ヘイジside
« 何人来ようが関係ない…全員まとめて殲滅してやる。 »
『
その直後、『
だが、アサルトライフルの弾丸が俺達に当たる事はなかった。
目に留まらぬ速さで駆け抜けたヒヅルが、ナイフでアサルトライフルの軌道を逸らしていた。
次の瞬間、『
ヒヅルは、そのまま『
« くっ……! »
ヒヅルが催涙スプレーを噴霧すると、『
ヒヅルは、そのまま『
いける、と思った。
だけど『
ヒヅルは、咄嗟に『
「ちっ…!!」
ヒヅルが舌打ちをしながら態勢を整えようとしたその時、『
『
そして空中で身を翻してからナイフで斬りかかろうとすると、『
カタビラさんとヘイヤが援護射撃をすると、『
二人が銃弾を避けた直後、ヒヅルが『
『
ヒヅルは負けじと『
すると『
「アイツ…逃げやがった…!!」
「そりゃあ、『
ドレッドとヘイヤは、『
だが俺はそうは思わない。
アイツは、ヒヅルに銃を斬られて武器が無くなったから補充しに行っただけだ。
武器を補充し終わったら、奴は必ず俺達を殺しにくる。
「いや、奴はオレ達を殲滅するつもりだ。多分だけど、アイツは武器を補充しに行ったんだと思う」
「補充…?」
「あの飛行船の中に、武器がたんまり積んであるんだろう。いつ武器が使い物にならなくなってもいいようにな。オレ達だって、スタート地点の武器庫から武器を調達してきただろ?」
「…ま、どのみちさっさと『
俺が上を指差しながら言うと、ヘイヤは手に矢を構えたまま階段に義足を乗せる。
するとその時、カタビラさんが口を開く。
「なぁ…そういえば、さっきの嬢ちゃんどこ行った?」
カタビラさんに言われて初めて、いつの間にかヒヅルがいなくなっている事に気がついた。
アイツ、まさか…!!
◆◆◆
ルーナside
私は、窓から飛び降り、外にあったロープを掴んで屋上へと上がった。
屋上には、あらかじめ飛行船から補充しておいた武器を積んである。
普通なら高層ビルの上層階から飛び降りて、飛行船から垂れ下がったロープを掴んで屋上に移動するなんて人間業じゃないと考えるかもしれないが、私からすればどうという事はない。
そのままロープを引き上げ、ロープから屋上へと飛び移る。
屋上に降ろしておいたサブマシンガンを、油断なく構え、扉の方に銃口を向けて警戒する。
だがその時、ぞわっと寒気が走り、ほぼ反射的に飛び退いた。
その直後、鋭いナイフが振り下ろされる。
« ちぃっ…!! »
私の後ろには、さっきの子供…『しろのくいいん』がいた。
コイツ…いつの間に背後に…
まさか、私を追ってロープに掴まっていたというのか…!?
…まあいい。
何にせよ、ここで蹂躙するだけだ。
« 死ね。 »
私は、『しろのくいいん』…ヒヅルと十分距離を取り、サブマシンガンを連射する。
パラララっと銃声が響く。
ヒヅルは、姿勢を低くして私の撃った弾を避けると、そのまま距離を詰めて斬りかかってくる。
弾が掠って身体に幾つも赤い線が走ろうがお構いなしだ。
私は、軍用ナイフとサブマシンガンでヒヅルと交戦した。
銀閃と火花が飛び交い、互いのナイフが身体を掠め、銀閃に朱色が混ざる。
ぞく、と背筋が震える。
咄嗟に振り向きざまにナイフを振りかぶる。
するとヒヅルは空中で身を翻して私のナイフを避け、ナイフを仕込んだ靴で蹴りつけてくる。
目で追い切れなかった。
スピードとか、そういう類じゃない。
意図して私の意識の外へと逸れた、そういう動きだった。
コイツ、アシビと同じ動きを…
一体どこで身につけた?
