話の都合上、原作よりシーラビを少しだけ強化しています。
ドードーside
「トカゲさん…メイさん…!」
良かった。
トカゲさんとメイさんが、生きていてくれた。
「トカゲさん…メイさん…オレ、怖くて…2人を置いて逃げちゃって…本当にごめんなさい…!」
「逃げろって言ったのはボクだよ。無事でいてくれて良かった」
俺が泣きながらトカゲさんとメイさんに謝ると、トカゲさんは優しい声をかけながら俺の肩に手を置いた。
「でも、どうやって『
「あー…それなんだけど、ぶっちゃけ運が良かっただけなんだよね…」
俺が尋ねると、トカゲさんは苦笑いを浮かべながらその時の事を話してくれた。
◆◆◆
トカゲside
5日前、僕とメイさん、そしてドードー君は、『
僕達は、重傷を負って、『
だからせめて唯一無傷だったドードー君だけでも生き残れるように、差し違えてでも『
初日にも『
僕が逃げ切れたのも、『ねくすとすてぇじ』開始時点で怪我をしていた『ぷれいやぁ』が近くにいたからだ。
すぐに『
出来るだけ『ぷれいやぁ』を苦しませずに殺すというのが、彼なりの美学なのかもしれない。
もしそうなら、出来るだけ多くの人を殺すよりも、重傷者をできるだけ早く殺す事を優先するはずだ。
今怪我をしている僕とメイさんが生きて『
「ごめんね…メイさん…ボクのわがままに付き合わせちゃって」
「いいのよ。私が勝手に付き合っただけだから…」
メイさんは、僕の手に自分の手を重ねた。
僕は、さっき拾ったクマのぬいぐるみを眺める。
案外、死ぬのは怖くない。
死ぬ前に、愛したいと思える人に出会えたから。
たったの数時間だったけど、僕は僕の好きなように生きられた。
今ならわかる。
アヤカさん達も、きっとこんな気持ちだったんだろうな。
「…ねぇ、トカゲ君。不謹慎な事…言ってもいい?」
「何だい、メイさん…」
「こんな事になるならもう一回、シておけばよかったね…ゴム、1個余っちゃった」
そう言ってメイさんは、ポケットからゴムを取り出した。
僕とメイさんは、『げぇむ』を『くりあ』してすぐ、
自分で言うのも何だけど、この短時間で僕も随分と変わったな。
僕は、メイさんが取り出したそれを見て、ある事を思いつく。
「メイさん…確か隣の部屋に、ガソリンがあったよね…」
「ええ…トカゲ君、何か思いついたのね…?」
「いや…『
そう言って俺は、リュックにしまっておいたマッチを取り出した。
◆◆◆
シーラビside
「………」
俺は、左手首につけたモニターで、『ぷれいやぁ』の位置を確認した。
そのうち2人は、瓦礫の中から這い出して、被害の少ない隣の部屋へと逃げ込んだ。
運悪く、重傷を負ったまま生き残ったか…
…できるだけ、永く苦しませたくはない。
まずはこの2人を、すぐに苦しみから救ってやらなくては。
もう1人を救うのは、その後だ。
『う、うぅ…痛い…痛いぃ…!!』
『メイさん、しっかりして…!』
『もう無理よ!!何で私ばっかりこんな目にぃ…!!もういやぁぁぁ!!元の世界に帰してよぉ!!』
俺が警戒を怠らずに銃を構えていると、『ぷれいやぁ』達の苦しむ声が聴こえてくる。
…すまない。
お前達を、今の爆破で死なせてやれなかった。
今、楽にしてやる。
俺は、2人が隠れている部屋のドアを蹴破って開けた。
すると、その瞬間だった。
――ボォオオオオッ!!
部屋が一瞬にして吹き飛び、炎と爆風が起こる。
俺は咄嗟に防火マントで身を包んで受け身を取り、即死を免れた。
無理心中に、俺を巻き込むつもりだったか…
◆◆◆
トカゲside
僕は、隣の部屋に置いてあったガソリンを、部屋中にばら撒いた。
あとは『
外の世界の唯一の手掛かりだったけど、背に腹はかえられない。
「来た…!狙い通りよ、トカゲ君」
『
「そういう人だよね…アンタは。苦しんで泣き喚いてる『ぷれいやぁ』がいたら、真っ先に殺しに行くよね」
僕は、マッチ棒2本と、メイさんに貰ったゴムを使って、ドアの裏にトラップを作った。
あとは、ぬいぐるみの声に誘き寄せられた『
そして僕の狙い通り、『
「トカゲ君!!」
メイさんが叫ぶと、非常階段で待機していた僕は、メイさんを抱えて階段から飛び降りた。
その次の瞬間だった。
――ボォオオオオッ!!
