう、ルキヤ君ってば」
アヤカさんが言うと、ルキヤさんはアヤカさんに思いっきり抱きついた。
ルキヤさんに抱きつかれたアヤカさんは、心なしか嬉しそうに笑った。
…って、向こうに気を取られてる場合じゃない。
誰が『
今の所、怪しいのは…
「………」
今まで誰ともコンタクトを取っていないトドロキさん。
「♪」
飄々とした態度で『げぇむ』を引っ掻き回してくるトカゲ。
「何はともあれ、このターンも犠牲者が出なくて良かったですね。案外、次で『
「…そうですね」
トドロキさんとは逆に、営業スマイルを浮かべて全員と満遍なくコンタクトを取っているアキモトさん。
誰が『
注意深く表情を読み取れ…!
◇◇◇
6ターン目の投票時間が終わり、『おうさま』を決める時間になる。
全員が決められた位置に立ち、『おうさま』の発表を待つ。
ちょうど時間になると、アイが口を開く。
『時間になりました。それでは、『おうさま』を発表します。今回の『おうさま』は、ルキヤ様』
「『めいれい』の対象は、アヤカさんだ!オレの質問に正直に答えてくださいっス!アヤカさんは、『
「違うわよ」
ルキヤさんが尋ねると、アヤカさんが答える。
するとアイが、無機質な声で生存者を発表する。
『6ターン目の生存者は、13名中13名。それでは次のターンも、生かしたい人を慎重に選んで下さい』
アヤカさんも『
これで4連続だ。
今までの言動的に、メイさんが『
「あたしの『なんばぁ』は『2』よ」
アヤカさんは、『なんばぁ』を教えてくれた。
今回も、皆が各々気になる相手に話しかけにいって絆を深め合っていた。
俺はその様子を、注意深く観察していた。
「ヒヅルさん。お菓子を持ってきたのですが、食べますか?」
「もらう」
さっきまでアヤカさんと話していたアキモトさんがヒヅルに話しかけた、その時だった。
「あの…ヒヅルちゃん。ちょっといいかな」
ミズキ君が、ヒヅルに話しかけた。
ミズキ君は、そのままヒヅルを連れて上の階に向かった。
ここからは、二人きりにした方が良さそうだな。
俺が言えた事じゃないかもしれないけど…頑張れ、ミズキ君。
◆◆◆
ミズキside
僕は、ヒヅルちゃんを連れて、3階の宿泊施設に来た。
アイさんが用意してくれたのか、人数分の布団が敷かれている。
…もちろん、男女別部屋だけど。
「……話って、何?」
僕が宿泊施設にヒヅルちゃんを連れてくると、ヒヅルちゃんはキョトンとした表情で尋ねる。
…あー、ダメだ。
いざ伝えようと思うと、言葉が出てこない。
「……やっぱダメだ。何かこう、ロマンチックな事言おうと思ったけど、言葉が出てこないや。もう、ストレートに言うね」
「え…?」
「君が好きだ。ヒヅルちゃん」
僕は、ハッキリと自分の想いをヒヅルちゃんに伝えた。
最初は、一目惚れだった。
『げぇむ』会場で初めて見かけた時、すごく可愛い子だなって思った。
濡羽色の髪と白い肌が綺麗で、珍しい真紅の瞳が目を引いた。
『げぇむ』が始まる前に声をかけたら、色々話してくれた。
ヒヅルちゃんは、クールで、強くて、そして優しい子だと思った。
『ふぁあすとすてぇじ』に参加していた頃は毎日『げぇむ』に参加していたなんて、他の人は病気と思うかもしれないけど、僕より歳下なのに僕にはできないような生き方をしてきた彼女の事を、素直にかっこいいと思った。
強いのに、どこか儚さが、闇が見え隠れしていて、そんなヒヅルちゃんの事をもっと知りたくなった。
「最初に見た時から、いいなって思ってて…一緒に話しているうちに、君に惹かれました。君がヘイジさんの計画に誘ってくれたおかげで、僕は今こうして生きてる」
「ミズキ…?」
僕が想いを伝えると、ヒヅルちゃんは驚いた表情を浮かべる。
僕が詰め寄ると、ヒヅルちゃんは、じり、と後ろに下がった。
僕は、彼女を壁際まで追い詰めると、彼女の顔の横で壁に手をついた。
「君の強さと優しさが、僕に生きる希望をくれるんだ。もしこのまま皆で生きて『げぇむ』を『くりあ』できたら、僕と──」
僕は、ヒヅルちゃんに告白をして、彼女の唇に口付けようとした。
唇と唇が触れそうになる瞬間、ヒヅルちゃんが僕の身体を両手で押した。
そして僕から顔を逸らして、絞り出すように言った。
「…ごめんなさい。好きな人がいるの」
……やっぱり…か。
ヒヅルちゃんの好きな人…多分ヘイジさんだ。
ヒヅルちゃんは、ヘイジさんには命を救ってもらった恩があると言っていた。
でもヘイジさんには、『今際の国』で出会った恋人がいた。
その人は、『げぇむ』で命を落としてしまった。
「その人は、死んだ仲間の事をずっと引きずってる。オレは、その人の為にできる事が何もないのがすごくつらい」
「ヒヅルちゃん…」
「……やっぱりオレ、『
そう言ってヒヅルちゃんは、僕を押し退けてドアの前に立った。
「先、戻ってる」
ヒヅルちゃんが僕に背中を向けた瞬間、僕は後ろから彼女に抱きついた。
彼女の小さな身体を、強く抱きしめた。
「僕は、ヒヅルちゃんを置いていったりなんかしないから。僕にできる事があったら何でも言って」
僕が言うと、ヒヅルちゃんは震える声でポツリと言った。
「……離してよ。歩けないから」
◆◆◆
???side
7ターン目終了間際。
イヤホンで音楽を聴いていたトカゲが、イヤホンを外して不敵な笑みを浮かべる。
「………そろそろ、動くか♪」
一方、今まで誰とも接触せずにいたトドロキも、手に握っていたクルミを握り潰して呟く。
「狩りの時間だ」
◆◆◆
ヘイジside
7ターン目の投票時間が終わり、『おうさま』を決める時間になる。
全員が決められた位置に立ち、『おうさま』の発表を待つ。
ちょうど時間になると、アイが口を開く。
『時間になりました。それでは、『おうさま』を発表します。今回の『おうさま』は───
───トドロキ様』
………え!?
