ガラスの脚系TSナマケモノ娘   作:ヤキブタアゴニスト

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いつも読んでいただき感謝です。

前半はスぺスズトレ視点になります。


逃げろウマ娘

 

 

逃げというのは大きく分けて二つあるとよく言われる。

 

一つ目は性格や能力によって逃げを打たざるを得ないというものだ。

本能的に先頭以外で走ることにストレスを感じるウマ娘や抑えて走ることができないウマ娘。切れる足がないために後ろから抜け出すことが困難なウマ娘。理由は様々あるものの、仕方なく逃げという戦略をとっているのだ。

この場合の逃げはある種のギャンブルであり、レースの展開の穴をついて勝利を目指す。

 

最初のコーナーまでに先手をとり、後ろのペースを考えて先行や差しが届かない絶妙な距離でスパートを掛ける。しかし、レース展開によってはどこで抜け出しても逃げ切れない場合もあり、所詮は弱者の戦略であった。

 

これを破壊したのがスズカだ。

 

天性のスピードを持っていたスズカは道中で一息つくことを覚えてから、この盤面を完全にひっくり返してしまった。

 

スタートから一気に先頭に立ち、大きなリードを使ってスタミナを回復、4コーナーで後ろを見てからのスパート。従来の逃げと異なるのはまさにここである。

普通の逃げが先にスパートするのを強いられるのに対して、スタートからの驚異的な速さ、十分なスタミナと一級品の差し脚を持ったスズカは後ろを見てからスパートしても十分に間に合う。この逆転によって、スズカは展開に依存しない勝利を実現させた。

 

この末脚があるからこそ、粘るのではなく突き放すような圧倒的な逃げを打つことができる。

 

もう一つの逃げは暴力的な逃げだ。

暴力的な身体のスペックをもって早めに先頭に立ち、周囲に邪魔されずに経済コースを走り切る。

タダでさえ高い能力にロスの少ないレースをされれば勝ち目はない。

 

こんなタイムアタックのような走りをすれば、普通は周囲のウマ娘とかち合うせいで思い通りに走ることはできない。もしそれをやろうとすれば大外で走ることになるだろうが、これは距離のロスの大きさから却って遅くなってしまう。

 

しかし、タイムアタックの理想的なペースが頭一つ抜けて速ければそうはならない。

 

自分の最適なペースで走れば自然と逃げの位置になり、自由なコース取りが出来てしまう。

後ろのウマ娘はこれをただ眺めるだけでレースが終わってしまう。

 

そして、このタイプは逃げにこだわる必要は無い。

 

仮に、自由に走られるのを嫌って前の方でポジション取りを妨害しても、あっさりと先行の位置から抜かれてしまう。

先行の位置にいるならば、後ろからマークする戦略が取れるが、全員がそれを狙えば妨害がない故に自由に逃げられてしまうだろう。

 

なので全員がきちんと勝利を目指して走ると、ただただ逃げ切られるという結果になる。

 

 

ウィトルムペデスはまさにこのタイプの逃げ方をしている。

その上、末脚も豪快で、追い込みでのごぼう抜きもアッサリこなしてみせている。

 

 

そして、その彼女とスぺは間違いなく皐月賞で対戦することになる。

皐月賞の中山2000mというコースは決して短いレースではない。しかし、逃げたウィトルムペデスが展開次第でバテるかといえば、それは考えにくいとしか言えない。

 

唯一付け込めるとしたら、それは・・・

 

 

 

いや、今は目の前の弥生賞を考えるべきだ。先のレースを見据えて手前でコケることほど間抜けなことはない。

 

 

それにしても、ウィトルムペデスが弥生賞に出走してこなかったのは本当に幸いだった。

 

 

今のスペシャルウィークはまだまだウィトルムペデスとやりあえるほどのレース経験が足りていない。それに、2000mのレースも中山でのレースも初めてだ。

そこを経験してから本番の皐月賞に臨めるならば、勝たせてやることも・・・・

 

 

復帰に向けての最終調整をしているスズカと弥生賞に向けて坂の練習をさせているスぺを見ながら、今後のプランを練るために再び手元の紙束に視線を落とした。

 

 

 

 

 

 

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ウィトルムペデス視点

 

 

 

 

 

 

