ドードーside
『げぇむ』『さばいばる』。
難易度『
『
『ぷれいやぁ』全員が殺されれば『げぇむおおばぁ』。
『今際の国』に来て初めての『げぇむ』を『くりあ』してから4日後、俺は『びざ』が切れる前に『げぇむ』に参加した。
初めての『げぇむ』を『くりあ』した次の日に運良く『げぇむ』に慣れた猛者『ぷれいやぁ』に出会う事ができて、2回目の『げぇむ』はその人のおかげで生き延びた。
その人とは、『ねくすとすてぇじ』初日に『
「いつまでこうしてりゃいいんだよ…23区内の全ての場所が『
『ねくすとすてぇじ』開催2日目、『
ビルの中で身を潜めていると、『げぇむ』会場でもないのに、ピチョン、と水の音が聴こえた。
音が鳴っている場所へ恐る恐る近づくと、綺麗な女の人がタオルで身体を拭いていた。
女の人と目が合った俺は、咄嗟にドアの裏に隠れた。
「わっ、ご、ごめんなさい!!」
俺がドアの裏に隠れた直後、空き瓶が部屋の中から飛んでくる。
壁にぶつかった空き瓶は、俺のすぐ近くで勢いよく割れた。
「ひっ!」
割れた空き瓶の破片が、スレスレまで飛んできた。
もう、何なんだよ…!?
俺がその場で立ち尽くしていると、部屋から女の人の金切り声が聴こえてくる。
「あ、あなた誰!?何しにここに来たの!?」
女の人は、警戒心を剥き出しにして俺に向かって怒鳴った。
もしかして、襲いに来たと思われてる…?
「ち、違うんです!オレはたまたまここに居合わせただけで…!」
俺が女の人の誤解を解こうとした、その時だった。
「何の騒ぎ?」
声が聴こえてきたから振り向くと、懐かしい人が立っていた。
長い髪をハーフアップにして、左耳にピアスをつけた狐顔の男の人。
俺は、その人の顔を忘れるはずがなかった。
「やあ、久しぶり♪ドードー君」
「トカゲさん…!」
トカゲさん。
俺が前に参加した『げぇむ』で助けてくれた、命の恩人だ。
トカゲさんが『げぇむ』を『くりあ』する方法を閃いて俺に教えてくれたおかげで、俺は今こうして生きてる。
トカゲさんは、俺に笑顔で手を振るなり、部屋の中にいる女の人に声をかけた。
「メイさん、大丈夫だよ。この子、ボクの知り合いだから」
トカゲさんが声をかけると、しばらくして、女の人が部屋から出てくる。
ピンク色のシャツを着た女の人は、俺と目が合うなり、気まずそうに頭を下げてくる。
「あの…私、鐘ヶ谷芽唯っていいます。さっきはごめんなさい。トカゲ君の知り合いだって知らなくて…」
「いえ…あの、それより、2人はどうしてここに?」
「ボクはね。『答え』を探す為に、メイさんと一緒に旅をしているんだ」
「せっかくここで出会った仲だし、ドードー君にも一緒に来てもらおうかな」
そう言ってトカゲさんは、手に持ったレジ袋からインスタント食品を取り出す。
トカゲさんは、取り出したインスタント食品を俺の方に投げてきた。
「えっ?」
「ほら、生き延びるには、仲間が多い方がいいだろ?」
トカゲさんは、俺の方を振り向いてウインクをしてみせる。
俺は2人と一緒に、建物の中に入っていた食堂で夕飯の支度をした。
メイさんが、俺にお湯の入った保存食を手渡してきた。
「はい。熱いから気をつけて」
「あ、どうも…」
俺が保存食を受け取ったその時、メイさんのズボンのポケットから何かが落ちる。
メイさんがポケットから落としたのは、ゴムだった。
俺と目が合ったメイさんは、ひったくるように床に落ちたそれを拾い上げた。
「…………」
「み、見てません!オレは何も見てませんから!」
メイさんが顔を赤くしながら拾い上げたそれを隠すと、俺は咄嗟に顔を逸らして誤魔化した。
俺が振り向いた先にいた、トカゲさんはというと。
「いただきます」
