※原作沿いですが展開はかなり変わっています。苦手な方はブラウザバックしてください。
毛利探偵事務所の周りで、セァラは周囲を観察していた。小五郎が競馬を聞き、少年探偵団が腕時計探しの依頼を受ける。そんな平穏な日常に目を細める。彼女はいつものように、通行人のフリをしてコナンたちに付いていこうとした。そこに。唐突に、横から拳が飛んでくる。
「っと……!」
考えるより先に体が動く。襲撃だ。
「どちら様、で……あれ。あなたは……」
身構えて、敵の姿を確認する。そこでセァラは、ようやく気づいた。襲撃者の正体に。
「……何の真似ですか、赤井さん」
黒いニット帽を被った、目つきの悪い男……赤井秀一。彼がセァラに、鋭い眼差しを向けている。先ほど彼女を襲ってきたのは、間違いなく彼だ。彼は彼女の問いには答えず、逆に問い返してきた。
「本物か」
「そうですが、何か?」
それだけでセァラは理解した。彼女が本物かどうかを確かめたくて仕掛けてきたというのなら、それは正式な依頼者だ。敵ではない。彼女は構えを解いて、彼の方を見た。彼はセァラが話を聞く体勢になったのを見て、依頼についての説明を続けた。
「ある人物を探している。話が聞きたい」
「女優ですか?」
「会ったのか」
「はい」
「どこで」
「この街で。……彼女が来ているから、あなたはここに居るのでは?」
「そうだ。だが、目的が未だ不明な上に……標的には、厄介な能力がある」
「だから、私に?」
「ああ。標的を確実に見分けられる目があることは、知っている。……協力を約束してもらえるのなら、この場は見逃そう」
「…………ここであなたとやり合いたくはありませんね。ですが、協力といっても……私に、何をさせようというんです?」
「標的の足止めだ」
「いつまで?」
「俺がその場に到着するまで」
セァラはため息をついた。
(上手いやり方ですね。『
「……いいでしょう。その依頼を受けます。依頼料は、あなたが持っていらっしゃる情報で。……赤井さん。あなたがアメリカで標的をおびき出した日時と場所を、教えていただけますか?」
赤井が僅かに眉を上げた。
「何故、そんなことを知りたがる。何かあるのか?」
「いいえ。ただの興味本位です。別に、教えていただけなくとも……。依頼は確実に実行しますので、ご心配なく」
セァラと赤井の視線が交差する。赤井がゆっくりと歩き出す。そして彼女とすれ違う、その瞬間に。
「
彼は小声で呟いて、去っていった。残されたセァラは、詰めていた息をゆっくりと吐き出す。
(……赤井さんと相対するの、疲れますね。その分、得るものも多いんですけど)
FBIきっての狙撃の名手。黒の組織の、ライだった男。彼から渡された情報を、これまで調べたことと合わせて。セァラはようやく、ベルモットと毛利蘭の繋がりを見つけた。