ガラスの脚系TSナマケモノ娘   作:ヤキブタアゴニスト

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短めで日常回です。


友情で挑むクラシックへの壁

泥まみれですっかりやる気をなくした私だが、レースが終わって一息つく間もなくウイニングライブの準備が始まった。

 

全身泥まみれの私を見てライブのスタッフさんたちは絶句していたが、そこはプロである。

私はシャワー室にぶち込まれて全身を洗われた後、3人がかりで髪の毛を乾かすというVIP待遇をうけた。瞬く間に髪が整えられてライブ用の衣装に着替えさせられる。

全く見事な早業で私はいつもの姿を取り戻すことができたのだ。

 

惜しむべきは動画で一連の手順を撮っていなかったことだ。捨て犬や捨て猫を洗って綺麗にする動画が流行るのだから、そのウマ娘バージョンもさぞかし人気がでるだろう。

 

 

 

 

 

とにかく寒いウイニングライブが終わりトレーナー室に引き上げた私はすっかり疲れ切っていた。

なんだかしばらくはレースで走りたくない気分だ。

 

そうトレーナーさんに伝えるとレースの間隔を空けることを提案された。

もともとは次は3週間後の弥生賞に出る予定だったそうだが、それに変えてスプリングステークスというレースに出るという事らしい。その次の皐月賞が大きいレースなので、これに向けた準備としてのレースだからどっちでも良いみたいだ。

 

そういえば、スぺちゃんがこないだきさらぎ賞を勝っていたし、弥生賞もある。皐月賞も含めるとおそらく毎月その月の名前が入ったレースがあるのだろう。皐月ってたしか6月だった気がするけど、スプリングステークスの後は6月までトレーニングでまみれるのだろうか。

 

私の白色の脳細胞が導き出した推理をトレーナーさんに話すと、皐月賞は4月にあるとのこと。どうやら私が月の名前を勘違いしていたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レースの翌日、リフレッシュがてらに最近発売されたゲームを漁っているとある一つのゲームが目に入った。

 

絶叫パワフルウマ娘。

 

デフォルメされたウマ娘を育てて、様々なレースでの勝利を目指す人気ゲームである。

なかなか評判の良いゲームだが、ウマ娘のレースというものをあまり知らなかったので手を付けていなかったのだ。

 

しかし、今の私は違う。レースの格付け、重み、そしてレース中の作戦、必要になる能力。

こういったものを理解した私はいよいよこのゲームをやるに十分な知識を身に着けたといっても過言ではない。

 

そう判断した私は最近発売された今年版のパワウマを手に入れた。

なんでもこのゲームには実際に走っているウマ娘も出るようで、毎年その年に活躍したウマ娘が追加されるらしい。

 

 

早速パワウマを立ち上げると表示されるのは可愛らしいウマ娘。なんというかぬいぐるみに近いかもしれない。

 

モードが色々あるらしいがオススメされているのは二つ。

一つはサクセッサスモード。これはプレーヤーが新人トレーナーになってウマ娘と出会い、トレーニングとレースを繰り返して成長し、最終的に三年後に行われるジャパンワールドカップの勝利を目指すというモードだ。そうして育てたウマ娘同士を競わせたりもするらしい。

もう一つが、栄冠セブン。トレーナーがチームを作り、そこに所属するウマ娘をレースに出してチーム成績でトップを目指すというモードだ。先輩から後輩にトレーニング方法や知識を受け継ぎチーム自体をどんどん強化するのが醍醐味だという。

 

どちらも面白そうで少し悩んだが、とりあえずサクセッサスモードの方で遊んでみることにした。チームで育てるよりは一人の方が簡単そうだし、基本を覚えるのはこっちの方がよさそうだ。

 

最初に育てていたウマ娘はデビュー戦で勝てず、その後も未勝利戦で負けを繰り返してしまったが、3、4人育てているうちに徐々にコツをつかんできた。

特に、私のプレイを妙に真剣なまなざしで見ていたトレーナーさんからの助言は流石は現役ウマ娘のトレーナーだけあって的確で、メイクデビューで負けることはほとんどなくなった。