上の階で大爆発が起こって、僕とメイさんは吹き飛ばされた。
幸い、爆発の直前に飛び降りていた僕達は、爆発で命を落とす事はなかった。
◇◇◇
「……カゲ君、トカゲ君!起きて!」
「う……」
僕は、メイさんに叩き起こされて意識を取り戻した。
僕とメイさんは、火傷を負いながらも、何とか生きていた。
運がいいのか悪いのか、ガラス片や瓦礫でできた傷が火傷で塞がってくれたおかげで、失血死は免れた。
何とか瓦礫から抜け出した僕達は、互いに身体を支え合って建物の外に逃げた。
ドードー君は…どうやら、無事逃げ切れたみたいだ。
「『
メイさんは、耳を澄ませながら言った。
ふと空を見上げると、遠くに『
僕達を仕留めたと思い込んだか…それとも、身の危険を感じて撤退したか…
以前、父から聞いた事がある。
自分の命が脅かされた時の軍人の戦闘スタイルは、『殺害』よりも『生存』が基本だと。
自分が死んで『げぇむ』を『くりあ』されるのを防ぐ為に、僕達を殺す事よりも、自分が生き残る事を優先した…
…結局、悪運に助けられちゃったか。
「……何だよ。殺すなら、ちゃんと殺していけよ。これ、何もできずに死んじゃった人達より恥ずかしいやつじゃん…」
「トカゲ君、立てる…?」
メイさんは、僕の身体を引っ張って支えてくれた。
僕達は、そのまま近くの病院に身を隠した。
こんな時の為に読んでおいた医学書で得た知識を総動員して、僕とメイさんは互いに治療し合った。
だけど流石に体力が尽きて、丸1日寝込んでしまった。
次に目が覚めた時に出会ったのが、彼だった。
「おい。お前ら息してるか?」
カタビラさん。
かつて『
「さっき『げぇむ』を『くりあ』して、会場から調達してきた薬がある。それと、新鮮な食糧もな。生き残りたかったら、オレと一緒に来い」
「…………」
以前の僕なら、『施しなんか要らない』と突っぱねていただろう。
だけど今の僕は、好きな人と、好きに生きたいという『理想』がある。
せっかく繋いだ命なら、もう少しだけ、この世界で足掻いてみようと思った。
カタビラさんは、重傷を負った僕とメイさんを治療して、食糧を分け与えてくれた。
僕達が歩けるようになるまで回復すると、カタビラさんは僕達にサバイバル術を教えてくれて、一緒に『今際の国』を旅して回った。
◆◆◆
ドードーside
「…ってな感じで、私達はカタビラさんに助けてもらったおかげで、今日まで生き延びる事ができたの」
「ここに来たのは、3人で話し合って決めた事だ。23区外に『
「そうだったんですか…」
トカゲさん達の話を聞いた俺は、3人との違いをいやでも思い知らされた。
どうやら3人は、『
自分から『
「感動の再会してるとこ悪いんだけどさ。早く食い物探しに行かない?アタシ腹減ってんだけど」
ヘイヤさんが、再会を喜んでいる俺達に向かって言った。
するとカタビラさん、トカゲさん、メイさんの3人が顔を見合わせる。
「…そうだね」
「とりあえず、ちょうどさっきスーパーを見つけたのでそこ行きましょうか」
トカゲさんとメイさんは、お互いの顔をチラッと見合ってから言った。
◇◇◇
俺達は、トカゲさん達が見つけたスーパーに立ち寄って、食糧を調達する事にした。
…わけだけど…
「これも……ダメだァ……」
スーパーの食べ物は、全部駄目になってた。
生ものはもちろん、缶詰も、インスタント食品も、スナック菓子も、全部腐ってた。
「ぜーんぶ、腐ってるわね…23区から離れる程街の荒廃が進むっていうおっかしな
「そんなァ〜!!」
せっかく、久々に虫以外の食べ物にありつけると思ったのに〜!!
俺がガッカリしていると、カタビラさんがメイさんの方に顔を向ける。
「…なぁメイちゃん。何だかほっぺたがふくよかになってねぇか?」
「メイさん、もしかして…持ってきた食糧、全部食べちゃった?」
「だ、だってしょうがないでしょ!?まさかスーパーの食べ物全部ダメになってると思わなかったんだもの!それに、怪我人は回復の為に体力つけろって言ったのはカタビラさんじゃないですか!」
「だからって3日分の食糧を食い尽くしちゃダメだよメイさん」
メイさんが必死に言い訳をすると、トカゲさんがメイさんに注意をした。
3日分の食糧を、たった1食で…
「これじゃあ食べるもの無いじゃないですかァ〜!!」
「ガタガタ言わずに、黙って虫…」
「だけは嫌ですゥ!!」
アグニさんがトラウマを思い出させるような事を言うので、俺は食い気味に嫌がった。
この人、そんなに俺に虫食わせたいの…?
俺が項垂れていると、ヘイヤさんが弓を肩に乗せながら立ち上がる。
「これだから狩りもできない男は…しょーがないわね。鹿刺しでも、食わせてやるか」
「鹿刺し…」
ヘイヤさんが言うと、メイさんが反応する。
これ、またメイさんが食い尽くすパターンでは…?