「シッ!!」
ヒヅルは、ナイフのついた靴で回し蹴りを放ってくる。
私は、攻撃を見切って受け流した。
………若い。
コイツは、私が軍に入った時よりも若い。
こんな訓練を受けていない子供が、私のレベルについて来るとは…
どこの国にもいるのだな、天才というやつは。
尚更に惜しい。
その才能を、ここで摘まなければならないのだからな。
私は、ヒヅル目掛けてナイフを仕込んだ靴で蹴りを放つ。
確かに動きに無駄がなく速いが、リーチは私の方が長い。
私は、ヒヅルが飛び退いた隙に、脇に抱えていたサブマシンガンを撃つ。
ヒヅルは、咄嗟に気付いて避けるが、不意打ちだったから完璧には避け切れずに脇腹に銃弾が掠る。
ヒヅルは脇腹から血を流しながら膝をつき、私を睨みつけてきた。
「っ………くっそがぁ…!!」
私は、ヒヅルの顔にサブマシンガンの銃口を突きつけ、そのまま引き金を引こうとする。
その時だった。
私目掛けて、矢が飛んできたのは。
◆◆◆
ヘイジside
「なぁ…そういえば、さっきの嬢ちゃんどこ行った?」
カタビラさんに言われて初めて、いつの間にかヒヅルがいなくなっている事に気がついた。
アイツ、まさか…!!
「ヒヅルの奴、『
「は!?」
俺が言うと、ヘイヤが呆れたような表情を浮かべる。
もしも『
その武器が、さっきのレーザーみたいに、俺達を即死させられるものだったとしたら?
ヒヅルはその可能性に、誰よりも早く気づいた。
だからこそ、『
「早く追いかけないと…!」
「でも、追いかけるたって、どこに行けばいいのよ!?」
俺が言うと、リナさんが尋ねる。
確かに俺達には、『
だけど早く『
そう思ったその時、俺の通信機に通信が入る。
俺が通信機に耳を近づけると、カタビラさんが話しかける。
「どうした?」
カタビラさんが話しかけるので、俺は口の前で指を立ててから、通信機の音量を上げた。
すると通信機からは、キン、キンとナイフがぶつかり合う音が聴こえる。
通信機の音声を聴いていたヘイヤが、何かに気付いて口を開く。
「ねえ、音量上げて」
「えっ?」
「いいから!」
俺はヘイヤに言われるままに通信機の音量を上げた。
するとナイフの音がよりハッキリと聴こえる。
…何だか、ナイフの音が規則的な気がする。
これってまさか…モールスか?
耳を澄まして整理すると、『ヒグレタワー オクジョウ』と聴き取れた。
ヒグレタワー…俺達が今いるタワーの屋上か…!!
ヒヅルは、頭の回転が早い。
『
アイツが俺達を信頼して助けを求めたのなら、1秒でも早く行かないと。
「早く行かないと!!」
「おい待てよ。腕ぶった斬ったばっかの嬢ちゃんを一人にして行く気か?」
そう言ってカタビラさんは、リナさんを指差す。
リナさんは、激痛に顔を歪めながらも笑顔を浮かべる。
「先行って…私なら、大丈夫だから…ここで足止めてる場合じゃないでしょ…!?」
…ダメだ。
『くろのびしょっぷ』がどこかにいるってのに、重傷のリナさんを置いて行けない。
かといって、『
誰かがここに残らないと…
俺がそう考えていると、ドレッドが床に座り込む。
「…オレもここに残る」
「ドレッド…」
「どのみちオレァあのアマの撃った弾がカスったせいで飛んだり跳ねたりできねぇ。オレは『くろのないと』を狩った。十分手柄は上げたはずだ」
そう言ってドレッドは、階段へ続く通路を顎でしゃくる。
「さっさと行け。『
ドレッドが言うと、ヘイヤがひと足先に階段を昇る。
それに続けて、カタビラさんも階段を昇った。
「何してんの早く行くよ!」
