※原作沿いですが展開はかなり変わっています。苦手な方はブラウザバックしてください。
その日は雨が降っていた。いつも通りの、護衛の仕事。少し調子が悪そうな蘭の様子を見て、セァラは警戒度を強めた。
(風邪でしょうか。コナンくんも気づいていますし、大事にはならないと思いますが)
中華街で食事をしている彼らの側で、一般客のフリをして。セァラは蘭の変化を見逃さないようにしていた。
(……藤峰有希子と、シャロン・ヴィンヤード。どうやら間違いないようですね。ベルモットはシャロンの顔で、蘭さんと会っているのでしょう)
蘭の話を聞きながら、彼女はそんなことを考えていた。その彼女の前で、人が死ぬ。警察が来ることを察した彼女は、ため息をついて席を立った。
(蘭さんが心配ですね。……仕方がありません。今は……)
トイレに入って顔を変える。やってきた刑事は部外者を容赦なく追い出したが、彼女は探偵だと名乗って居座った。使った名前は
「初めまして。あの有名な、眠りの小五郎さんですよね。あなたがいらっしゃるのでしたら、私の仕事は無くなりそうです。何しろあなたは、この世に並ぶ者など居ない名探偵なのですから。そうでしょう?」
「い、いやあ……それほどでも!」
小五郎は上機嫌になる。けれど、やって来た警部はますます渋い顔をして。
「オレは、探偵なんてうさん臭い連中は信用しねえ。現場の状況から見て、1番疑わしいのは……その、煙の小五郎とかいうケチな探偵だよ」
そう言った。セァラはすかさず、口を挟む。
「なるほど。では、毛利さん。この1件、見事に解決して……この頭の硬い刑事さんを、
「そ、そりゃーもちろん……」
彼女は笑顔を崩さない。穏やかに、有無を言わせず。毛利小五郎に、事件解決を丸投げした。コナンが彼女の袖を引く。
「ねえ。お姉さんは、謎を解かなくていいの?」
「ええ、まあ。……私のやり方は、あまり褒められたものではないので」
トリックを無視して、動機を見つけて話を振る。そうやって犯人をあぶり出してから、凶器の入手ルートを突き止めて追い詰める。そんな、探偵と名乗るのもおこがましいほどの力技。セァラにはそれしか道がないが、そんな道は出来れば選びたくない。彼女はコナンの頭に手を置いて、笑いかけた。
「それに、君に任せておけば間違いはありません。蘭さんの体調も気になりますし、私は彼女についています。……頑張ってくださいね、コナンくん」
「……う、うん……」
コナンは少し驚いていたが、何も聞かずに捜査に戻った。セァラはそれを見て、蘭の側に立つ。ボディガードをしていた頃のように、気配を消して。コナンは彼女をチラチラと見ながら、捜査を進めた。