トカゲさんは、何食わぬ顔でカップヌードルの蓋の上に置いていた割り箸を割っていた。
…俺、この人が何考えてんのか、わかりそうもないです。
◇◇◇
その後俺は、トカゲさんやメイさんと一緒に食事をした。
メイさんが、1日分くらいの量の食糧を1回で食べていたものだから、3回くらい見ちゃった。
俺は食事中に、トカゲさんとメイさんから、今日『くりあ』した『げぇむ』の話を聞いた。
「えっ…じゃあ、今日『
「まーね♡」
俺が言うと、トカゲさんはカップヌードルを啜りながら笑顔を浮かべる。
『まーね』って…すごい事サラッと言うなぁこの人…
「でも、何で初日でいきなり『
俺は、トカゲさんの話を聞いて、気になった事を尋ねた。
「やむを得なかったのさ。既に『
「私も…トカゲ君に、『『げぇむ』中は『
メイさんは、『げぇむ』で手に入れた♡Kのトランプを手に握りながら言った。
メイさんは『げぇむ』中に他の『ぷれいやぁ』にひどい事をされて、さっき俺にいきなり攻撃してきたのも、その時のトラウマがあって、トカゲさん以外の男の人への警戒心が強くなっているからだと言っていた。
どうやら『
「トカゲさん達が倒した『
「そうだねぇ…一言で言うなら、ボクの人生の中で、一番戦いたくない相手だったかな。これまでも、そしてきっとこれからも」
一番戦いたくない相手…どういう意味なんだろう。
「ご馳走様でした」
食事を終えたトカゲさんが、律儀に手を合わせた。
この状況で、『ご馳走様』って…トカゲさんってもしかして…
「どうかした?」
「ああ、いや…この状況で『ご馳走様でした』って…トカゲさんって、もしかしてお坊っちゃん…だったりします?」
俺が言うと、トカゲさんとメイさんが顔を見合わせて笑った。
失礼な事聞いたかな…
「あっ、そうだ!」
俺は、さっきからずっとトカゲさんに聞きたかった事があったのを思い出した。
「そういえば、トカゲさん達が探してる『答え』って?何か、わかった事でもあるんですか?」
俺が尋ねると、トカゲさんは上を向いて少し考え込む。
そして顎に手を当てて頷くと、その場で立ち上がった。
「…うん。キミになら、話してもいいかな。ついてきて」
トカゲさんは、俺を連れて建物の一番奥の部屋に入った。
そこには、死体が転がっていた。
「ひっ!?」
横たわっていたのは、男女と小さい女の子の死体だった。
3人とも、レーザーで撃ち抜かれて死んでいる。
多分、死んでから2日か3日…そのくらいだと思う。
「ねぇこれ、何だと思う?」
「何だと思うって…『ぷれいやぁ』の死体でしょ!?そんなのオレに見せて、どうしろっていうんですか!?」
トカゲさんは、死体に触りながら俺に話しかけてくる。
よく何の躊躇いもなく死体なんか触れるよなこの人…!
「キミはこの過酷な世界で生き残るのに必要な事は、何だと思う?」
「えっ?」
「ボクはね、『本質を見極める事』だと思ってる。小さなヒントを見逃さずに、その奥にある真実を見極める。時には、見たくない真実もあるかも知れない。でも生き残りたかったら、目を逸らさずに、ちゃんと見て、よく観察して。そうすれば、本質が見えてくる」
トカゲさんは、男の人の死体の顔を俺の方に向かせながら言った。
「この死体が着てる服…きちんとアイロンがけされているし、この女の人なんか、ネイルにまで手入れが行き届いてる。髪も肌もやけに綺麗だ。ボク達とは、過ごしてきた環境が違うんだろうね」
「それが……」
「これは、『でぃいらぁ』の死体だよ。ボク達が絵札以外の全ての『げぇむ』を『くりあ』したから、『でぃいらぁ』は殺処分された。えげつない『るうる』だよねぇ」
トカゲさんは、死体を触った手をハンカチで拭いてから立ち上がる。
こんなの見せて、何だっていうんだよ…?