「あ、ああ…!」
ヘイヤに声をかけられた俺は、リナさんとドレッドをここに残して階段を駆け上がった。
全速力で階段を駆け上がった俺達は、とうとう屋上に到着した。
屋上では、ヒヅルが『
『
「間に合った…!」
◆◆◆
キサガタside
ルーナのおかげで命拾いした俺は、ヒグレタワーの向かい側にあるヒノデタワーに向かっていた。
クオンにケンゴ、アシビ…俺の仲間はルーナ以外皆死んだ。
それ程までに、今回の『ぷれいやぁ』は強かった。
ここまで追い詰められたのは、今回が初めてだ。
何せ今回は、俺に雪辱を味わせた朱雀、奴の娘がいる。
鬼神の如き強さを秘めた、覇王の遺伝子。
それをアイツは色濃く受け継いでいる。
奴以外の『ぷれいやぁ』も、修羅場を乗り越えた猛者揃いだ。
「ルーナ…」
三人を失ったのは痛いが、まだルーナが生きてる。
ルーナが死なない限り、俺達の『意志』は死なない。
今はただ、それだけでいい。
「いたぞ、『くろのびしょっぷ』だ!!」
「いや、それよりも今は『
俺は、ヒノデタワーに向かう途中の道で、生き残りの『ぷれいやぁ』三人を見つけた。
三人とも『ぽぉん』だ。
俺は、雄叫びを上げながらソイツらに襲いかかり、三人を殴り殺した。
「テメェらにウチの大将は狩れねぇよ」
そう言って俺は、『ぷれいやぁ』チームの駒を二つ減らし、ヒグレタワーを後にした。
俺が次に狙うのは、ニラギと、雑魚『ぷれいやぁ』の女と子供の二人組だ。
猛者『ぷれいやぁ』達は、全員ルーナのところに向かってる。
奴等は、きっとルーナが狩ってくれる。
そうじゃなくても、俺達のチームは既に23点取ってるから、ルーナが死なない限り、『ぷれいやぁ』チームはどう足掻いても『げぇむくりあ』できない。
今俺にできる事は、ルーナを死なせない為に、一人でも多くの『ぷれいやぁ』を殺す事だ。
◆◆◆
ヘイジside
ヘイヤが矢を放つと、『
だが不意打ちだったからか、完全には避け切れずに右腕に矢が掠った。
ヘイヤが放ったのは、特製の毒矢だ。
即効性はないけど、掠りでもすれば死に至らしめる事ができるらしい。
その矢が今、『
あとは、皆殺しさえ阻止できれば───
« ぬるい。 »
な…!?
腕を斬り落とした、だと…!?
『
ヘイヤが放ったのが毒矢かどうかもわからないのに、だ。
一瞬でその判断ができる胆力と勘の鋭さは、化け物としか言いようがない。
『
そこからは、俺達4人と、『
火花と銀閃が飛び交い、けたたましく金属音や発砲音が鳴り響く。
『
「った…!」
『
「ヘイヤ!!」
俺はヘイヤの容態を確認しつつ、『
『
ヒヅルのおかげで直撃は免れたものの、左眼の近くに銃弾が掠る。
『
「がはっ……!!」
ヒヅルが血を吐きながら膝をつくと、『
“ この世界を生きるのに必要なのは、意志の強さだ。どいつもこいつも、平和にかまけて牙を研ぎ澄ます事すら忘れた者ばかり…だから弱い。 ”
そう言って『
咄嗟に『
発砲音が聴こえた方向を見ると、スナイパーライフルの銃口を向けたニラギが遠くのビルの屋上にいた。
ニラギの近くでは、コウタ君と一緒にいた女性…ナツキさんが観測手をしていた。
「二発目はまだ撃たないで。ヒヅルちゃんが…」
「チッ、あのクソガキ…いいようにやられてんじゃねぇよ」
ニラギの奴、何だかんだでヒヅルを助けてくれたのか…
いや、今のは自分が『げぇむくりあ』したくて撃っただけか…?
なんて考えていると、『
するとその時、ヒヅルが立ち上がりながら口を開く。
“ ………やっぱり…アンタはオレと同じだね。 ”
英語…!
