ガラスの脚系TSナマケモノ娘   作:ヤキブタアゴニスト

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ウマッタラーへの道

レースが終わって数日後、私はURA賞なるものをもらうことになった。

突然トレーナー室の扉を叩いたたづなさんによってその旨が伝えられたのだ。

 

正直一体なんなのか分からなくて一瞬ポカンとしていたが、トレーナーさんが私を褒めて抱き着いてきたので多分すごいことなのだろう。

まあ、後から聞いたところによると選出はほぼ確実だと思っていたとのことで驚きはなかったそうだ。

 

選ばれたのはURA賞の最優秀ジュニアウマ娘というもので結構名誉なものらしい。

それはいいのだが、なんとその名誉には余計なお荷物が引っ付いていたらしく、数日後にはなにやら立派な会場でマスコミの前に立たされることになってしまった。

 

会場には私と同じく勝負服に身を包んだスズカさん、エアグルーヴさん、タイキシャトルさんたちも来ていて次々と登壇していく。ゲーム機を忘れてきて手持無沙汰になった私は彼女たちの会見をみていたのだが、次々と堂々とした受け答えをしている。

 

そうこうしているうちに、あっという間に私の番が来てしまった。

 

「登壇していただいたのは衝撃のデビューから無傷の6連勝で朝日杯を制しました、ウィトルムペデスさんです。」

 

何となく頭を下げてみると拍手が起こる。

 

「さあ、では早速今後の目標についてお伺いしましょう」

 

司会者のその言葉で私の方にマイクが向けられる。

 

やばい、折角トレーナーさんからレクチャーを受けていたのに出てこない。ガクチカ並みの頻出質問だというのになんて答えるのかド忘れしてしまった。

ああ、そうだった。怪我無く走るみたいな感じだったかな。

 

「引退まで無傷でいることです!」

 

そういったとたん、会場がドッと湧く。どうやら正解を引けたらしい。

 

するとある記者から

 

「それは引退まで一度も土を付けられることなく走り抜けるということでしょうか。」

 

と質問がとんだ。

走っているのは芝なんだから土が付くわけないのに、あっ、ダートのことか。

 

「そういうレースは知らないので分からないですが、今の形が私に合っていると思っています。」

 

以前、練習でダートを走ったときは砂埃と泥で大変だったし、出来れば寝ころべる芝のほうが嬉しいに決まっている。

 

「ありがとうございます。」

 

その後も質問が続き、いくつかトレーナーさんからの補足が入ったものの概ね私が答えることに成功した。意外とメディア受けがいいのかもしれない。

 

随分疲れたが、トレーナーさんによく頑張ったと頭を撫でられたのでまあ許してやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

煩わしい記者会見から暫くしたある日、トレーナー室の炬燵でウトウトしているとトレーナーさんが突然話を振ってきた。

 

「少し聞きたいんだけど、ウィーはSNSはやっていないのか?」

 

「SNSって何でしたっけ?」

 

聞いたことがあるけどイマイチ何を指しているか知らないんだよねSNS。

 

「ウマッターとかウマスタとかああいうののことだよ。」

 

 

ウマッターは一応やっているが、ゲームや単行本の発売情報の確認くらいにしか使っていないなぁ。

というか私の投稿のほとんどは一時ハマっていたとあるソシャゲのもので占められている。ウマッターへの投稿で1日1回アイテムが入手できるという仕様だったのだ。

 

別に責められるような使い方はしていないものの、突然どうしたんだろう。

 

「えーっと、どうしてウマッターを?」

 

そう私が聞くとトレーナーさんは一冊の週刊誌らしきものを取り出した。表紙を見るに主にウマ娘周りのゴシップのようなものを載せているもののようだ。

トレーナーさんがつけたであろう付箋がついたページを開けるとそこにはウィトルムペデスの素顔と題された特集記事が載せられていた。

 

記事の中にはレース場での私の写真がいたるところに散りばめられており、なかには勝負服姿で走るところも収められている。写真のほうはなかなかセンスがよさそうだ。

 

 

肝心の記事の内容の方は驚くべきものだった。

 

 

曰く、ウィトルムペデスはレース出走前は精神統一をしている。

曰く、ウィトルムペデスはレースゲームでイメージトレーニングをしている。

曰く、ウィトルムペデスが朝日杯で指を1本立てたのはG1をまずは1勝したという意味。

曰く、ウィトルムペデスの目標は三冠レースである。

曰く、ウィトルムペデスの好物はにんじんとレタスである。

曰く、ウィトルムペデスはレースで歓声を浴びないと気が済まない。

等々。

 

なんと、私も知らないようなディープなウィトルムペデスについての情報が語られていた。

もちろん、ところどころは私も知っている話が載っているのだが、まだまだ私も不勉強なようだ。

 

 

 

ってそんなわけあるかい!!!思わず頭の中で突っ込みを入れてしまった。

 

っていうかこれはトレーナーさんが取材で話したことなのだろうか。そう思って尋ねてみると答えはNO。普通の記者は取材内容を元に書いているものの、一部の記者は勝手に想像してあることないこと書いているのだろうとのこと。

 

「これも、これも、それからこっちもそうだな。それからこの記事なんかもそうだな。」

 