俺がそう思っていると、カタビラさんもライフルを持って立ち上がる。
「…よしっ、オレも狩りに出るかな」
ヘイヤさんとカタビラさんは、それぞれの得物を持って狩りに出かけた。
頼もしいなぁ…
◇◇◇
数時間後。
結局、2人が獲ってきたのは虫だけだった。
「…結局、虫ですね…」
俺は、フライパンの上で焼ける虫を見ながら口を開く。
「た…!!台風が悪いのよ!!晴れてりゃ鹿なんてウヨウヨいんだから…!!ホラ、ケチャップかけたら味なんてわかんないって!!」
「わわっ!!絶対それも腐ってますって!!」
ヘイヤさんが腐ったケチャップを虫にかけようとするもんだから、俺が慌てて止めた。
俺の隣では、トカゲさんが青い顔をしていた。
「ほら、焼けたぞ。食え」
「ああ、いや…ボク、ベジタリアンなんで…」
「食わず嫌いしてんじゃねぇ」
カタビラさんがトカゲさんにも虫を勧めると、トカゲさんはしれっと嘘をついた。
この前普通にカップヌードル食べてたじゃん…
「ったく…男のくせに、虫くらいで情けない」
頑なに虫を嫌がるトカゲさんに対して、メイさんが呆れる。
顔を真っ青にしてガタガタ震えているトカゲさんとは対照的に、メイさんは平然と焼けた虫を割り箸で摘まんでバクバク食べていた。
逞しい…
「メイさん…今は多様性の時代「つべこべ言わずに食え」
トカゲさんが言い訳をするものだから、アグニさんがトカゲさんを黙らせた。
トカゲさんがいつまで経っても食事に手をつけないものだから、見兼ねたカタビラさんがトカゲさんを羽交締めにして、メイさんが無理矢理トカゲさんの口を開かせてイモムシを口元まで運んだ。
「ちょっ…嘘でしょ?やめ…ぎゃああああああああああっ!!!」
トカゲさんの悲鳴が、スーパーに響き渡った。
無理矢理虫を食べさせられて抜け殻になったトカゲさんを他所に、俺達は食事を続ける。
そんな中、ヘイヤさんが、アグニさんに話しかける。
「…ところでさ、アグニ…だっけ?アタシ、変な駆け引きとか出来ないから、単刀直入に言うけどさ、アンタの事、けっこータイプなんだよね。だからハッキリ答えてよ!アタシの事、アリかナシ…」
「ナシ…だな」
アグニさんがヘイヤさんを振ると、ヘイヤさんはムッとした表情を浮かべる。
「あーくそっ!!何だよもォー!!もっと他に言い方あんだろ!!」
「あなたがハッキリ言えって言ったんでしょ…?」
ヘイヤさんが、自分で言っておきながらアグニさんに文句を言うもんだから、メイさんが呆れた。
「せめてどこがナシか理由だけでも…って、やっぱ聞きたくないッ!!」
あれ…?
何だか…
父さんと母さんと、3人で一緒に楽しく過ごしてた時の事、思い出すなぁ。
「アタシが光速でフラれたのがそんなに楽しいわけ?顔に出てんぞドードー!!」
「え…!?いや…そうじゃなくて…何故かほんの一瞬…まだ父さんが家にいた頃を思い出して…アグニさんとヘイヤさんが本当にくっついちゃったりしたら、何か、オレ達…ちょっとした家族みたいだなって…オレが2人の子供で…カタビラさんがお兄さんで、メイさんがお姉さんで…」
「あら、じゃあトカゲ君は弟かペット?」
俺が言うと、メイさんがトカゲさんの方を振り向きながら言った。
するとトカゲさんが、床に寝転んだまま口を開く。
「ボク、一応ドードー君やヘイヤちゃんより歳上なんだけど…」
「虫如きで大泣きするような人、末っ子かペットがお似合いよ」
「虫掴んだ箸で突くのやめてくれる…?」
トカゲさんが言うと、メイさんがトカゲさんの顔を箸で突くものだから、トカゲさんが弱った声でメイさんに抗議をする。
そんな中、カタビラさんが、カップに注いだ水を飲み干してから口を開く。
「何か水差すようで悪いんだがよ…ドードー、アグニ。お前らは『びざ』大丈夫なのか?」
「……えっ?」
「オレとヘイヤは『
「…………あっ」
そうだ…『びざ』…!