“ アンタの目を見てわかった…アンタとオレは、互いに葛藤を抱えてる。アンタにもあったんでしょ?ずっと抱えていた闇を照らしてくれた…どうしてもその手に掴みたかった、強い光が。 ”
ヒヅルが言うと、『
ヒヅルの言葉は、的を射ていたようだ。
“ だけど、眩しくて、速すぎて、追いかけるだけで息切れするから…アンタは、光を追い求める事を諦めた……だから『今際の国』に永住する事を選んだ…そうなんでしょ? ”
“ 知った口を…… ”
“ オレは、アンタとは違う……オレは
ヒヅルは、ナイフを構えながら『
『
その直後、ヒヅルと『
そこからは、目にも留まらぬ速さの高度な近接格闘が繰り広げられた。
◆◆◆
ヒヅルside
俺は、『
俺がナイフを振るうと、『
距離を取ったら撃たれるから、逆に詰め寄り相手の力を利用して重い一撃を放つ。
でも俺が放った攻撃は、『
俺が吹き飛ばされると、『
俺は、『
サブマシンガンの弾倉が空になると、『
俺はその一瞬の隙に、『
だけど『
「がっ…!!」
ナイフでの攻撃が掠った俺は、そのまま『
『
全身を刺されて痛いけど、それでも『
『
俺は、腹を蹴られて数メートル吹き飛ばされる。
クソッ…血を流しすぎて意識が朦朧としてきた…
“ 太陽に近づきすぎて翼を焼かれた男の話を知ってるか?光を掴むだと?笑わせるな。オマエの望む生き方は、オマエに似つかわしくない。 ”
うるせーよ。
無茶だって事は、俺が一番よくわかってんだよ。
だけど、しょうがないじゃん。
追いつきたいって、本気で思っちゃったんだから。
太陽のように高く、雷光のように疾く──
ただ真っ直ぐに、がむしゃらに駆けていく光に。
あの日俺を照らしてくれた、あの光に。
ねぇ、ヘイジ。
今の俺にはまだ、お前はあまりにも速くて、遠くて、眩しくて、手も届きそうにないけど…
それでも俺は、お前と一緒に生きたい。
もっと速く、もっと高く翔けるから。
いつか、お前に追いつけるかな。
「っだら゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
俺は、全身から血が噴き出すのも気に留めず、腹の底から叫びながら、ナイフを振りかぶって走り出す。
それと同時に、『
互いのナイフがぶつかり合い、そこからナイフと格闘術だけのシンプルな体術戦を繰り広げる。
俺と『
「っ……!!」
先に動いたのは俺の方だった。
腹を斬られた俺は、膝をついて血を吐き出す。
だけどその直後、『
『
「が……はっ……!!」
『
虫の息となった『
“ オ…マエ……は…何故…
『
“ オマエが諦めたものを、諦めなかったから。 ”
俺が言うと、『
すると物陰に隠れていたヘイジが駆け寄ってくる。
「ヒヅル!!」
「ヘイジ……」
…良かった。
俺の光は、無事だ。
俺が安心した、その時だった。
――パァン
「……かはっ」
気がつけば、身体が勝手に動いていた。
その直後だった。
俺の身体を、銃弾が抉ったのは。
◆◆◆
ヘイジside
それは、一瞬の出来事だった。
理解が追いつかなかった。
『
「……かはっ」
いつの間にか、ヒヅルが俺の前に立っていた。
ヒヅルの腹には銃弾が掠って、腹が抉れていた。
ヒヅルは、そのまま地面に倒れ込む。
ヒヅルの背後には、上半身を起こして小型のハンドガンを構えている『
アイツが、ヒヅルを……
「うああああああああっ!!!」
俺は、無我夢中で『
チクショウ、チクショウチクショウチクショウ!!!
俺のせいだ…!!
俺が、『
『
そして俺達の方へやたらめったらに撃ちまくった。
俺は、咄嗟に身を屈めて弾を避けた。
カタビラさんとヘイヤは、すかさず『
だけど『
嘘だろ…!?
斬撃と銃弾をほぼ生身で受けたんだぞ…!?
なのに何で…何で、死なねぇんだよ!?