「『でぃいらぁ』…生中継で絵札の奴が言ってた奴等か…それが、どうしたんですか?」
「絵札の主と接触する機会があったかもしれない『でぃいらぁ』なら、ボク達の知らない情報を何か知ってるんじゃないかと思ってさ。色々探してたら、面白いもの見つけたんだ」
「面白いものって?」
「んーっとね。手帳と、ぬいぐるみ」
そう言ってトカゲさんは、血のついた手帳と、クマのぬいぐるみを見せてきた。
「それって、まさかこの人達の…」
「そうだよ。さっき死体を調べた時に見つけたんだ」
『そうだよ』って…
この人、俺が来るまでずっと死体を弄ってたわけ?
やっぱり皆、こんなわけわかんない国に来て、どこかおかしくなっちゃってんのかな…
「手帳の方は、『でぃいらぁ』の仕事内容や日記が書かれてたくらいで、ボクが知りたい事はほとんど書かれてなかったけど…
トカゲさんは、俺にぬいぐるみを手渡してきた。
手渡された時、うっかりぬいぐるみの右手を押してしまった。
するとだ。
『君…は、この…ザッ……の国』で…き延び…ザザッ……く為に…ザッ…ザザッ……仕事……ザッ………事になる』
『何だ、これ…?』
『モニター…?』
ノイズに混じって、人の話し声が聴こえる。
俺が驚いていると、トカゲさんが笑いながら俺の方を見る。
「これって…」
「それね、自分の声を録音しておしゃべりできるオモチャらしいんだけどさ。何か重要な手掛かりがわかるかもしれないと思って、ちょっと調べてみたんだ。そしたら、これまた面白い事がわかった。試しに、何回かボタンを押してごらん?」
俺は、トカゲさんに言われるがまま、右手のボタンを押してみた。
そしたら、押すたびに違う音声が流れた。
どれも、小さな女の子の声だった。
これのどこが面白いのかと思いつつももう一度ボタンを押すと、今度は女の人の啜り泣く声が聴こえた。
『ごめんね…ごめんねぇっ…!』
『………ばいばい』
女の人の泣きながら謝る声と、女の子の拙い声が聴こえた。
「これって…」
「おそらく、彼女が死ぬ直前に録ったものだろうね。『でぃいらぁ』になったこの子の両親はきっと、娘を守る為に、やりたくもない
トカゲさんは、女の子の父親が持っていただろう手帳に目を通しながら言った。
こんな小さな女の子まで、理不尽な殺し合いに巻き込まれて命を落としていたなんて…
誰が、何の為にこんな事をしてんだよ…?
「ボクが気になったのは、その次の音声だよ」
「その次…?」
トカゲさんが意味ありげに言うものだから、もう一度ボタンを押してみた。
するとだ。
『ママー、おほしさまー』
『花火?こんな時間に…』
『ちょっと待て…何か…大きくないか!?』
雑音に混じって、親子の話し声が聴こえる。
そしてその直後、何かが衝突したような音や、何かが崩れるような音、さらには悲鳴なんかが聴こえてきた。
阿鼻叫喚とは、まさにこの事だ。
「何だよ…これ…!?」
「このオモチャ、録った音声がループするようになってるんだ。もう一度ボタンを押すと、キミが最初に聴いた、ノイズ混じりの音声が再生される。ノイズ混じりの音声は、おそらくこの親子が『今際の国』に迷い込んだその日に録ったもの。で、さっき聞いた女の子の声は、この子が死ぬ直前に録ったもの。じゃあ、今聞いたこれは、一体いつ録ったものなのかな?」
えっと…女の子が死んだ後に録られた音声と、女の子が『今際の国』に迷い込んだ後に録った音声の間に入ってる音声だから…
もしかして、最後に聴いた音声だけは、この国じゃなくて、
「元の世界にいた時に録ったものかもしれない、って事ですか…!?」
「そういう事。今のところ、このぬいぐるみだけが『答え』に繋がる唯一の───
トカゲさんは、そう言って振り向くと、窓の方に目を向けた。
窓の外を見たトカゲさんは、険しい表情を浮かべた。
「伏せろ!!」
トカゲさんは、俺の方を振り向いて叫んだ。
その次の瞬間だった。
――ガシャアアアン!!!
