他人が見る夢   作:9Q

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※原作の事件に関するネタバレがあります。ご注意ください。時系列はベルモット編の途中です。

※原作沿いですが展開はかなり変わっています。苦手な方はブラウザバックしてください。

















セァラとコナン(中編)

その日は雨が降っていた。いつも通りの、護衛の仕事。少し調子が悪そうな蘭の様子を見て、セァラは警戒度を強めた。

 

(風邪でしょうか。コナンくんも気づいていますし、大事にはならないと思いますが)

 

中華街で食事をしている彼らの側で、一般客のフリをして。セァラは蘭の変化を見逃さないようにしていた。

 

(……藤峰有希子と、シャロン・ヴィンヤード。どうやら間違いないようですね。ベルモットはシャロンの顔で、蘭さんと会っているのでしょう)

 

蘭の話を聞きながら、彼女はそんなことを考えていた。その彼女の前で、人が死ぬ。警察が来ることを察した彼女は、ため息をついて席を立った。

 

(蘭さんが心配ですね。……仕方がありません。今は……)

 

トイレに入って顔を変える。やってきた刑事は部外者を容赦なく追い出したが、彼女は探偵だと名乗って居座った。使った名前は芦屋(あしや)(かなで)。探偵としては無名だが、大切なのはそこではない。どんな理由でも、現場に無理やり居座ることができる。今の彼女に必要なのは、そういう立場だった。やってきた刑事は、明らかに不審そうな顔をしている。無理もない。それでも何とか、隅にいることだけは許してくれた。因みにコナンたちは、呆気に取られている。セァラは笑顔で、毛利小五郎に声をかけた。

 

「初めまして。あの有名な、眠りの小五郎さんですよね。あなたがいらっしゃるのでしたら、私の仕事は無くなりそうです。何しろあなたは、この世に並ぶ者など居ない名探偵なのですから。そうでしょう?」

 

「い、いやあ……それほどでも!」

 

小五郎は上機嫌になる。けれど、やって来た警部はますます渋い顔をして。

 

「オレは、探偵なんてうさん臭い連中は信用しねえ。現場の状況から見て、1番疑わしいのは……その、煙の小五郎とかいうケチな探偵だよ」

 

そう言った。セァラはすかさず、口を挟む。

 

「なるほど。では、毛利さん。この1件、見事に解決して……この頭の硬い刑事さんを、(うな)らせてみてください。あなたでしたら、赤子の手をひねるより容易く……事件の全貌が見えるでしょう?」

 

「そ、そりゃーもちろん……」

 

彼女は笑顔を崩さない。穏やかに、有無を言わせず。毛利小五郎に、事件解決を丸投げした。コナンが彼女の袖を引く。

 

「ねえ。お姉さんは、謎を解かなくていいの?」

 

「ええ、まあ。……私のやり方は、あまり褒められたものではないので」

 

トリックを無視して、動機を見つけて話を振る。そうやって犯人をあぶり出してから、凶器の入手ルートを突き止めて追い詰める。そんな、探偵と名乗るのもおこがましいほどの力技。セァラにはそれしか道がないが、そんな道は出来れば選びたくない。彼女はコナンの頭に手を置いて、笑いかけた。

 

「それに、君に任せておけば間違いはありません。蘭さんの体調も気になりますし、私は彼女についています。……頑張ってくださいね、コナンくん」

 

「……う、うん……」

 

コナンは少し驚いていたが、何も聞かずに捜査に戻った。セァラはそれを見て、蘭の側に立つ。ボディガードをしていた頃のように、気配を消して。コナンは彼女をチラチラと見ながら、捜査を進めた。

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