ここ2日間、『
俺は、すぐにズボンのポケットを漁って、クシャクシャに丸めた『びざ』のレシートを取り出した。
「どうしよう…すっかり忘れてた…!!オ…オレの『びざ』…今日で切れるんでした…!!」
「ウ…ソ!?マジで…?」
「今日中に『
俺が言うと、アグニさんは俯いたまま口を開く。
「……何にせよ…まずは少し…休め…ロクに寝てないだろう…?『びざ』の問題は…その後だ…」
その後、俺は皆と一緒にスーパーの床で眠りについた。
◆◆◆
アグニside
他の5人がスーパーの中で眠っている間、俺は外で見張りをしていた。
「家族……か」
俺が呟いたその時、またアイツが現れた。
「よう!」
「…よう」
「真に受けちまったべか?ガキの戯言を。家族…ねぇ。まぁ無理もねぇか…似たもん同士だからな、何せお前ら6人は…」
俺の前に現れた剛は、また笑いながら俺を言葉で刺してきた。
「家族を裏切り別の女と出ていった親父と、そのショックからギャンブルに逃げ込み心を閉ざしたお袋を持つ
「………」
「カカカ!泣かせるじゃねーの。何とも愉快な、『家族ごっこ』だ。愛されない者同士、傷舐め合うのがそんなに楽しいか?お前も堕ちるところまで堕ちたもんだな」
「………オレは、自分の犯した過ちを…ただ死ぬ事でしか、償えないと思っていた…だが…もしも…他にも方法が、残されているのだとしたら…?これが家族ごっこなら、オレの親父が果たさなかった務めを、オレが果たすだけだ」
◆◆◆
ドードーside
スーパーで寝ていた俺が目を覚ますと、隣にいたはずのアグニさんがいなくなっていた。
「……アグニさん?アグニさん!?」
俺がアグニさんを呼んでいると、他の皆も目を覚ます。
「便所でも行ってんじゃないの?」
「でも、足音が聴こえないわよ」
「銃がない…」
トカゲさんは、アグニさんのショットガンがなくなっている事に気がついた。
アグニさんはきっともう…ここに戻ってくる気は無いんだ。
「あの人は…自分1人で『
俺がアグニさんを探しに行こうとすると、ヘイヤさんが床に座ったまま口を開く。
「アタシは、行かないわよ」
「え…!?」
「せっかくモニターをぶっ壊したっていうのに、何でみすみす危ない目に遭わなきゃなんないのよ。言ったはずよ。アタシは生き延びる為に、あの『
「そんな…」
ヘイヤさん…
せっかく仲良くなったと思ったのに、何でそんな事言うんだよ…?
アグニさんがどうなってもいいっていうのかよ…?
「…その言い方は、ないんじゃない?」
「事実じゃん。アンタ達だって、そう思ってるんでしょ?助けに行く義理なんか無いって」
「………」
「確かにね」
メイさんがヘイヤさんに苦言を呈すと、ヘイヤさんが反論した。
カタビラさんは、ヘイヤさんの言葉を否定せずにため息をついて、トカゲさんに至ってはヘイヤさんの言葉を肯定した。
「何でそんな…ひどい事が言えるんですか!?」
「アフリカゾウ…」
俺がヘイヤさんに向かって怒鳴ると、ヘイヤさんが口を開く。
「アフリカゾウってね、象牙目的の密猟者に毎年たくさん殺されてるの。乱獲が止めらんなくて。あと10年もすれば絶滅しちゃうかもしれないんだって」
「一体……何の…話を?」
「アフリカゾウは、逃げないの…家族が襲われると、守ろうとして集まってきちゃうの。家族を想う故に…群れが全滅するのよ…結局、君達を見捨てて逃げられちゃうアタシには…いつか幸せな家族を持つ資格なんて、無いのかもね…」
そう言ってヘイヤさんは、俺から顔を背ける。
するとトカゲさんも口を開く。
「ボクもパス。この怪我じゃ足引っ張るだけなのは目に見えてるし、何より、行く理由がない」
「え…!?」
「言っただろ、ボクはボクの好きに生きるって。死にたがりを助けてやれる程、ボクもお人好しじゃないんだよ」
何だよ、それ…
だったら何で…
俺を逃がしたりなんかしたんだよ…
「だったら…どうしてオレを助けたんですか!?」
俺が尋ねると、トカゲさんが答える。
「好きに生きる為だよ。ボクは、好きに生きて、好きに死ぬって決めた。『
「トカゲ君が行かないなら…私も行かない」
トカゲさんが言うと、メイさんも俺から顔を背けた。
俺がカタビラさんの方を見ると、カタビラさんは肩をすくめた。
俺は、1人でアグニさんを探しに行った。
楽しい事なんて、何もない毎日だった…
未だに、何の為に生き延びてるかなんてわからない…
今だってこんなに怖いのに…
それでも俺は…
何の為に走ってるんだ…?
――過去だ。オレは…オレを縛り続けている過去と…もう、決別したいだけだ…
――何が何でも生き延びるだけよ。全ては、未来の為。
逃げても戦って負けてもどのみち今日が最後の日なら…
オレの…オレが戦う為の意志は…
今日…この日を守りたい…
皆を絶対、死なせない!!
「どこにいるの…?アグニさん…!!」
――ダァァーーー…ン!!
「銃声…!!アグニさん…!?呼んでるんだ…『
アグニさん…差し違えてでも、『
急がないと…!!
◆◆◆
アグニside
俺はショッピングモールの地下の駐車場で、『
奴は、正面から現れて、銃口を俺に向けてきた。
だが奴は、発砲しなかった。
俺がプロパンガスやガソリンの栓を開けておいたからだ。
「発砲すれば、2人とも吹き飛ぶ…お前の手で引き金を引いて終わらせても、オレは一向に構わねぇぜ…『
俺が尋ねると、『
この反応は…図星って事か?
もし俺が言った事が本当なら、俺が『
これでアイツを、救ってやれる…
ようやくオレの死に場所に、巡り会えた…
「アグニさんッ!!」
『
バカな…何故ここに…!?
「…バカが…!!何故ここに来た…!!」
『
奴が左手でナイフを握ったまま一歩ずつドードーに歩み寄ると、ドードーはハンドガンを構えた。
「銃は使えねぇ!!逃げろッ…!!」
「くっ…!!」
俺が叫ぶと、ドードーは非常階段を駆け上った。
すると『
まずい…!!