なんでも、昔はこのゲームをやっていたもののトレーナーになってからは忙しいからなのかやっていないそうだ。

 

残念ながら、私は2週間もするとこのゲームに飽きてしまった。

正直、上手くなると大体のレースで勝てるようになるので、ただただ目標に書かれているレースを勝つだけの作業になってしまった。

唯一、最後のレースに出てくるギンシャリガールというウマ娘には手こずるものの、慣れると大差で勝てるようになってしまう。

 

何より一番許せなかったのは、ボタンを押すだけでトレーニングが終わることである。来週からの私のトレーニングもボタンで終わればいいのに……なんと羨ましい。

 

 

3月はゲームの発売ラッシュなので一通り他のゲームをやってから、今度は実際のウマ娘が出るモードで遊ぼうかなと思っておいておいたのだが、今ではトレーナーさんが時々やっているようなので、まあよかったとしようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば、共同通信杯の前に始めたウマッターはすっかり飽きてしまい、最近は全く投稿しなくなってしまった。好き勝手なことを言うならば面白いのかもしれないが、変なことを投稿するとトレーナーさんに怒られるかもしれないし、面倒くさくなってしまったのだ。

 

それに、アンケートを取ったのに、開幕一歩目で後ろからのレースになったので、微妙に気まずいのだ。

 

そして、私にはそんな些末なことに構っていられない事情もあった。

それは、学年末試験が喫緊に迫っていることである。

 

我が同志、スペシャルウィークと一発逆転で補習回避の共同戦線を張っているものの、未だに秘策は見つかっていない。

 

 

 

そんなある日の昼休み、いつものように昼寝に向かおうとしていると、スぺちゃんに呼び止められた。

 

この間重賞を勝ったからか、それともスズカさんの復帰が近いからかスぺちゃんは最近ご機嫌だ。食べる方も好調らしく、この間もまた近所のラーメン屋のご飯お代わり無料が彼女のために終了したらしい。

ただ、今日のスぺちゃんはそれにも増して満面の笑顔である。

 

 

 

「ウィーちゃん、見てください!」

 

興奮気味にそういって差し出されたのは、3本の鉛筆だった。

最近はシャーペンしか使わないのであまりみないものの、どこから見ても普通の鉛筆だ。

唯一の特徴といえば、後ろ側にどこか見覚えのある招き猫風のキャップが付いていることだろうか。

 

 

次の瞬間、私はスぺちゃんが何を成し遂げたのかを理解した。どうやってそれを為したのかは分からないが、それは彼女の偉大さを全くもって損ねるものではない。

最後に勝ったものが勝者なのだから。

 

 

「これはもしかして・・・」

 

「はいっ!フクキタルさん特製の開運鉛筆です!そして、もちろん」

 

そういうやいなや、スぺちゃんは一瞬にやりと微笑んでキャップを外した。

そこから現れたのは鉛筆の側面に書かれた1から6の数字だった。

 

 

 

「これさえあれば、学年末試験の突破は確実だね!スぺちゃん!!」

 

「ウィーちゃん!!」

 

思わず私はスぺちゃんと熱い抱擁をかわしたのだった。

 

もしこれが映画ならば、ここが間違いなく名シーンとして宣伝に使われるだろう。

そして、エンディングでは無事に補習を免れた二人の真の友情が描かれるに違いない。

 

 

 

と思っていたのだが、はしゃいでいた私たちは目立ちすぎたらしく、どこからかの通報によってやってきたキングちゃんに確保されることになった。そして、なんとフクキタルさん特製コロコロ鉛筆は没収の憂き目にあった。

 

おまけに、真面目に勉強すべきとの暴論を振りかざしたキングちゃんによって、試験に向けた勉強会まで開催されてしまうはめになったのだった。なお、キングちゃんの素早い連絡によってグラスちゃんも参加予定となった。

 

 

 

ちなみに、フクキタルさんは事の顛末を聞いたスズカさんによって絞められたそうだ。

 

 




高評価、お気に入り、感想云々よろしくお願いいたします。













某3冠牝馬サポカ3凸を完凸までもっていくかで逡巡中
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