感想もうれしいです!
7つのソフト、6つの円盤、5つのぬいぐるみ、4つのフィギュア、3つのコントローラー、2つのハード、1つのソファ、これがこの半年でトレーナー室に増えたものである。なお、ぬいぐるみはウマ娘がデフォルメされたもので、ゲームセンターでまとめてとれたらしい。
ただ、体の方はさっぱりで半年で身長は1cmしか伸びていないし、相変わらず足元が良く見える体形を維持している。
いろいろ成長期のスぺちゃんやキングちゃんとはあの模擬レース以来一緒に走ることは無かった一方、アシモトシカイヨシ仲間のスズカさんとは時々併走している。いや、併走というか私が走る時にスズカさんが無言で一緒に走り出すだけだが。
仲良くなると意外にもノリがよく、ボケをかましてくるので油断できない。ただ、寂しがりでありながら陽キャオーラは出してこないので、勝手ながら波長が合う気がしている。
ちなみに、デビュー直前に私と併走なんかしていて良いのかと思っていたのだが、そんなことを心配するまでもなく、あっさりとデビュー二連勝を果たしていた。メイクデビューは10馬身差の逃げ切り勝ち、次も11月末にトラブルはあったもののやはり逃げ切り勝ち。
今日は年も明けてスズカさんの3戦目、いよいよ重賞GⅢの共同通信杯に出走ということでスぺちゃんとキングちゃんと一緒に東京レース場に応援に来ている。
近場とはいえ、寒いしトレーナー室でだらだらしようと思っていたが、あんな美少女に是非見に来てくださいと言われて行かない選択は難しい。
「わー、次ですよ次」
「スぺさん、落ち着いてください。」
なぜかパドックの横で普段はいない(よね?)たづなさんが微笑んで見守っている。
「さあ、2枠2番、サイレンススズカの登場です。」
アナウンスの声に合わせて場内が沸く。幕が開かれるといつもより気持ち大きめの歩幅でスズカさんが歩み出る。
これが3戦目とは思えないほどに眼光も鋭い。最近一部のウマ娘の中でささやかれているスズカさんが不良ウマ娘であるという噂にまた一つ間違った根拠を与えてしまいそうだ。ちなみにこの話はスぺちゃんが悲しそうな顔をしながら話してくれたのでこれ以上の言及はしないつもりだ。
「メイクデビューから2戦続けての逃げでの勝利。今日も逃げが有利な内枠ですし、どんな戦い方を見せてくれるか楽しみですね。」
「うんうん、こないだのスズカさんもカッコよかった!!憧れるなー」
スぺちゃんがそういうが、とキングちゃんの方を向くと彼女もこちらを向いている。どうやらスぺちゃんのいつものスズカさんバカが出ているようだ。
確かに、前走のスズカさんは1勝クラス相手に圧勝しているが、発走前は色々大変だったのだ。
なんとゲートに収まった後にトレーナーさんの姿が見えなくなったことで不安になったようで、他のウマ娘のゲート入りの途中に上半身を乗り出してトレーナーさんを探してしまったのだ。
そのレースは出遅れもなく、3バ身差での逃げ切り勝利をおさめた。しかし、流石にゲートでの行為が問題になり、ゲートの再試験と1か月の出走停止となってしまった。
そのために年末のジュニア級チャンピオン決定戦であるホープフルステークスに出ることは叶わなかった。
そのときもスぺちゃんとキングちゃんと一緒に見に行ったのだが、いつもは表情の変化が読み取りにくいスズカさんが羞恥にもだえる姿を見れたのは中々の僥倖であった。
「前走ではゲートでのトラブルがありましたから、今日はすんなりとこなして欲しいですね。」
「ええ、スタート自体は決して苦手ではありませんし、今日の芝は良とのことで重賞での逃げ切り勝ちに期待です。ここを勝てればクラシックに向けて大きなステップになると思います。」
と前走を思い出しているとアナウンスでもちょうどそのことが言及されており、スズカさんは脱ぎ捨てた上着を拾いながらどこか恥ずかしそうだ。
「つづいて登場するのは……」
パドックでの登場は次々に進み、そのたびに場内が沸く。淡々とこなすウマ娘もいる一方で、重賞ともなればファンがついているウマ娘も多く、そのファンに向かってアピールをするウマ娘もいる。
「8枠13番、注目のウマ娘、メジロブライトです。前走ホープフルステークスでの勝利の勢いのままにクラシック戦線初戦を共同通信杯に選びました。」
そのアナウンスに導かれて、ほわわんとしたウマ娘が姿を現す。纏う雰囲気はのんびりとしたメジロの令嬢であり、一見強そうには見えない。しかし、歓声の大きさがその実力を表している。
メイクデビューでは事前の評価は低かったようだ。しかし、メイクデビューを勝利、その後重賞でシーキングザパールの2着に入り、年末のホープフルステークスでついに重賞勝利を成し遂げている。
言うならば、このレースの本命だ。
屋台で焼きそばやたい焼きとかの食べ物を買ってメインスタンドの方に移動する。ちなみに、スぺちゃんは緊張しますとかいってお腹が膨れるまで詰め込んでいた。