俺は手榴弾が爆発する前に、咄嗟にその場から飛び退いた。
――ドゴォ!!!
大爆発と共に、俺の身体は爆風で吹き飛ばされた。
俺の背中に、無数の瓦礫が飛んでくる。
全身を瓦礫で打たれた俺がそのまま倒れ込むと、上から瓦礫が降ってきた。
俺は降ってきた瓦礫を押し除けて、瓦礫の中から抜け出した。
「ぐ…うぅ…ドードー…!!」
俺は、ドードーが駆け上がった非常階段を駆け上がった。
すると、アサルトライフルの銃声が聴こえてくる。
『
俺が駆けつけると、非常口に向かって走るドードーと、ドードーの背に銃口を向ける『
俺はショットガンを構えながら飛び出し、『
『
「今だ!!急げッ!!」
俺が叫ぶと、ドードーが俺のもとへ駆けつけてきた。
俺達と『
「…今のが、奴と心中する為に残しておいた最後の1発だ…余計な事をしてくれたな…あれが奴を倒す唯一の機会だったかもしれねぇんだぞ…!!」
「…そんな事は、わかってますよ…!だからダメなんですよ!」
「あ゛…!?」
「『
ドードーは、覚悟を決めて銃を構えていた。
初めて会った時とは見違えるように強くなったな…
「…とにかく、こうなっちまったら、ここから脱出して奴と距離を…」
――ゴゴゴゴゴゴ…
「!?」
外から何かが押し寄せる音が響き、モール全体が大きく揺れる。
「な…何の…音ですか!?」
ドードーが叫ぶ中、俺は『
奴もこの事態は想定外だったのか、珍しく動揺を見せていた。
「土石…流…!?」
まさか…
昨日上陸した台風で、土石流が流れてきたのか…!?
俺がドードーを連れて逃げようとすると、土石流のせいでモールが大きく傾き、ドードーがバランスを崩した。
「うわぁぁッ!!」
「さっきの爆発で主柱が脆くなってる…!直にここは、崩れるぞ…!!」
俺がドードーに向かって叫んだ、その時だった。
「ぐ…お…お…ぐお…おお…!!オオオオ!!!」
『
『
「何が起こっているんだ…!?」
「わからないけど…あの人は…怯えてる…」
PTSD…か。
『
「行こう……この機に脱出するぞ…下のフロアは、もうダメだ…上に逃げても、望みは薄いが…」
俺とドードーは、モールの屋上に逃げた。
外に出ると、暴風が吹きつけていて、倒壊した建物が土石流の中に沈んでいた。
「うわッ!!なんて風…立ってるのがやっとだ…」
ドードーは、屋上の柵に掴まって下を見下ろした。
予想外の速さで瓦礫が流れていて、土石流に飛び込んでも助からないのは目に見えていた。
「すごい流れだ…!!ダメです!!飛び降りても…とても助からない!!このままじゃ…このモールが崩れるか…その前に…アイツが来る…!!」
クソッ…ここまでか……
――ドガァッ!!
近くの車のボンネットに、矢が突き刺さった。
よく見ると矢には、ワイヤーが巻き付けられていた。
この矢は…
「ったく、飛び込んだり倒壊したり…アタシが参加する『げぇむ』はこんなんばっかよ…!ワイヤーの先にロープを結んである!!手繰り寄せて固定したら、ソイツを伝って脱出しろォ!!」
「やっぱり…来てくれたんですねッ…!!ヘイヤさん!!」
振り向くと、ヘイヤが反対側のビルの窓から身を乗り出していた。
「言っとくけど、アンタの為じゃねーからなヘナチョコ!!テメェらみたいなお人好しを見殺しにして生き残っても、アタシはこの先幸せになんてなれねぇ!!コイツは、アタシ自身の未来の為よッ!!」
「それでもッ!!嬉しいですッ!!」
ドードーがヘイヤに向かって叫ぶと、ヘイヤは照れ臭そうに舌打ちをした。
俺は、ヘイヤが放った矢に括り付けられたワイヤーを手繰り寄せる。
「いいぞ…これで奴を、ここに置き去りにできる!」
俺は車に手繰り寄せたロープを括り付けて、ドードーにベルトを手渡した。
「よし…!!そのベルトを滑車代わりに、一気に滑り降りろ!」
俺がドードーに指示を出している間に、『
『
「急げドードー!!」
「ア…アグニさんは…!?」
「ここまで来たら今更、奴と心中するつもりはねぇよ…だから先に行け!!」
「はいっ…!!」
俺は、『
『
「くっ!!」
俺は弾を避けると、布切れを滑車代わりに、ロープを使ってモールの屋上から降りた。
だがふと前を見ると、先に行ったはずのドードーの姿が無かった。
振り向くと、ドードーは、屋上の柵にしがみついたまま、右手にハンドガンを構えていた。
「ドードー!?」
「今、2人で飛び出せば、アイツにとって恰好の的です…オレがここに残って『
そう言ってドードーは、笑顔を浮かべた。
「ドードーォオ!!」
◆◆◆
ドードーside
俺と『
「アイツ…ヘナチョコのくせに…何カッコつけてんのよ!!」
ヘイヤさんは、矢を放って俺を援護してくれた。
だけど『
くそぉっ…当たれ…!!
