ガラスの脚系TSナマケモノ娘   作:ヤキブタアゴニスト

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輝く夢の未来へ

 

毎日王冠の翌朝、教室に入るとみんなの視線が私に集中する。なんだなんだと驚いているとキングちゃんがやってくる。

 

キングちゃんは何やら上から下までジロジロ私のことを見つめた後、軽く息を吐いた。そして一呼吸置いてから抱きつかれた。

 

「スズカさんに勝つとは流石は私のライバルね。」

 

そう私に言い聞かせるように耳元で話したので、なんだか寝かしつけられているような気分だった。

 

やっぱり、スズカさんに勝ったのが印象的だったのかな。

 

それから、心配だったのはグラスちゃんの調子が悪そうだったことだ。

前みたいにレースで脚を痛めているなんてことがないといいんだけどな。

その影響なのか、心なしかエルちゃんもいつもの元気がない感じだった。

 

 

 

 

ステイ先輩からはスズカさんに勝ったことについて随分お褒めの言葉をいただいた。曰く、競う相手がいなくなると消えてしまいそうな危うさがあるのだとか。

良くわからないが確かにスズカさんはちょっと儚い感じがする。私が心配するのはどちらかというと、走りに行って迷って帰ってこれなくなる方だけど。

 

なお、天皇賞に出ることについても中々に好評だった。

曰く、「スズカにお前、ブライトの奴もまとめて倒してやるいい機会」、だそうで。

 

相変わらず揃える気のないちょっと大きいルービックキューブを弄りながら笑っていた。

 

なお、今年の私の誕生日にステイ先輩からもらったルービックキューブは1時間でギブアップして以降机に放置してあるのだが、ときどき揃っている面が増えている。夏の間はずっと4面で止まっているので、早く5面揃っているところを見たいなぁ。

 

 

 

 

毎日王冠が終わると、というか毎日王冠の時から既に東京レース場は天皇賞秋一色だ。

レースにあまり詳しくない人でもなんか天皇賞秋というのはすごいレースなんだと分かるだろう。

 

実際、天皇賞秋の日にはレース場がパンクするくらいに人が集まるらしい。走るのはせいぜい20人もいないのに面白いものだ。

 

その天皇賞についてだが、何やらトレーナーさんは忙しそうだった。

理事長や生徒会長なんかとも色々話していたみたいだ。

やっぱり大きいレースになるとなにやら大変なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば、最近トゥインクルシリーズを引退するとかしないとかの話をポツポツ聞いた。トレセン学園が中高一貫校のようなものとはいえ必ずしも全てをレースの練習に費やすという訳ではなく、区切りとして今の時期に引退するというのもありなのだろう。

それにしても、レースからの引退ってどうやったら出来るんだろう。引退のやり方って習わなかった気がする。

 

ちょっと調べてみると、G1を勝ったりしたウマ娘はケガ以外ではラストランというのをやって引退になることが多いらしい。ただ、ラストランというのをどうやってやればいいかはイマイチ分からなかったのでトレーナーさんに聞いてみることにした。

 

 

 

「トレーナーさん、ラストランってどうやればいいんですか?」

 

と単刀直入に聞いてみると、最初はまだ気が早すぎるのだと言っていたが、ゴールを見据えてのレースというのもあるのかなと言ってラストランについて話しはじめた。

 

何やら故事成語のようなことを話していたが、要するに有馬記念をレコードで勝利するとラストランになるらしい。何やら他の手段もあるようだけど、有馬記念が一番いいのだとか。

 

レコードというのは過去に同じレースを走ったウマ娘の中で一番速く走ることをいうらしく、レース場の画面にRって書いてるときがそれらしい。確かに、そんなのを見たことある気がするけど何となくいい感じくらいの意味だと思ってた。そういえば、だいぶ前にテストの問題に出た気がする。

 