「クソッ…バケモンが…!!」
「まずい…あと10分しかない!!」
カタビラさんは呆れたように笑い、ヘイヤが叫ぶ。
モニターを見ると、『
あと10分以内に『
ヘイヤは、『
だけど矢筒の中は、既に空になっていた。
そしてカタビラさんも、予備のマガジンを取り出そうとするも、既にマガジンを全て使ってしまっていた。
「……!!クソッ…!」
「チッ…!!」
二人が矢と銃弾を全て使い切ると、『
二人は、咄嗟に物陰に隠れて弾を回避した。
『
ニラギが、『
だけど『
「チッ、あの女…何で死なねぇんだよ…!?」
俺達に威嚇射撃をした『
だがその瞬間、ヒヅルは、
「────
「っ!!?」
ヒヅルが撃ったのは、『ビーチ』にいた時俺がヒヅルから預かっていた銃だ。
もう必要ないと思ったから『ビーチ』に置いてきたつもりだったのに…ヒヅルが持ってたのか…
この至近距離で、しかも完全に不意打ちをきめた瞬間なら外さない。
ヒヅルが至近距離で撃った弾は、『
不意打ちを喰らって『
だけど『
するとヘイヤが、ちょうど『
それと同時に、カタビラさんが内ポケットから薬莢付きの弾丸を取り出し、イジェクションポートから直接弾丸を装填する。
二人は、同時に矢と銃弾を放った。
ヘイヤが放った矢は『
『
俺は咄嗟に腰のナイフを抜き、『
『
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
ヒヅルが、血反吐をぶちまけて叫びながら地面がめり込む程の馬鹿力で踏み込み、『
『
◆◆◆
ルーナside
「ゼェ…ゼェ…カヒュッ……」
身体から血が抜けていく。
呼吸すらままならない。
一体、どれだけの致命傷を受けただろうか。
もう、立ち上がる力さえ残っていない。
…ああ、そうか。
私は…ここで死ぬのか……
私の脳裏に、走馬灯が駆け巡る。
私が最初に思い出したのは、私をずっと支え続けてくれたヒミコだった。
「いい?最初の1時間は、とにかく雑魚狩りに専念する事。強い『ぷれいやぁ』に遭遇したら、無理せずに逃げて二人一組で確実に一人ずつ討ち取る事!今から隊列の型いくつか言うから、頭に叩き込みなさいよ」
「えー…」
「『えー』じゃないわよ、脳筋女!アンタ、確か元自衛官だっけ?よくそれでクビにならなかったわね!」
ヒミコは、私の『げぇむ』の作戦を考えてくれた。
ヒミコがクオンに怒鳴ると、ケンゴが笑った。
「おいコラ保護者!アンタ何笑ってんのよ!ちゃんとこのバトルジャンキー共しつけときなさいよ!それとキサガタとアシビ!アンタ達も、少しは自分で作戦考えたら!?私だって自分の『げぇむ』の準備があるんだからね!?」
ヒミコは、自分の『げぇむ』があるのに、私達の為に作戦を考えてくれていた。
ヒミコがいてくれたおかげで、私はここまで生き延びられた。
感極まった私は、ヒミコの小さな身体を抱きしめた。
「わっ…ちょっと、何すんのよ!?そんなんで絆されると思ってんの!?ちょっ…痛っ…何とか言いなさいよ!」
ヒミコが私の腕の中で暴れると、他の皆が楽しそうに笑った。
何気ないあの時間が、私にとっては一番幸せだった。
« ルーナ、そろそろ行くよ。 »
今回の『ねくすとすてぇじ』の直前、私と一緒に『げぇむ』の打ち合わせをしていたヒミコが話しかける。
今回の『げぇむ』で、私かヒミコ…あるいは二人とも死ぬかもしれない。
私は、ヒミコにずっと秘密にしていた事を打ち明ける事にした。
« ヒミコ。私…本当の名前はルーナじゃないの。私の、本当の名前は─── »
私の本名を知る者は、皆死んだ。
故郷の皆は、敵兵に皆殺しにされた。
乞食時代に一番仲が良かった子供は臓器売買業者に買われ、私を売った業者の男は流行病で呆気なく死んだ。
組織の連中も、敵対勢力に殺された。
私の名には、聞いた者を死に至らしめる呪いがかかっているんじゃないかと思った事もあった。
だから私は、この名を捨てて生きた。
だけど私はこの世界で、ヒミコに出会った。
『今際の国』で生きると決めた日から、私は彼女と運命を共にすると誓った。
彼女になら、本名を打ち明けてもいいと思った。
« …素敵な名前。 »
私の本名を聞いたヒミコは、優しく微笑んだ。
« ねぇ、 …次の『げぇむ』が終わるまで、お互い生きてるといいね。 »
ヒミコは、去り際に私の名前を言った。
これが彼女との、最期の会話だった。
クオン達や、かつて私が共に行きたいと願った彼にも打ち明けた事がなかった、この世で唯一、ヒミコだけが知ってる名前。
私が死ねば、私の本名を知る者は誰もいなくなる。
“私”が生きたという証が、この世から消えてなくなる。
…だけど、それでもいい。
私はもう、十分生きたいように生きた。
最期に強敵と戦って散る事ができた。
案外、悪くない気分だ。
それもこれも全部、この『今際の国』のおかげだ。
本当に、いい人生だった。
クオン、ケンゴ、アシビ……そしてヒミコ。
今、そっちに……行………
◆◆◆
ナツキside
「『
ニラギの隣で観測手をしていた私は、『
すると、私の後ろにいたコウタ君が、怯えた様子で口を開く。
「お、お兄ちゃん…」
「あぁ!?うるせぇぞ何だクソガキ──
コウタ君の声に反応したニラギが振り向いたその瞬間、ゴッと足音が聴こえる。
私達の視線の先には、アサルトライフルを構えたキサガタがいた。
嘘…!?