最近、トレーナー室に送られてくる私のグッズが異常なほど増えている気がする。

最優秀ジュニアウマ娘だかなんだかで色々写真を撮られたが、その時の一部はグッズ用だったみたいだ。

ぬいぐるみだけでもぱかプチの勝負服バージョンや体操服バージョン、ライブでの衣装のものもある。サイズも抱きかかえられるほどに大きいものから吸盤でガラスにくっ付けられる小型のものまで千差万別選り取り見取りである。

ストラップや小物類からタオルやうちわまで毎日のように何かしら増えているような気がする。

 

こんな有様なので新しいグッズが届くたびに目が死んでいるかどうかを確かめるのが日課になりつつある。

気まぐれのようにウマッターでグッズの写真を載せていたが、そんなどうでもいい投稿に物凄い数の返信が付くので怖くなってやめた。

 

というかウマチューブを見ているだけでも私のレースの動画がオススメに表示されたり、普段読んでいる週刊少年誌の広告欄にすら今年のクラシックウマ娘の特集との文字とともに私の名前が並んでいたりする。

 

極めつけはトレーナー室でトレーナーさんとご飯を食べているときに偶然流れてきたTV番組だ。なんとなく流れていたのを目で追っていたので細かい流れは分からないもののクラシック世代特集みたいなやつだと思う。

 

 

有力ウマ娘の紹介ということで流れたのが、

 

 

「クラシック戦線に視界よし!世代の頂点は譲らない。貫禄の走りで積み上げた無傷の8連勝。覇者の風格。ウィトルムぺデス!!」

 

 

となにやら仰々しい肩書きとともにこれまでの私のレースをつなげ合わせたカッコよさげな映像であった。

 

その後も、皐月賞やダービーで私がどういう走りをするかとか、それをどうやって他のウマ娘が対抗していくのかといった話が展開されていく。

 

これは、もしかしたらやばいのかもしれない。

何がやばいのかは分からないが、とりあえず私のレースに訳の分からない期待が死ぬほど乗っているらしいことは多分やばいだろう。

 

さっきのコメンテーターたちの戦術の話はよくわからないが、ダービーというのは思ったよりもやばいレースだということだろう。

 

正直いうとダービーを走ったらテキトウに足を痛めたことにして残りの期間は遊んで暮らそうとか考えていたのだが、この調子だとバレたらとんでもないことになりそうだ。

 

やばいどうしよう。

 

ああいう連中は皐月賞を走ったら次はダービーを、ダービーを走ったら次は何とかステークスを、みたいな感じで次を次をと求めてくるに違いない。

 

いや、最初にトレセン学園に入ったころはそれなりに走っておけばスポーツ推薦的なやつ的になんかいいんじゃないかって考えていただけだし、それでダービーを走るみたいなことを言った気がする。

だけど、別にレースでそこまで勝たなくてもダービーって走れるのか?

 

わざと負ける意味もないし、なんか出たら勝った方がいい気がしてたけど、無駄に期待値があがってしまったのか。

 

そもそも、レースでの勝ちの概念が普通と違うのが良くない。

10人で走って、2位になっても負け扱いなせいで勝ち続けるというのが物凄く珍しくなってしまっている。だからこそ、連勝したりすると大騒ぎするのだろう。

 

うーん、すごく逃げたい。

私は新しいタイプの逃げウマ娘に違いない。レースで逃げるんじゃなくてレースから逃げるのだ。

 

 

 

 

なんか疲れているのかな。

 

 

 

・・・

・・・

・・・

・・・

 

 

 

 

 

深く考えるのはやめよう。

それに、レースに出ないってことになるとこの快適なトレーナー室からも追い出されちゃうかもしれないし、とりあえずはあんまり考えずに目の前のレースをなんとなく走ればいいだろう。

 

 

 

これ以上考えても休むに似たり、フリーズしたパソコンと変わりはしない。なにせあまりに考えることに集中してしまい、スパゲッティのソースが跳ねて鼻の頭についていたことをトレーナーさんに拭ってもらうまで気がつかなかったくらいだ。

 




評価、お気に入り、感想、誤字訂正あればよろしくお願いいたします。
あと2,3話で皐月賞に入っていくと思います。


アニメで確認してたら弥生賞が3話だった。先は長いなぁ。


そろそろ、レースの結果とかも登場人物紹介に追加しようかな。
ネタばれにならない方法を探します。
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