そういえば、確かに前に有馬記念を見たときに、ラストの大レースとか何とかアナウンサーさんが言っていたような気がする。

 

 

じゃあ、有馬記念のレコードはと思って調べてみるとダイサンゲンというウマ娘の2:30.6というタイムだった。なんとこの時の2着がマックイーンさんだそうだ。マックイーンさんも有馬記念にでてたのか。

 

じゃあ去年はというと2:34.8というタイム。なんとレコードとは4秒くらいの差がある。

つまり、去年レコードになろうとすると、1着のウマ娘より4秒速く走る必要があるという事だ。ウマ娘は100mを大体6秒くらいで走るから4秒ということは、その半分ちょっとくらい1着のウマ娘より前にいないといけない。

 

うーん、ラストランとはここまで過酷なものなのか。

 

 

しかし、私はバ鹿ではない。長期的な損得の分かるウマ娘だ。

ウマ娘というのはしっかりトレーニングを積むと結構速く走れるようになるらしい。レースゲームで自分の車だけ速く走れるように改造したらチートになるけれど、ウマ娘のレースではトレーニングで速くなることは別に違反ではないのだ。

まさしく脱法チートと言える。

そう考えると、トレーナーというのは他のゲームでいうとチートを指南しているようなものか、なんとも因果な商売だなぁ。

 

今のトレーニングが未来への希望に繋がるのだ。

とりあえず、今日はゆっくり寝て、明日からちょっと多めにトレーニングをやってもいいよと言ってみよう。

 

 

 

翌日からのトレーニングは意外にも楽しいものが多かった。

というより、トレーナーさんが楽しいものを用意してくれていた。

次から次に私が飽きる前に新しいトレーニングが湧いて出てくるのは本当に凄いと思う。

 

最近のお気に入りはピッチングマシンで飛ばしてくるゴム球をバットで打ち返すというものだ。5台のマシンからいろんな速度で飛んでくるので反射神経が鍛えられている気がする。

ゴムとはいっても当たると危ないからという理由で全身に防具を付けさせられるのが面倒なのが玉に瑕と言ったところだ。

 

 

それから、学園の敷地の奥の方にある空地に放置されている学園名物(らしい)のやたらとクソデカいタイヤとやらも、引っ張ってみたら意外と引っ張れた。

難点は引っ張っていく向きを考えないと岩とかに引っかかりやすいところと、縄が変な形で微妙に持ちにくいところだ。腰に巻くのにはちょうどいいんだけど、それだと引っ張りながら動くときに物凄く邪魔である。

まあ、これでパワーも付きそうだ。

 

何だかんだとトレーニングになるとトレーナーさんは生き生きしだすし、実際に教え方も上手だとは思う。

だけど、根性と賢さはどうすればいいものかって頭を抱えながら呟いていたのが聞こえてたからね。

まるで私が根性なしのおバ鹿みたいな扱いだ。

 

 

それから、最近はトレーナーさんも、外部の取材の一切を断って私のトレーニングに付きっ切りだ。なので寝てるか授業に出ているか以外のほとんどの時間でトレーナーさんと一緒な気がする。

 

 

 

 

そういえば、この間昼寝場所に落ちていた新聞に面白いことが載っていた。

なんでも私が菊花賞に出ないということがデカデカと書いてあったのだ。

 

あまりにくだらないのと文字が小さいので読まずに捨ててしまったものの、レースに出るんじゃなくて出ないことをニュースにするのはセンスが良すぎる。

 

出る予定で記事を作っていてそのまま使ったのか、もしくはあまりにも報道することがなさすぎたのか。いずれにしてもアホなことがニュースになるとは平和で素晴らしいことだ。

 

 

この間も家に帰ったときに母に聞かれたけど、父が自分が好きなレースを走るのが一番とかなんとか言ったのですぐに納得していた。いや、好きなレースって言われてもかえって困るんだけどなぁと思いながらテキトーに頷いておいた。

 





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