「ひいいいいっ!!」
ものすごい力で突き飛ばされたかと思うと、その直後には、ガラスが割れるような激しい音が聴こえた。
何だよ、何が起こったんだよ…!?
「怪我…無いかい…?」
振り向くと、俺の隣にトカゲさんがいた。
トカゲさんは、お腹にガラスの破片が刺さっていて、お腹からは血が出ていた。
「トカゲさん!!」
「あー、本当にもう、ツイてないなぁ。せっかく『
「『
嘘だろ…!?
さっきまで、ここから見える位置に『
いつの間に近づいてたんだよ!?
…いや、今はそれより…
「どうして、オレを庇ったりなんか…」
「さあ…ボクだってわからないよ。ただ…気がついたら、身体が勝手に動いてた」
トカゲさんは、割れたガラスに映った自分の顔を見て力無く笑っていた。
「『
「トカゲさん…」
どうしよう…?
このままじゃ二人とも『
「トカゲ君!」
俺が物陰に隠れて『
「何してるの!?早くついてきて!」
「はっ、はい!」
メイさんは、先にトカゲさんを安全な場所に逃がすと、俺に声をかけてきた。
メイさんの言葉で我に返った俺は、物陰に身を潜めながらメイさんに続いた。
その間にも、『
「とにかく、ここからできるだけ遠くへ逃げないと…!」
「無理です、動いたら殺される!」
「それはここに留まってたって同じよ!奴の目を欺いて、ここから逃げ出すのよ!」
メイさんが言ったその時、『
「キャッ!!」
「こっちに近づいてきてる…」
少しずつ、『
…メイさんの言う通りだ。
早く逃げなきゃ殺される…!!
「ドードー君!」
俺は、2人に続いて、ひたすら銃弾から逃げた。
俺達が逃げている間にも、建物の外にいた人が次々と撃ち殺されて、あちこちから悲鳴が聴こえる。
だけど『
「銃声が止んだ…それに悲鳴も…」
「諦めて別の場所に向かった…とか?」
『
そう思って安心していた、その時だった。
トカゲさんの傷の手当てをしていたメイさんが、険しい表情を浮かべる。
「しっ、何か聴こえる…」
メイさんは、集中して耳を澄ませた。
何かに気付いたメイさんは、ハッとした表情を浮かべて叫ぶ。
「この足音…ビルの中からよ!」
「えっ…!?」
足音がビルの中から聴こえるって…
それってつまり……
「嘘でしょ…!?建物に乗り込んでくるのは反則……」
俺がそう言いかけた、その時だった。
――バグォオオン!!!
建物のどこかで、爆発音が響いた。
ものすごい音を立てて、ビルの天井が崩れて落ちてくる。
俺は、その場で蹲って怯える事しかできなかった。
「何だ、今の…」
俺が恐る恐る顔を上げると、そこにはひどい光景が広がっていた。
俺は崩壊の少ないところに隠れたおかげで無傷で済んだけど、天井の崩落に巻き込まれたトカゲさんとメイさんは大怪我をしていた。
おまけに、二人は瓦礫のせいで身動きが取れなくなっていた。
「トカゲさん…メイさん…!!」
俺は、トカゲさんとメイさんのもとへ駆け寄って、瓦礫を退かした。
トカゲさんは、瓦礫の中から這い出ると俺に話しかける。
「ドードー君…ボク達の事はいいから、キミだけでも逃げろ…」
「何、言ってるんですか……」
「ボク達はどのみちこの怪我じゃ、遠くへは逃げられない。どうせ逃げられないなら、差し違えてでも奴を止める。奴は、重傷度が高い『ぷれいやぁ』から順に殺す傾向にある。ボク達が生きているうちは、奴がキミを狙ってくる事はない」
そう言ってトカゲさんは、さっき俺に見せてくれたぬいぐるみを握りしめる。
奴を止めるって…どう見ても、重傷じゃんかよ…
その状態で、何ができるっていうんだよ…!?