こんなに早く、ここを見つけるなんて…!!
「チッ…!!」
ニラギとキサガタは、互いにライフルの銃口を向け合った。
だけど、その直後だった。
《『
機械音声が鳴り響くと、キサガタがふぅっとため息をつく。
「あーあ。大将が負けちまったか」
そう言ってキサガタは、アサルトライフルを地面に投げ捨てた。
『げぇむ』が終わって、私達を殺す必要がなくなった…って事?
キサガタは、カーゴパンツのポケットに両手を突っ込んで、私達に微笑みかける。
「『げぇむくりあ』おめでとう。じゃあな」
キサガタがそう言った直後、レーザーがキサガタの身体を貫いた。
レーザーで撃ち抜かれたキサガタは、力無く倒れ込む。
《『ぷれいやぁ』チーム、『げぇむくりあ』》
2本のタワーの間に浮かんでいた飛行船から吊り下げられていた幕の表示が、『
そしてその直後、飛行船が内側から爆発し、ヒノデタワーに突っ込んだ。
◆◆◆
???side
その頃、世田谷区の『
「ルーナはん…負けてもうたか……クオンはん、ケンゴはん、キサガタはん、アシビはん…アンタらの事は、最期まで気に食わんかったけど…『
『
「ルーナさん…」
『
◇◇◇
同刻、23区内を縦横無尽に移動していた『
シーラビは、近くに隠れていた『ぷれいやぁ』を撃ち殺すと、遠くで炎を上げる『
「ルーナ……短い付き合いだったが、お前達と過ごせた時間は、案外悪くなかった。オレがお前達に代わって、残りの『ぷれいやぁ』を
◇◇◇
そして、『
『ぷれいやぁ』達が、炎を上げながらヒノデタワーに突っ込む『
「誰が『くりあ』したんだ!?」
「わかんねーけど、スゲーよこれ!!」
『
中には、これをきっかけに勇気を持ち始めた者もいた。
「何か…オレも…やれる気がしてきた…」
「オレも『げぇむ』に参加すんぞ!!」
「オレもだァ!!」
「『今際の国』の国民なんか怖かねぇぞォ!!」
ここに来て、士気が高まった『ぷれいやぁ』達が歓声を上げた。
多くの血を流してようやく掴んだ勝利は、『ぷれいやぁ』達の闘志に火を灯していた。
───今際の国滞在二十九日目
残り滞在可能日数
北句平治 74日
小鳥遊火鶴 124日
一ノ瀬利奈 31日
『ねくすとすてぇじ』開催3日目
『げぇむ』 残り8種
『ぷれいやぁ』 残り178人
『今際の国』、空気プロテイン世界説。
アグニがハイエナをタイマンで殺したり、引きこもりだったラスボスが急に強くなったり、ヘイヤが焼灼止血した直後に動き回ったり、ドラマ版ではシーラビに至近距離からアサルトライフルで撃たれたヘイヤとアンが生還したりしてたし。
銃弾避けられる奴がいてもおかしないおかしない。
その割にはタッタとかセトみたいに死に方がリアルな人もいたし、『今際の国』では、意志の強さに比例して身体能力にバフがかかるんじゃなかろうか。
♡J編にオリキャラを登場させるつもりなんですが、定員を増やすのと原作通り20人で進めるのとどちらがいいですか?
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人数増やす
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原作通り20人で進める