「!」
俺が『
嘘、弾切れ…!?
俺は咄嗟に
もう無理かもと思った、その時だった。
――タァン!!
別方向から、銃声が聴こえた。
『
するとその直後、同じ方向からハンドガンの銃声が3発分聴こえた。
そのうち1発が、『
「ヒーローは遅れてやってくる…ってね」
「若人が最前線で命張ってんだ、オレらも…アツくならざるを得ねぇよな」
ちょうど『
その奥には、メイさんの姿も見える。
皆…来てくれたんだ…!!
◆◆◆
カタビラside
1時間くらい前、ドードーがアグニを助ける為にスーパーを飛び出した。
『
俺は、ドードーにひでえ事を言ったヘイヤに話しかけた。
「なぁ…ヘイヤ。お前、自分の未来の為だって言うがよ。だったら何で、『
「…アタシの未来の為よ。アタシが生き残れたのは、あの子のおかげだから…あの子を死なせたら、未来のアタシは、きっとあの時のアタシを恨んでた。だから助けたのよ」
「ならお前は、お前を『
「………」
俺が言うと、ヘイヤは俺の質問に答えずに顔を背ける。
するとトカゲ君が、ドードーが出ていったスーパーの出口を眺めながら口を開く。
「ボクが『
「私達…似たもの同士だね…」
トカゲ君が言うと、メイちゃんは、トカゲ君の手を握りながら言った。
2人が言うと、ヘイヤは観念したのか、頭をガシガシと掻いた。
「あーくそッ!!行きゃあいいんだろ行きゃあ!」
そう言ってヘイヤは、両手で膝を叩いて立ち上がると、俺達より先にドードーを追いかけた。
俺達も、メイちゃんの聴覚を頼りに、アグニとドードーを探した。
◇◇◇
そして現在。
俺とトカゲ君は、ドードーを援護する為に、『
俺は耳が聴こえない上に右眼が潰れたせいで左眼の視力まで落ちてるから、観測はメイちゃんに任せた。
俺達が『
「今ですッ!!」
狙撃するのにベストのタイミングを見極めたメイちゃんは、俺に合図を送った。
俺はメイちゃんの指示通り、『
だが『
「チッ…!!」
俺がライフルを
『
奴の狙いは、観測手のメイちゃんだった。
だが奴の撃った弾は、メイちゃんじゃなく、メイちゃんを庇ったトカゲ君の胸に当たった。
「な……!!」
「言っただろ…ボクはボクの好きに生きるって……」
そう言ってトカゲ君は、その場に倒れ込んだ。
「ウソ…ウソ、ウソウソウソ…!!トカゲ君!!」
メイちゃんは、トカゲ君に駆け寄って、泣きながらトカゲ君の身体を何度もゆすった。
そしてトカゲ君からハンドガンを奪うと、窓から身を乗り出して『
「おい、バカ!!」
「うあああああっ!!死ねッ!!ぶっ殺すぞテメェ!!」
メイちゃんは、怒りに身を任せて、泣きながら『
だが感情任せに撃った弾は『
『
「う゛…!!」
『
チクショウ…あの野郎…!!
俺は、すかさず『
すると『
「今だドードー!!撃てェ!!」
俺は、ドードーに向かって叫んだ。
奴は、俺に向かって撃った弾で、全弾を撃ち尽くした。
奴がマガジンを入れ替える前にドードーが奴を撃ち殺せば、俺達の勝ちだ。
「当…たれェッ!!」
ドードーは、『
ドードーが撃った弾が、奴に当たる。
だが奴は防弾チョッキを着ていて、致命傷を与えられなかった。
『
「がっ…!!」
奴の撃った弾が、ドードーの肩に当たった。
そのはずみで、ドードーは足を滑らせてモールの屋上から落ちた。
「ウ…ソ…ウソウソウソ…!!ドードーォオ!!!」
ヘイヤが、土石流に落ちたドードーに向かって叫ぶ。
無事に着地したアグニは、絶望のあまりその場で膝をついた。
『
すると『
やがて土石流が止まり、下に降りたアグニと『
「ドードー!!ドードー!!どこにいんだよ!?ドードー!!」
ヘイヤは、ビルの窓から飛び降りると、土石流に埋もれたドードーを探した。
「チッ…!!」
俺は、ビルの窓から身を乗り出すと、『
俺が撃った弾は、『
すると『
俺は咄嗟に受け身を取ったが、流石に全弾は防ぎ切れずに、弾が脇腹を抉る。
「が…!!」
チ…ク…ショウ…
まただ…
また俺は、大事なものを…守れなかった…
◆◆◆
アグニside
俺は、土石流に流されたスクラップの上で、『
なのに何故…
アリスとヘイジ、剛、そしてドードーの顔が脳裏に浮かんだ。
どいつも、こいつも、何故オレを、死なせないッ!!?
