※原作沿いですが展開はかなり変わっています。苦手な方はブラウザバックしてください。
コナンが様々な事件を解決するのを横目に見ながら、セァラは穏やかな日々を過ごしていた。彼女は殺人事件には興味がない。セァラが気にしているのは常に、コナン達と組織との関係である。そう。今のように。
「似てるよな比護さんって…オメーに…」
フーリガンを気取るサポーターが殺された事件で、コナンが灰原に話しかけた時。セァラはその会話を、物陰から見聞きしていた。
「ノワールはフランス語で黒…黒のチームから出て行った裏切り者…」
(……やはり、そうでしたか)
彼女は灰原を見つめた。茶髪の少女は、彼女がいることに気づいていない。
(……灰原哀。江戸川コナンと同じく、戸籍のない子供。もしも、彼女が……本当に、あの組織で育った子供だとしたら)
心当たりは、無いこともない。最も。彼女が知るその女性は、工藤新一と同じくらいの年頃だったけれど。
(……シェリー。まさか、本当に?)
セァラは彼女と面識がない。今、目の前にいる少女が……本当に、シェリーなのか。判断するだけの情報も、持っていない。ただ。彼女とコナンの間には、セァラが知らない何かがある。その事だけは、確かだった。
(彼女は科学者でしたね。……まさか、人が若返る薬なんて……そんなおとぎ話のような物、本当にあるとは思えませんが。そもそも、そんな物を作る理由が分かりません。……ただ、ベルモットが気にしているということには理由がありそうですね)
セァラは父親から聞いたことがある。あの女性の姿形は、年を経ても変わらない。まるで、不老不死の人間であるかのようだと。父はそう言っていた。
(ベルモット……シャロン・ヴィンヤード。蘭さんと工藤新一くんが彼女と関わった可能性が最も高いのは、黄金の林檎にまつわる事件。あの事件を解決したのは新一くんの母親で、彼女はシャロンと同じ女優。当時、NYにベルモットが来ていたことも合わせると……そこで出会ったと考えるのが、妥当でしょう)
そこまで考えて、セァラはため息をついた。結局何も進んでいない。ベルモットがそこで彼らと、どんな話をしたのか。それが分からないことには、彼女が彼らを気にする理由は読めないままだ。そもそも、シャロンの顔で会ったかどうかも定かではない。たまたま偶然、道で出会ったとか……そんな可能性もある。かなり低いが。
(大体、ちょっと道で出会ったり……女優仲間に紹介されたり。そんな程度で、私に頼むほど気にかけるとは思えませんね。あのベルモットですよ?)
誰にも心を開かない。誰のことも信用しない。利用するだけ利用して、いらなくなればくずかごに捨てる。ベルモットとはそういう女だと、セァラは認識していた。その彼女が、敵であるセァラにまで頼るほど……彼らを大切にする、その理由は何なのか。
(分からない事だらけですね。もう少し、注意して見ていましょうか)
いつものように事件の謎を解くコナンを見ながら、セァラはそんなことを考えていた。