ようやくデビューします。
本日9月6日の中山レース場、秋開場初日ですが既に多くのお客さんが詰めかけています。
さあ、ファンファーレと拍手に導かれて各ウマ娘がレースに向かいます。
中山レース場は第6レース、ジュニアクラス、メイクデビュー芝1600 m。
13人で競われることになります。芝の状態は良の発表です。
スタート地点にウマ娘が集まりました。既にゲート入りが始まっています。
まずは奇数番号の各ウマ娘がゲート入りします。1番ゲシサクシード、少し嫌そうですが収まります。ゲート入り順調。
続いて偶数番号のウマ娘のゲート入りです。10番ヤマトリブロース、12番シールドブラック収まりました。
2枠2番に黒いゼッケン、一番人気注目のウィトルムペデスが収まります。
全てのウマ娘がゲート入りしました。
スタートしました。
ちょっとバラっとしたスタートになりました。
1番ゲシサクシードは少し出遅れたか。
さあ、先頭争いは誰が行くのか。
10番、オレンジのゼッケン、ヤマトリブロースが行きそうです。外から切り込んでハナを取りに行きます。内からはスイートエンプレスが押し上げます。
9番、カプアカフェは少し位置を下げて3番手に付けます。
4番手のウィトルムペデスは外から上がっていきます。おおっと、2コーナーのカーブでウィトルムペデス、大外からかわしてもう先頭に立とうというところ。
後方集団は出遅れたゲシサクシードが集団の先頭まで位置を上げてきました。各ウマ娘、脚を溜めて2コーナーを回っていきます。
先頭はここでウィトルムペデスが外からヤマトリブロースをかわしてハナに立ちながら直線に入っていきます。先頭2番ウィトルムペデス、ハナにたってもそのまま脚を緩めずに1バ身、2バ身と離していきます。これは掛かっているのでしょうか。
向こう正面、中ほどで2番手から最後方まで9、10バ身程度開きました。2番手集団はヤマトリブロース、1バ身離れてカプアカフェ。
ああーーっと。
やはり掛かっているのでしょうか、ウィトルムペデスどんどん他を離していきます。もう、10バ身以上の大差を付けて先頭です。坂の下りでさらに加速して差を離していきます。
場内騒然としております。
逃げるウィトルムペデスは今、800mを通過。タイムは46.1。後ろと2秒ほどの差を付けてウィトルムペデスが大逃げを打ちました。
ゲシサクシードが向こう正面でじりじりと位置を上げて現在5番手。ヤマトリブロースは2番手をキープしていますが、果たして前にとどくのか。
さあ、ウィトルムペデスが第3コーナーに入ってきました。差が縮まらない。縮まらない。
むしろさらに開いていくようにも見えます。場内大歓声です。
ここでヤマトリブロースが動いた。直線では無理と判断しての第3コーナーでの早仕掛けか。それについてゲシサクシードも上がっていった。
後方集団からはシールドブラックも抜け出します。
このレースはどんな結末を迎えるのでしょうか。
2番ウィトルムペデスが逃げる。早くもその姿は第4コーナーに差し掛かります。後ろのウマ娘も脚を早めますが全く差が小さくなる気配がありません。
このまま逃げ切ってしまうのか。
第4コーナー、外からはカプアカフェも上がってくる。スイートエンプレスは苦しそうだ。
しかし、ウィトルムペデス速い速い、ウィトルムペデス独走態勢で最後の直線にはいります。そのままの速度を維持して直線内ラチ沿いを快調に飛ばします。
後ろのウマ娘はとても間に合いそうにありません。
ウィトルムペデス先頭。二番手はヤマトリブロース。
さあ、先頭ウィトルムペデスは中山の急坂を駆け上がって先頭。脚色は衰えない。
これは強い、これは強い強い。ウィトルムペデス、黒いゼッケンただ一つ。最後の直線を突っ走ります。
二番手争いはヤマトリブロース。外からカプアカフェが襲い掛かる。
しかし、先頭ウィトルムペデス、余裕をもって、今ゴールイン。
ウィトルムペデス圧勝。
2着争いは2人が競り合っている。ヤマトリブロース僅かに前に出たか。
今ゴール。
1着から4秒ほど離されて2着にヤマトリブロース、クビ差はなれてカプアカフェが3着に入りました。
ウィトルムペデス。これは恐れ入りました。勝ち時計は1:32.1。圧倒的な力で他をねじ伏せました。ウィトルムペデスです。
おっと、勝ったウィトルムペデスの姿がターフにありません。引き上げの方に向かいましたかね。ケガとかでないことを祈りますが。
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ウィトルムペデス視点
中山レース場はなかなかに混みあっていた。うだるような熱さの中、暑苦しい人の大群が流れ込んでくるのだ。二重の意味で非常に暑苦しい。
パドックには
おまけにレースは真昼だった。
何を考えたらこんな時間設定になるのかと憤っていたが、トレーナーさん曰く何度か勝てば夕方固定になるらしい。
レースは正直あまり覚えていない。
ペース配分の練習ということでハロン棒とハロン棒の間を11.6秒で走れとの指令がでたのだが、この調整が難しい。
他の印象が薄いのは大部分の意識をこれに持っていかれたからだろう。なお、はじめは何本目を通る時が何秒みたいな方式だったが、覚えられるわけがないということで今の形に収まった。
走り終わったら、そのままクソ熱いターフから引き上げる。
ささっと蹄鉄の検査を済ませて目指すは準備室だ!