そういって取り出されたのは雑誌や新聞の類、そしてタブレットに示されたネット記事だった。

 

読んでみると事実をかなり大げさに書いているものから、勝手に謎のトレーニングをしていることになったりとなかなかのカオスぶりだ。

というか私に関する記事ってこんなに書かれていたのか。情報化社会とは恐ろしい。

 

「それでだ。こういう記事は滅茶苦茶なことを書いているのも多い。だけど、今は概ね好意的な論調だから頑張って訂正する程でもない。だけれど、今後いつ論調が反転して否定的なことを書かれるか分からない。その時に、ウマッターやウマスタをやっていれば、ファンの人に直接伝えて誤解を解けるかもしれないと思ってな。」

 

「確かに、私がサボり魔だとか、落第しそうだったとか根も葉もない噂を振り撒かれたらとんでもないことになっちゃいますね。」

 

 

 

「・・・・・・。まあ、ともかくそういうときのためのSNSというわけだ。もちろん、本当にそういうことが起きた場合はURAのお偉いさんから出版社の方に直接言って止めさせるのが最優先だ。だから、ウマッターはあくまで保険というわけだ。」

 

「分かりました。私、実はウマッターはやったことあるので早速やってみます!!」

 

 

 

任せて下さいとトレーナーさんに言ったものの、よくよく考えるとウマッターは見る専でさっきも言ったようにゲーム内でのアイテムのための投稿以外した覚えがない。

アプリの使い方や基本的な操作は分かるものの、ウマ娘がやるウマッターとは何を発信すればいいのだろう。

 

そういって夜に寮でウンウンと悩んでいると、同室の娘からうるさいと怒られてしまった。

しかし、何だかんだで意外に優しいところのある彼女である。

こちらから下手にでてウマッターの運用について聞いてみることにした。

 

 

 

 

 

「そいつに聞いておけ」

 

返事はぶっきらぼうであったが、どうやらウマッター運用に詳しい人を紹介してくれるらしい。彼女は知り合いらしきウマ娘の連絡先を私に渡して布団を被って寝てしまった。

何だかんだお世話になっている気がする。今度好物のお肉を献上して機嫌を取っておこう。

 

 

 

気を取り直してどうやって話を切り出そうかと逡巡しているとあちらからメッセージが送られてきた。

 

ウマッターについてですよね。アネゴからの頼みですし、もちろんお教えしますよ。

 

どうやら彼女は随分と慕われているようだ。あんなに横暴なわりに、彼女はどこか人を引き付ける魅力があるのだろう。

 

私はその後1時間くらいウマッターの運用と注意点についてのレクチャーを受けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

ふむふむ、ヘッダー画像には本人が走っているところがおすすめ……勝負服姿のこれがよさそう。躍動感もあっていい感じ。

 

アイコンには私のぬいぐるみの画像にしようかな。窓際に置いている私のぬいぐるみを撮影してアイコン画像を作る。

 

それからなりすましとかと間違われないように本人といれて

 

ウィトルムペデス(本人)@VitrumPedes

 

こんな感じでいいか。

 

あとは自己紹介は戦績とアピールしたいことを入れて簡潔にとなると

 

”ウィトルムペデスです。GⅠで勝った経験があります。重賞3勝。ぬいぐるみにもなりました。発売中らしいです!!”

 

これで完璧!!我ながらSNSのセンスがあるかもしれない。

まずは最初の挨拶だけど

 

”初めまして、ウィトルムペデスです。ウマッター始めてみました。私が走る予定のレースについての情報を発信したりしていくのでフォローよろしくお願いいたします。

 

【次走予定】

次走は共同通信杯を予定しております。しっかり調整して一生懸命頑張るので応援宜しくお願いします。”

 

こんな感じだろうか。ちょっとお堅い気もするが、貰ったテンプレート通りにしただけだから大丈夫に違いない。

 

そして、一番大事(らしい)のがアンケートである。次の共同通信杯でどう走るのかのアンケートを取って参考にするのだ。

レッスンの半分以上がこれに費やされたといっても過言ではない。なんでも、これに従ったおかげで重賞を勝ったウマ娘もいるのだとか。縁起物というやつなのだろうか。

 

もちろん、最後はトレーナーさんと話し合って決めることになるけどアンケートをとること自体は悪くない・・・かもしれない。

 

◇ やっぱり逃げ!!

◇ 王道の先行。

◇ バ群の後ろにつけて差し。

◇ 追い込んで、大外一閃!

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌朝、妙に焦った様子のトレーナーさんからウマッターをやめるようにと言われた。

なにもしないよりも酷いことになりそうとかなんとか。全く酷い扱いである。

 

なお、トレーナーさんに怒られたのでやめますとウマッターでつぶやいたが、これも余計にトレーナーさんを怒らせる結果になったのだった。

 




評価、お気に入り、感想、ここすき等々どうぞよろしくお願いします。誤字報告も助かっております!!
次回はレースになるかな。

アンケートの方はどう使うかは決めていないのであしからず。

共同通信杯で期待する位置取りに清き1票をお願いしますっ

  • やっぱり逃げ!!
  • 王道の先行
  • バ群の後ろにつけて差し
  • 追い込んで、大外一閃!
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