「オオオオオオオオッ!!!」
俺は、雄叫びを上げながら、『
奴は、俺に向かって発砲してくる。
肩に、腕に、脚に、弾が当たる。
それでも俺は、一発もその弾を避けずに突き進んだ。
奴が撃たれた脚の痛みに態勢を崩した瞬間、俺は奴に飛びかかり、奴の頭と首を掴んだ。
――ゴギッ!!
俺は力任せに、『
奴は、力無くその場に倒れ込んだ。
◆◆◆
ヘイヤside
「ドードー!!どこにいんだよくそッ!!生きてたら返事しろォ!!」
私は、土石流の中を走り回って、ひたすらドードーを探した。
すると、土石流の中に、ドードーの手が埋もれているのを見つけた。
「…ド、ドードーっ!?」
私は、ドードーの周りの土を掘って、ドードーの身体を引っ張り出した。
ドードーは、息をしていなかった。
「オイ!!何で息してねーんだよ!?起きろドードー!!オイッ!!」
何度頬を叩いても、ドードーは返事をしなかった。
こうなったら…
「くっ…!!」
私はドードーの口を強引にこじ開けて、口の中に詰まった泥を掻き出した。
「気道確保…!!」
本で読んだ知識を総動員して、人工呼吸と胸部圧迫をする。
くそッ…これで起きなかったら、許さねぇからな…!!
「大体…卑怯なんだよテメェは…!!こんな時にばっかカッコつけやがって…!!
私が目に涙を浮かべながら力任せにドードーの腹と胸に拳を打ちつけた、その瞬間だった。
「ガフッ!!」
ドードーが、口から泥を吐き出した。
激しく咳き込みながら意識を取り戻したドードーが、私を見上げた。
「ヘ…イヤさん…?」
「ドードー…!」
私は、ドードーの身体を起こして抱きついた。
良かった…良かったぁ…!!
「うあああ!!あああッ!!うああああ!!ふあッ!!ああああ!!うああッ!!」
私はドードーを抱きしめながら、わんわんと泣いた。
ドードーは、私の耳元で弱々しく囁いた。
「ヘイヤさんって…意外と…泣き虫なんですね…」
バカっ…他人事みてーに言いやがって…
どれだけ心配したと思ってんだよ…!!
◆◆◆
メイside
私は、血がダラダラと流れる肩を手で押さえながら、トカゲ君に歩み寄った。
トカゲ君は、胸から血を流して倒れていた。
「トカゲ君!!お願い、返事をして!!」
せっかく『
私は、トカゲ君を蘇生しようと、顎を持ち上げて口を開かせて、人工呼吸を試みた。
私がトカゲ君の口に口付けた、その瞬間だった。
「んむっ!?」
にゅる、と口の中に舌が入り込んできたものだから、びっくりして思わず身体を跳ね上がらせた。
トカゲ君は、私の腕の中で、息を整えながら微笑んでいた。
「メイさん、今日はやけに積極的だねぇ…」
そう言うトカゲ君の服の胸ポケットには、銃弾が突き刺さって血まみれになった手帳が入っていた。
流石に無傷とはいかなかったけど、手帳が盾になったおかげで、奇跡的に致命書に至らずに済んだみたいだ。
「…っ、バカッ!!」
私は、泣きながらトカゲ君の頬を思いっきり引っ叩いた。
どれだけ心配したと思ってんのよ…!
「おうおう、見せつけてくれるねぇ…痛ててっ…」
振り向くと、カタビラさんが、銃弾が掠ったお腹に応急手当てをしていた。
ポケットから針を取り出したカタビラさんは、自分で傷口を縫い始めた。
「嘘でしょ…自分で…?」
「あー、内臓貫通してなくて良かった…」
いや、そういう問題じゃないでしょ…
私は、上着とTシャツを脱いで、脱いだ服を引き裂いて包帯を作ると、それをカタビラさんに渡した。
「これ、使って下さい」
「悪いな…」
銃で撃たれた私達は、お互いに応急処置をし合った。
アグニさんとドードー君とヘイヤちゃんも、無事だといいけど…
◆◆◆
シーラビside
俺にはかつて、共に死線を乗り越えてきた戦友がいた。
日本に帰国し、変わらず平和な街を見て、自分がもう戦場でしか生きられない事を悟ったその時、俺の戦友のアパッチが、俺を次の作戦に誘ってくれた。
俺には、どうせ使い捨ての駒として死地へ送られるだけだという事は、わかっていた。
だが俺は、結局奴と共に作戦に参加した。
あの日は、ちょうど先のモールのガス爆発のように、戦地の至る所で爆撃が起こっていた。
敵の攻撃から生き延びた俺とアパッチは、一度撤退して態勢を立て直そうとした。
だがその時、無数の銃弾が俺達を貫いた。
それでも俺は、アパッチを連れて逃げ延びた。
銃撃で致命傷を負ったアパッチは、自らの死を悟り、俺に殺してくれと頼んできた。
どうせ助からない身なら、早く苦痛から楽になりたいと。
――頼むよ戦友…!!死ぬより辛ェんだ…オレを殺す事で…オレをこの『苦痛』から、救ってくれ!!
