ガラスの脚系TSナマケモノ娘   作:ヤキブタアゴニスト

39 / 73
沢山の投票ありがとうございます。
アンケートの結果ですが、両方というのが思いのほか多かったのでどこかでIFルートとして書いてみようかと思います。(思ってるだけなので期待しないでください)



内容が薄い夏休みなので短めです。






天国と夏

投票結果は天皇賞秋の方が菊花賞より少し多かった。これを慎重に検討を重ねたうえで結果を私なりにまとめると、天皇賞秋に出ずに菊花賞に出るべきと考えている人は20%なのに対し、天皇賞秋に出てほしいと考えている人は70%もいるということだ。うん、まさしく私は天才だろう。

 

こうして錦の御旗を得た私は意気揚々とトレーナー室に乗り込んだわけだが、今度は上手く行った。

特に、天皇賞秋に出たいと言ったのが効いたらしい。菊花賞は天皇賞秋の翌週とのことで両方に出るのは不可能ということみたいだ。

 

 

それからはトレーナーさんが私の理解できない哲学的な話をし出したので、とりあえず首を振っているとなんだか決意した目になっていた。 

 

何を決意したのかは分からないけど

 

「どんなレースだろうとウィーが走りたいレースを走ってくれればいい、そしてそうじゃないレースは三冠レースだってなんだって走らなくていい。そのレースにあったトレーニングを考えるのがトレーナーの仕事だから。」

 

という言質を手に入れた。ただ、レースにあったトレーニングを考えるからというのは要らないんだけどなぁ。トレーナー室でお世話してくれたらそれでいいのに。

 

というか、少しメディアの取材も落ち着いたのか、新しいトレーニングと題された怪しげなノートに日夜何か書き込むことに熱中している。私のゲームをのぞき込んだり、マンガを読みながら書き込んだりしているので、多分変なことを書いているのだと思う。

おおかた二次創作小説の設定集に違いない。トレーニングと書いておけば私が恐がって開かないとの浅はかな考えだ。

まあ、武士の情けで黒歴史ノートをみるのは止めておいてやるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ニートの1ヶ月は短い。

学園のみんなは7月になるや否や、あちこちに夏合宿に行ったらしい。南の海や涼しい高原、中には無人島等々行き先は実に千差万別だが、そこでトレーニングをすること自体は変わらないらしい。

 

トレセン学園でやったらいいんじゃないだろうか。移動するの大変だし。

 

なお、トレーナーさんも私を夏合宿に送り込もうと画策していたので、取りやめてもらった。北海道が涼しいことは認めるが、クーラーの効いた部屋の方が涼しいだろう。

 

私の他に夏合宿に行かなかったのは最近妙に覚悟の決まっているレース大好きウマ娘たちくらいだ。中には二週連続でレースに出てるウマ娘もいるらしい。

 

 

じゃあ私はといえば惰眠を貪る日々である。

寝て食って、時々マッサージをしてもらう。残りの時間はお気に入りのゲームで過ごす。

なんと素晴らしい日々であろうか。

目覚めれば天高く太陽が輝き、夜は月光とブルーライトが私の顔を照らす。雨が降ればゲームをして、晴れの日にはエアコンの設定温度を1度下げる。

昔の哲学者は言った。記述されるような事件がない時こそ、真によい世の中なのだと。派手で華々しい時こそ、大量の犠牲が生じているのだと。

つまり、なんにも書くことがないこの一ヶ月は私の人生最良の日々と言えるのだ。これぞ真の文化人の過ごし方としてふさわしいと分かるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな幸福な日々も8月に入ると翳りを見せる。

ダービーから二ヶ月近くにわたるストレスフリーかつトレーニングフリーの環境は終わりをつげ、秋のレースに向けてそろそろトレーニングを再開していくそうだ。

 

始めは脚への負担を考えて、プールでスタミナを鍛えるか体育館でパワーを鍛えるかのどちらかから始めるそうだ。私は1分程悩みに悩んだ末に、パワーを鍛えることにした。

 