どういう事だこれ…
何で今まで何もしてこなかったトドロキさんが、いきなり『おうさま』になってんだよ…!?
『今回の『どれい』は、ルキヤ様。『めいれい』の内容は…『しょけい』』
「…………は?」
は……?
何で…
何でルキヤさんが『しょけい』されるんだよ…!?
ルキヤさんは、『
「ウソ…何で…!?ルキヤ君は『
アヤカさんは、トドロキさんを睨みながら叫ぶ。
するとトドロキさんは、はぁっと深くため息をついてから言い放つ。
「証明?何寝ぼけた事言ってんだテメェら。誰が『
トドロキさんが地を這うような声で言うと、ルキヤさんは絶望の表情を浮かべる。
何で…何でこうなっちまうんだよ…!!
これじゃあ、『まじょがり』の二の舞じゃねぇか…!!
《ここで、『しょけい』の対象となった参加者がおられます》
「アヤカさん…オレ……」
「ルキヤ君…!!」
ルキヤさんが絶望の表情を浮かべて涙を流しながらアヤカさんの方を見ると、アヤカさんはルキヤさんに向かって手を伸ばす。
だが無慈悲にも、その時はやってきた。
《その参加者は……『げぇむおおばぁ』》
「まだ、死にたくな────
俺とアヤカさんがルキヤさんのもとへ駆けつけて手を伸ばそうとしたその時、アイが俺達とルキヤさんの間に入って、ルキヤさんを思いっきり蹴っ飛ばした。
ルキヤさんが蹴っ飛ばされた先には、ショーゴが落ちたのと同じ穴が開いていた。
ルキヤさんが穴に落ちた瞬間、穴の蓋が閉まる。
そして、『しょけい』が始まった。
『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!』
スピーカーから、ルキヤさんの絶叫が響き渡る。
ルキヤさんは、ショーゴがされたのと同じように、全身から血を流して蒸気を放ちながらもがき苦しんだ。
そして身体が突然膨れたかと思うと、激しい音を立てながらルキヤさんの身体が爆発した。
「そんな…嘘でしょ…!?いやっ…いやあああああ!!」
アヤカさんは、絶望の表情を浮かべながらその場で泣き崩れた。
ショーゴに続けて、ルキヤさんが死んだ。
ショーゴとは違って、何の落ち度もなかったルキヤさんが。
『『しょけい』が執行されました。7ターン目の生存者は、13名中12名。それでは次のターンも、生かしたい人を慎重に選んで下さい』
アイがそう告げると、8ターン目に移行する。
『しょけい』が執行されても、『げぇむ』はまだ続いている。
やっぱりルキヤさんは、『
問題はそこだ。
あの時点で、『
だったら、やっぱりトドロキさんが『
そもそもトドロキさんは、どうやって票を集めたんだろう…
何かまだ、見落としてる事があるのか…?
『げぇむ』『おうさまげぇむ』
難易度『
8ターン目 残り12名
『
172cmくらい。
ラジオDJ。
深く考える性格ではなく、『げぇむ』では基本ガヤに回るタイプ。
178cmくらい。
営業マン。
冷静沈着で、参加者の中では比較的良識的な人物。
160cmくらい(ヒール込み)。
OL。広告代理店勤務。
どこか幸が薄く、『げぇむ』では不運な目に遭いがち。
166cmくらい。
サラリーマン。
参加者の中では最年長だが、気弱で主体性に欠ける。
『なんばぁ』は『4』。
169cmくらい。
工場勤務。
気弱だが、人当たりがきつい。
151cmくらい。
専業主婦(元ジャーナリスト)。
何でもかんでもメモを取るのが癖。
178cmくらい(ヒール込み)。
ホステス。
姉御肌で頭も切れる。
『なんばぁ』は『2』。
150cmくらい。
中学生。
最年少でありながら、クールで場慣れしている。
170cmくらい。
大学生。心理学専攻。
良くも悪くも自由人で、人に指図される事を嫌う。
『なんばぁ』は『1』。
176cmくらい。
指定暴力団組長。
寡黙で近寄りがたく、参加者の中で最も謎に包まれている。
177cmくらい。
大学院生。
お人好しな性格。『げぇむ』ではリーダーシップを発揮している。
『なんばぁ』は『13』。
168cmくらい。
高校生。
ヘイジに似てお人好しな性格で、正義感が強い。
『なんばぁ』は『11』。
159cmくらい。
『今際の国』の国民で、『
『げぇむ』の進行を担当している。
♡J編にオリキャラを登場させるつもりなんですが、定員を増やすのと原作通り20人で進めるのとどちらがいいですか?
-
人数増やす
-
原作通り20人で進める