「サイレンススズカさん、今日はゲート大丈夫そうね」
「はふはふ、ひっほ」
「スぺさん、たい焼きを口に入れたまましゃべらない。」
順調にウマ娘が収まる中、スズカさんはレースに集中できているように見える。ここでやらかしたらクラシックレースへの出走も危ぶまれるだけあり、彼女のトレーナーさんも十分なトレーニングを積んだと話していた。
そう話していると全ウマ娘がゲートに入り終わる。
「グレードⅢ、共同通信杯、収まって、スタートしました。全バ綺麗なスタートを切りました。」
「さぁ、注目の二人はどう動くか、やはり行きます、サイレンススズカが早くも先頭に躍り出ようとしています。
外からもう2、3人が上がっていって先頭集団が形成……されません。
先頭集団という形にはなりません。
サイレンススズカ、大逃げを打ちました。
一方のメジロブライトは追い込み脚質、後ろに控えて他12人を視界に入れます。注目の二人が前と後ろ、両端に位置取りしてレースが進みそうです。」
スズカさんの大逃げに対して「スズカさん、頑張って!」というスぺちゃんの応援もかすむほどのどよめきが客席を横断する。そんな動揺を知ってか知らずか、スズカさんは気持ちよさそうにさらに加速していく。
「先頭はサイレンススズカ、早くも5バ身6バ身離れて二番手は黄色いゼッケンのサードプライオリティ。スルーブラウンが並んで二番手集団を形成しています。
バ群はやや縦長になって、メジロブライトは後ろから二番目で第3コーナーに入っていきます。」
最初の長い直線を終えるころには客席から見てもスズカさんが先頭を独走している様子がよくわかる。後ろになびく髪が冬の太陽を反射してきらめいている。
キングちゃん曰くレースのペースもかなり速いようだ。
「さぁ、先頭のサイレンススズカは既に3、4コーナーの中間地点に差し掛かって来る。2番手集団も徐々に後ろが追い上げて一群に纏まりつつあります。
果たして、サイレンススズカ、このまま持つのでしょうか。」
「サイレンススズカさん、これはもしかして」
「スズカさんなら大丈夫です!いっけー!」
「速いラップを刻むサイレンススズカ、800を切ってまだ7バ身のリード。
後ろのウマ娘は果たして捕らえることができるのでしょうか。
注目のメジロブライトは外目をついてグイッグイッとゆっくりと、しかし確実に加速を始めている。」
後続の加速をもって第4コーナーに入り、歓声がもう一段階上がる。寒さ対策といってトレーナーさんにもらった耳のカバーがあってもうるさく思えるほどだ。
「第4コーナーを抜けて早くもサイレンススズカは直線に入る。外からはメジロブライトが上がってくる。青のゼッケン、ヤマトイーストも末脚勝負で仕掛けどころだ。
サイレンススズカ、リードは5バ身。後ろのウマ娘が次々スパートする。持つのか、サイレンススズカ、本当に持つのか。
メジロブライトは現在5番手、先頭まであと4バ身だが果たしてサイレンススズカを捕まえることはできるのか。
各ウマ娘が加速しているが・・・・しかし、縮まない。サイレンススズカとの差が全く縮まらない。
あーっと、サイレンススズカがさらに伸びる、伸びる。二番手とのリードが3バ身、4バ身と再び開いていく。これはすごい脚を隠していたーーー!」
最後の直線、一回後ろのウマ娘を引き付けたあと、スズカさんは再度加速する。
「メジロブライトやってくる。現在3番手だが、届くのか。
残り200、坂を上る。
先頭はサイレンススズカ、また突き放している。
2番手にはメジロブライトがいい脚で上がってくるが届かない。
サイレンススズカだ、やはり強いのか、初重賞を影をも踏ませぬ逃げ切り勝ち。
2着に追い込んできたメジロブライト。
それにこの記録はレコード、三冠ウマ娘ナリタブライアンが出した1分47秒5を0.2秒更新しました。
サイレンススズカ、3戦続けて他バに影を踏ませませんでした。クラシックに向けて視界よし!」
「「やったー!!」」
こちらに向けて手を振るスズカさんを見送って、歓声が飛び交う客席から引き上げそのまま帰ろうとするが、
「あれっ? ウィーちゃんはウイニングライブは見ていかないんですか」
とスぺちゃんに手を引かれる。
ウイニングライブ?
そういえばそんなものもあったっけか。勝利したウマ娘が歌って踊るんだったか?
そういえば、もしかしてだけど私もレースに出たら歌って踊らないといけないのか?
無理では?
急に周りのウマ娘たちが遠い世界の住人に見えてくる。
とんでもないことに気が付いたが、とりあえずはスズカさんの雄姿を見届けるのであった。
評価、お気に入り、感想、ここすき等よろしくお願いします。誤字報告いつも大変助かっています。
レース描写は難しいなぁ。
あとタイトルと本文と口調も難しい。
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