「無理だよ…その怪我で、勝てるわけがない!!早くここから逃げて、どこかでやり過ごしましょう!!」
「……あのね、ドードー君。さっきは言いそびれたけど…ボクが誰よりも戦いたくなかった
「何だよ、それ…」
トカゲさんは、崩れかけた壁にもたれかかりながら言った。
それじゃあまるで、戦うのをやめて生き延びるくらいなら、戦って死んだ方がマシって言ってるようなものじゃんかよ…
俺がトカゲさんの言葉に戸惑っている間にも、『
するとメイさんが、俺に話しかけてくる。
「ドードー君。トカゲ君はああ言ったけど…もし、ひとつだけお願いを聞いてくれるなら…忘れないでほしいな…私達がこの国で、最期まで戦って生きたって事を」
メイさんが涙を流しながら言った、その直後だった。
アサルトライフルの銃声が、間近で聴こえる。
「走れ!!振り返るな!!」
メイさんは、ボロボロの身体で棒きれを構えながら、俺に向かって叫んだ。
手負いの2人に『
だけど俺は、2人を置いて逃げた。
このまま3人とも撃ち殺されたら、それこそ無駄死にだ。
ごめんなさい…ごめんなさい、ごめんなさい…!!
俺は、心の中で2人に謝りながら、ただひたすら逃げた。
背後で爆発音が響いて熱風が吹きつけても、足を止めずに走った。
何も考えずに、走って、走って、走り続けた。
10分以上走り続けて、ようやく『
『
『
「う…うわぁああああああ!!」
2人が死んだ。
俺を逃がす為に、『
俺が何もできなかったから、無駄死にだってわかってても、『
『
◇◇◇
『
あれから俺は、ずっと『
俺はどうしても、生き残りたかった。
トカゲさんやメイさんのように、死を覚悟で戦う事はできなかった。
途中で人にも遭ったけど、ほとんどの人が既に事切れそうだったり、俺と同じように怯えて逃げ惑っていた。
そんな中、俺は車に武器を積んでいる人達を見つけた。
その人達は皆武装していて、どこか余裕そうだった。
話を聞いていると、『『
もしかしたら、この人達が『
そう思った俺は、武装した人達を追いかけて声をかけた。
「あのっ…お願いします!オレも連れてって下さい!オレ、『
俺は、武装した人達に駆け寄って頼み込んだ。
その人達は、俺を見るなりガッカリしたような表情を浮かべた。
「ガキ…しかも男かよ」
「どーする?」
「おい、ボウズ。お前に何ができるってんだ?お前みたいな中坊はお呼びじゃねーんだよ。どっか行った!」
髪が長くて目つきの悪い男の人が、俺を追い払おうとした。
ここで引き下がったら、俺みたいな弱い人間はこの国では生き残れない。
そう思った俺は、その人に泣いて縋った。
「お願いします!どうか…!置いていかないでください!」
「あぁ?おい、離れろって…!」
男の人は、何度も俺を引き剥がそうとした。
俺はそれでも食い下がった。
すると、とうとう男の人が根負けした。
「チッ。あーもう、わかったよ!その代わり、役に立たなかったらすぐに追い出すからな」
そう言って男の人は、俺を車の荷台に乗せてくれた。
車で向かったビルには、武装した強そうな人達が他にもいた。
俺を連れてきてくれた人達は、元の世界ではサバゲーの強豪チームだったらしくて、『
「しっかし、誰が『
「まあいいじゃねーか。おかげで楽に武器がわんさか手に入ったんだからよ♪」
米軍基地や『
俺はそれを見て、さっき俺が声をかけた時にガッカリされた理由がようやくわかった。
何というか…皆、あまりにも『
皆強そうだから、勝てる自信があるのかな…
俺は、余裕そうにしているチームの1人に話しかけた。