これがちょっとした間違いだった。

トレーニングは瓦とか謎の板とか、はたまたスイカとかを砕くというもので、スイカが飛び散りすぎたことを除けばそこまで嫌いではない。

トレーナーさんも私の好みが分かりつつあるのか、どこから入手したのかゲームの敵キャラが書かれた板や瓦を用意してくれる。特に、RPGの道中でちょっかいばかりかけてきては経験値の足しにもならない連中をまとめて粉々にするのはいい気分だった。

 

とまあ、私のトレーニングは許容範囲である一方で、その周りが問題だった。

体育館というのは共有の物なのだから、私が使っていない場所では当然他のウマ娘たちがトレーニングをしている。

 

そして、私のトレーニングは瓦を砕くせいで結構な音が出てしまうのだ。

最初は正しく瓦を割っていたのだが、これは力加減が難しい。途中までしか割れないことも多かったので、ある時から拳で直接一番下まで砕くことにしたのだ。その破砕音は綺麗に割れたときの比にならないし、床を破壊しないために置いている鉄板を殴ってしまって酷いときには割れてしまうこともある。

そのせいで、共有の体育館でバカでかい音を出す私は周りでトレーニングしているウマ娘から睨みつけられることがしばしばだ。そうでなくとも、元から凄い気迫でトレーニングしているのに、私のたてた音にイラついたかのように荒々しくなるのだ。

この間なんかは、バスケのゴールに飛びついて、ゴールをひん曲げてしまう子もいた。なかなかのパワーである。

 

 

そんな殺伐としたトレーニング環境に嫌気がさしたので、8月の後半はプールでのトレーニングになった。

こちらもトレーナーさんが色々考えてくれたようで、ただプールで泳ぐのではなく、プールに浮かんでいるボールを回収し壁に設けられた的に当てるというものになっていた。最初はトレーナーさんに当てるというモノだったのだが、3球で壁に的を設置する方式に変わってしまった。

まあ、その壁に的を置く方式もコントロールの利かない私が投げたボールによって窓ガラスにヒビを入れてしまったことで禁止になったそうだ。幸いなことにちょうど、プールトレーニングの最終日だったので事なきを得た。

 

 

 

 

 

 

 

 

9月に入るとそろそろ次のレース、京成杯オータムハンデキャップが近づいてくる。

しかし、これが思いのほか波乱を呼んだ...らしい。

 

よくは分からないが、なんでもこのレースに私が出ると重い蹄鉄を使う必要があるのだとか。いや、それが話題になるとは暇なのか。しゃべりたい癖にしゃべる内容がない頭すっからかん向けの話題つくりに違いない。

トレーナーさん曰く問題ないし私は心配しなくていいとのことだったので大丈夫だろう...

 

夏合宿から帰ってきたキングちゃんやセイちゃんには驚きながら少し呆れられ、エルちゃんには面白がられた。そして、グラスちゃんからは微笑みながら耳元で「負けたら許しません」という恐ろしい応援らしき何かをいただいた。

ちなみにスぺちゃんは良くわからなそうな顔をしていたので仲間なようだ。

 

 

 

 

次のレースではちょっと重い蹄鉄を付けて走るということでトレーニングでも少し重いものに変えることになった。

前にも怪しげなトレーニングで付けていたので新鮮味はあまりないが、前から成長したのか違和感は以前よりも小さくなっている。というか、このくらい重い方がしっかり踏み込めるのでむしろ走りやすいとすら感じる。

トレーナーさんの分析によるともともとの体重が軽いせいもあってか、地面を蹴るときの角度が浅いと空回り気味になってしまうようだ。それが、重い蹄鉄を使うことで地面に食い込む効率が高くなるんだとか。

まあ、それならいいか。

 

 

それにしてもレースというのはどうしてこんなに複雑なんだろう。

別に毎回おんなじルールでやればいいと思うんだけどなぁ。

ゴールのサイズが変化するサッカーとか、ボールの重さが変化する野球とか見たことないよ。

 




感想は楽しく読ませてもらってます。
お気に入り、感想、評価、ここすき等々いただけると励みになります!!






メインルートはこのまま秋天ルートになります。

【緩募】秋に走るべきレース

  • 天皇賞秋を走る
  • 菊花賞を走る
  • 両方走る
  • 両方走らない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。