俺は泣きながら、アパッチの身体を銃弾で貫いた。
これは救済なのだと、自分に言い聞かせながら。
すまない…友よ。
こんな形でしか、お前を救えなかった。
「ヒュ…ヒュ……」
首の骨を折られ、少しずつ意識が遠のいていく。
俺に致命傷を負わせた男は、俺の覆面を剥いだ。
「…な……チ、…ま…ない……パッ…チ…あんな形で…しか…お前…を、救って…や…る事が…でき…なかっ…た…す…まない…アパッ…チ…」
俺は、死ぬ前に、この手にかけたアパッチに詫びた。
「お前を恨んだ事は一度もない。救ってくれてありがとう、友よ」
男は、全てを理解し、アパッチの言葉を代弁してくれた。
そう…か……
お前も…俺と……同………
◆◆◆
アグニside
俺は、ゆっくりと目を閉じて息絶える『
するとその時、背後から剛が現れる。
「『
許してもらいたかった…か。
違う…俺は……
俺は、お前に詫びたかったんだ…
あんな形でしか救ってやる事ができなかった、お前に。
俺が剛に詫びようとすると、剛が俺に歩み寄った。
「許しを乞うのはオレの方だ。ダチのお前に嫌な役目を押し付けて…悪かったな。ここに来んのはこれで最後にすっからよ…いつまでもオレの事なんて気にしてねーで、達者でやれよ、杜ちゃん」
そう言って剛は、どこかへと去っていった。
気付けば、台風は過ぎ去って、空はすっかり晴れ渡っていた。
俺が顔を上げると、ヘイヤとドードー、そしてカタビラ、トカゲ、メイが歩いてきた。
生きてたのか……
俺がよろけると、ドードーが俺の身体を支えた。
「この…死に損ないが…」
「…そっちこそ」
俺が声をかけると、ドードーは笑顔を浮かべながら返事をした。
すると、その時だった。
『
《『こんぐらちゅれいしょん』、『げぇむくりあ』。『げぇむくりあ』》
「ハハ…やった……」
「これでドードーの『びざ』も延びたし、万事OKじゃん!」
アナウンスが鳴ると、カタビラとヘイヤが喜ぶ。
だがアナウンスには、まだ続きがあった。
《『げぇむくりあ』。見事、『
「な…に…!?」
「『びざ』が貰えるのは、直接『
アナウンスが放送されると、俺は驚きのあまり声を漏らした。
するとトカゲが、その場に膝をついて弱々しく笑う。
「23区にいる『ぷれいやぁ』全員に、『びざ』が貰えるんじゃなかったの…!?じゃあ…ドードーの『びざ』はまだ…残り…1日のまま…!?何よそれ…!?せっかくここまで生き延びてきたってのに…どーすんの…!?どーすんのよォッ!!」
ヘイヤが叫び、ドードーが絶望の表情を浮かべた、その時だった。
《………ここで『今際の国』に滞在する全『ぷれいやぁ』の皆様に、重要なお報せがございます。おめでとうございます。『ねくすとすてぇじ』の絵札の『げぇむ』も、残すところあと、1つとなりました。全『げぇむくりあ』まであと一息です。最後の『げぇむ』も頑張って下さい》
なん…だと……!?
「あと…1つだと…!?」
「そういえば…『
俺が驚いていると、メイがため息をつきながら言った。
ヘイヤがドードーを見ながら口を開く。
「それってつまり…今日中に最後の『げぇむ』を『くりあ』したら、ドードーが助かるどころか…アタシ達、元の世界に戻れるの…!?」
「そしたら…アグニさんや、カタビラさん…トカゲさんとメイさんも…病院で治療を受けられますよね…?オレ、行ってきます。だからヘイヤさんは、4人を頼みますよ!」
そう言ってドードーは、笑顔を浮かべる。
…本当に、強くなったな。
「アンタ1人にそんな大役任せてられるかっての。アタシも、ついて行ってやるわよ!」
「ボクもご一緒していいかい?ボクはボクの好きに生きるって決めたから…最後までキミ達に付き合ってやるよ。好きになっちゃったんだよね、キミ達が」
「トカゲ君が行くなら、私も行くわ。…まあ、流石にもう体力ゲーは懲り懲りだけど」
ヘイヤ、トカゲ、メイの3人は、ドードーについていく事にしたみたいだ。
すると、俺の手当てをしていたカタビラも立ち上がる。
「オレもついてってやるよ。お前ら血の気の多いガキばっかじゃ、大人は心配なんだよ。つっても、アグニが大丈夫なら、の話だがな」
「オレの心配なら要らねぇよ…どうせ誰も死なせちゃくれそうにねぇんだ…だったらどこまでも…生きてみるさ…だからテメェらこそ、絶対生きて帰ってきやがれ」
俺がそう言うと、5人は笑顔を浮かべて頷いた。
「ヘイヤさん早く!!」
「だからアタシは、テメーみたいにスタコラ走れねーんだよォ!!」
「ちょっ…あなた達、少しは怪我人を労ってよ!」
5人は、早足で最後の『げぇむ』会場へと向かった。
『ねくすとすてぇじ』開催7日目
『げぇむ』 残り1種
『ぷれいやぁ』 残り75人