「あのっ…本当に、『
「なーにビビってんだよ。何なら、お前も参加するか?『
そう言って帽子を被った男の人が、俺にハンドガンを手渡してくる。
俺はそれを見た瞬間、この前の光景がフラッシュバックした。
トカゲさんが、俺を庇ってガラスの破片がお腹に刺さって…その後、『
「うっ…うわあああああっ!!」
トカゲさんとメイさんの死を思い出した俺は、その場で泣き崩れた。
「おいおいどーした?大丈夫か?」
「む、無理だ…あんな奴に勝てるわけがない…殺される…!!もう終わりだよぉ!!」
俺は、泣きながら食糧庫に駆け込んだ。
無理だ。
俺は、トカゲさん達やこの人達みたいに、『
俺は、ここで殺されるか、『びざ』が切れるのを待つしかないんだ。
◇◇◇
俺が食糧庫に隠れてから、丸一日が経った。
サバゲーチームの人達は、相変わらず『
俺は、『戦わねぇならせめてメシ炊きくらいしろ』って怒鳴られたけど、俺にはもう、その気力すら残っていなかった。
「もうやだ…帰りたいよぉ…」
俺が泣きながら呟いた、次の瞬間だった。
――ボグォオオオン!!!
「っ!?」
下の階で爆発音が聴こえたかと思うと、ビルが大きな音を立てて崩れ始めた。
上の階の天井が崩れて、大量の瓦礫が降ってくる。
これと同じ事を、俺は3日前にも経験している。
「嘘だろ…!?『
俺が崩壊の少ない場所に逃げ込んだその直後、今度は銃声が響く。
「ひっ!?」
上の階から、銃声と悲鳴が聴こえる。
だけどしばらくして、銃声も悲鳴も聴こえなくなった。
嘘だろ…!?
まさか、まさか…!
全員やられちゃったっていうのかよ!?
あんなに強そうな人達だったのに…!!
逃げなきゃ…
ここにいたら殺される…!!
「ハッ、ハァッ…!!」
俺は、すぐに食糧庫を飛び出して、ビルから逃げ出した。
振り返らずに、ただただ全力で走った。
俺がビルを飛び出した直後、暴風が吹きつける。
嵐が味方をしてくれたおかげで、俺は『
◇◇◇
「皆…殺された!!あっという間に…!!あんなに…強そうな人達だったのに…!!こんな『げぇむ』、どう考えたって『くりあ』できっこない…!!もう…終わりだよォ…!!」
俺は、ただひたすら森の中を走っていた。
ついさっき、目の前で人が大勢死んだ。
皆、『
トカゲさんも、メイさんも、サバゲーチームの人達も、皆。
「とにかく逃げなきゃ…!!もっと遠くに…!!アイツが追ってこられないところまでッ!?」
森の中を走っていた俺は、何かにぶつかった。
当たり負けした俺は、そのまま地面に倒れ込んだ。
「ぐえっ!!」
俺が起き上がろうとすると、ぶつかった男の人が銃を構えてくる。
「ひっ!!ひぃぃっ!!」
嘘だろ…!?
まさか、もう『
無理だ…もう逃げられない…殺される…!!
「お…願いします!!どうか…どうか見逃してくださいぃ…!!ひぃ…ひぃぃ!!」
俺が最後の望みに賭けて命乞いをすると、男の人は銃口を逸らした。
「へ…?」
顔を上げると、男の人は『チッ』と舌打ちをした。
「戦う意志もねぇ軟弱な精神なら…せめて囮として死ぬか…?」
あれ…?
この人、『
「……あ…なた…は?……いや、てっきり…『
俺が言うと、男の人は僅かに目を見開いた。
「会ったのか…?『
「え…!?まさかあなたも…『
俺は、必死に男の人を説得した。
あんな化け物みたいな奴、戦ったって無駄死にするに決まってる。
どう足掻いたって勝てっこない。
だけどその人は、俺の話を聞いて、怯むどころか逆に俺に話しかけてきた。
「…だったら、願ってもねぇ………オレはな、探してるんだよ…死に場所を。『