何とも気の利いたことに、レースに出たウマ娘には準備室としてクーラーが効いた部屋が与えられるのだ。これらは主に出走前の準備とウイニングライブの準備のための部屋なのだが、それなりの設備と広さを備えており、もちろん私物も持ち込める。
古いながら一応テレビもあるので、快適に諸々のゲームをプレイできるという細やかな気遣い。駅からの動く歩道付きの専用地下道といい至れり尽くせりで素晴らしい。正直中山レース場は遠いなあとも思ったが、トレセン学園近くの駅始発の電車に乗って乗換なしで着くので意外と快適だ。
脳内でレース場を採点しながら気分よく準備室まで歩き、さぁゲームだと思ったらなんとテレビとつなぐケーブルを忘れてきていた。備え付けのケーブルがない -10点!
仕方がないのでポテチを箸でつまみながら小さな画面でゲームをしていると、急に扉が開いてトレーナーさんが入ってきた。
「ウィー、メイクデビュー勝利おめでとう!!!!」
なぜか感極まった様子のトレーナーさんは私の手をとって、涙を流している。
「本当に、よく・・・」
いや、絶対勝てるからって言ってたのに何とも大袈裟だなぁと思いながら、握られていない方の手でポテチとゲームを引き出しに押し込んだ。
ようやく落ち着いたトレーナーさんを横目に時計をみると、既に針は15時の直前に迫っていることを示していた。
「そういえば、そろそろかも」
「うん? なにか用事でもあるのかい?」
まぁ、用事といえば用事か。
「寮で同室の相手が今日走るので、それを見ようかなと」
場内のターフビジョンまで見に行かないとと思ったが、そういえばテレビがあったことを思い出す。
「スタンドに応援に行かなくていいのかい?」
「走るのはここじゃなくて札幌でなので、あっ、良かったまだ始まっていない。」
何やら自信がありそうな感じだったし見なかったら後が怖い。
レース結果は果たして同室の彼女の勝利だった。第4コーナーまでは真ん中くらいの順位につけて、最後の直線で外から他のウマ娘を抜き去っていた。
これは来週は機嫌が良さそうでなによりだ。
ウイニングライブが始まるのは太陽が沈むかどうかというころだった。
衣装や立ち位置の指定、出れないウマ娘がいた場合の割り振りなど諸々の準備が嵐のように行われ、あれよあれよという間にステージに送り出された。
万にも届こうかという人間がこちらを向いてサイリウムを振って、歓声を挙げている。
今の私はMake debut!をオートで踊る機械になっているので、残念ながらそちらに手を振る余裕はない。
ただ、暇な目と頭でもって観客を観察しているとなかなかに面白い。
前列で全力でサイリウムをふりまくるおじさんの一団もいれば、父親らしき人物に肩車された小さなウマ娘が楽しそうに手をたたいている。
後ろの方には腕組みしながら手首だけでサイリウムを動かすウマ娘が、左の端には娘をみるような温かい目をした夫婦が……と思ったら両親だった。レースの時は気が付かなかったけど来ていたのか。言ってくれればいいのに。
そんなことをしていたら、いつの間にか曲を踊り終わる。
オート機能を解除した私はやっと終わったかと、ステージから降りながら大きく伸びをするのであった。
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