※原作沿いですが展開はかなり変わっています。苦手な方はブラウザバックしてください。
船浦島での一連の事件。それが解決して、間もない頃。セァラは東京スピリッツの優勝パレードを観戦するコナンの護衛をしていた。
(デート、ですか。順調に進んでいるみたいですね)
高木と佐藤。セァラも何度か関わった、それなりに思い入れのある2人。彼らの関係が進展していると聞いて、彼女は少し上機嫌になっていた。そんな彼女の目の前で、佐藤が変装した高木を叱る。
(……1週間しか居なかった刑事……。白鳥警部たちの言い方からして、その方は辞めたのではなく……)
殉職している。その可能性を考えて、セァラは目を細めた。
(いったい、どんな方だったのでしょうか)
名前。経歴。家族構成。そういった情報なら、すぐに調べられるだろう。けれど、その人の
(今の私にできることがあるとしたら、それはその方が殉職された事件を調べることくらいでしょうね)
そう思いながら、懐から機器を取り出そうとした時。大きな音と共に、高木の車が爆発した。
(まさか……!)
慌てて現場に駆けつけて、セァラは周囲を見た。高木は少し服が焦げただけで、生きている。
(……良かった。佐藤刑事も、きっと……)
彼女は真っ直ぐ、車に向かって駆けていった。セァラが目を見開く。
(……高木刑事に、気づいていない? いえ、あの様子は……先ほどと……)
同じだ。変装した高木を見た、あの時と。同じ顔をして、佐藤は車に手を伸ばした。セァラはその手を掴んで止める。
「……待った。あの刑事さんなら、間一髪で逃げ出しています。……あちらにいますよ」
ポストのところにいる、高木と白鳥。佐藤は彼らを見て、涙を流した。由美が駆けつけてくる。セァラは佐藤から距離を取った。
「美和子……」
「……由美。高木くんは、生きてたのね。……良かった」
「……そうね」
コナンたちが現場に来る。高木は、佐藤の目が少し赤いことに気づいた。
「佐藤さん……? 僕ならこの通り、無事ですよ。爆弾の袋を偶然見つけて……」
「……ええ。分かってるわ。……気にしないで」
佐藤が明るい笑顔を見せる。高木は戸惑った。彼女が明らかに無理をしていたから。
「……はい」
それでも、彼は追求しなかった。出来なかった。無理もないと、セァラは思う。
(この件は……いいえ、殉職した刑事というのは。彼女にとって、特別な方だったのでしょうね)
現場が片付けられる。野次馬が遠ざけられて、刑事が集まる。セァラはコナンから目を離さないようにしながら、3年前に起きた事件について調べた。
(……観覧車に爆弾。刑事が1人、殉職している。その刑事の名前は……ニュースには、なっていませんね)
光彦がビデオテープに何か映っているかもしれないと言って、刑事たちが確認しに行く。彼らを見送って、セァラは現場を離れた。
(こちらの事件はコナン君に任せて、私はその刑事のことをもう少し詳しく調べてみましょうか)
この事件と3年前の事件は違う。そのことは、もう調べがついている。この事件は、ただの郵便局強盗だ。コナンがいれば、問題なく解決するだろう。
(……きっかけは、7年前の事件。こちらも1人、刑事が亡くなっていますね)
セァラは独自の情報網を持っている。人助けは慈善活動ではない。円滑な情報収集のために必要な行為だ。セァラとして親しくしている人々から、様々な話を聞き出す。そうやって彼女は生きている。
(……元爆発物処理班の、松田陣平。彼の親友である萩原研二。その2人を殺した、7年前と3年前の爆弾事件。どちらも11月7日。……もうすぐですね)
カレンダーを見て、セァラは目を細めた。コナンは自分から、事件に関わろうとする。
(……嫌な予感がしますね)
もしも、この日に。その事件が、再び起きたら。そんな懸念を抱いて、セァラは調査を続けた。